葉音(はおと)集
勉強不足ゆえに古語もどきで、意味の通じないところがあるような気もしますが、優しい心で読んでいただければと思います。
2010-2012に書いたもの
2010/
わが心 いづくへ向かうと 尋ねけむ 知らぬところへ 去らねと思えど 3/
父母よ この不逞なる 子をもちて その目いづくを 見渡しつるかな 3/
月をみて 遠きにありし 親を思う この月こそは 文を綴らむ 4/
文(ふみ)の下 おつる面影 如何にある ひと月離れむ きみであるのに 6/3
盃を 溢れさせては また足りず いつの年には わかるものかと 7/3
そこはかに 聴こゆる声は たれゆえそ ときにありなし 問う問わずして 7/9
坂のかみ 見上げ見るもの なきにして 髪をかき上げ 耳で聞かんとす7/11
そよ風は 何も乗せては 来ぬものを この身ばかりが 病みてきしむか7/13
長からむ おもひでのくずに まどろみて かすかにみゆる 瞳の霞よ7/16
まばゆくも 瞼をこらえ いざゆかむ 先にあるもの われ顧みず7/17
笑いの間 茶で舌濁す 若遊子 きりたちこめる 山の旅籠屋8/1
四肢につく 雲の細糸 手にあまり 足を上げるも 如何にかせんや8/2
おつる闇 いらぬものをば ほうり込む 遠くの淵に 燈る不知火8/22
夢に帰し かすかに残る 面影よ 今はおもわむ 誰そ彼也と9/8
時をして 水をまけども まだたりぬ われ踏みしめる ひびわれた土9/10
月満つる 母の心も 知らずして 腹の子ばかり 養われんや9/21
霞み空 たゆし雨風 山にしき 一家で囲む 白菜の鍋 10/27
宵を待ち いま眠らんと 欲すれど あなや眼(まなこ)のよく働きたる10/13
2011/
花の色は おのずとつきし ものなれど いかにほころび 咲きしものかと3/12
窓のそと うつる景色に 手を引かれ 身をのり出せば 道の塵まで11/8
霧深く 行くも返えるも たじろぎて 陽は空をすぎ 家に帰る 12/2
2012/
ひとりきり 日の明けと暮れ 目まぐるし 日はすすめども 足はすすまず 4/24
雨がうつ みなものゆらぐ 夏のよい よいなあまかぜ ねつをぬぐわん5/31
夏の夜の 望月のもと 鳴る虫の 風もいくらか 爽やかなるや 8/30
葉音(はおと)集