名古屋魔術倶楽部

8/15:噂話

 俺が聞いたのは、こんな話だった。
「地下街の変死事件は、魔術師の仕業だ」
当時名古屋じゃあ奇妙な事件が多発していた。
名駅じゃあ駅ビルの屋上で轢死体が見つかったり、大須じゃあ人間の輪切りが見つかったり。そんな事件の一つに「地下街の奥で溺死体が見つかった」なんてのがあったんだ。
「おい、魔術師って何だよ。魔法使いでもいるっていうのか?」
俺が訝し気にそいつに尋ねると、そいつはにんまりと笑い説明してくれた。
 名古屋で今起きている変死事件はすべて魔術師が絡んでいて、警察には手出しが出来ない状況なんだと。
なんでそんな話をそいつが知ってるのかは俺だって知らないし、深入りしたくなんてないから詳しくは聞かなかった。
 ただ、そいつの目は猫のようにまんまるとしていた。

それが、冬に名古屋中どころか、日本の各所を震え上がらせた《魔女狩り》の火種だなんて、俺は全く気付きもしなかった。

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東京に「魔女」がいる―― そんな嘘みたいな話、信じるわけがなかった。 魔法使いに会うまでは。 現代×魔術の現代ファンタジー。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • アクション
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-10-30

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