エリザベート

ミュージカル『エリザベート』と言う作品も初演からもう数え切れないくらい観ている。
今回は3回分をUPします。

3/25 『エリザベート』  帝劇 マチネ

今日の配役

エリザベート 一路真真輝

トート     内野聖陽

フランツ   鈴木綜馬

ルドルフ   パク・トンハ

エルマー   今 拓哉

マックス    村井国夫

新生『エリザベート』が始まって今日で3週間余り・・・、あちらこちらの書き込みを読み様々な情報を得てのMy初日がとうとう来た!今日のマチネは、上京直前になって急遽追加したチケットだから

誰もお連れはいないので早めに入場して一人座席に座りパンフレットをじっくりと読む。だがまだ始まって間が無いため稽古場の風景が新しく入っているだけで殆どは前回の写真が使用されている。

4月からは新しいパンフレットが出るらしいが、暫く離れていたあの『エリザベート』にもうすぐ逢える!パンフレットを見ているうちに徐々にあの感動が蘇ってきてワクワクしながら開演を待った。

会場に入ると舞台の上に三つの塔が立っているのが見えている。真ん中の塔の2階部分には双頭の鷲の紋様、下手側の塔には一番上に冠を被った髑髏かミイラに見えるものが載っていて

照明の当たり方によってはとても不気味に見える。 これは何を表してだろう・・・?いまだに疑問。

開演直前になるとその塔の前にスルスルッと紗の幕が降りてくるが、それにも双頭の鷲が描かれその一部は敗れている。

やがてボォ??ン?、と言う聞き慣れた銅鑼の音と共に舞台は始まり、その紗の向こうに首に縄をつけたルキーニがぶら下がっているのが見える。

そして前回どおりルキーニの尋問から始まりハプスブルク家の亡霊達が棺桶の中から現れる。今公演は前回の舞台とは様々な面が違っていた。トートの登場の仕方・エリザベートの登場も違う。

だが最も大きく違っていたのはトートの存在のあり方だったと思う。そして内野さんが表現したトートはそれをしっかり見せ付けていた。

初演・再演のトートは「エリザベート! 愛しているよ! こっちを向いてよ?!」と切ないまでに求める心を表現した内野さんだったが、今回のトートはシシイにしろルドルフにしろその接触の仕方は

上から(黄泉の世界から)見下ろしながら余裕を持って2人を弄び、もがく姿を楽しみながら眺めているトートに見えた。

そしてそんなトートに抗うエリザベートがより一層強くなっていた。そんな2人の存在を際立たせたのが新しく入った曲『私が踊る時』だったと感じた。

私がこの曲をはじめて聴いた時は歌詞の意味も全然分からないままに、なんと素晴らしい曲だろう!と感動し、どんな場面で使われるのだろう?と、興味津々だった。

だがその中で歌われた歌の意味は私が想像していたものとは違っていた。この曲を入れるためにエリザベートが一人で歌う『夢とうつつの間に』がカットされたが、私はこれが正解だったと思う。

パンフにこの曲の歌詞が載っているが

エリザベートは

「人形のように踊らされた私が今こそ自分の道を見つけた。好きな音楽で一人で踊る、貴方の前で・・・」 これを一路さんは時に激しく、時に微笑さえ浮かべながら本当に活き活きと歌う。

それに対して内野トートはそんなエリザベートの姿を楽しんでいるかのように

「どんなに強く拒んで見せてもいつか俺を求め、俺の好きな音楽で俺と踊るのだ」 と力強く自信たっぷりに歌う。最後の2人で歌うパートはとても力強く歌い上げ本当に素晴らしかった!

この時の2人の掛け合いはまさに丁々発止と言えるほどの激しいやり取りだった。この曲こそ新生『エリザベート』の象徴だ! 私は感動しながら心の中でそう叫んだ!

唯一残念だったのは曲がとても良いボレロのリズムを刻んでいるのに、二人がそのリズムに反応無く歌う事。 せめてリズムに合わせて軽くステップを踏むなり、身体でリズムを取るくらいの事は

して欲しかった。そうすればあの素晴らしい曲がぐ?んと生きてくるのに・・・。だが私は今日の舞台を観て今回の『エリザベート』が大変に気に入ってしまったのだ!!

そして私の最大の関心事であった内野さんの歌は・・・(笑)  大きな破綻もなく・・・(爆)   ホントに笑い事じゃなく初演の内野さんの歌を知っている者としては、トラウマのように耳に

こびりついている箇所があって、そこへ来ると、どうしても身体が硬くなってしまう習性が中々抜けなくて・・・(笑)   だが今回はその箇所が楽々と出るようになっていた・・・、とまでは言えない

までも(勿論高音も出るようになってはいたが)上手く聴かせるテクニックを身に着けていた(^^♪   しかも編曲している箇所もあったよ?! 特に『最後のダンス』はそれがとても顕著に現れていた。

  ♪最後のダンスは?おれぇ?のものぉ?ぉ?ぉ?・・・♪   これは実際に聴いてみなくちゃ分からないよ?(笑)  

そして今回は囁くように歌い始める曲が多くなっていたが、これはもう少し練習が必要かな? 囁きから自分の地声にもう少しスムースに移行できないと、そこで歌の感情が途切れてしまう。

でも結構色んな事に挑戦しているねぇ?!全ての歌に余裕が感じられそれが演技にも反映したのだろうか、記者会見で述べられたように焼き直しではない全く新しい解釈のトートは自信に

満ち溢れていたように見えた。エリザベートに対する気持ちは、決して媚では無く執着している折々のトートの感情がその目で・・・、表情で・・・体の動きで・・・的確に観客に伝わってきた。

こうして見ると最初に歌われる♪ 生きたお前に愛されたいんだ?♪の『愛と死の輪舞』が少し的外れになってしまったように思えてきた。 そう、トートの思いは愛じゃなく執着なのだと・・・。

エリザベートもルドルフも結局お釈迦様の掌からどうしても抜けられなかった孫悟空のように、どんなに足掻いてみてもそれはトートの思惑の中で踊っていただけに過ぎないのかもしれない。

髪はストレートで後ろだけが長く動きに合わせて軽やかにハラリ・ハラリと揺れる。衣装も今回は殆どが黒一色、コート付きのスリムなタイツで場面に合わせて上着だけが変る。

このタイツが時にレザーだったり、布製だったりするのだが、この履き替えの意味はなんだろう?

私が好きだったダンスの場面も殆ど無くなっている。メイクも白塗りではあるが目張りが少し入っているだけで殆ど素顔に見えるその顔で如何にも皮肉気にニヤリと笑う場面が度々ある。 

だが今回のトートは私は好きだなぁ?! 前回の切ないトートより絶対良いよ。  内野さん、やったね!

チョッとトートの語りが長すぎたかな・・・(笑)

今公演からフランツ・ルドルフ・エルマーの3役もWキャストになったが、今日はルドルフ役のパク・トンハさんに初お目見え・・・、柔らかな歌い方で繊細なルドルフを表現している。

前回の井上ルドルフより 声も歌も演技もパクさんの方が私好みかも・・・(笑)   『闇が広がる』の内野さんとの相性もとても良かった!

そして高島ルキーニは肩の力が抜け伸び伸びと演じていて一皮むけたかな、と言う感じ。エリザベートの父マックスに今回は村井国夫さんが登場、前回聴く度に気持ちをざらつかせたマックスの

歌が、きれいなハーモニーになっていたのには本当に驚いた(爆)  村井さん、さすが?!  慈愛溢れる父マックスの存在感がとても大きくなっていた。

皇太后ゾフィーの初風さんはややスリムになった? その為か歌声に以前ほどの力強さは無くなっているように思えたのだが、それが返って新しく入ったルドルフの皇帝教育とフランツが

「エリザベートが出て行ったのは貴方の所為だ!もう貴方の言うとおりにはならない、それがエリザベートへの償いだ」と突き放される場面で自分のした事は国の為だ、間違っていなかった!と

言いながらも落ち込むゾフィーの姿に、そう・・・、貴方もたった一人で頑張ってきたのよねぇ?!と、しみじみ共感できたように思う。

だが全公演を一人でこなすのは体力的に大変なのかもしれないね。初風さんにもWキャストを組んであげれば良かったのに・・・。

かなり不評を買っている電飾だが突っ込みどころは何箇所かは有るものの私はそれほど違和感は無かった。それよりも塔を据えたが為に廻り舞台を使う事が出来ず、暗転の度に俳優さんが

入れ替わる折、時に小走りに移動する姿が度々見えたのが興醒めだったかな。

カーテンコールでトートの面影など微塵も無い可愛い笑顔で現れた内野さんは手を開いてひらひらさせるのだが、その手を開く時口で「パッ・・」と言いながら開いている・・・(^^♪

3/25  『エリザベート』  帝劇 ソワレ

ソワレの配役

トート   山口祐一郎

Wキャストはマチネと同じ

ソワレが始まるまでの間に帝劇の地下で待っていてくれた東京の友人とお茶しながらのお喋り・・・。

だが昨年の『レミゼ』の時は話に夢中になっていて開演時間を過ぎてしまい10分ほど締め出されたので、今回は気をつけよう・・・(笑)

でもお芝居の話、役者さんの事など次から次へと色んな話題が尽きなくてあっという間に2時間は過ぎていた。 

さぁ・・・あれほど『エリザベート』をリピートしたにも拘らず一度も観ることが無かった山口トートに今日初めてお目にかかる!

山口さんは『レ・ミゼ』でその素晴らしい声は聴いているので歌に関しては安心していられる・・・ってわざわざ断るのも変なことだよなぁ・・・(笑)  これエリザのトラウマのなせる業か・・・?

他のWキャストはマチネと全く同じだしここでは はじめて観る山口さんをメインに書こうかな。

♪天?使の歌はよろこび??♪ あぁやっぱり素晴らしい声だ! 聴いた瞬間にそう思った。やわらかい声、囁くような歌い方、聴いていてとても心地よい。これは山口さんの天性のものだろうな。

だが余分に伸ばしたりプツンと切ったり・・・慣れていると言うのだろうか、かなり崩した歌い方がチョッと気になる。髪もパンフで見ていた前回のものとあまり変化は無いように見え皆の中に入ると

山口さんは頭一つ抜け出ていてとても目立つが動きはゆっくりしている。

だが今回は独立運動の所で山口トートが踊ったよ!(笑) 山口トートは踊らない、と聞いていたのだが内野トートと殆ど同じ振りでかなり激しく踊る。 中々良い動きだ、頑張ったねぇ?!

ところがだ、舞台が進むにつれ何か違う・・・、そんな気がしはじめた。  なんだろう・・・? そして気が付いた。

それは山口トートはエリザベートにも、ルドルフにも共に関わり方というか執着心がとても希薄に感じるのだ。

2人のトートの劇中の動作が違う事は有っても良いと思うし、それぞれの得意とするものをアピールし その部分でフアンを魅了できればWキャストのメリットがより一層生かされるはずだ。

確かに一つ一つの歌は歌として完璧!と思うのだが、その最も得意とする歌で相手とのコミュニケーションが取れていなければ、返ってそのすばらしい歌声が空しく感じてしまう。

それは多分歌い方の問題だと思う。手の振り具合なんか見てると山口さんは自分の歌に陶酔している・・・(笑) 「唯我独尊」状態。

その上ほんの数時間前 内野トートのめまぐるしく変化する顔がまだ頭の中に焼きついていた為か山口トートの表情が変化に乏しく能面のように見えてしまったのだ。

比べちゃいけないと思いつつも先ほど観た内野トートの新しい解釈とその表現が大変気に入ってしまい、その雰囲気を引きずったまま山口トートを観たのが悪かった!(笑)

知らず知らずに山口トートにも同じ表現を求めたのかもしれない。だが私は決して山口さんが嫌いな訳じゃない、むしろその素晴らしい歌声は大好きだし『レ・ミゼ』のバルジャンも

とても良いと思った。だがトートに関しては、はっきりいって物足りなかった。

この『エリザベート』ほど、ミュージカルは歌か、演技か、と論争が起きた作品は無いんじゃないだろうか?(私が知らないでだけ・・・?)

それはこの作品の歌がすごく難しいのにも関わらず、歌ではズブの素人の内野さんがミュージカルに初挑戦し、初演の歌は・・・破綻した!(爆)

だがそれだけで終わらなかったんだよなぁ。この作品で始めて内野さんを観たという人が猛烈なフアンになってしまったというのだから、舞台って不思議なものだとつくづく思う。

ミュージカルの作品でありながら肝心の歌ではなく、演技とかダンスで強烈な印象を観客に与え魅了したのだ。 今私は歌であれ演技であれ どれだけ観客の心を掴み揺さぶる事が

出来るかどうか、ライブの舞台ではそれが最も大切な事なのだと思うようになっている。

初演の時から歌の山口、演技の内野と言われてきたが、此処に来て「歌の山口」だけではもう対抗できなくなっているよ。

もっとも1回だけで全てが分かるわけじゃない。この度は山口トートも何回かは観ようと思っているので、もしかしたらこの考えが変ってくるかもしれない。次回を楽しみにしたい。

3/26 『エリザベート』 帝劇  マチネ

今日の配役

トート    内野聖陽

フランツ  石川 禅

ルドルフ  浦井健冶

エルマー  藤本隆宏

今日の配役はWキャストを組まれているもう一方の人が全て観られる。  My初日の感想はあまりにもトートに偏りすぎたので今日は冷静に・・・冷静に・・・(笑)

「黄泉の帝王、またの名は死ッ」 とルキーニが指差す方向、今回は上手の高い所から羽根突きのゴンドラに乗って斜めにゆっくりと降りてくるトート・・・、この羽根はやっぱり宝塚調だね。

♪ 天使の歌は歓び?、悪魔の歌は苦しみ・・・♪ 囁くように歌い始める。今回のトートダンサーは髪は短めの金髪で衣装もスリムになっていて一番下には肌にぴったり、黒の透け透けの

肌着のようなものを着けていたが最初の頃はこれが肌色だったのだそうだ。上着を脱ぐと肩の辺りに刺青らしき黒の模様が現れるのだが、肌色では見栄えが悪かったのかな?

終わりごろに上着を脱いで踊る時 この刺青模様が見られるが とてもセクシーな感じでよかった。 舞台とは日に日に変化するもの・・・だね。

今回のトートダンサーの踊りは前回ほど派手さはないが、きびきびしていて私はこちらの方が好きだなぁ。そして折々に道具の出し入れなど黒子の役を演じている。

エリザベートは今回は棺桶の中から白いドレスで登場した後、群衆に紛れながらやや後ろに下がって舞台の上でトートダンサーに囲まれて着替えをし、前へ走り出してくる。

オレンジ色に格子の入ったドレスに着替えたシシィと村井マックスがベンチに並んでのやり取りは仲の良い親子の暖かい雰囲気が出ている。村井さん貫禄もあり本当に良い父親ぶりだ。

この度の配役で何人かが変っているのだがその中で一番残念なのが母ルドヴィカに阿知波さんが居ないこと、あの ♪ようこそ?皆さまぁ?ごきげんよう・・・♪ とパンチの効いた歌声が

聞けなくなったのがとても残念だ。声も動きもとっても好きだったので春風ひとみさんの派手目の顔にやや拒否反応が起きた (*_*;  それにゾフィと姉妹にしては若すぎる!

そして此処であの電飾カーテンにカラーでシシィが木から落ちる場面が映し出されるが、これが実物より大きく しかも顔がUPになって手を振る・・・(笑)この場面は大変に評判が悪いようだ。

さぁ?此処でトートは初めてシシィと出会うのだが前回はかなり大仰に驚きを現したが、今回は本当にアッサリと一瞬目を止めるだけ・・・、ここからもうトートの解釈が違っているのが分かるのだが

歌は同じ様に ♪その瞳が??♪・・・と歌われるんだよなぁ?(>_<)

場面変って皇帝の執務室、石川フランツがテーブルについて書き物をしている。 おぉ?若いねぇ・・・(笑) 綜馬さんより若くて可愛いフランツだ。

石川さんの声は綜馬さんの声質と とてもよく似ている、背格好も同じくらいだし そう言えば顔も似ていて違いを探すのが難しいくらい。「2人とも軍服に首が埋まっていたねぇ?(笑)」は 友人の談。

そしてお見合いの場面へ・・・、ここでも電飾の鹿が登場。 シシィと2人で歌う「あなたが側にいれば」は素晴らしいハーモニーで聴かせてくれた。 

だがこの声の素晴らしい禅さんて何者・・・?ってパンフを読むと多くのミュージカル作品で活躍されてる俳優さんらしい。  何に私の観劇歴が浅いかが分かるというものだ。

場面は結婚式へ・・・、このとき司祭さまは塔の2階へお出ましなのだがその前にそこから白くて長?い、まるで包帯のような布が投げ下ろされ群集をぐるぐる巻きにしていく。

これは何を意味するのかが分からないのだけど・・・、トートの支配を現しているの・・・? 

「最後のダンス」はまさに圧巻! これを聴いたとき 今回は歌で勝負するんだ、という意気込みがビンビン伝わってきた(笑)

皇帝のパレード・・・、ここで藤本エルマーが登場したが、今さんよりも声はソフト、これも革命家今さんの熱?い声が耳に残っているのでやや物足りないか。

革命家達を制止する時 山口トートは後ろ向きだが内野トートは前向きで顔を見せながら手を上げて押し止める。

ハンガリーへ連れて行った娘のゾフィが死にエリザベートはトートに向かい「あなたが命奪った、決して許さない」と激しくののしる。

♪ふーたりで踊ったー婚礼の夜を・・・♪、内野トートは囁くように歌い始めるが・・・、山口さんのように歌いたいのだろうが・・・(笑)  やはりその違いは歴然だ。  まだまだ訓練が必要!

これはこの後歌われる「エリザベート、泣かないで? 」にも同じ事が言える。歌に関して言えば声の質が全然違うし、例え同じ様に歌ったとしても山口さんの域に達する事は難しいと思う。

2幕に入り戴冠式から馬車に乗って皇帝夫妻が登場する。御者として馬車に飛び乗るトートの身のこなしは相変わらず軽やかだ。この馬車を回すのはトートダンサー達・・・ホントにご苦労さん!

その御者の席から意味ありげな笑いを浮かべながら後ろを振り返るトート、そして音楽が変りエリザベートが歌いだす。

“勝ったのね”  “勝利だ”   “私”   “俺の”   と新しい曲「私が踊る時」が始まる。上着脱ぎ捨て髪をほどいたトートは馬車の上で歌う。

この歌詞を全部書きたいけど・・・(笑) 長くなるから止めておこう。 兎に角この歌には 私を・・、俺を愛して・・・などと言う言葉は全くでてこない。シシィは自分の道を見つけたと歌い、

トートはそれでも自由になるには俺が必要なのだ、と歌う。2人の想いが見事に違っている事を力強く素晴らしい歌声で披露してくれた。もう?この場面が大好き??!!ふぅ?ッ・・・(笑)

ママ、何処なの?・・・、チビ・ルドルフが登場する場面はあの危なっかしい地球儀は無くなり、本の山の中にいる。私的には落ちはしないかとハラハラするより この方が好きかな。

地球儀に乗るなんて格別の意味は無いもの。本の陰のアチコチにトートダンサーが身を潜めて控えている。これはトートに従うと言うより、小道具さんの役割の為らしい。

ここで前回は「皇后の血筋」の場面が入りエリザベートの血筋には狂った人が多いとゾフィが歌うのだが、考えてみればゾフィも同じ血筋だよね(笑) と言う理由なのか今回はこの場面は

カットされている。だが前回はこの場面があったから違和感無く精神病院の場面に感情が移行したが、今回「私が踊る時」の活き活きしたエリザベートから突然精神病院を訪ね、

患者に「貴方の方が自由?!」と言うのはなんだかなぁ?。  でも私は新曲が入った事は大満足なのだから文句を言っちゃいけないね。

マダムヴォルフは伊藤弘美さん、前回のお堅いリヒテンシュタインとは打って変わって きわどい所まで脚線美を見せるその姿にあっけにとられた(笑) でもこれが中々良いんだ。

鞭の音がいまひとつ良い音がしなかったのが残念だったね。

そして皇后の落下からドクトル・ゼーブルガーの登場・・・(笑)  帽子を目深に被り腰をかがめ杖を突いて しわがれ声で 「どうなさいました・・・」 (爆)

しっかり予備知識があったから驚きはしなかったけれど まさに「爺ペリ」 だぁ! でも次にトートに変身するのが劇的に見えるから まぁ これはこれで良いんじゃない。

この後「皇后の血筋」の代わりにフランツとゾフィが争う場面が入りフランツは母に背くことで妻への償いの心を示そうとする。だがゾフィはたった一人であなたを育ててきたのよ、全ては国の為に・・

と切々と歌う。女で一つで国の威信を保ち、幼い息子を皇帝にまで育て上げた苦労は並大抵の事ではなかったろう。本当にその皇太后そものの初風さんがとても可哀想になった!

だがゾフィは亡くなり年月は過ぎてもエリザベートは放浪の旅を続け、お城へは戻ってこない。皇太子ルドルフは青年になっているが この頃父の政治の方針に反発し始めている。

今日のルドルフは浦井健治さん、背も高いし声は井上ルドに似ているか? パクさんが優しい繊細なルドルフなら浦井さんは悲壮感溢れるルドルフ、歌も中々良いが硬さが感じられる。

回数を重ねていけば慣れてくるだろう。

マイヤーリンクの時トートは正面の塔の中から現れるのだがその時の内野トートは両手をバァーッと広げ物凄い形相をしてルドルフに掴みかからんばかり・・・、怖いよう?!

年老いてからの石川フランツはとても良いように思える。「夜のボート」は素晴らしい!此処でも電飾が活躍するが全体に星がキラキラする様はとても綺麗だった。

今回エリザベートが刺された後着ている喪服を脱がせるのはルキーニの役だ。胸に飛び込んできたエリザベートに死のキスをしたトートは彼女をそっと抱きかかえ中央のお棺の中へ・・・、

最後はエリザベートが自分で歩いてお棺に納まると少しお棺が上がる。白い衣装のエリザベートは静かに目を閉じたままの姿・・・あぁ死んだんだ?と実感した。

その側でトートは「ご覧下さい!」と言わんばかりに右手を高く掲げて客席を振り返ると暗転・・・、そして幕が降りる。

呆気ないほどあっさりとした終わり方はこの物語が決して「2人の恋のハッピーエンド」では無い事を示しているのだと思った。

エリザベート

エリザベート

  • 随筆・エッセイ
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-09-18

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