12人の優しい日本人

2006年観劇日記

1/12 『12人の優しい日本人』ドラマシティ

この作品はとてもチケットが取り難かった。それほど三谷作品は人気があるという事だろうか。

平日ソワレのドラマシティの会場は空間が無いくらいにぎっしりと補助席が並べられていた。そう言う私も実は補助席だったのだが・・・(笑)

会場へ入ってすぐパンフレットを購入、このパンフの表紙は、昔、小学校の先生が持っていた出席簿みたいな表装で中にはご丁寧も口取りまで付いていたよ(^^ゞ

舞台は幕が開いていて正面奥に入り口が有り、テーブルが大きな円形に並べられている。後は壁際に長椅子が有ったり手洗いが有ったりする位でとてもシンプル。

やがて入り口のドアが開いて陪審員12名が入ってきて、これから2時間休憩なし、台詞の洪水のような舞台が始まった!

この裁判は一人の若い女性が元夫を突き飛ばしてトラックに轢かせたとして、その罪を問われているのをこれから審議する。最初に進行役の1号の挨拶があり挙手で有罪か無罪かの半手決が有るが全員が無罪に挙手・・・、ではこれでと簡単に決まったかに見えた今回の陪審員会議だったが、2号がもう少し話し合いたいと異議を唱え有罪に変更した事から紛糾が始まった!

陪審員は以下の12人、名前は無くて番号のみがついているが舞台上ではこの番号さえ呼ばれる事はない。

1号=浅野和之

   彼がこの会議の進行係だが人が良くて異議は挟まず自分の意見もあまり言わない。だが彼は無罪を支持するがその訳は以前陪審員をした時有罪を支持した結果、被告人は死刑を言い渡された。その時のトラウマが元で有罪を支持できないでいる。でも浅野さんの存在感はバッチリだった!

後日談だが読売男優賞にノミネートされたと新聞の載っていた。

2号=生瀬勝久

   全員が無罪の評決を挙げた為、もう少し議論をしようよと、その為に有罪に転向したが、それからの彼は「口角泡を飛ばし・・・」体当たりで無罪を主張する人に食って掛かる。一番喋りは多かったけど、何を喋ったのかその内容は全然頭に残っていないんだなぁーー、これが・・・(笑)

3号=伊藤正之

喫茶店を経営していると言う3号は飲み物の注文をとる時には活き活きとしているが、後は黙って栗の皮を剥いている(笑)

4号=筒井道隆

   物の言い方や動作からお人好しの人物である事がすぐ判るが、筒井さんが演じる役ってこういう人物が多いよなぁ?(笑)筒井さんは好きな俳優さんなので、もう少し役柄の範囲を広げて欲しい。彼の説明を聞いていると有罪になってしまうにも関わらず、無罪を主張する。理由は直感だと言う。

   だが最後まで無罪を主張して一度も揺らがなかったのは偉い! 

5号=石田ゆり子

   一見しゃきっとしたOL風で黄色のツーピースでカッチと身を固めているが結婚相談所のサイトに登録しているという適齢期を逃したいまはやりの負け組みか(笑) なんでも手帳に記入しているメモ魔で、他の人があれこれ尋ねる度にメモを見ながらきっちりと答える貴重な人物。理路整然と自分の意見は述べるが判定は揺れて変更する。

6号=堀部圭亮

見た目にいかにも気障な感じ・・・(^^) 会社を経営している・・・?

7号=温水洋一

   いわゆるおっさんタイプ(笑)誰の発言にも口を突っ込み混ぜ返す人、ずっと被告の無罪を主張し続けるのだがその理由は結婚も出来ない自分のコンプレックスから被害者を憎み、絶対に被告は無罪だと・・・、最後はすねて椅子に座ってふくれている。

8号=鈴木砂羽

   チョッとでしゃばりの世話焼きお姉さんタイプの女性、服装は黒のパンツスーツ、だが発言には印象深い所は無くて判断が変る。

9号=小日向文世

   薄いグレーの背広をキチンと着こなしメガネをかけた穏やかなインテリ風の人物、大きな声は出さないが無罪を主張した人へ理詰めでその訳を問いただしていく。職業は歯医者さんだそうだ(笑) 小日向さん、中々存在感あり、好演!

10号=堀内敬子

   彼女はグリーンのスーツを着ている。女性はこのように皆 単色の衣装。彼女は自分の意見が中々決まらないタイプで最初の飲み物を決める時も度々人の意見に惑わされ何度も注文の品を変更するが、この会議では4号(筒井)と共に最後まで無罪の意見を変えなかった。

11号=江口洋介

   テレビでは御馴染みの顔だが舞台は始めてだというが今回のキャストの目玉の一人だろう。前半はひねくれ者のように皮肉な発現しかしないが、後半になると俄然元気が出てく手振り身振りを交えて雄弁に語りだす。無罪・有罪が半々の状態を俺に任せろ!と啖呵を切る。自分は弁護士だと名乗り被告の罪が傷害致死なら有罪でも執行猶予が付くから有罪で決めようと・・・。だが4号と10号が無罪を主張した為纏まらない。だが実際は役者で陪審員の役をした事が有ったからその時の知識だとばらす。

背は高く格好はとても良いのだが、舞台慣れがしていないから演技がまだ硬い感じがした。

12号=山寺宏一

1号のお株を奪うような仕切りたいタイプの人、

最初の判定の理由の大半は女性が罪を犯す人に見えないから・・・(@_@;)  陪審員の判断なんてこんなものかもしれないな(笑)

だがその後の会議で尤も議論になったのは女性に殺意が有ったか無かったか?  各自の意見が述べれるがそれは主観でしかない。

11号が計画殺人なら死刑もありうる、という発言に皆が動揺する。

サァー計画性は有ったか無かったか・・?

自宅から遠い現場まで夫を誘導したのは計画性あり・・?

子供にピザを頼んだのはその大きさから見て自分も帰って食べるつもりだった?

最後は夫は自殺だった!という意見まで飛び出して会議はテンヤワンヤ。

だが最後に帰りの道を回り道をしたのは家に近くの坂があったから、などと愚にもつかない意見まで飛び出して結局の所全員が無罪で挙手!

やっぱり死刑と言う言葉の重さに全員がビビッタのか・・・?

何も知らない人間が他人の罪を裁くなんて出来ないよなぁ?!

これは陪審員制度を皮肉った作品なの・・・?(笑)

チケット獲得がスゴク難しくて譲渡掲示板へも全く出なかったほどの人気の舞台、三谷作品だけあって随所に笑が散りばめられていたが、意外に後に残るものが無かった気がする。

 私も陪審員だけは絶対にやりたくないっ! 

これが今回の舞台の感想です<m(__)m>

12人の優しい日本人

12人の優しい日本人

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-09-19

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