レ・ミゼラブル
7月16日 帝劇
「レ・ミゼラブル」
配役
ジャンバルジャン 石井一孝
ジャベール 内野聖陽
マリウス 山本耕史
コゼット 河野由佳
エポニーヌ 新妻聖子
テナルディエ 三遊亭亜郎
テナルディエの妻 峰さを理
ファンティーヌ 高橋由美子
アンジョルラス 坂元健児
ガブローシュ 吉武怜朗
過去何度も上演されているこの有名なミュージカルに内野さんがジャベール役で初挑戦!
以前からこのジャベールをやりたいと言っていたし、「エリザ」以後どれだけ歌が上達しているのか、この耳で確かめたいと楽しみにしていた。
友人に鹿賀バルジャン・村井ジャベのMDをもらって何度も聴き、上映された映画のビデオも見てしっかりと予習をして臨んだこの「レ・ミゼ」だったが・・・。
聞く所によると上演時間がかなり短縮されているのだそうだ。その為感情移入する間も無く場面が転換していったらしい。
私はそんなことは分らないけど、しっかり予習したお陰で初めからすんなりと物語に溶け込んでいった。
だがわが内野ジャベールは初っ端から登場したが、大きく歌ってはすぐ引っ込んでしまう(爆) 歌を味わっている暇は無いほど突然に出たり入ったり・・・(笑)
MDで聴いていたのと実際に舞台を観るのとは大違いだった!と実感した舞台の始まりだった。
さてその内野さんの歌だが、力強くて張りがあり、ネットで言われていたように確かに上達しているな、と思った。
だが私はこの歌声ではとても満足できなかった! 本当の歌の発声では無い、と思えたから・・・。
歌の終わり、声を伸ばす場面になるととても不安定に聞こえる。歌の最後フィニッシュに声の伸びが全然無い。ウゥ?ンこれではダメだぁ!
私がこれほど厳しい目で(耳で)内野さんの歌を評するのは、ジャベールならこれでもOKかもしれないが(こんな事を言ったらレミフアンに叱られそうだが・・・)、
次に主役を演じるミュージカルが控えている人なんだよ。
チョッと歌える程度でミュージカルの主役が務まると思っているとしたら・・・、とんでもない事だ。
もしこの歌で自信満々でミュージカルの主演が大丈夫と考えているとしたら、それは大きな間違いだと言いたい。それならもうミュージカルは止めてもらいたいな。
今回の歌を聴いて内野さんの歌が劇的に変ることは無さそうだ、と感じた。それならストレートプレイが有るじゃないか!
この前に観た「ペリクリーズ」の内野さんは素晴らしかった!
その内野さんの活き活きと演じていたその姿がまだまだ鮮やかに脳裏に焼きついているので、ジャベールがどうも物足りないんだなぁ・・・。
バルジャンを演じる石井一孝さんの歌声はさすがだった! シンガソングライターを目指していると本人が言うだけあって、その感情を込めた歌声にうっとりと
聞惚れた。ただ石井さん声は若々しい。その声のままで年をとってからのバルジャンを歌っていたが、力いっぱい歌う歌声で老年を表すのは至難の技なのだろうな。
今回の「レ・ミゼ」それぞれに4人のWキャストが組まれているが、その中で別所さんがミュージカル初挑戦、初主役を演じている。
他の3人はそれぞれに実績のある人だからおよその見当が付くが別所さんがどの様なバルジャンを演じているのか是非観てみたい!と思っている。
心の拠り所をを失って橋の欄干から川に飛び降りるジャベール・・・、その瞬間びっくりした!
アァーーッ手を上げた内野さんがスローモーションのように落ちていくぅぅーーー、この目の錯覚は凄かった(笑)
8月26日 帝劇
「レ・ミゼラブル」2回目
配役
バルジャン 山口祐一郎
ジャベール 内野聖陽
ファンティーヌ マルシア
エポニーヌ 笹本玲奈
コゼット 河野由佳
マリウス 山本耕史
アンジョルラス 坂元健児
昨年11月以来心臓に持病を持つ事になってしまい、遠征も思うに任せない昨今である。
今月も22日に検査に入るように指示されたのを無理にお願いして10間延ばしてもらっての今回の観劇遠征だったが、お陰様で何とか無事に帰還できた。ヤレヤレだ・・・。
2日間不安と隣り合わせの観劇だった。 なんか・・・命がけで遊んでいるような気がするなぁ(笑)
初回に観た時内野さんの歌が絶望的(!?)に聞こえたが、なんとなんと随分進歩しているではないか! 努力の跡が伺えてやっぱり嬉しい!
「スターズ」も「自殺」も違和感なく聴けた。それにしても内野さん声って太いなぁ。しかもその太い声のままでバ??ンと引き伸ばして歌う。苦しくないのだろうか?
だが歌う発声の基本が出来ていないからか、歌の途中で声が返りかける。本人はミュージカルがやりたいのであろうがやはりこれは厳しいな、と思わずにはいられない。
だが内野さんの歌への不安が少なかった為かすんなりと「レ・ミゼ」の世界に入り込め感動を味わう事が出来た。
パンフを読むと「レ・ミゼラブル」とは悲惨、貧困、犯罪などの社会悪が生み出す人々の事、つまりそれらの被害者だけではなく犯罪者や悪人をも指すのだそうだ。
下層階級の人々は好むと好まざるに拘わらず犯罪に手を染めなければ生きていけなかった社会だった。作者ユゴーはこの「レ・ミゼラブル」でそれを言いたかったのだろう。
終わりに近く死者がずらっと登場して来る場面がある。なんと多くの人々が死んでいる事か・・・! 唖然とした。
高き志を持って臨んだ学生達のバリケードの戦い・・・、だがジャベールはそれを子供の遊びだと斬って捨てる。この場面で私は東大・安田講堂の戦いを思い出していた。
ユゴーはその登場人物に光と影を投影させて描いている。悪の世界から神父の温かい心に触れて善人に生まれ変わり、富と名声を得た上にコゼットと言う愛する者から
愛されるという幸せを得る事が出来たバルジャンは光の当たる人、それに引き換え悪事に手を染める事もなく、その全人生を職務に忠実で有る事に生き続けたジャベールに
死を与えるとは・・・、どうして・・・? 影の部分だとは言えこれを認めるのは辛い! 内野さんの中でこのジャベールの死に答えは出たのだろうか?
内野さんが演じているから、と言う訳ではなくて何故か私はこのジャベールが贔屓なのだ(笑)ドラマで見たジャベールの存在が大きく影響しているらしい。
自殺の場面、今回は目の錯覚は無かった。スーッと橋が上がっていくのを冷静に見届けたが、反面河の底でもがいているジャベールの姿がとても悲しかった!
初めて聴いた山口さんの歌・・・会場の空気を振るわせるほどに張り上げられる伸びのあるその声量は流石だなぁ!・・・だがそうした場面での感動は意外に少なかった(笑)
むしろ最後、白髪になって迎える臨終の場面の山口さんに感動を覚えた。あの張り上げる歌声ばかりではなく囁くように歌う声も魅力的!
(内野さん、この歌い方を真似できないか・・・?)(笑)
マリウスは今回も山本さん、声も歌い方もとてもソフト。岡田浩輝さんのマリウスが観たかったね。もう一人吉野圭吾さんのアンジョも観てみたい。
たった2回だけどその中で同じ役を同じ人で観る事になった。組み合わせを考えるとチケットを取るのに頭を痛めるが、色んな人で見たいと思い出す。これが東宝の狙いかな?
9月に検査を受けて何事もなければ是非もう一度観たいと思っている。
9月24日 帝劇
「レ・ミゼラブル」3・4回目
配役 マチネ ソワレ
ジャンバルジャン 今井清隆 山口祐一郎
ジャベール 内野聖陽 今 拓哉
エポニーヌ 笹本玲奈 新妻聖子
ファンティーヌ 高橋由美子 井料瑠美
コゼット 河野由佳 剣持たまき
マリウス 岡田浩輝 泉見洋平
テナルディエ 三遊亭亜郎 駒田一
同 妻 瀬戸内美八 瀬戸内美八
アンジョルラス 吉野圭吾 坂元健児
9月の始めにカテーテル検査がある為自粛していた「レ・ミゼ」の観劇遠征・・・。
検査結果がOK!となったのを受けて早速日程表と睨めっこ・・・。その矢先に東宝から追加公演のお知らせメールが届いた。
なんとこれが9月24日内野さんがマチネに出演の日だったしオマケに追加公演は、見たいと切望していた山口・今のコンビ・・・、やったぁ?!
早速テレザーブへマチネの申し込みをし2階席を確保。所がである・・・、追加公演が最初の分も2回目のA席B席のみの申し込みにも外れてしまったのだ。
仕方がないマチネだけ観て日帰りよ・・・、と諦めかけていた所、運良く掲示板でこの日のチケット譲っていただく事が出来た。
この方は高校生のお嬢さん・・・劇場でお会いしてお礼も述べられた! 本当に感謝です!!
今回はマチ・ソワの感想を役者さんを対比させながら併せて書いてみようと思う。
マチネは今公演、初の2階席を取ったがこれが大正解だった。この「レ・ミゼ」は2階席が本当にお薦めだ!一階では観る事が出来ない色んなものが見えた!
まず舞台が始まると同時にオケボックスの指揮者のタクトが目に飛び込んできた。
なんとスバラシイ!! 力強い音楽を引き出す振りはダイナミックだし、しかも振り上げたタクトが上に来た時マジックのようにクルッと回転する・・・、暫く見とれていた(笑)
1階で観ていたら恐らく気付かなかっただろう。本当に得をした気分だった。これで一気にレミゼの世界へ引き込まれて行った。
バルジャンの今井さんと山口さん、タイプは似ているし歌い方も同系だが今井さんの声は山口さんに比べて硬質だと感じる。それに山口さんのあの囁くような歌い方は今井さんは
しない。だからメリハリが無いのかなぁ?。高音で歌い上げる所は決して劣っては居ないと思うのだが、今井さん単独で観ればとても素晴らしいバルジャンなのに山口さんと
同じ舞台で同じ役をすることで随分損をしているように思われる。だが内野さんとのコンビはとても上手くいっているようだ。
どちらも力強さで歌を引っ張るからそう言う意味では似たもの同士で波長が合っているのかもしれない。とてもいい雰囲気だった。
ジャベールは内野さんと今さん、今さんの演じるジャベールはとてもソフトでナイーブなジャベだった。歌の上手さはさすがだね。ジャベールの曲がこんなにメロディーに富んで
いたとは思わなかった(笑)まるで内野さんの歌はメロディが無い見たいに受け取られると困るんだけど・・・(笑)内野ジャベの歌はどちらかと言えば台詞のように思えるので。
やっぱり歌では叶わない!と実感する。今さんの場合「スターズ」にしても「自殺」にしても歌のクライマックスになるとグ?ッと引き込まれ歌に同調して素直に感情移入する
ことが出来るが、内野さんの場合はどうしても「んん・・大丈夫・・?」という思いが先に来てしまう。声を伸ばす時でも太?い声のまま最後まで歌ってしまう。
小さく歌うところから最大の声量で聴かせどころへ感情豊かに声を移動するなんてテクニックを今の内野さんに求めても、そんな余裕はなさそうだ。
これを聞くと内野さんの歌はこれが限界かなぁ?、と思わずには居られない。
だがしかしだ・・・(笑)内野さんのジャベが決して悪いとは思わない。 ジャベールが登場するとその場面に緊張が走る。他の人物とは違った雰囲気を持って場面に
登場してくる。料理で言えば胡椒やタバスコが良く効いてピリッとした引き締め効果のある料理と言えばいいか、この「レ・ミゼ」の中のジャベールはそう言う人物だと思う。
その意味で言えば今さんのジャベはソフト過ぎて他の役者さんに埋没してしまいそう。だが内野さんのジャベは覇気でもその声の太さでも回りを威圧する存在感があるように
思える。自信に溢れ強い意志を持ったジャベールだからこそ、自身を自殺にまで追い込んでしまう過程が生きてくるのではないか? 下水道の中でバルジャンに「行くのだっ」と
道を譲る場面、今さんはぱっとすばやく両手を広げて道を譲るが、内野さんはこの場面をかなり弱々しく演じる。あぁ?迷いが有るのだ・・・、そう思えるのだ。
そして2階から観た自殺の場面、あの青いセーヌ河があんな大きな渦を巻いていたなんて・・・、知らなかった! きれいだったぁ!・・・と言っちゃぁなんだがぁ??♪(笑)
今回の観劇の一番の収穫はなんと言っても吉野圭吾さんのアンジョルラスを観られたこと! 登場しただけで回りがとても華やかになるイケメンのアンジョだった(爆)
髪が茶髪だったからでもないだろうが、華のある役者さんだ。兎に角彼が登場している場面になるとついついオペラグラスを覗きたくなる(笑)吉野君も四季出身だそうだが
歌は断然坂元健児さんの方が上手い。だが学生達のリーダーとして、とても頼りがいのある頼もしいアンジョを爽やかに演じていた。
赤いチョッキの良く似合う吉野さんがバリケードの上に立って大きく赤い旗を振る姿に痺れた(笑)
最後にこれも観たかった岡田浩輝マリウス、歌については泉見クンに軍配を挙げるが岡田マリウスには恋をする切なさが溢れていたなぁ。
3人のマリウスの中では私のイチオシは岡田さんだ。こうして見るとミュージカルは歌がうまけりゃそれだけで「OK」というものではないんだよなぁ・・・。
勿論歌えるというのは絶対条件なんだけど・・・。
ソワレは追加公演と言う事でカーテンコールの時山口さんが満員お礼の言葉が述べられた。なんといっても座長さんだからネ(笑)
こんな時の山口さんは巧まざるユーモアーに溢れた人柄が良く出ていて良いなぁ?! 観客の拍手を山口さんが手を大きく振り下ろすとピタッと止まる。何回も・・・。
その度に笑いが起こる。そして「皆で民衆の歌を歌いましょう!」・・幕が2mほど降ろされてそこに歌詞が映し出され、大合唱になった。勿論私も歌った!
帰りにお土産として観客全員に舞台写真を一枚プレゼントに配られた。
内野さんが出演しなければ観る事はなかっただろう「レ・ミゼ」だったが、今私の中でこのミュージカル・ナンバーが何時も鳴り響いている。
ファンティーヌの悲しい生涯「夢やぶれて」、バルジャンの慈悲に満ち溢れた歌声「彼を帰して」、只一人生き残ったマリウスが苦しくて切々と歌う「空のテーブル・空の椅子」
回数を重ねる度に新しい感動の場面に出会える「レ・ミゼ」・・・内野さんのお陰でこの素晴らしい作品に逢えた事に感謝!! 観劇で感激とはこの事だと思う。
来年1月の博多座へも絶対行くぞ??っ!!(笑)
レ・ミゼラブル
2回目と3・4回目までの感想も続けてUPしました。
『レ・ミゼラブル』この作品は今までに(この感想の記載時期)色んなキャストで20回以上観ていると思う。
だが観劇の感想はこれで打ち止めのつもりです(笑)