時空剣士

時空剣士

時空剣士

時空剣士とゆう存在を
御主は知っているだろうか。



恐らく、誰もが 知らない と答えるだろう。
知っていたら寧ろこちらが驚く。


彼らはその身を隠しながら
人類の過去、現在、そして未来を守るため
時空を旅して戦っているのだからな。


それを許されるのは
剣術・武術において将来有望とされる者たち、
すでに己の道を極めた剣豪者たち、だけだ。


…と言いたい所だが、論外もいる。


さらに時空剣士たるもの、いついかなる時でも
正義の心を忘れてはならない。
強さは勿論、冷静な判断力も欠かせないのだ。



…おっと。すまない、話し過ぎたな。
時空やら剣術やらで頭が混乱していることだろう。


これは遠い未来の話だ。
御主の時代からは想像出来ないのも無理はない。


もっと詳しく知りたいのなら
彼らの日常を少し覗いて来るといい。
学べることはないだろうが
何かを感じることは出来るだろう。




おいおい、ちょっと待て!
丸腰だと危ないぞ。


御主、刀を持っておらんようだな。
これを持っていけ。


…よし、帯刀したな。




それでは、

健闘を祈る。






語り:ウェントワース・ミラー(顔)と東地宏樹(声)似のクリス・レッドフィールド

其の一

2XXX年 東京 [幕末時代]


猫の形をした家紋旗を背に、二人の剣士は見合っていた。



「俺に何か用か?」

「その見てくれ…おぬしが 二次 元(にじ げん) か?」



フリフリの黒のスカートの上に白いエプロンを身にまとっている。そして頭には猫耳のカチューシャとくれば、これは現代でいう"萌え系メイド”なのだろう。

…こいつが男だということを除けば。



「おい。この時代ってのはな、人のこと尋ねる前にテメェの名を名乗るもんだぞ」

「…これは失敬。拙者は 神ノ如 舞斬(かんのもと まき)。ニックネームはゴリラだ」

「ゴリラか、貴様女のくせに残念だな。確かに俺の名は 二次 元 だ。」



二次はスカートをひるがえす。



「俺は現代では名が知れるほど有名なのか?…時空剣士さんよぉ」

「おぬし…何故拙者を……」



騒ぎを聞きつけてか野次馬たちが周りに集まり、ざわついてきた。



「まあいい。拙者を存じているならば話が早い。確かにおぬしは現代では有名になっている。色々と深刻な意味でな。原因はその猫耳とメイド服だ」

「猫耳とメイド服?」

「この時代にそれを持ち込んだのは間違っている。これから文明開化していくにつれそれが世界中に広まり、現代では男女共に普段着は勿論、学校の制服、スーツ、喪服までもが猫耳メイド服になっている!世界中が猫耳メイドスパイラルに陥っているのだ!」



二次はそれを聞くと大声で笑った。



「ぬはは!ぬはははははは!素晴らしい!素晴らしい世界になってるじゃねぇか!俺はそれが目的なんだぜ?世界中を猫耳メイド服で埋め尽くす!理想的な未来だ!」

「おぬしの美的センスにはついていけぬな」



舞斬は左腰に提げた黒光りする鞘に手をかける。

そして、問うた。
ここらで手を引き 大人しく未来に還ってはくれぬか、と。

目を丸くする二次。後にニヤリと笑みが浮かぶ。



「ふはは、冗談だろ。答えはノーだ」



不吉な風がサァッと体を撫で、辺りは静まり返った。二次が刀を抜くと血生臭いにおいが漂う。血生臭いにおいが…



「やんや!やんや!マグロの解体芸が始まるっぺよ!粋な姐ちゃん立ちションベンってな!」

「…魚屋さん、少し待っててはくれぬか?」



こちらの様子を伺いながら、ジリジリと距離を詰めてきている二次。



「大人しく引いてくれぬのならば、仕方がない」

「勇ましいもんだな、ゴリラのお嬢ちゃん。その時空剣士っつー奴の腕前見してくれよ」



舞斬も抜刀し、正眼に構える。一度スゥーっとゆっくり呼吸をすると、次には勇ましい声を張り上げた。



「いざ尋常に…勝負!」



その声を合図に二次が真っ向に斬りかかる。それを左に払うと二人は場所を入れ替わった。牽制する舞斬。更に真っ向で斬りかかる二次を右に払って右袈裟斬りを繰り出すが、間一髪で避けられた。

二次のスカートがひるがえる。



「おっと…!流石、と言うべきか。なかなかやるじゃねえか」

「おぬしのスネ毛もなかなかだ」



牽制し合う二人。先に沈黙を破ったのは二次。左袈裟に斬りかかってきたところを左八相で受け、そこから鍔迫り合いに持ち込む。



「何か面白くなってきたな時空剣士さんよ。でもやっぱり貴様は女だ、力じゃ到底俺には敵わねぇよ」

「くっ…!」



舞斬が刀に力を込めようとした瞬間、逆に突き飛ばされ尻餅をついた。立ち上がろうとしている舞斬を見下しながら右八相の構えを見せた二次。

様子が変わる。

(大八相…!まずい……っ!)



「あばよ、神ノ如 舞斬!楽しかったぜ!」



力強く真っ向に振り下ろされた刀を、冠受けでなんとか止めた。だが衝撃で両手が痺れ、言う事を聞かない。



「確かに…力では男には勝てないかもしれない…でも!強くありたいと思う気持ちは誰にも負けな……」



ゴンッ!

決め台詞を決める前に、何かが舞斬の後頭部にぶつかり意識を失った。



目が覚めたら舞斬は病院のベッドの上にいた。時代は現代。何故拙者は生きているのか。後に仲間から聞いた話だと、後頭部を攻撃したのは背後から倒れてきた家紋旗の棒だったらしい。



(今後一ヶ月は猫もメイドも見とうない…)



どのような形で助けに来てくれたのかは分からないが、何はともあれ仲間に感謝した。二次は駆けつけた仲間によって無事に連行され、時空法違反で逮捕。留置場に入っている。それにしても一度見たら忘れられないあのニヤリとした笑顔…



「二次め…今度会ったら……」



(倍返しだ!!!)




登場人物

★ 神ノ如 舞斬(かんのもと まき)
本作の女主人公であり時空剣士の一人!ニックネームはゴリラ!ニックネームの由来はゴリラに似てるからだ!美少女とは程遠いよ!剣の腕はまあまあだけど強くない!名前負けだと言われると怒るよ!とある流浪人の剣心に憧れて口調を似せてるんだ!でも元々が標準語だから時々素に戻るよ!優しい性格の持ち主で、芯もしっかりしていて心は強い!どこにでもいるようなヘタレ主人公だよ!

★ 二次 元(にじ げん)
其の一では時空剣士の敵として登場!アニメ、猫耳、メイド、萌えをこよなく愛するが故、過去にタイムスリップしそれらを壮大に広めようとしたよ!タイムパラドックスが起きた未来は大変だった!喪服にメイド服とは何事だってね!異常に気づいた政府が時空剣士に二次を捕まえるよう命じたんた!



其の一 完

時空剣士

数ある小説の中から、こちらの小説に目を通していただきまして、誠にありがとうございます。

時空剣士

2XXX年 東京。 人々が再び帯刀を許された時代に、時空剣士と呼ばれる者たちがいた。 人類の過去・現在・未来を守るため、真の強さを持つ彼らが時空を越えて今立ち上がる! アクションあり、恋愛ありのコメディー系 (基本)一話完結型ファンタジー

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • アクション
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-11-04

Copyrighted
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Copyrighted
  1. 時空剣士
  2. 其の一