白痴
「選択の良し悪しは人によって違う」ということを小説にしました。
拙い文章ですが読んで頂けたら幸いです。
春がきて冬が来る。
10月某日
様々な想いにもまれる思春期真っただ中の男子高校生ケータ。
彼は現在生きるか死ぬか、いや実際はどんな宣告を受けたとしても死んでしまう事は無い。
死ぬ事は合っても死んでしまうことはない。
そんなイベントの最中だった。
「ボクとつき合って下さい。」
ケータが彼女にそう言って頭を下げてから果てしなく時間が進むのが遅く感じて、正直変な空気になっている。
頭を下げるという体勢もだんだん辛くなってきた。
「この感じ、今回も駄目か。」とケータが一人心の中で呟きかけたその時、
「うん、いいよ。」
彼女の方からそう聞こえた。
「…ひょえ?」
なんとも間抜けなリアクションである。
予想外の言葉に思わず声を発してしまった。
彼女はくすくす笑っている。
決して嘲笑ではないその暖かい微笑みにケータは少しだけ幸福感を覚えていた。
こうして真冬のような木枯らしにふかれるような高校生活をおくっていたケータにも春が訪れた。
白痴