夜の来訪者

9/22 『夜の来訪者』 テアトルシェルネ

俳優座劇場

作=J・B・ブリーストリー

演出=西川信廣(文学座)

出演

倉持幸之助=鈴木瑞穂(オフィスODA)

倉持ゆき=稲野和子(文学座)

倉持沙千子=藤本喜久子(無名塾)

倉持浩一郎=古川悦史=(文学座)

黒須辰男=川井康弘(俳優座)

秋山のり子=菅原チネ子(朋友)

影山警部=外山誠二(文学座)

この作品は初演が15年前で、今回が7演目だそうだ。人気のある作品なんだろうな。

俳優座劇場プロデュースとなっているが配役を見ると、俳優座より断然文学座の人が多くてまるで文学座公演だ?(^o^)/

舞台は実業家倉持家の応接間か居間のセット、正面中央に階段がありその上に入り口が有る。下手には洋酒棚、上手にはピアノ、中央に応接セットが置いてあり、あと椅子がいくつかあった。休憩なしの1時間40分の舞台。

倉持家で長女沙千子と黒須の婚約パーティが有った夜、倉持家の家族4人と婚約者黒須の前に一人の男が尋ねてきた。影山警部だった。

彼は今夜一人の女性が消毒薬を飲んで自殺したと告げる。その写真を倉持幸之助にそっと見せると幸之助は自分の工場に勤めていた女性だが赤の疑いで解雇したという。彼女に非が有ったから辞めさせただけで自分に悪いところは無いという幸之助、

次に千沙子は名前を聞いて自分の行きつけの店の店員だったが応対が気に入らないと、その店を辞めさせた。千沙子は自殺の原因を作ったのは自分かもしれないと後悔する。次は婚約者の黒須、店を辞めてバーに勤めていた彼女と知り合い援助の金を渡していたという。そんな黒須に失望した千沙子は婚約指輪を返し、黒須は部屋を出て行く。警部は次に母のゆきに移る。慈善団体の役員をしていたゆきにお金を融通して欲しいと助けを求めてきたが断られたのが自殺の原因だと。

今度は話が長男浩一郎に回ってくる。浩一郎の子供を宿していたらしいが浩一郎が彼女に貢ぐ金を会社の金を誤魔化していた事から浩一郎からの援助を受けたくないからと浩一郎からの援助を断ってゆきの所へ助けを求めてきたのだ。

倉持家全員が関わっていると思われたこの事件だが、警部が帰った後、黒須が何か警部の写真の見せ方がオカシイと言い始めた。そして自殺した中央病院へ電話してみるとそんな女性はいないし自殺者も居ないという。全ての話が出鱈目だったんだと安心して酒を飲み始めたその時、病院から電話がかかってきて、たった今消毒薬で自殺を図った女性が運ばれてきた、という。

ではあの警部は何者だったのか?

観てる私も何が真実なのか良く判らないミステリアスな結末だった。

富める家族・倉持家と貧しい孤独な一人の女性を対峙させ、倉持家の人達の傲慢さを浮き彫りにしていく過程で影山警部が家族に言う言葉、

「人間は一人では生きられない。全体が絡み合い助け合っている。ときには傷つけ合い、苦しめ合い、殺し合って・・・。だから人間は他の人間全部に責任があるんです」(パンフより)これがこの芝居のテーマだと演出の西川さんは書いているが、私にはこの言葉の意味が、今ひとつ良く判らないんだけど・・・(笑)

それよりこの家族は全員がこの一人の女性とよくもまぁーこれだけ密接に関わったものだ! チョッと嘘くさいなぁ?! そう思いながら観ていたのが、警部が帰ってから黒須が、果たして我々が関わった女性は同じ人だったのか? そう疑いを提示してから俄然面白くなった!(^^♪

病院から今自殺者が運び込まれたと電話があって全員が凍りつく所なんか、こちらもドキッとしたりして・・・(笑)

鈴木さんは「ニュルンベルク裁判」以来だと思うが台詞の切れが悪くて聞き取り難いところが有ったなぁ?、もうかなりのお歳だからなぁ!

今回の舞台で一番目を惹いたのが女中役の菅原チネ子さん、大分お歳のようにも見えたし台詞も少なく出番もそんなに多くないけどスゴク存在感が有ったなぁ?!

夜の来訪者

夜の来訪者

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-09-19

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