ハロウイーンの夜は、混沌。
最近、日本でも定着してきました、バカ祭り。
私にはあのメンタルが良く理解できないのです、マァ御本人に向かって直接意見しようなどとは、思っていませんが。
私の記憶に間違えなければ悲しい事件もありました、その時、米国はほんと恐ろしい国だと感じました。
正当防衛の名の元に有無を言わさず、いきなり発砲ですから・・・
それから時がたち、どうやら正当防衛ではなくて複雑な事情があり、米国民全員がかならずそうではないと、
言い換えれば発砲した男は狂気に満ちていたと報道されました。
知っている人も多いと思いますが、天使と悪魔は元々天界の兄弟です。人は悪魔か?それとも天使か?
そんな狂気に満ちたそんな夜の話です。
あれからの出来事。
「ジャックランタン」、カボチャをくり抜き三角の目、鼻とギザギザの口を彫り込めば出来上がり。
それの元々はカボチャではなくカブだったとか、正式名称はジャック、オ、ランタンだとか諸説があり決定的な生い立ちと、名前があいまいな物だが、広く世界中で見かけられるハロウイーンの飾り物の一つになった。
ハロウイーンの夜にそのジャックランタンを見つめながら、愚痴をこぼす者がいます。
「くそ、ジャックの野郎、人気者になりやがって・・・俺はあれから仲間にはバカにされるし、他人から案外優しいと思われて信用失くしてしまった、何よりもう出世できないよ!」
そう彼はジャックに騙された悪魔、ジャックの最後の望みを聞いてやり林檎を取ろうとして十字架を見てしまい、身動きが出来なくなりジャックを地獄に連れて行けなかった悪魔である、彼の望みは大魔王になる事だったがジャックのせいで、人間がトラウマになり、それが原因でうつ病にかかり出世競争から脱落してしまった、ちなみに悪魔の世界ではどんなイタズラより人間の魂を地獄に送ることが一番ポイントが高いのだ。
「人間も人間だよ、悪魔をだますようなジャックを崇拝するなんて、あいつは悪魔以下だ、それに俺はカボチャなんて怖くないし・・・」そう言うと悪魔は血の色をした酒をグビリッと飲んだ。
あのジャック事件の後、人々はジャックを憐れみながらも悪魔をだました英雄のように扱い、ジャックランタンをつくり悪魔祓いとしてお祭りまで始めた、それは悪魔にとってとても忌々しいことだった。
長い月日が流れいつか人間に仕返ししてやろう、思いつめる日々は虚しく過ぎて行った。
さらに荒れる様に酒を飲んだ悪魔は「くそっ地球ごと派手に人間ども吹っ飛ばしてやろうか、へへ」そう思ったとき兄弟の天使が尋ねてきた。
「お久しぶりですね、悪魔兄さん、あんまり変な事考えないでくださいね、地球には人間以外の生物もいますからね、
それにそんな力あなたにはないですから」「何を?確かに俺にその力はないけど、簡単よ、人間がつくった原爆をチョィっと
ね、ハハハで終わり」「そんな事したらサタン様に消されてしまいますよ」「冗談だよ、冗談っハハ」
悪魔兄はそう言ったが、原爆を誤爆させることなど簡単な事だった、それでもしないのは人間への興味が捨てきれないし、時折見せてくれる狂気の戦争は悪魔を熱くさせた。
「スゲーな人間の創造する暴力は、悲しみ、嘘、虐待、差別、ワクワクするぜ・・・退屈な地獄とは大違いだ」そしていつしか俺もサタン神の様に人間から崇拝されたい、そう思うようになっていた。
「天使弟よ、お前も知っている通りジャックの野郎のせいで人間がうまく騙せなくて困っている、何かいい知恵ないか?」
「天使の私がそんなこと教えられる訳ないじゃないですか?でも地獄に落ちて欲しい人間もいるし」
天使弟は言葉を切ってよく考えてこう言った。
「天使に化けて、下界に降りれば兄さんの思うようになるし人間の為になる、あっ、この事はデウス様には内緒ですよ」
そう言うと天使は消えて去った。
「一体どういう意味だろうな?まぁあいつは出来のいい良い弟だ、信じて下界に降りてみよう」
悪魔は天使に化けて、ハロウイーンで浮かれている歓楽街に降り立った。
悪魔兄、地上に降り立つ。
歓楽街では浮かれて仮装した人々が、パレードをしていた。
天使に化けた悪魔はその列にもぐりこんだ、「どうしたのじゃ、このばか騒ぎは!、しばらく下界に降りてこない間に人間は、酷く下品になってしまているぞ、イヒッヒ」知能が低ければ低いほどだましやすい者と悪魔兄はほそえんだ。
悪魔は悪魔自身が見た者に姿を変えられるので、街角で見かけたグラビアアイドルポスターの顔、体にしてそっとパレードの列を離れた。
すると数人の若者が寄ってきたがナンパである「彼女、可愛いね、どこから来たの?」悪魔兄はその見るからに低能な若者には興味が湧かなかった、なぜなら知能が低すぎて地獄に送る価値もないように見えたからだ。
悪魔は急に心変わりをした低能ではなく高知能を狙おうと。
地獄に相応しい、高度な知能をあわせもった残虐性、天をもおそれぬ強い魂がなければ地獄の住人に向かない、この若者のような薄っぺらい魂はサタン様にささげる事が出来ない、活きが悪いとすぐに消滅してしまうのだ。
悪魔兄が無視していると数人の若者の態度が変わってきた、強引に腕を引っ張りビルとビルの間に引きずり込み、通りから見えないように仲間が段ボールで壁を作り、悪魔兄を押さえつけて服を脱がしてくる。
数人で一人の女性を襲う、卑怯で卑劣な奴らだ。性欲に心を支配されているが臆病者、襲われた女性の傷などお構いなしの低俗魂だと、悪魔兄は見透かし、それなら俺が頂こうとも思った。
二人係で手を抑えて、一人は見張りの為段ボールの向こう側、そして主犯格が足元に一人の計4人、
「4人まとめて喰えばちょっとは腹の足しになるかなぁ」と、悪魔兄はにやりと笑ったが、男たちは気が付かない。
いよいよ力をこめて押さえて、そして上着に手を掛けようとした時、天使(悪魔兄)が最後の情けと声をかけた。
「こんな事しても、警察にも地獄にも行けないよ?」女性の声でたしなめたが、「ハァー意味ワカンネェし」と止める気配はない。
ついに天使は押さえつけられた腕を押し返した、悪魔の力は尋常でない。
あっけなく腕を振りほどかれた二人は凍り付いた、そして「人間じゃない」と言おうとしたが「人間じゃ」しか言えなかった。
二人同時に喉笛を素手で切られ鮮血が飛び散る、一瞬の出来事だったがそれでも逃げようとする主犯格の背骨を踵で叩き折ると、痙攣して横たわる二人の心臓を素手で掴み取り、喉に流し込んだ。
そして背骨が折れて動けない主犯格にゆっくりと近づいた。
「ヒー助けてください、お願いします、何でもしますから」主犯格は泣いて助けを乞うた、
「ハハッハお前は襲った女がそう言ったのを、鼻で笑っていたな、そのお前がその様か?」今度は背中から肝臓を掴みだして喉に流し込んだ。
「ギャー、アクマー」あまりの衝撃に気絶してしまう主犯格に「なんと面白くない男よ、それに今は天使よ」そう言うと
3人の死体を指さし呪文を唱えた。
3人の死体はゴキブリに変わってコソコソと逃げ出した。
一部始終を段ボールの隙間から見ていた見張り役は、そっと離れて逃げ出した、そして交番に駆け込んだ。
そして一人で駐在していた巡査に「信じて貰えないかもしれんけど、信じてよ」そう言って今見たことを話しだした。
興奮気味に話す見張り役に頷きながら聞く巡査。
「信じて貰えないって、分かるけど、助けてよ」開き直って言った、すると意外な返事が返ってきた。
「信じますよ、私も観ていましたからね」見張り役も心臓を取り出されてゴキブリに変わった。
「まぁちょっとは腹の足しにはなったわい」と悪魔は巡査から再び天使のグラビアアイドルに変わり歓楽街を歩いた。
天使の姿をしていると、実にたくさんの悪魔のような人間が寄ってきた。
天使の口と両手には血糊がべったりとついていたが、今夜はハロウイーン、リアルな化粧ぐらいにしか皆思わなかった。
「どうやら人間は天使を見ると悪魔に変わる様だ」初めに出会った4人組の様な暴力的なグループはさすがに稀だが、
言葉巧みに言い寄る輩は、後を絶たなかった。
悪魔その特殊能力で人の心が手に取る様にわかった、みな一様に性欲を満たすことを考えていて、いかに女を騙そうか?そればかりだったので悪魔はガッカリした。
言葉は巧みだが、欲望が薄っぺらくありきたりだ。
「もっと巧妙で、たくさんの人間を苦しめる奴だ、そしてそれを悪だと感じない乾ききった心で実行する本当の悪だ、そういう奴が地獄にふさわしい」
そう思った時に、街角に設置された大型プロジェクターテレビがニュースを伝えた。
「先日G20先進国首脳会議が行われましたが、各国首相はは地球温暖化について意見を交わし・・・・」映像を見た瞬間、悪魔兄は「こいつ等だ、ついに見つけた」と小躍りした。
「今から行くか?」しかしもうハロウイーンも終わりそうだった、そして万が一朝日を浴びると消滅してしまう。
「こいつらは来年のお楽しみだ、来年には更にタップリと悪知恵と欲望をため込んでいるだろうし、『ジャック』が可愛いと思えるくらいの極悪人だ、なにより市民を騙す事を生きがいとしている、善人を装った極悪人に間違いない。」
イヒヒと悪魔は天界に帰った。
(完)
生死一如
ハロウイーンの夜は、混沌。
ハロウイーンの最中,派出所からも謎の血痕と衣服が、発見される、そして次の日ビルの隙間に大量の血痕と3人分の衣服が発見される、遺留品から4名が特定されるが彼らは婦女暴行容疑で警察が容疑者として追跡中だった。
その被害者に血痕の量からおそらく死亡している事が伝えれた。
「容疑グループが、血痕を残して消えてしましました。大量の血痕からしまして死亡していると推測されます、事件と事故の両面で調査中ですが、何しろハロウイーンの日でしたので、・・・防犯カメラには主犯格と思われる人物が天使の仮装した、女性の腕をひっぱている映像、その後何もなかったように女性は再び町に立ちますが突然消えしまた。」
刑事は不思議な物を見たと言わんばかりの口調、そして刑事の直感で犯人は女性だと確信していた。
しばらくし刑事の表情を見つめた被害女性はぽつりと言った「分かりました・・・まさか天使の仮装をした女性が、あの悪魔のような犯人たちを・・」
カメラの映像をよく見れば戻ってきた天使に血糊があると気づくのだが、何しろその日は混沌としたハロウイーンだった。
そして気づいたところで逮捕しようもないが・・・・。