階段

僕の目の前には階段。どこまでもどこまでも続く階段。あたりは真っ白。僕以外誰もいない。
「…ここは?」
声が反響するだけで答える者はいない。僕は仕方なく階段を上ることにした。
上が見えないくらい階段は続いている。頂上につくにはいつまでかかるのだろう。
しばらく歩き続けているとうっすらと人影が見えた。それは小さな少年だった。
「…本当にいいの?」
少年は僕に問いかけた。何がいいのだろう?僕が黙っていると少年は「…決めたんだ」とだけ行って去って行った。
またしばらく歩き続けていると今度は青年に出会った。
「…本当にいいのか?」
まただ、一体何を問いかけているんだ?
「…何を、ですか?」
「本当に、お前は、それでいいのか?」
駄目だ。僕はそれから人影を無視して階段を上った。出会った人はすべて僕に「いいのか?」と問う。
「…意味がわからない」

どこまで歩いたか、ようやく頂上にたどり着きそうだ。頂上が見えた。そして、また人影。今度は老人だった。
「そうか、君は、そう決めたのだな。なら私達はもう何も言わんよ。それが君自身の選択ならば」
老人はそういうと透けて消えていった。
「選択?」
…まあいいや。何故だか気分がいい。ようやく頂上にたどり着いたからだろうか。
僕は最後の階段を上りきった。

『…えー、次のニュースです。今日未明、首に縄のかかった絞殺死体が河川敷で発見されました。警察の調べでは、自殺だろうという話が出ていますが、周囲に縄をかけるような場所は無く、他殺という話もでていますが―』

階段

意味わからないですね、はい。
簡単に言うとあの階段は「僕」の人生であり、縄への階段でもあったりします。
少年や青年は「僕自身」です。
「僕」は学生設定なので青年以降出会うのは「選択肢」であったり。
最後の老人も「僕自身」ですが、「僕」の決めた選択ならば、とこれ以上問うのはやめています。
最後のニュースは「僕」の死体が見つかったニュースです。他殺でしょうか、自殺でしょうか。それは「僕」だけがしっていることです。

階段

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-11-04

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