長編官能小説彩香スペシャル-恋の必殺技
登場人物
彩香ちゃん
小学校では男の子に恐れられた必殺技「彩香スペシャル」の使い手。新聞部の再建のために「援助交際」の取材に取り組むと言い出して大変な事に。
有紀
彩香ちゃんの親友で江実矢君とも小学校の時からの同級生だ。毎朝痴漢に狙われてもう逃げられない。痴漢倶楽部のアルバイトを強制されてもうとても断れない。
江実矢君
お爺ちゃんがロシア人で、肌の色も白くて眼も青い。小学校の時は虐められていて彩香ちゃんにいつも助けてもらっていたので、彩香ちゃんには頭が上がらない。バックフリップが得意なので無理矢理チアガールをやらされちゃう。
希美ちゃん
昨年の9月にアメリカから帰ってきた帰国子女。英会話部の部長。足が長くてスタイルが良くてダンスも得意。彩香ちゃんとクラブの部室を取り合って壁新聞対決をすることになる。
恵美ちゃん
チアガールのトップパーソン。痴漢倶楽部でバイトさせられてライバル校の大浜学園の野球部監督と付き合う。
吉田剛
東日新聞の記者。痴漢の取材に協力して欲しいと頼まれたけど、本当は女子高生を痴漢狂いにしてデート倶楽部に売り飛ばす悪い男。
立志館学園高校 野球部監督
野球部を甲子園に出場させるためには手段を選ばない卑劣な監督。裏ではインターネット痴漢倶楽部を経営する飛んでもない悪者だ。
高校一年生
あらすじ
主人公の有紀は親友の彩香ちゃんと一緒に家を出て立志館学園高校の入学式に出かけた。途中で小学校と中学校が一緒だった江実矢君を見つける。江実矢君はお爺ちゃんがロシア人で色が白くて目も青くて見た目は女の子にしか見えない。
四月七日の朝、有紀はいつものお布団の中でぼんやりと目を覚ました。今日は何の授業だったかしら、木曜日だからあのいやな社会科の野口先生だったはず。あの先生の授業はいつもぼそぼそとしゃべるので全然わからない。今日もさぼってやろうとお布団の中に潜り込もうとしたとき有紀は大変なことに気が付いた。
今日から高校生。いつもの区立北川中学に歩いて通うのではなく、立志館学園高校の入学式が今日の九時からだった。
入学式は高校の近くの区立の公会堂で行われるのだが、駅からは遠いので八時には家をでないと間に合わない。
慌ててお布団から飛び出してパジャマを脱いで昨日部屋に用意しておいた制服に着替えた。
真新しい制服は、紺のブレザーにスカートで、ブレザーの胸には大きなワッペンが付いてあって一目で立志館学園高校だと分かる。
スカートはチェックの柄のプリーツスカートで、いかにも女子高生らしいデザインだ。
慌てて朝食を済ませて出かけようとすると、同じ立志館学園高校に通う彩香ちゃんがもう玄関に迎えに来ていた。
彩香ちゃんは小学校からの同級生で、小柄な有紀とは対照的に体格がしっかりしていて胸も小学生の時からびっくりするくらいに大きかった。
彩香ちゃんのお姉さんが今年立志館学園高校を卒業したので、彩香ちゃんはお姉さんのお下がりの制服を着ていた。
小柄なお姉さんの制服は彩香ちゃんにはちょっと小さめで、彩香ちゃんの大きな胸は制服のブレザーから飛び出しそうに脹れていた。
スカートのウエストもきつくくびれて、短いスカートから見える太い腿はとても高校一年生には見えないほどのお色気だった。
「なにやってんのよ、遅れちゃうじゃないのよ」と彩香ちゃんにせき立てられて、二人は急ぎ足で駅まで歩き始めた。
ちょうど旗の台の駅の改札口を入ったとき正面のトイレから江実矢君が出てきた。
江実矢君は彩香ちゃんに気が付くとちょっと伏し目がちに顔を下に向けて、逃げるように階段を上がって行った。
江実矢君の着ているブレザーは立志館学園高校の制服だった。
有紀が不思議そうな顔をしているのを見て「江実矢君も立志館学園高校なのよ」と彩香ちゃんが教えてくれた。
今日初めて着たばかりらしい制服は上は女子と同じブレザーで下のズボンは折り目がきっちりとついたチェックの柄だ。
小学生の時から小柄だった江実矢君は高校生だというのに、まるで中学生の女の子が制服を着せられたようにしか見えなかった。
江実矢君はおじいちゃんがロシア人だとかで顔立ちも男の子にしては可愛らしく髪がちょっと薄茶色だ。
名前の「エミヤ」もおじいちゃんのエミヤンスキーという名前にちなんだロシア語からとって名付けたとお誕生会の時に江実矢君のお母さんに教えてもらった。
その上目の色が薄い青色なので小学校のときからクラスでは虐められていた。
見た感じが女の子みたいなので、江実矢君はいつも「エミ」と呼ばれていてランドセルには大きな文字で「恵美」と落書きがあり、いくら消しても消えなかった。
ちょうど小学校五年生の終業式の前の日に、彩香ちゃんのブルマーが無くなった事があった。
男の子達は、あいつがやったんだあいつしか犯人はいないと行って江実矢君を理科室に呼び出すと「解剖」を始めた。
「解剖」というのは、みんなで江実矢君を実験台の上に載せて体を押さえつけて服を脱がせ、体中をくすぐったりつねったりするという乱暴な遊びだ。
そのとき有紀が彩香ちゃんを呼びに行くと、彩香ちゃんは大変な剣幕で男の子達を突き飛ばして足で踏んづけてやった。
男の子達も彩香ちゃんにはかなわないらしくてほうほうのていで逃げ出した。
なんとか服を着直した江実矢君が小さい声で「ありがとう」と言って理科室を出ようとすると「ちょっとあんた待ちなさいよ、私のブルマー盗んだのあんたでしょう」と彩香ちゃんが言いだした。
彩香ちゃんが江実矢君を突き飛ばすと、彩香ちゃんの両手が江実矢君の両足をつかんで股の間に足を入れた。
電気アンマだ。
プロレスでもやらない恐怖の技「電気アンマ」。
男の子達が震え上がる「電気アンマ」の達人と言えばこの区立北川西小学校では彩香ちゃんがダントツだ。
結局の所彩香ちゃんに電気アンマで責められても江実矢君は口を割らなかった。
すると彩香ちゃんは「どうしても白状しないなら、アレをやるからね」と言いだした。
アレと言うのは学校中の男の子が恐怖におののく彩香スペシャルのことだ。
普通の電気アンマは両足を引っ張ってその間に片足を入れるのだが、彩香スペシャルは寝そべった男の子の腰に後ろ向きにまたがって、男の子の両足をひっぱりあげ、左右の足で男の子の股間を交互に叩くという大技だ。
これを食らったらしばらくは立っていることもできない。
しかし江実矢君はそう言われても頑として口を割らなかった。
有紀はこのままじゃ大変なことになると思い「ねえ、江実矢君あなたが、彩香ちゃんのブルマーこっそり盗んだんでしょう、素直に白状したほうがいいわよ」と言ってみた。しかしそれがかえって彩香ちゃんの怒りに火を付けたみたいだった。
彩香ちゃんは江実矢君の上に後ろ向きに馬乗りになると、両足で江実矢君の股間を蹴り始めた。
すさまじい江実矢君の叫び声がしたと思うと、それより大きな彩香ちゃんの怒鳴り声が教室いっぱいに響いた。
同じクラスの男の子達は廊下でこっそりと様子を伺うだけで、彩香ちゃんが怖くて黙ったままだった。
その時の話しはもう昔のことで、彩香ちゃんも今はもう覚えては居ないだろうと有紀は思った。
英会話部には負けられない
あらすじ
入学式でクラブの紹介があったけど、彩香ちゃんのお姉ちゃんが作ったはずの新聞部がない。教頭先生に新聞部は廃止になったと聞かされて彩香ちゃんはびっくり。新聞部を再建するために援助交際の取材をすることになる。
入学式の会場に入ると正面に大きく入学式と貼り紙がしてあり、新入生はもう大勢詰めかけていた。
最初にブラスバンド部の演奏で校歌を歌ったがもちろん初めてなのでちゃんと歌える人などいなかった。
校長先生が最初に学校の歴史を長々と始めた。
立志館学園高校の創立は明治時代で、大隈重信先生が中心になって作られたとか。
それから新入生の代表、PTAの会長、最後に生徒会の会長の順で挨拶が続いた。
そのあとはクラブの紹介が始まった。
最初に野球部から始まり、今年は必ず甲子園に出場を目指しますと怒鳴るような大声で挨拶をして、会場は盛り上がってきた。
野球部は以前は毎年必ず甲子園に出ていたのだが、ここ数年はライバル校の大浜学院に負けて出場できない年が続いている。
それで去年から新しい監督が来たので今年こそは出場する意気込みだと彩香ちゃんが教えてくれた。
次にサッカー部が出てくると、ボールを渡された男の子がリフティングを始めた。何回続くのか見ているうちにだんだん盛り上がってきて、会場は大変な騒ぎになってきた。
紹介の言葉が全部終わるまでリフティングが続くと、最後には一斉に拍手が起きた。
運動部も一通り終わると、今度は文化部の順になった。
最初に演劇部がでてきて、大げさな身振りで寸劇を始めたので会場は今度は大笑いになった。
英会話部が次にでてくると、英語でクラブの紹介が始まった。
部長は去年アメリカから転入してきた希美ちゃんだとまた彩香ちゃんが教えてくれた。
希美ちゃんは長い髪の毛をポニーテールにしていて、体が小柄な割には足がすらりと長くてスタイルがいい。
雰囲気もアメリカの女の子みたいに積極的で、男の子達には評判がいいが女の子達にはあまり好かれてはいない様子だった。
希美ちゃんの英語はあまりにも上手な発音なので、聞いていて意味が分かる人はいなかったみたいで、拍手もまばらだった。
一通りクラブの紹介が終わり、校長が閉会の言葉を述べるとやっと入学式は終わった。
有紀は彩香ちゃんと一緒に席を立ったが「変ねえ、新聞部の紹介があるはずなんだけど、なかったわよね、変よね」と言いだした。
新聞部は彩香ちゃんのお姉さんが作ったクラブで、お姉さんは人気があったので男の子の部員も多くて、去年の高校の文化祭でも壁新聞がたくさん展示されていた。
確かになかったような気がしたが理由は分からなかった。
入学式も終わると今度は大勢で、高校まで列を作って歩いて移動することになった。
しばらく歩くと立志館学園高校の近くまで来た。
立志館学園高校は駅の前の小高い丘の斜面に作られていて、回りはほとんど雑木林に取り囲まれている。
校門を入って細い階段を上がっていくと、両側の木立の間から光が漏れて輝いて見えた。
坂道を上りながら横を見ると、丘の斜面にそって校舎が並んでいた。
ちょうど階段を登り切った正面に新しくできた建物が朝の光で輝いていた。
去年できてばかりのコンピューターセンターで、図書館も一緒に改築された。
去年までは商業科があったのだが、今年からは情報科に衣替えをしてそのために新しい建物を造ったのだ。
しかしその分グランドは削られて狭くなってしまった。
去年までは野球部がグランドの半分を使い、残りの半分でラグビー部とサッカー部が練習をしていたのだが、いまでは野球部が練習をする時は他のクラブはグランドは使えない。
最初のホームルームの時間には一人一人が簡単な自己紹介をして、あとはロッカーや下駄箱や体育の時の着替えの注意などで終わった。
先生が教室を出て行こうとするとき彩香ちゃんが先生の前に立ちふさがった。
「あの、新聞部どうなったんですか、新聞部がどうしてないんですか」と彩香ちゃんが聞くと先生は「あ、新聞部だったらもう無くなったから、ほら部長の吉永さんが卒業したら部員がいなくなってね」
「それで今年はもうないんだよ」と言って教室を出ようとした。
彩香ちゃんは急に目に涙を浮かべて「どうしてなくなっちゃうんですか」と先生に食い下がった。
先生はびっくりして「あ、君も吉永っていう名前だったよね、もしかして新聞部の部長だった吉永さんて、君のお姉さんだったのかな」と気が付いたようだった。
彩香ちゃんは「そうなんです、さっき自己紹介で言ったのに先生聞いてなかったんですか」とまた泣きながら言うので「ちょっと職員室まで来てくれるかな」と困った様子だった。
二人が一緒に先生と職員室までいくと教頭先生が出てきた。
担任の先生が事情を話すと教頭先生は「もう新聞部は廃止になったんだけどね、なんとか今年部員が集まれば、廃止は取りやめにしてなんとかできると思うんだけど」
「部員は最低でも五人いないといけないんだけど集められるかな、君たちで」と彩香ちゃんをなだめながら言ってくれた。
彩香ちゃんは「絶対集めます、絶対集めますから新聞部は潰さないで下さい」と教頭先生に頭を何回も下げた。
さっそく昼休みに一年生の各教室を回って部員集めをしようと、お昼御飯を急いで食べて一年A組の教室に行ってみた。
新入生の男の子や女の子達はまだ神妙な顔つきでお弁当を拡げていた。
これはちょうどいいと思って彩香ちゃんが「私達新聞部でーす」と大声をあげたとき、急に教室のドアがあいて英会話部の希美ちゃんが入ってきた。
「ちょっとあなた達なにやってんのよ」と怒鳴りつけられて彩香ちゃんは「新聞部の宣伝に来たんです」と答えた。
すると希美ちゃんは「なに言ってるのよ、昼休みのクラブの宣伝はもう生徒会で時間の割り当てが決まってるのよ、今は英会話部の時間なんだから、さっさと出て行きなさいよ」とまた怒鳴りつけてきた。
彩香ちゃんはなにか言い返そうとしたが、時間の割り当てなどというのは教頭先生にも全然きいていなかった事なのでどうにもならなかった。
「どうしようか、これじゃ部員集めなどできないわね」と有紀が弱音を吐くと彩香ちゃんは「大丈夫、放課後に校門の外でやれば誰も文句など言えないはずだから」とまだ頑張る意欲だった。
授業が終わったあと二人はさっそく校門の外に出て、新入生らしい生徒に声をかけては「今度新聞部に入りませんか、新聞部は楽しいですよ、友達もいっぱいできるし」と宣伝を始めた。
しかし新入生の女の子達は目の前を通り過ぎるだけで、誰も新聞部に入ってくれる様子はなかった。
するとちょうど江実矢君が校門を出ようとしているのを彩香ちゃんが見つけた。
ちょうどよかったと言わんばかりに彩香ちゃんは江実矢君の前に立ちはだかった。
江実矢君はすこしおびえた様子で立ち止まったまま困った様子で固まったように動けなくなった。
「ねえ江実矢君さ、クラブはどこに入るのかもう決めたの」と彩香ちゃんに言われて江実矢君は、半分震えた声で「まだです」と消え入りそうに答えた。
「じゃあ、江実矢君、新聞部はどうかしらね、とってもいいクラブなのよ、みんな仲がよくて楽しくて」と彩香ちゃんが言うと、江実矢君はまた小さな声で「考えて置きます」と言って彩香ちゃんの横を避けて通りすぎようとした。
「ちょっと、いますぐ決めてよね、私がお願いしてるのよ、すぐ決めなさいよ」と彩香ちゃんがちょっとだけ大きな声で怒鳴ると江実矢君はすぐに「は、は、入ります、入ります」と飛び上がりそうになって答えた。
彩香ちゃんは「そう、それでいいの、早くそう言えばいいでしょう」と言いながら江実矢君の腕を掴むと校門から出ようとする江実矢君をひっぱってすぐ横に並ばせた。
「じゃ、江実矢君、一緒に新聞部の会員の勧誘をしてね、五人集まるまでは今日は帰さないからね」と江実矢君に命じると彩香ちゃんはまた「新聞部に入りませんか」と通り過ぎる新入生に声を掛け始めた。
時間が経つにつれて門をでる生徒もいなくなり、結局部員になったのは江実矢君だけだった。
翌日三人は授業のあと図書館に集まると、どうやって部員を集めるのか相談をした。
図書館の掲示板には入学式の写真があり、演劇部の寸劇やサッカー部のリフティングの写真が大きく引き延ばして貼り付けてあり、英語の解説が付いていた。
彩香ちゃんは顔を近づけてじっくりと英語を繰り返し読んで「なんで英語で書いてあるのかしら、普通に日本語で書けばいいのにこれじゃ読めないじゃないの」と文句を言った。
する側にいた図書館の司書の先生が「これは英字新聞なのよ英会話クラブで作ってるの。写真も英会話部の部長が撮影して、カラープリンターで印刷したのよ。クラブのみんなで力を合わせて壁新聞作るんだから偉いわね」と教えてくれた。
彩香ちゃんはこれは負けては居られないと思ったらしく「新聞部で壁新聞作ったら図書館の掲示板に貼ってもいいでしょうか」と司書の先生に頼み込んだ。
「そうね、構わないけど」と司書の先生が言ってくれたので、三人はさっそく模造紙とマジックを買いに駅前の文房具屋に行ってきた。
図書館に戻ってさっそく模造紙を拡げて三人で「入学式の記事はもう英会話部がやったから、各クラブの紹介記事でも作ろうかしらね」と相談していると司書の先生が「壁新聞作るんだったら準備室でやってくれないかしら、ほら図書館は本を読んだり、自習しにきたりするから、じゃまになるしテーブルも広い方がいいでしょう」と言ってくれた。
三人はさっそく職員用の奧の準備室に入れてもらった。
ようやく壁新聞が出来上がって英字新聞の隣に張ると彩香ちゃんはこれで一仕事したという満足感で意気揚々と学校を引き上げた。
駅の近くまで来ると彩香ちゃんが「お腹すいたから、ロッテリアに寄っていきましょうよ」と言いだした。
三人で駅前のロッテリアに入ると、店は随分と混んでいて席は空きそうになかった。
仕方ないので近所のコンビニでジュースを買うと、コンビニの前で立ち飲みしてその日は解散になった。
翌日に昼休みに図書館に行ってみると、掲示板の前に大勢人だかりがしていた。
きっと新聞部の壁新聞を見に集まっている生徒だと思って彩香ちゃんが近づいてみると、隣の英字新聞に昨日はなかった写真が追加してあり「コンビニで買い食いする立志館学園の生徒」となっていた。
顔は後ろ向きではっきり見えなかったが、昨日三人でコンビニの前でジュースを飲んだ時の写真だ。
望遠のカメラで撮したらしくて、駅前横の歩道橋の上から撮影したらしいとだいたい見当がついた。
彩香ちゃんは一度は泣き出しそうな顔になったが、すぐに今度は怒り狂って「なんなのよ、誰がこんな写真撮ったのよ、彩香スペシャルかけてやるわ」と怒鳴り散らした。
ちょうど側で様子を見ていた女の子の一人が「何かしら、その彩香スペシャルっていうの。そんなエッチなことよく知ってるわね」と意地悪そうに声を掛けてきた。英会話部の部長の希美ちゃんだった。
これはまずいことになると思ったのか司書の先生が「二人とも、静かにしなさい、ここは図書館なのよ」と声を掛けてくれた。
「次の壁新聞作るからね」と彩香ちゃんが準備室に入ろうとすると希美ちゃんが「この準備室に入るのは止めてくれる、ここは英会話部の部室なんだから勝手にはいらないでよ」と言いだした。
彩香ちゃんはまたみるみる顔色が変わった。
すぐに司書の先生が「みんなで使えばいいでしょう、みんなの図書館なんだから」と言ってくれたが希美ちゃんは「ここは英会話部の部室なのよ、もう決まったんだから」と譲らなかった。
司書の先生は「まだ職員会で決まった訳ではないのよ、生徒会からそうゆう申し込みがあっただけなんだから、職員会ではね、活動の実績があるクラブでないと部室は割り当てしないことになってるのよ」と言ってくれた。
希美ちゃんは帰国子女で去年の九月にアメリカの高校から転校してきて、英会話部も今年正式に発足したクラブで活動実績と言えば何もない。
新聞部は今年で潰れそうに成ったとはいえ、去年までは彩香ちゃんのお姉さんの佐織ちゃんが頑張ったおかげで、全国学生新聞コンクールにも入賞している。実績と言えば当然新聞部だ。
しかし希美ちゃんがそれで黙って引き下がるような女の子ではなかった。
司書の先生も困った様子で、職員会議で決まるまではどちらが図書の準備室を部室に使うのかは決まらないと繰り返し言うだけだった。
結局職員会でも結論が出なかったようで、壁新聞の活動実績を二つのクラブで競って、成績がよかった方に部室を割り当てるということになったと言う。
そしてどちらかの壁新聞を去年新聞部が入賞した、全国学生新聞コンクールに出すことになった。
全国学生新聞コンクールは一校からは一つしか応募できないので、よかった方の新聞を学校の代表としてコンクールに出すということだった。
彩香ちゃんは司書の先生に頼んで去年全国学生新聞コンクールに入賞した新聞を見せてもらった。
「高校生の避妊と、性教育」についての記事だったので彩香ちゃんは目が丸くなってしばらくは口がきけなかった。
まだ高校一年の彩香ちゃんはまだキスもしたことがなく、初体験だってまだ済んではいない。
去年は避妊と性教育のテーマだったので今年はもっとそれより進んだテーマでないと入賞はできない。
避妊と性教育のさらに先を進んだテーマと言えば妊娠、出産を取り上げる訳にもいかないし彩香ちゃんは「これはもう援助交際を取り上げるしかないわ、ええそうよ、援助交際よ絶対」と言いだした。
しかしこの高校で援助交際をしているなんて話しは聞いたこともないし、援助交際してますかとアンケートを取るわけにもいかない。
「渋谷に取材にいきましょう、渋谷だったら援助交際してる女子高生がいくらでも居るって話しをテレビでやってたわ、渋谷に取材に行けばいいんだわ」と彩香ちゃんが言うので、三人で渋谷まで行くことにした。
図書室を出ようとするとき彩香ちゃんが「ちょっと江実矢君その格好はなによ、援助交際の取材に行くのに男の子が来たってしょうがないでしょう。これに着替えなさいよ」と言って制服のスカートを持ってきて江実矢君に渡した。
チェックのプリーツスカートを渡されて江実矢君は困った顔をしていたが、彩香ちゃんに逆らえる訳もなく「ちょっとトイレで着替えてくる」と言って素直にスカートに着替えてきた。
江実矢君は普段から髪の毛が少し長めで、目が青くて髪も茶色なせいでスカートを履くとまるで中学生の女の子に見えた。
彩香ちゃんは鞄から赤いカチューシャをだして江実矢君の前髪に付けさせた。
「これなら、誰が見ても女の子ね」と彩香ちゃんは自慢げに江実矢君を眺め回してた。
江実矢君は、まるでお人形のように彩香ちゃんにされるままになっていた。
まだ小学校の時の彩香スペシャルが怖くて彩香ちゃんに逆らえないのがありありと見て取れた。
援助交際の取材
あらすじ
江実矢君に女装をさせて渋谷109前でナンパされるのを待ってると、新聞記者の吉田さんに見つかってお説教された。帰り道にライバル校の大浜学院野球部の男の子達と出会う。取材のつもりで男の子達と一緒にカラオケに行ったけど大変な目に。
井の頭線に乗って渋谷まで出ると、さっそくセンター街へ上がる階段から109の前にでた。
ここに立っていれば援助交際をしている女の子だと思われて男の子が声を掛けてくるとテレビやっていた。
すぐ近くには髪の毛を染めて派手なお化粧をした女子高生らしい女の子が大勢居た。
きっと男の子に声を掛けられるのを待っているのに違いないと有紀は思った。
見た感じサラリーマンくらいの二人づれの男の子が、彩香ちゃんの前にきて「ねえ君たち」と声をかけてきた。
すると彩香ちゃんはいきなり「はい、援助交際ですか」と返事をした。
いくら何でもいきなりそんな言い方はないと有紀は思ったが、男の子は「それで、いくら」と問いかけてきた。
彩香ちゃんは急にそんなことを聞かれるとは思ってなかったようで、目が飛び出しそうになりながら「五十万です」とやっとのことで答えた。
男は笑いながら江実矢君のお尻に手を当てながら「この子まだ中学生だろう、バージンだったら五十万でもいいよ」と言って笑った。
いきなりお尻を触られた江実矢君はびっくりして階段を駆け上がって逃げた。
男の子は二人で笑いながら、周りの女の子達を見回した後、通りを下っていった。
男の子が居なくなるのを見計らってようやく江実矢君が階段から下りてくると、また別の男が声をかけてきた。
すらりと背が高くてちょっと細めの背広姿だったが、髪の毛を染めていてちょっと遊んでいる雰囲気だった。
「ねえ、君たちちょっと話し聞かせてくれないかな」と言われてさっそく近所のマクドナルドに入った。
適当に飲み物を頼んで席に座るといきなり「君たち立志館学園の生徒なんだろう、あんなところで何をしてたの」と聞かれた。
まずい、きっと生徒指導の補導係の先生だと有紀は思った。
先生方がこっそり渋谷や新宿を見て回って、生徒がうろついていないか見て回っているという話しは先輩からも聞いたことがあった。
それもいろんな学校の先生が共同でお互いの学校の生徒がいないか見て回っているという話しだった。
彩香ちゃんは正直に言うしかないと思ったらしく「新聞の取材なんです、学校新聞を作ってるんです私達」と答えた。
すると「よくまあ、そんな都合のいい言い訳考えるものだね、正直にちゃんと言いなさい何をしてたんだ、それにその子はまだ中学生だろう」と江実矢君の方を見た。
彩香ちゃんが黙っていると男は名刺をだして「僕は新聞記者でね、こうして実際に女の子に声を掛けて記事になるニュースを探してるんだ」と言いながら渡してくれた。
「援助交際してる女の子はこの辺には一杯居てね、気軽にお金になるから埼玉や千葉からわざわざ高校の制服着て出てくるんだ」
「だけどそうゆう田舎の女の子はね、騙されて二本差しにされたりして大変な目に遭うだけだからね」とお説教されて有紀は「二本差しってなんのことだろう」と思ったが彩香ちゃんが知っていると思って黙っていた。
「君たちも、簡単な気持ちで援助交際なんかしたら駄目だよ、今日はさっさと帰りなさい」と念を押されて、よくよく名刺を見ると東日新聞記者吉田剛と書いてあった。
彩香ちゃんは本当の新聞記者と知り合いになれたと判って興奮気味に「あのあの」と口ごもりながら「新聞記者ってどうすれば成れるんですか」と問いかけた。
「新聞記者になりたいなら、まず今学校の勉強をしっかりやることだよ、そうすれば将来は自分の好きな仕事に就けるようになるから」と吉田さんが答えると「僕は取材で忙しいから、君たちはもう帰りなさい、渋谷は危ない所だからうろうろしてたらだめだよ」と言って席をたった。
吉田さんが店を出たあと、有紀は「ねえ、二本差しって何のことなの」と彩香ちゃんに聞いてみた。
「なんなのかしらね、今度お姉ちゃんに聞いてみるわね」と彩香ちゃんが言うので有紀は「聞かなくていいから、もう判ったから」と慌てて口止めした。
彩香ちゃんも納得できない顔つきだったがうっかりお姉ちゃんに聞いたりは出来ない事らしいと思ったようで「そうね」と言って口をつぐんだ。
もう取材は出来そうもないので三人は諦めて駅まで帰る事にした。
途中で彩香ちゃんが通りに可愛い服を飾ってあるショーウィンドを見つけて店に入ろうとした。
店の中は中学生や高校生の女の子達でいっぱいだ。江実矢君はさすがに店に入るのに尻込みした。
彩香ちゃんに「もうあなたは帰っていいから、今日はどうもありがとう」と言われて江実矢君は急ぎ足で通りを駆け出して行った。
可愛いミニスカートを何着かハンガーから選ぶと彩香ちゃんが試着してみた。どうしても欲しいミニスカートを見つけて、お財布を確かめたが、お金が足りなくて買えなかった。
諦めて店を出て渋谷の駅まで大通りを歩いていると、大浜学院の制服を着た男の子達が四人ほど通りかかった。
持っている大きなバッグからはバットの柄が飛び出しているのが見えた。
髪の毛は丸刈りにして、白いシャツを着た胸板も厚く、日焼けした肌は見るだけでも男らしかった。
大浜学院の野球部の男の子達に間違いなかった。
次の試合で我が校の立志館学園の野球部が試合に勝てば次には決勝で大浜学院と当たる。
去年も決勝の試合で大浜学院に負けて立志館学園は甲子園に行けなかったのだ。
ここでなんとか大浜学院の男の子達に話しを聞いておけば、壁新聞のニュースにはちょうどいい。
男の子達も二人に気が付いたらしくて、なにやらひそひそ話しをしていた。
これはチャンスだと思い彩香ちゃんはさっそく「ねえ、大浜学院の野球部でしょう」と声をかけた。
野球部の話しを聞き出そうとして「今年はどうですか、甲子園」と彩香ちゃんが話しを向けると「決まってるだろう、今年も決勝で勝つのは俺たちだ」といって随分な言い方だった。
彩香ちゃんは「次の試合に私達応援にいきますよ、ホントに絶対応援に行きます」と調子を合わせて話しを続けた。
すると「お前ら、自分の学校の応援すればいいだろう、それとも俺たちのこと気に入ってるのか、つき合いたいのか」と男の子の一人が言いだした。
彩香ちゃんは「つき合」ことの意味がよくわかってないらしくて、すぐに「あ、つき合いたいです、つき合いたいんです」とまた愛想よく笑顔を作って「よかったらプリクラ撮って下さい」と言い出した。
すぐ目の前にあるゲームセンターに入ると男の子達と入れ替わりながらみんなでプリクラを撮った。
男の子が顔を近づけると、練習後の男の汗の匂いが有紀の回りを包み込んで有紀は目眩がしそうだった。
彩香ちゃんも男の匂いに圧倒されたのか、急に言葉が少なくなって目つきも半分夢の中だった。
男の子達は彩香ちゃんが気に入った様子で「おい、お前らこれからカラオケ行こうぜ」と言いだした。
彩香ちゃんは誘われてすっかり舞い上がったような気分らしく、すぐに「あ、行きましょう、行きましょう」と何も考えもしないで男の子達に答えた。
ゲームセンターを出て少し行った先に、カラオケの店がありすぐに奧の個室に通された。
さっそく彩香ちゃんがマイクを持って踊り出すと、男の子達も大騒ぎしながら声を張り上げた。
彩香ちゃんが調子に乗って、足を前に蹴り上げる歌の振りをしようとしたとき足が滑ってそのまま転んでしまった。
お尻からすとんと床に落ちた彩香ちゃんの制服のチェックのスカートが広がってめくり上がり、パンティーが丸見えになった。
男の子達は何が起きたのか分からない様子で、息を飲み込んで一瞬静まりかえった。
彩香ちゃんのパンティーはどうしたことか、ピンク色のレース模様の入った可愛らしいパンティーでお姉ちゃんからもらったといつか自慢していた勝負パンティーだった。
「おい、お前男が欲しいんだろう、男が欲しくてそんなパンティーはいてるんだろう」と男の子がいきなり大きな声を張り上げて、彩香ちゃんの両足を掴もうとした。
彩香ちゃんは倒れ込んだ姿勢のまま足で男の子を蹴飛ばした。
勢いで後ろ向きに倒れ込んだ男の子は体を起こそうとしながら「お前ら、このままじゃ済まないからな分かってるのか」と言って彩香ちゃんを睨み付けた。
すると彩香ちゃんは「あんた達こそ私に逆らえると思ってるの」と怒鳴り返しながら、男の子の上に後ろ向きに馬乗りになった。
男の子達は彩香ちゃんが何をしようとしているのか呆気にとられて見ていたが、有紀にはすぐに彩香スペシャルだとすぐ分かった。
彩香スペシャルはまだ女の子の方が男の子よりも体格がよくて力も強い小学生だから通じる技で、もう高校生にもなれば男の子の方が力が強いに決まっている。
それでも彩香ちゃんはまだ彩香スペシャルが必殺技だと思いこんでいるようで、男の子の足を抱え込むようにして引きつけながら股間を蹴ろうと足を動かした。
しかしすぐに回りを取り囲んだ男の子が彩香ちゃんの両足を押さえて左右に一杯に開かせてしまった。
「いいか、俺たちに逆らうんじゃない、なんでも言うとおりにするんだ」と男の子が言うと「すぐに男狂いにさせてやるからな、このドスケベ女、さあ始めようぜ、いつものやつだぜ、前やったときと同じだ」と他の男の子達に指示した。
男の子達は顔を見合わせて互いに役割を確かめるとすぐに二人に襲いかかった。
屈辱の時が終わると有紀はこみ上げてくる涙が止まらなかった。
「さて、やることはやったんだから、あとはたっぷり楽しませてもらおうか」と男の子が言うのが聞こえた。
もう終わったのにまだ何があるのと、彩香ちゃんは不審そうな顔つきで有紀を見た。
「これで終わりな分けないだろう、初体験ていうのは、まだ他にもあるんだぜ」そう言うと男の子の一人が有紀の前に立ちはだかった。
何をすればいいのか判って有紀は必死に唇を動かした。
「この女、なんでこんなに上手いんだ」と言うのを聞いて有紀は急に楽しくなってきた。
「おい、こっちの女も何とかしろ、お前らだけ楽しんで、こっちはどうしてくれるんだ」と彩香ちゃんを取り囲んでいた男の子達が文句を付けてきた。
彩香ちゃんも困った顔で「お願い教えて、私どうやっていいのか分からないの」と真顔で有紀の顔を見つめた。
有紀はすっかり得意な気分で「自分でいろいろ工夫してみなさいよ、自分で工夫しなかったら上手にはなれないのよ」と彩香ちゃんを叱りつけた。
彩香ちゃんは口を使いながら男の子の表情を見上げて、男の子が気持ちのよくなる顔を確かめては舌の使い方を変えていろいろ試し始めた。
「すげえ、上手すぎるぜこの女」といきなり男の子が大きな声を上げるのが聞こえた。
「すぜえぜ、この女、この技は何て言うんだ」と男の子がまた叫ぶと彩香ちゃんは口を離しながら「彩香スペシャルって言うのよ、私しか出来ないの」と得意そうに答えた。
男の子達が全員満足するまでそれほど時間はかからなかった。
終わった後彩香ちゃんはまだ腰の震えが止まらなくて、すぐには立ち上がることが出来なかった。
ようやく彩香ちゃんが立ち上がると、三年生の男の子が「おい、お前ら今日のことは誰にもいうなよ」
「余計なことをしたら、この写真学校に送りつけてやるからな」と言って小さな写真のプリントを見せた。
さっきの二人の初体験をデジカメで撮って、携帯用のプリンターですぐにプリントした写真だった。
彩香スペシャルの場面も全部撮影してあった。
随分と手回しがいい。
きっと同じようなことをしょっちゅうやっているに違いないと二人にはすぐ分かった。
こんな写真を学校に送り付けられたら大変なことになる、新聞部の部室どころの話しではない。
二人とも退学だ。
だけどもう済んだことを後悔してもどうにもならない事だった。
「これもらっていいですか」と彩香ちゃんが写真を男の子から奪い取ろうとした。
男の子は笑いながら「これはプリントしただけで、もとの写真はデジカメのメモリーカードに入ってるんだからな」と言って写真を数枚彩香ちゃんに渡してくれた。
男の子達が先に帰ったあと、二人はこっそりとカラオケ店を出た。
翌日彩香ちゃんと有紀は、昨日の体験取材を記事にまとめ壁新聞を作った。
図書室の掲示板に張り出そうとすると、もう英会話部の壁新聞が張り出してあった。テーマは新聞部と同じ援助交際で、渋谷の109の前で男の子に声を掛けられるのを待っている女子高生という記事だった。
遠くから望遠のカメラで撮したらしい写真も一緒に大きく貼ってあり、一目で彩香ちゃんと有紀だとすぐ分かった。
きっと誰かが告げ口したんだと有紀は思った。
もしかして江実矢君が小学校の時の事を根に持っていて、それで彩香ちゃんに仕返しするために告げ口したに違いない。
しかし彩香ちゃんは「江実矢君はそんなことするはずないから、学校を出るとき英会話部の誰かに後を付けられていたに違いないわ」とすっかり腹を立てていた。
結局の所、新聞部で作った壁新聞は張り出すわけにも行かずに、このままでは英会話部の勝利は間違いなかった。
有紀はもうこれは仕方ないと諦めきった気分でため息を吐いたが、彩香ちゃんはまだ怒り狂っていた。
翌日の朝、英字新聞の隣に「ここまでやるか、学校内の虐め」という新聞が張り出してあった。
学校内の虐めのアンケートが実例と一緒に円グラフでわかりやすく説明してあった。
いったい誰が書いたのだろうかと思って彩香ちゃんに聞いてみると「昨日私家で、徹夜して書いたのよ、あんまり腹が立ったから」と言って眠そうな顔で壁に寄りかかった。
「でもアンケートはどうしたの、いつアンケートとったのよ」と有紀が聞いてみると「アンケートなんか全部嘘っぱちよ、なにいいのよ英語部だってみんな嘘っぱち書いてるんだから」と言って相変わらず昨日の怒りが収まらないようだった。
ブルマー盗まれる
あらすじ
インターネットで一年生の智恵ちゃんブルマーが売りに出てたけど犯人は智恵ちゃんのお兄ちゃんの信夫君。それでブルマーを売れば最新式のデジカメが買えるはずと彩香ちゃんが思いついたけど上手くいくはずない。
今回の新聞では決着がつかづに次回の新聞で勝負することになったので、彩香ちゃんはまた元気を取り戻して次は何の記事を書こうかとまたみんなで相談することにした。
彩香ちゃんの意見では「私達も望遠の電子カメラを使わないとだめなのよ。望遠なら、遠くからでも盗み撮りができるから、だから英会話部に負けるのよ」ということで、有紀もそれはもっともだと思った。
どうやって望遠のついた電子カメラを手に入れたらいいのかあれこれ考えた末、新品ではとても買えないのでネットオークションで安いのを探してみようと相談がまとまった。
学校のパソコン室でパソコンの得意な江実矢君が検索を書けていると、検索の一番上に女子高生ブルマー売りますのメッセージが突然出てきた。
学校名もちゃんと書いてあって立志館学園と間違いなく内の高校だった。
なんで内の学校のブルマーが売りにでてるんだろうと思って掲載されているブルマーの写真を見てみると名前が入っていて「中島智恵」と書いてあった。
たしかに一年には中島智恵という女の子はいるけれど、いったいどうしてその子のブルマーが売りにでているんだろうと彩香ちゃんは不思議そうな顔をしていた。
これはなんとか記事になるかもしれない、電子カメラどころの話しではないと有紀にはピント来た。
ともかく取材にいってみようと彩香ちゃんが言うので図書館から出て一年C組に行ってみると、もうすでに先回りして希美ちゃんが智恵ちゃんとなにやらひそひそ話しをしていた。
二人で智恵ちゃんに声をかけてみると「ブルマーが盗まれたんです、それで先輩が話しを聞きに来たんです」と事情を話してくれた。
一通り取材をすませて図書館に帰るともう壁新聞が張ってあり、ブルマーが盗まれてその犯人は学内の男の子らしいと記事が書いてあった。
一緒に犯人と見られる男の後ろ姿が張り出してあり、音楽の時間にこっそり教室に男の子が忍び込んだと書いてあった。
小柄で華奢な体つきは、髪がすこし長めでうす茶色だった。
誰が見ても江実矢君にしか見えなかった。
さっき取材に智恵ちゃんの所にいったとき写真を撮られたのに違いなかった。
「このままだったら江実矢君がまたブルマー盗んだ犯人にされちゃうわ、かわいそうよそんなの」と彩香ちゃんが怒り狂った口調で言った。
「ともかく犯人を見つけるのよ、真犯人を私達で捕まえてやるの」と彩香ちゃんが言うのであれこれ相談した結果、インターネットのオークションに出ていたブルマーを買って売り主を突き止めるのが一番ということになった。
電子メールで何度かやりとりをして渋谷のロッテリアで待ち合わせをすることになった。
約束の時間より少し早めに行って二人は不安な気持ちで相手が来るのを待った。
学校でブルマーが盗まれたらきっと盗んだのは生徒に違いない、でももしかして誰かが学校に忍び込んで盗んだのならどんな男の人かはまったく見当がつかない。
もし学校に忍び込むのが常習の痴漢にでも出会ったらいったいどんな話しになるのか、怖くてとても想像もできない。
しかしその位の覚悟はできていなければ記事は書けないというのが彩香ちゃんの意見で、有紀もそれももっともだと思った。
約束の時間が迫ると二人は不安な気持ちでいらいらしながら当たりをきょろきょろ見回してはシェーキのストローを口に当てた。
約束の時間が来ても誰も二人に声を掛けてくる様子はなかった。
やっぱり相手も用心して約束をすっぽかしたのかしらと思っていると、両手でトレーを持ってストロベリーのシェーキを載せた男の子が急に二人の前の席で立ち止まった。
男の子は二人に軽く会釈をすると「どうも遅くなって」と声を掛けてきた。
ほかに声を掛けてくる男の子が居るわけでもないので、ブルマーを盗んだのはこの男の子に間違いないと有紀は思った。
彩香ちゃんもこの男の子が犯人に間違いないと確信したようで、有紀に目で合図をした。
男の子はまだ高校生くらいで制服は大浜学院だったがどうもどっかで見たような気がした。
よくよく顔を見ると、智恵ちゃんのお兄さんの信夫君だった。
信夫君はまだ二人とは初対面だと思っていたようで「さっそくですが、ブルマーの件で」と話しを切り出した。
彩香ちゃんが「ちょっとあんたなんで智恵ちゃんのブルマーなんか売ってるわけ」と言い返すと信夫君はすぐに女の子がブルマー買うわけがないと気が付いたようだった。
信夫君は二人の顔を何度も確かめて、以前会ったことのある顔だと分かると急に顔が青ざめた。
彩香ちゃんが強気で「なんでブルマー売ってるのよ、どうゆうことなの」問いつめると信夫君はすぐに白状した。
信夫君はいま大浜学院の生徒会で会計をしているという。
前から欲しかったセーラームーンのDVDをネットオークションで買ったので、お金がなくなったというのだ。
足りないお金は生徒会の会費の通帳からおろしたので、お金を戻しておかないといけないらしい。
「セーラームーンのコンプリートセットですよ、コンプリート、もう絶対手に入りませんからね」と信夫君はオタクの本領を発揮して力説した。
これではとても新聞の記事にはできないので、彩香ちゃんもすっかり困った様子だった。
信夫君もこのままでは拙いことになると気が付いたのか「妹には内緒にしてくださいよ、なんとかお願いします」と言うので、ついでにいろいろ詳しい事情を聞くことにした。
彩香ちゃんが問いただすと信夫君は「ブルマーとかセーラー服の販売専門の裏サイトがあって、そこに書き込みをするとメールが来て待ち合わせをしてお金と引き替えにブルマーを渡すんですね。これが結構いい金になる」と得意になって話しを始めた。
なかにはブルマーを盗んで売ってる人もいるようだけど、女子高生が自分のブルマーを売ったりすることもあるという。
「待ち合わせをしたりすると、ブルマーを売る以外にも、あれやこれやと他にお金をもらうらしいんだけど」と信夫君がいろいろ話してくれた。
彩香ちゃんが「ブルマーを売った後、あれやこれやとはどうゆうことなの、言いなさいよ」と問いつめたが、信夫君は「僕はブルマー売る方だから、買う方の男のことはよくわからない」とはっきりしない返事だった。
「じゃこれで」と言って信夫君が席を立とうとすると、彩香ちゃんはこのまま帰す訳にはいかないと「ちょっとあんたブルマーはどうすんのよ、盗んだブルマーはどうすんの」と詰め寄った。
信夫君が「ブルマーはこっそり妹に返しておくから、今回だけはなんとか見逃してください、なんとかお願いします」と言うので「今日の所はひとまず帰っていいけど、ブルマーちゃんと返しておいてね」と彩香ちゃんが念を押してからみんなでロッテリアを出た。
翌日の午後に英会話部の新聞がまた張り出されていた。
「ブルマー見つかる」という見出しで、見つかったブルマーの写真もあった。
「英会話クラブのニュースを見て、犯人が自分でブルマーをこっそり返しました。またもや英会話クラブのお手柄」と勝手な記事が書いてあった。
今回もまた「こっそりブルマーを返しにきた犯人の後ろ姿」と称する写真が貼り付けてあり、またもや江実矢君の後ろ姿だった。
「どう、これで壁新聞対決は英会話部の勝ちね」と希美ちゃんの声がした。
彩香ちゃんはすっかり頭に来て「なに言ってんのよ、全部でっち上げの嘘の記事じゃないの。なによ、こんな写真」と言って壁新聞の写真を剥がしてビリビリと破り捨てた。
「なにひがんでるのよ、写真の一枚もとれないくせしてそれでよく新聞なんか作れるわね」と言うと希美ちゃんは彩香ちゃんの髪を掴んで引っ張ろうとした。
彩香ちゃんが悲鳴を上げると、奧から司書の先生がでてきて「二人とも何をしてるの、やめなさい」とすごい剣幕で怒鳴りつけられた。
「望遠のデジカメを手に入れるしかないわ、そうすればあんな希美ちゃんになんか馬鹿にされない」そう彩香ちゃんは言い出したがオークションでも良さそうなデジカメは高くてとても買える値段ではなかった。
彩香ちゃんは急に思い切った口調で「ブルマー売りますの書き込みをインターネットにしてみましょう」
「そうすればお金にもなるし、記事にもなるでしょう」
「これなら絶対すごい記事になるわ、絶対よ」と言い出した。
彩香ちゃんは一度言いだしたらもう誰にも止められない。
さっそく江実矢君がブルマー売りますの書き込みを信夫君が教えてくれた掲示板に書き込んだ。
信夫君から前話しを聞いたときには値段は高く付けたほうがいいと言っていたのでブルマーを一枚五万という値段を付け見た。
ブルマー一枚にこんな値段で買う人がいるのかしらと思ったがともかくやってみることにした。
しばらくして電子メールが来たので携帯の番号を教えてあとは携帯のメールでやりとりをした。
どこかで待ち合わせをしてブルマーを渡すということになり、この間信夫くんと会ったロッテリアで会うことになった。
学校の帰りに二人でまた渋谷のロッテリアに行くと、不安な気持ちで相手の男を待った。
いったい女子高生のブルマーを買うなんてどんな男なんだろう。
中学生や高校生が買うわけもないし、だとすると四十代くらいの男の人なんだろうか。
そんな歳の中年の男が女子高生のブルマーを買うというのは想像しただけでも寒気がしたが、他に考えようがなかった。
約束の時間が近づくと二人は交わす言葉もすくなくなり、黙り込んだまま店のレジの方に視線を向けた。
有紀はレジでコーヒーを買って、店の中を誰か探してきょろきょろと見回す男を見つけた。
真っ黒なサングラスを掛けてマスクをしていかにも怪しげな雰囲気だった。
どうやらブルマーを買ってくれるのはこの男らしいと彩香ちゃんも気づいたようだった。
背が低い割には太っていて、頭は半分禿げ上がり、お腹も突き出た格好はどう見ても中年の変態男だった。
二人はさっさとお金をもらってすぐに帰りたい気持ちで一杯だった。
男は二人を見つけると「やあ、遅くなって」とマスクの下から呟くように言うとう二人の座った席の向かいにコーヒーの紙コップを置いて座った。
彩香ちゃんはどう話しを切り出していいのか分からずに少し困った様子だったが思い切って「先にお金下さい」と大胆にもいきなり話しを始めた。
男が「ここではゆっくり話しができないから、空いてる席に行こう」と言うのでロッテリアの三階に狭い階段を上がった。
「こっちだから」と言われて窓際に行くと、ちょうど窓の外は歩道橋でその横には歩道橋にでる出口があった。
男が先に歩道橋に出てこっちを振り返ったので、二人は慌てて後から付いていった。歩道橋は大きな交差点の上を渡って反対側にある大きなビルの入り口まで続いていた。すぐ横に下に降りる階段があったが、男はビルの中に入った。
正面にエレベータがあり一番上の階に上がると、目の前は休憩室になっていて大きな吹き抜けの階段の下はゲームセンターだった。
エレベータの脇には貸しロッカーが並んでいて、男はそこから小さな鞄をだした。
鞄から財布をだして小銭で自動販売機でファイブミニを買うと二人に渡した。
彩香ちゃんが「五万下さい、そうしたらブルマー差し上げます」とまた言ってみると男は「じゃあ、ブルマー見せてもらおうか」と言いながらファイブミニを自分で一本飲み干した。
彩香ちゃんが用意してきたブルマー男に渡すと男はいきなりブルマーをマスクーした鼻先に押しつけた。
思ってもみない出来ごとに彩香ちゃんはびっくりして男の様子を見つめた。
男の人がブルマーを買うのは、匂いが嗅ぎたいからなんだ、女の子の体に匂いがきっとたまらないんだと分かって有紀は身震いがしてきた。
「おいなんだこのブルマー、洗濯してあるじゃないか」
「洗濯済みのブルマーに一枚五万も払えるわけ無いだろう、冗談じゃない」
「匂いの染みついたブルマーだから高い金で買うんだ、こんなブルマー五万なんて値段で買う奴はいるわけないだろう」と怖い顔で男が怒鳴りつけてきた。
彩香ちゃんはまさかこんな事になるとは思っていない様子で困り果てた顔をしていた。
「私達どうしてもお金が欲しいんです、五万円なんとかなりませんか」と恐る恐る彩香ちゃんが男に聞いてみた。
「五万欲しければ、それだけの事はしてもらわないとな、なにするかくらい分かってるんだろう」と男に言われて二人は返す言葉がなかった。
しかしいくらお金のためとは言え援助交際なんかとても出来るわけはない。
これはあきらめて帰るしかないと有紀が思ったとき、彩香ちゃんが「だったら面白い写真があるんですけど、よかったら買って下さい」と言って鞄からなにか小さい写真をだした。
男が手にとってみると「なかなか面白いじゃないか、他にもあるんなら買ってやってもいいぜ」と言いだした。
彩香ちゃんが他にも数枚写真を取りだすとテーブルに置いた。
この間のカラオケで野球部の男の子達と一緒だった時の写真だった。
こんな写真渡しても大丈夫なのかしらと有紀は思ったが彩香ちゃんは平気な顔だった。
彩香ちゃんはお金になりさえすれば何でもいいと思っているようでデジカメを買うためには仕方ないということらしかった。
男は写真をしまいながら「これだけじゃあ、五万は払えないな、あともう一つ売って欲しい物があるんだけど、それを渡してくれれば五万払ってやってもいいんだぜ」とゆっくりとした口調で言いった。
やっぱり簡単には五万円もの大金は手に入らないのだと分かったが、援助交際だけはするつもりはなかった。
「売って欲しいってなにが欲しいんですか」と彩香ちゃんが心配そうな口調で聞くと「いま履いてるパンティーだよ、それを今すぐ脱いで渡せば五万で買ってやる、ブルマーと写真と全部いっしょで五万だどうだこれで」
「いやならいいんだぜ、いやならもうこの話は無かったことにしよう」そう言うと男は写真を彩香ちゃんに押し返してすぐに席を立とうと半分立ち上がった。
彩香ちゃんは慌てて「待って下さい、パンティー脱ぎますから」と男にすがりつくように頼んだがそれが最初から男のやり口だったのだ。
「トイレで脱いできていいですか」と彩香ちゃんが蚊の鳴くような声で言うと「ああ、いいよ、今すぐ脱いでくるんだ、トイレはそこの奧だぜ」と男が顎でエレベーターの奧のトイレを合図した。
「有紀ちゃんも一緒に来てよね、二人で五万なんだから」と彩香ちゃんに言われて有紀はしかたなく席を立った。
二人でトイレから出ると、これで五万円もらえるんだと思って有紀は必死で我慢してさっきの休憩室に戻った。
男に今脱いできたばかりのパンティーを渡すと男は「じゃあ金を渡すから、来てもらおうか、金はこの下に行かないとないから」と言って席を立った。
男が自動販売機の横を通って正面に歩き出すと、彩香ちゃんは慌てて後を追った。
有紀もすぐあとから足早に追いつこうと歩き始めた。
男が吹き抜けの正面まで来るとこちらを振り返った。
「ここを降りてもらおうか、俺の後から付いて来るんだ」そう男に言われて、二人はどうしてパンティーを脱がされたのか判った。
目の前のには急な螺旋階段が一階まで降りていて、下から見上げるとスカートの下が丸見えだ。
一階にはゲームセンターの客が大勢、あちこちを歩き回っているのが見えた。
「さあ来てもらおうか」と男がゆっくりと螺旋階段を降り始めると、彩香ちゃんがどうしていいのか判らないといった顔つきで有紀の方を見た。
いまさら断ることもできないし、まだお金ももらってないので帰れないという有紀の気持ちをすぐに彩香ちゃんは感じ取った。
もうするしかないと彩香ちゃんは諦めきった顔で、男の後から階段を降り始めた。
しかし一歩階段に足を踏み入れた途端に彩香ちゃんの足が膝から震え出すのが有紀にも見えた。
「おい、お前もだ」と男が下に階段を降りながら有紀に声を掛けてきた。
降りなければ階段を早く降りなければという思いが有紀の頭に浮かんで、有紀は足を一歩踏み出して下に降りた。
下から男が見上げている視線が有紀のスカートの中まで届いてくるのがすぐ分かった。
一歩づつ階段を降りるたびに、膝が小刻みに震えて止まらなかった。
気が付くと彩香ちゃんは二階のフロアに男に導かれて進んでいた。
有紀は彩香ちゃんの居る二階まで行けばいいんだと気が付いてやっとあと少しだとやっと気持ちが楽になった。
階段からフロアに足を入れた途端、有紀は急に身体の力が抜けて座り込みそうになった。
二階はよくよく見ると漫画喫茶になっていて、奧に小部屋が幾つか並んでいた。
男はカウンターで部屋の鍵をもらうと、ずんずんと先に進んで部屋のドアを開けた。
小さな部屋の正面にはテーブルの上にパソコンが置いてありその前には椅子が一つ置いてあった。
細長い部屋に入ると狭い部屋は三人ですぐ一杯になった。彩香ちゃんはもう足がガタガタで立って居られなくて、すぐに床に座り込んでしまった。
有紀もすぐに彩香ちゃんの横で座り込んで、やっとのことで息を吐き出した。
パソコンの前に座った男が手にした鞄からなにかを出すのが見えた。
これでやっとお金をもらったら帰してもらえるんだと有紀が思ったが、男はパソコンをなにやら操作しているだけでお金を渡す様子には見えなかった。
どうやら鞄からだした小さな箱を、パソコンにケーブルで繋いでいるらしかった。
パソコンを操作すると、突然画面にスカートの下から隠し撮りしたビデオが画面一杯に映った。
「なんなんですかこれ」と突然彩香ちゃんが突然大声で叫んだ。
それを聞いて有紀も今映っているビデオが、たった今二人が階段を降りてきた場面だと気が付いた。
「今歩いてきた階段を下からビデオで撮ってあるんだ、これをインターネットに今から載せるんだ」と男が言いだした。
騙されたんだ、最初から隠し撮りをするためにパンティーを脱がされたんだと有紀にも事情が分かってきた。
そんなことをされたら大変だ。
だけどもうどうにもならない。
「だめ、お願いなんでもしますから許して」と彩香ちゃんが泣き出しながら言った。
なんでもしますなんて、そんなこと言ったら大変なことになるのに、何をさせられるのかわからないのにと有紀は体が震えてきた。
「おい何でもするんなら、何をするか自分で考えろ」と男が言うと彩香ちゃんすぐには返事ができなかった。
しかしこのままでは大変だと思い詰めた様子で、彩香ちゃんは「口でやらせて下さい、二人でしますから許して下さい、得意なんです私」ととっさに言い放った。
そんなことを言えば男の思う壺だと有紀は思ったがほかにどうしようも無かった。
すると男は「じゃあ、まず上から触ってもらおうか」ともったいぶった口調で二人に命じた。
男が腰を突き出すと、茶色と紺の混じった生地のズボンがすぐ二人の目の前に差し出された。
ろくに洗濯もしていない古くさいズボンは顔を近づけただけで男の匂いが鼻をついた。
男がズボンを膝まで降ろすと、男はトランクスを一緒に膝まで下げた。
有紀は目の前に現れた異様な形に思わず息を飲んで、彩香ちゃんと顔を見合わせた。
色がどす黒く紫色に近くて、その先端に小さな玉のような出っ張りが丸く輪になって取り囲んでいた。
「俺の珍宝はな、真珠を入れてあるんだ」
「全部で六個ある、女性の体は観音様だが、真珠の入った珍宝は如来様なんだぜ」
「『如来様は、三度まで』と言ってな、真珠を入れたやつでやられると三度目にはもう止められなくるんだ」と男は得意そうに言った。
彩香ちゃんはいったいどうしたらいいのか判らない顔で、有紀の方を見つめ返したがいまさらどうなる訳もなかった。
「じゃあ、やってもらおうかな、得意なんだろう」と男に言われてもう断れるわけがない。
彩香ちゃんは諦めて覚悟を決めたようで、舌先を左右に震わせながらすっぼりと口に含んだ。
男はズボンを直しながら「今のは全部インターネットで生中継されてたんだぜ」と急に口調を変えて二人にいった。
二人はすぐには男が何を言っているのか理解できてなかった。
「もう一度見せてやろうか」と、男がパソコンを操作するとたった今すんだばかりの場面がインターネットの動画でパソコンの画面一杯に映った。
「ほら、ここにテレビカメラがついるんだぜ」とパソコンの画面の上にある、小さな点くらいの穴を指さした。
またまんまと罠にはまったんだと二人は気が付いたがもうどうにも成らない。
「今度はなにをすればいいんですか」と彩香ちゃんが泣き顔でお願いした。
「自分で考えろ、なにをされたいのか自分で言うんだ」と男に言われて二人はどうしていいのか判らなくなった。
男が望むこ事と言えばこの先やることは決まっている。それを自分から言い出すしかないと判って彩香ちゃんは「ここじゃいやです。どこか他に連れてって下さい」と小さい声で言った。
「どこかってどこなんだちゃんと言え」とまた厳しい口調で男に言われて「ラブホテルに連れてって下さいお願いします」とやっとのことで彩香ちゃんが言った。
男は満足そうな顔つきで身支度を直すと、パソコンを止めて部屋のドアを開けた。二人はなんとか立ち上がったが足が震えてとてもまともに立ってもいられかった。
男が先に部屋をでると、すぐ二人は後から震える足で付いて行った。
部屋をでるとすぐ奧に非常階段があり、その先は隣の建物と裏で繋がっていた。非常口から中に入るとそこはラブホテルの受付の裏手だった。
最初からこのラブホテルに連れ込むつもりで、漫画喫茶に案内したのは男の策略だったのだ。
好きな部屋を選べと言われて、写真の入った案内板を見せられて二人はびっくりした。
ベッドに鉄格子がはまった部屋の写真が大きく正面に張り出してあったのだ。
どの部屋を見ても、変な仕掛けが置いてあり選んだら何をされるか分からない。しかし一番端の部屋の写真を見ると、部屋にはなにもなく煉瓦の壁で囲まれているだけだった。
「この部屋にして下さい」そう彩香ちゃんが言うと、有紀はこれでおかしな目には遭わずに済むと思った。
男の顔はマスクで表情が見えなかったが、きっとがっかりしているに違いないと二人は思った。
部屋に入ると、回りの壁には何もなく少し広めの部屋には隅に冷蔵庫が置いてあるだけだった。
二人は覚悟を決めて「じゃあ、お願いしますね」と言って床に座り込んだ。
冷たい床に尻を付いて上を見上げると有紀は大変なものを天井に見つけた。
大きなフックがいくつも天井に取り付けてあり、そのフックには鎖が幾重にも絡まっていた。
さっきの写真では天井が映っていなかっただけで、仕掛けは天井にあったのだ。
男が壁にある戸棚を開けると奧にはスイッチがいくつも並んで居るのが見えた。
手早くスイッチを動かすと、二人の回りに鎖が一斉に降りてきた。このままでは大変な事になると有紀は心の底から寒気がして体が震えてきた。
二人の体は鎖で手足を吊されて宙に浮くまで持ち上げられた。
男は壁の戸棚から鞭を取りだして、ピシッと音を立てて打ち下ろしてきた。
体中が痛みに襲われて気が遠くなる程の時間が過ぎたと思ったとき、やっと男は鞭を置いた。
男は満足げに壁際のスイッチを操作すると鎖がじゃらじゃらと音を立ててゆっくりと二人を床に降ろした。
体が床につくと急に体中の力が抜けて、二人は床に寝ころんだまま起きあがる力も出なかった。
休む間もなく如来棒が二人責め立てると、二人の体は歓喜に打ち震えた。
「おい、いつまでぐづぐづしてるんだ」と男に言われて彩香ちゃんはやっとの事で体を起こすと、服装を確かめて身支度を始めた。
男が部屋を出ようとしたとき彩香ちゃんは男を引き留めると「あの、まだお金もらってません、五万円下さい」とすがりついた。
今更お金なんかくれるはずはないのにと有紀は思ったが、彩香ちゃんはデジカメを買うのにどうしてもお金がいると必死だった。
男は「ブルマー一枚で五万じゃ高すぎる、他になんかないか」とまた図々しいことを言いだした。
二人の体を奪っておきながら、それでもまだブルマーを一枚が五万だと言い続ける男も随分だと思った。
すると彩香ちゃんは「ブルマーをもう一枚差し上げます、一枚五万円のブルマーですよ」と思いつきで馬鹿な事を言い出した。
もう本当に頭が空っぽになっているようで、自分で言ってる事の馬鹿馬鹿しさにも気が付いていないようだった。
これはなんとかしないと思い有紀は「ブルマーよりも、スクール水着がいいんじゃないですか、一枚五万を二枚でどうですか」ととっさに言ってみた。
男の表情がかすかに変わるのを見て、これはなんとかなりそうだと有紀は思った。
すると今度は彩香ちゃんが「そうだアンダースコートなんかいいんじゃないですか、もう大人気ですよアンダースコートは」
「女の子の汗の匂いの染みついたアンダースコートはもう大人気商品なんです」と言うと、男はさらに顔つきがほころんで今度は随分と乗り気な様子だった。
これだったらあと一押しだと思い有紀は「現役の女子高生のテニス部の女の子のアンダースコートですよ、もうこれを見逃したら絶対手に入りませんよ」と彩香ちゃんに調子を合わせて言ってみた。
男はどうにもその手の品には弱味があるようで「そうだな、じゃあアンダースコートにしてもらおうか」と随分と控えめな態度で答えた。
「お金は今すぐ下さい、今すぐ五万円です」と彩香ちゃんは今度は強気で男に迫った。
しかし男は「金はアンダースコートを確かめてからだ」と言ってお金を渡してはくれなかった。
男は少し間をおいてから「おい、明日までにアンダースコートを持ってこなければ、またお仕置きだからな」と脅すような低い声で言った。
彩香ちゃんはその声を聞いて急におびえた目つきになった。
明日までにアンダースコートをなんとかするしかないと有紀は彩香ちゃんと目を合わせて頷いた。
盗まれたアンダースコート
あらすじ
テニス部の部室にアンダースコートを盗みに入ったら、ラグビー部の男の子達に見つかった。野球部が甲子園でられないように壁新聞に記事を書くと約束して見逃してもらった。
翌日授業の後、彩香ちゃんと有紀はこっそり体育館の裏で相談した。
二人ともテニスウェアなど持ってないので、汗の匂いのついたアンダースコートを手に入れるにはテニス部から盗んでくるしか方法はない。
テニス部の練習は今日の午後四時からで、体育館の隣のテニスコートで男女一緒にする予定になっていた。
テニス部の女子の部室には今なら誰もいないはずで、アンダースコートが置いてあるかもしれない。盗むに入るのなら今しかないのは絶対間違いない。
そしてもしアンダースコートを男に渡さなかったら今度はどんな命令が待ち受けているのか分からない。
「やるしかないわ、今しかないのよ」と彩香ちゃんが言うので、二人はひとまず女子の着替え室に入って、ブルマーに着替えることにした。
ブルマー姿なら、テニス部の女の子が練習の途中でなにか取りに部室に戻ったと思われるだろうし、アンダースコートを持っていても怪しまれる事はないというのが彩香ちゃんの意見だった。
昨日男にいつも着ているブルマー渡したので、二人は買ったばかりの新しいブルマーに足を通した。
有紀はまだ体が大人になりきれなくてまだ細い足だが、彩香ちゃんはもうすっかり大人の体で太い腿の肉がブルマーからはみ出していた。
上に着るシャツは白地に襟と袖に赤い縁取りがある学校指定のシャツで胸には大きくクラスと名前が書いてある。
彩香ちゃんは大きな胸がシャツの下から盛り上がって、女の子が見てもすごい迫力だった。
長い髪をゴムで留めて、靴も運動靴に履き替えて二人は着替えを済ませた。
体育館で練習をしているバレー部に見つからないように体育館の裏を通ってテニス部の部室のドアの所までこっそり誰にも見つからずに来れた。
ドアに鍵がかかっていたらどうしようと心配したが、ドア半分開いたままだった。
こっそりドアを開けて中の様子を確かめると誰もいない。
今しかない、そう思って有紀はすばやくテニス部の部室に入ると、彩香ちゃんもすぐ後から回りの様子を確かめたあと部室に入ってドアを閉めた。
練習が終わってテニス部の女の子達が戻るまでにはかなり時間がある。しかし気分が悪くなったりしていつ誰かが戻って来るか分からない。
二人はすばやく部室を見回してみたが、ちょうどいい具合に部室の奧に洗濯の紐が張られていてアンダースコートが2枚干してあった。
これはちょどいいと有紀はすぐにその二枚のアンダースコートを取ろうとして洗濯ハサミを掴んだ。
その時彩香ちゃんが「ねえ、有紀ちゃんそのアンダースコート洗濯してあるんじゃないの」と言いだした。
確かに干してあるということは洗濯してあるから干してあるに違いないと有紀はアンダースコートを手にとって鼻先を近づけて匂いを嗅いでみた。
石鹸の匂いは確かに洗濯したばかりのアンダースコートに違いなさそうだった。
「洗濯してあるアンダースコート持っていったりしたらまたお仕置きされちゃうわよ」
「女子高生の匂いが染みこんだアンダースコートでないと買ってもらえないんだから」と彩香ちゃんが言うので二人はひとまず干してあるアンダースコートは諦めることにした。
こうなればありそうな所を順に調べていくしかない。なんとかして探し出さなければ今度こそ大変な目に遭わされる。
しかしロッカーを一通り開けては調べてみるたが、どうにも汗の染みこんだアンダースコートは見つからなかった。
それでもなんとかしなくしちゃと思ってあちこち探し回っていると引き出しの奧に隠してある汚れたアンダースコートを見つけた。
持っていくにはこれしかない。
アンダースコートを持って部室を出ようとしてドアを開けると、ちょうど目の前に男の子達がドアの向こうに待ち構えているのが見えた。
そろいのジャージーを着た男の子達はラグビー部の男子だった。
まだ練習の途中らしく、ラグビー用の短パンにラガーシャツ姿で体中泥だらけになったまま汗の匂いが立ちこめていた
あわてて彩香ちゃんがドアを閉めようとしたが、男の子達はドアを押しのけてすぐ部室に入ってきた。
「おい、お前らなにやってんだ、そのアンダースコートはなんなんだ」と先頭に立ったラグビー部の部長が怒鳴りつけてきた。
有紀の手にはさっきのアンダースコートが握られたままだった。
彩香ちゃんはとっさになんとか言い訳をしようとしたが「あの、それは」と途中まで言って言葉が続かなかった。
「お前らだな、女子のアンダースコート盗んでる犯人は」
「テニス部の女の子から頼まれたんだ、最近アンダースコートがよくなくなるって」そう言われて彩香ちゃんは訳も分からずに「取材なんです、新聞部の取材なんです」ととっさに言い訳をした。
「お前ら自分達でアンダースコート盗んでそれを記事にするのか」そう言い返えされて彩香ちゃんは返事に困って「お願いなんでもしますから見逃して下さい」と泣き出しそうになりながら叫んだ。
「見逃せる分けないだろう」と男の子が怖い顔で言い返してくると彩香ちゃんは「口でやりますから許して下さい」と必死で言った。
それを聞いて男の子達は急に態度が変わってお互いに顔を見合わせた。
先頭に立った部長がゆっくりとした口調で「そうだな、許してやってもいいぜ」と言うので彩香ちゃんはさっそく部長の前に膝を付いて唇を部長の股間に寄せた。
男なんか簡単よと有紀が思って、ふと口元に笑いが浮かんだ。
それを見た部長は急に「おい、こいつらやっちまえ、この生意気な女、調子にのりやがって」
「こんなことででごまかせると思ってるのか」と大声で怒鳴りつけてきた。
すぐにラグビー部の男の子達は二人を床に押し倒すと、手足をしっかりと押さえつけてきた。
二人を襲う嵐が終わったとき、二人の体は床に倒れ込んだまま動けなかった。
しばらくして「おいお前ら、新聞に載せるニュースが欲しいんだろう」とラグビー部の部長が言いだした。
「ちょうどいいニュースがあるんだぜ、ほら野球部なんだ、内の高校の」
「去年、コンピュータセンターが出来てから、グランドが狭くなって、野球部が週四日練習の割り当てになって、他のクラブは残りの時間をみんなで分けて使ってるんだ」
「今年野球部が甲子園に行けたら、来年からは毎日野球部がグランドを使わせるって校長が約束したんだ」
「そしたら俺たちラグビー部もサッカー部も、グランドを使える日なんかなくなっちまうだろう」
「去年来た新しい野球部の監督は、今年必ず甲子園に出場させると言って、自分の家を合宿所にしてるんだ」
「それに父兄が差し入れしたメロンを生徒に食わせずに自分で食ってるんだぜ」
「父兄の寄付だって何に使われたのかわかりゃしないんだ」
「だけど、噂ばかりじゃ、野球部を潰せないだろう」
「作り話しでもいいからニュースにして壁新聞にして張り出すんだ、そうすれば出場できなくなる」
「なんでもいいから野球部を甲子園に行けなくしてやるんだ」
「それが出来なければお仕置きしてやるからな、今日やったくらいじゃ済まないからな、分かってるんだろうな」と部長はすっかり調子に乗って言いだした。
彩香ちゃんは「なんとかするから、今日のことは内緒にしてね、私達の事は内緒にしていてね」と答えるしかなかった。
体育館で着替えてから鞄にアンダースコートを入れて渋谷の待ち合わせのロッテリアに行くと、男がマスクを付けてまた現れた。
彩香ちゃんが「これは、内のチアリーダーが野球部の監督に処女を奪われたときのアンダースコートで、インターネットでも大人気なんですよ」と口から出任せを言うとなぜか男は身をすくませて驚いた顔をした。
有紀はこのままで済むわけはないと、体が震えそうな気持ちで男が次に言い出す言葉を待った。
きっとなにか言いがかりを付けられてラブホテルに連れ込まれ、またお仕置きをされるに違いないと思って膝が震えるのが止まらなくなった。
男はアンダースコートを鞄にしまうと「こんな物に五万円も払える分けないだろう、いい加減にしろ」と怖い顔で言いだした。
やっぱり言いがかりをつけてお仕置きされるに違いないと有紀が思った瞬間「今すぐパンティー脱いできます」と彩香ちゃんが言った。
今ここでパンティーなんか脱いだらこのままで帰してもらえる訳はない。
だけどそうかと言って何もなしで帰るのもいやだ。
彩香ちゃんはすぐに席を立ってトイレに行った。有紀は自分もパンティーを脱がないといけないんだとすぐに気が付いて彩香ちゃんの後からトイレに入った。
席に戻って、男にパンティーを渡すと「じゃあ、一緒に来てもらおうか」と言いながら男が立ち上がった。
「先にお金下さい」と彩香ちゃんが男を引き留めて、必死で大声だした。
周りにいた店の客がいっせいに男の方に視線を向けていったい何があったのかと不審そうな目で様子を見た。
男はさすがに都合が悪いと思ったのか席に座り直すと、財布からお金をだして彩香ちゃんに渡した。
彩香ちゃんは今度はちゃんとお金をもらえたと得意げな顔だったが、お金をもらっただけですぐ帰れるはずはなかった。
男に促されて二人は席を立つと、階段を上がって上に階に上がった。
歩道橋に通じる出口から外にでると、風が吹き上げてスカートがめくれそうになった。
すこし歩くと歩道橋の先はゲームセンターに通じていた。
きっとまたゲームセンターに行って階段を降りろと命じられるものと思って、二人は歩きながら膝が震えてきた。
少しあるいてゲームセンターの前に来た。
またこの間のと同じに様に下から丸見えの階段を歩かせられるのに間違いない。
有紀はもう立っていられないほど膝が震えて止まらなかった。
だが男はそのまま通り過ぎて大通りの方に向かった。
あれっと思って有紀は彩香ちゃんの方を見た。
彩香ちゃんも、ゲームセンターの階段を降りるとばかり思っていたのか気が抜けた顔で有紀の方を見返した。
歩道橋が高速道路の下の大通りの上をまたがる所を二人は不安な気持ちで男に付いていった。
歩道橋の下には車がたくさん走りすぎていき、風も巻き上げるように吹き上げて二人はスカートの裾を押さえて歩いた。
男は大通りを過ぎると歩道橋の階段を降りていった。
歩道橋の下には薄暗い公園があり男は奧の木立の間に二人を連れ込んだ。
公園の中からは木立の陰になっているが、歩道橋の上から丸見えの場所だった。
二度目の如来棒、それは有紀には天国からの迎えがくる瞬間だった。
体が宙に舞い、繰り返し雲の底まで落ちてはまた高く放り上げられる感触が有紀の体を包み込んだ。
まるで天女になったように宙を舞う体は、もう元には戻れない喜びの虜だった。
スクープ
あらすじ
大浜学院が甲子園に行けなくなったというニュースが伝わって、ラグビー部の部長に怒られた。大浜学院のスキャンダルを探るため信夫君を呼び出して聞き出したが、詳しい事情は判らない。
翌日になって彩香ちゃんが江実矢君に五万円を渡してピックカメラにいってデジカメを買って来てもらうことにした。
江実矢君が出かけている間に、ラグビー部に頼まれた野球部のスキャンダル記事をどうしようかと二人で相談したがいいアイデアは浮かばなかった。
嘘を書いてもすぐばれるような嘘ではしょうがない、なんとか言い逃れが出来ないような嘘の記事をでっち上げようとは思ってもかなかなか思いつかない。
図書館に行くと英会話部の壁新聞が張り出されていて、大浜学院が甲子園出場辞退という記事が大きな文字で書いてあった。
希美ちゃんがどっからニュースを仕入れて来たのかは分からなかったが、大スクープに間違いなかった。
詳しい話しは書いてなかったが、不祥事があって学校側が出場を辞退したと書いてあった。
ちょうどチアリーダーの女の子が一人盲腸で入院して困っているというニュースもあった。
二人がラグビー部の部長に頼まれたのは、自分の学校の立志館学園の野球部を甲子園に行けなくするという企みだった。
しかし大浜学院が甲子園辞退してしまえば、甲子園出場は立志館学園になってしまう。いったいなにがどうなったのか訳が分からなかった。
騒ぎは学校中に伝わったらしくてラグビー部の男の子が壁新聞を読みに集まってくると、今度は彩香ちゃんと有紀の居る新聞部の方にやってきた。
「おい、どうなってるんだ、俺たちが頼んだのは俺たちの学校の野球部だぞ、これじゃ逆さまじゃないか、俺たちの学校の野球部が甲子園にでてどうすんだ」と言われてすっかり困ってしまった。
不祥事ってどんなことなのよと女の子達が噂していて有紀には思い当たることがあった。
あのときブルマーと一緒に「彩香スペシャル」の写真を買ってもらったけれど、もしかしてその写真が大浜学院に送られて「金をよこせ」とでも脅されたのかもしれない。
そう思うと急に怖くなって彩香ちゃんに「ねえあのときの写真のせいじゃないの、きっとそうよ」と聞いてみると彩香ちゃんもやっぱりそうかもしれないと思った様だった。
「そうだ信夫君に聞いてみよう、駅前から電話すればいいわ」と彩香ちゃんが言うのでさっそくコンビニの前で信夫のいる大浜学院の生徒会に電話してみた。
「あ、もしもし、その話しだったら、今朝の新聞に出ていて、内の学校でも大変な騒ぎなんですよ」と信夫君がいうので、やっぱり英会話部の壁新聞は間違いないようだった。
「詳しい話しはまだよく分からないんですけどね、いや、野球部の父兄に誰か裏の事情を知っている人がいるかも知れないので聞いてみましょうか」と信夫君がいうのでともかく事情を調べてもらうことにした。
しばらくたって信夫君から「調べがついたので会って話しがしたいんですけど」と携帯にメールが来た。待ち合わせの場所は前と同じで、渋谷のロッテリア前だった。
約束の時間より少し早めに店の前に付くと、まだ信夫君は来ていない様子だった。
店は混んでいてすぐには空いた席が見つかりそうにないので、二人は店の前で信夫君を待つことにした。
店の前には他にも待ち合わせらしい女の子が数人立っていて、男の子が時々声を掛けていた。
どうも女の子は待ち合わせの振りをして、ナンパ待ちをしているらしいとなんとなく分かってきた。
私達にも声を掛けてくる男の子が居るのかしらとちょっとドキドキした気分で通りを歩く男の子達を眺めていると、人混みのなかに見たことのある男の子達を見つけた。
すこし遠くから通りを歩いてくるのは大浜学院の野球部の男の子達だった。
有紀は慌てて彩香ちゃんの背中をつっついたが彩香ちゃんはちょうど通りがかりの男の子に声をかけられて「カラオケいかない」と誘われている最中だった。
これはまずいと思って彩香ちゃんの手を取って引っ張ろうとしたとき、野球部の男の子達が私達を見つけて近づいてきた。
きっと信夫君が私達のことを野球部に知らせたんだ。
大浜学院が甲子園に行けなくなったのはやっぱりあの「彩香スペシャル」の写真のせいなんだ。
それで野球部の男の子達が仕返しをするために私達を罠にはめたんだと思って有紀は足が震えてきた。
「おい、お前らこんなところで突っ立ってると変な男に声かけらせるぜ、付いていくんじゃねえぞ」と大浜学院の野球部の部長が彩香ちゃんに大声で話しかけた。
彩香ちゃんをカラオケに誘っていた男は野球部の男の子達をみてばつが悪そうに逃げ出してしまった。
彩香ちゃんはせっかく声を掛けられたのに邪魔をされて迷惑そうな顔で振り返った。
声を掛けてきたのが大浜学院の野球部の部長だと判ると、急に彩香ちゃんの顔が引きつって凍り付いた。
そのあと部長が何を言い出すのか有紀は怖くて膝が震えて止まらなかった。
きっとまたこの間みたいにカラオケに連れ込まれて今度は前よりももっと酷い目にあわされるに違いない。
いったいどんな目に遭わされるのだろうかと思っただけで有紀の体は頭のてっぺんまで熱くなった。
次の瞬間には腰の奧が急に熱くなり熱湯が吹き上がるような感触が体の芯から沸いてきた。
だが野球部の男の子達は野球のバットの入った大きな鞄を持ったまま、何も言わずに二人の前を通り過ぎて行こうとした。
どうやら野球部の男の子達はたまたま通りかかっただけらしいと分かって有紀は急に足の力が抜けていった。
「ねえ、あなたたち甲子園に行けなくなったんでしょう」と彩香ちゃんが恐る恐る言うと「監督が何かしでかしたらしくて、俺たちのせいじゃないぜ」
「それよりお前ら余計なこと告げ口するんじゃないぞ、あのときの写真はまだちゃんととってあるんだからな」とまた言われた。
「なによ、写真がばれたら困るのはあなた達でしょう」と彩香ちゃんが食ってかかると「何言ってんだ、お前ら自分からやらせてくれって頼んだからやらせたんじゃないか」とまた言い返された。
そばで待ち合わせをしている女の子が怒鳴り合う二人のやりとりを変な顔をして聞いているので都合が悪いとおもったのか、野球部の男の子達はすぐに遠ざかっていった。
しばらく待っていると信夫君が来るのが見えて二人はほっとした。
「ちょっとここでは話せない事なんですが」と信夫君が言うので近くのカラオケボックスに行くことにした。
受付を済ませて三人でカラオケボックスに入るとさっそく信夫君が「いやはや、大変なことになりまして」
「監督が、その、不純異性交遊というか、児童買春というか、そんなことをしでかしまして」
「どこか他の高校のチアリーダーの女の子が相手でして」
「相手の女の子がですね、交際を断ろうとしたところですね、内の監督がですね」
「学校に写真を送ってやると脅したんですね」
「いやもちろんエッチなことをしている写真ですよ」
「それがね、どうゆうわけか写真が送られて来たのは、私の大浜学院の方でしてね」
「それでまた間の抜けたことに、うちの学校の名前入りのジャージの背中がバッチシ映ってましてね、それを監督用の生徒とは色違いの奴なんです」
「それで校長先生が、監督のロッカーを調べたら、アンダースコートが出てきましてね」
「それも血が付いた、もちろん処女の血ですよね」
「それでまあ、大変お恥ずかしい話しですが、甲子園辞退と言うことで」そう立て板に水で話し終わると信夫君はジュースを一杯のんで一息ついた。
「それで相手の女の子というのは、どこの高校の女の子なのか分かったの」と彩香ちゃんが聞くと「いやそれが、名前を言うとその女の子に迷惑がかかるからということで秘密になっていまして、いろいろ聞いてみたんですがどうにも分からなくて」そこまで言ってまた信夫君がジュースを飲んだ。
これ以上聞いても謎は解けないみたいだし、どうしようかと思っていると「じゃ、話しはそう言うことで」と言って信夫君が席を立とうとした。
「ねえ、ちょっとまってよ、お礼したいんだけど」と彩香ちゃんが言いだした。
「お礼なんてとんでもないことです、いや、妹のブルマーを盗んだ件を秘密にしていただければ」と信夫君が言いながら半分逃げだそうと後ろを向いたとき彩香ちゃんが「ねえあなたフェ×チ×って知ってる」といきなり信夫君の背中にめがけて問いかけた。
有紀はどうして彩香ちゃんがそんな事をいきなりいいだしたのか、理由がすぐに判った。
彩香ちゃんもさっきの大浜学院の男の子達声を掛けられた時、きっとまた酷い目にあわされると思って体が熱くなってしまったのだ。
いったん体に火がついてしまったら、このまま何もせずに大人しく帰れるわけはない。
信夫君でも誰でも良いから、ともかくやりたいことをやらせてもらうしかないのだ。
「めめめ、めっそうもない、そんな事してもらったことないです」と信夫君がひどく慌てた様子で答えるので彩香ちゃんはこれはいいチャンスだと思ったらしく「ねえ、私得意なのよ、やってあげてもいいのよ」甘えた声でねだった。
「そそ、そんなことしてもらっていいんですか」と信夫君がまた慌てて振り向くと彩香ちゃんはもう唇を舌で舐めながら口を半分開いていた。
彩香ちゃんはもうとても我慢しきれなくて、体の火照りをなだめる方法は他に無いのだと有紀にも判った。
彩香ちゃんが信夫君のズボンのベルトを外そうと前屈みになると、ちょうど信夫君の視線からは彩香ちゃんの胸の谷間が見えたらしくて信夫君は顔を真っ赤にしてされるままになてっていた。
信夫君のズボンの前のチャックを下まで降ろすと、彩香ちゃんはズボンを膝の下まで引きずって降ろした。
彩香スペシャルの秘術の前に信夫君は目を白黒させてすぐに昇天した。
遊び慣れた男の子だったら何度でも繰り返し楽ませてくれるのに初めての信夫君ではもう二度目は無理のようだった。
もっと楽しめたらいいのにと思っても信夫君にはとてもこれ以上は期待できそうになかった。
彩香ちゃんも同じ気持ちらしくて、がっかりした様子で信夫君のブリーフを直してズボンを穿かせ直した。
「今日のことは妹には内緒にしておいて下さいね、お願いしますよ」と信夫君が急に真剣な口調で言い出した。
彩香ちゃんはわざと意地悪に「あら、どうして内緒にしないといけないのかしら」と言って信夫君をからかった。
「おお、お願いします、なんでもしますから、なんでもします」と信夫君が必死で頼み込むので彩香ちゃんも笑いながら「そうねえ、内緒にしてあげてもいいわよ」となだめるような口調で答えた。
信夫君はそれで安心したらしくて、鞄を持って帰り支度を始めた。
有紀はこのままじゃ帰れない、もっとなんとかして欲しいと体が疼いたが信夫君が相手ではこれ以上はどうにも成らなかった。
カラオケボックスを出て、信夫君と別れると二人は先に道を急ぐ信夫君の後からゆっくりと歩いた。
誰か誘ってくれたらいいのに、カラオケにでも誘ってくれたら、すぐに楽しめるのにと思って有紀は当たりを見回した。
通りには大勢の女の子や男の子が歩いていたが、二人に声を掛けてくれそうな男の子はすぐには現れなかった。
もう止められない
あらすじ
駅前でナンパされて近くの公園に連れ込まれた所を大浜学院の野球部の男の子達に助けられた。野球部の男の子達に聞いてみると、大浜学院の野球部の監督が交際した相手のチアガールは内の学校の女の子らしい。
なんとなく暇そうにしながら少し歩くと二人は、見たことのあるゲームセンターの前に来た。
壁のおかしな模様を見て、以前来たことのある吹き抜けの階段のあるゲームセンターだと有紀は気が付いた。
あの時パンティーを脱がされて階段を降りさせられた時の感触がいきなり有紀の体によみがえってきた。
膝が中に浮いたように震えると、「おい今すぐパンティー脱ぐんだ、逆らえると思ってるのか」と言う男の声が聞こえて来るような気がした。
だがあの時の男が目の前に現れるはずはなかった。
彩香ちゃんが急に「ねえトイレ寄っていきましょう」と言いだした。
ゲームセンターに入ると、奧のエレベータまで行ってエレベータが降りてくるのを待った。
一番上まで上がると、以前来た休憩室があり奧にはトイレがあった。
有紀には彩香ちゃんが何をするつもりなのかピンときた。
彩香ちゃんが小走りにトイレに駆け込むと、有紀も慌てて後から付いていった。
彩香ちゃんが個室から出てくると手にしているのは、白いパンティーだった。
「やっぱり」と有紀は思ったが、すぐに個室に入ると彩香ちゃんがしたようにパンティーを脱いだ。
トイレを出てあのときの螺旋階段の前まで来ると足が震えてきた。
「私から行くね」と彩香ちゃんが小さい声で言うと、震える足取りでゆっくりと階段を降りていった。
階段の下の一階には、ゲームセンターの客がこちらを見上げるのが分かった。
有紀は大きく息を吸い込むと思い切って階段に足を踏み入れた。その途端に足が震えだして、体中が急に燃え上がるように熱くなった。
吹き抜けの中央にせり出した階段をわざと下から一番よく見える場所を選んで足をゆっくりと動かすと、頭のてっぺんから熱い熱湯を浴びせられたように体が燃え上がった。
階段の下で男の子が話す声がかすかに聞こえたが何と言っているのかは判らなかった。
「あのドスケベ女みろよ、男が欲しくてたまらないんだぜ」と言っているらしい声が有紀の耳に聞こえた気がした。
一歩一歩階段を降りて、夢のような時がすぎると有紀は最後の階段を降りて一階のフロアーに居た。
先についた彩香ちゃんが有紀の方に振り返ると、二人の目が合った。
彩香ちゃんの目は潤んで泣き出しそうになって、まだ体が震えているのが判った。
ようやく気分が落ち着いてきたとき二人組の男性が近づいてきた。
きっとナンパされるんだ「一緒にカラオケ行かないか」と誘われるんだと思って有紀は胸がドキドキしてきた。
誘われたら絶対断らずにどこにでも付いていくんだと心を決めて男の子が話しかけるのを待っていると男の一人が彩香ちゃんに「おい、いくらでやらせるんだ」と声を掛けてきた。
有紀は私達そんなつもりじゃないのに、援助交際だと思われてるんだと判って急に胸が締め付けられるような気持ちで息を飲んだ。
お金なんかもらえない。でも誘われて断れる訳はない。いますぐどこにでも連れていって欲しくて体はうずうずしている。
どうするんだろうと思っていると彩香ちゃんは「五万円です」と蚊の鳴くような声で答えた。
やっぱりそれしかないんだ、援助交際だってなんだっていい、今すぐ気持ちよくさせてもらえればそれが一番なんだと有紀は自分で自分を納得させた。
でも本当に一人五万円ももらえるんだろうかと有紀が思ったとき「二人で五万ならいいぜ」と男が言いだした。
二人で五万じゃちょっと安いんじゃないかしら私達そんなに安っぽく見られたのかしらとがっかりした気持ちで聞いていると、彩香ちゃんは「それでいいです」と小さい声で答えた。
男の一人が財布からお金をだすと「これで五万あるぜ」と数えてから彩香ちゃんに渡した。
これで私達は金で体を買われるんだと思うと有紀はまた胸がドキドキして足が震えてきた。
男達と一緒にゲームセンターを出ようとすると急に横から「おいお前ら、誰に断って商売してるんだ」と声が聞こえた。
声のした方を見ると、髪型がちりぢりにパーマを掛けてサングラスを掛けた男の子が怖い顔で睨み付けていた。
有紀は怖くて背筋が冷たくなった。
彩香ちゃんは怖くて怯えたままどう答えていいのか分からずに黙っていた。
するとまた「おい、お前らどこの店かって聞いてるんだ、勝手に商売なんかされたら困るんだぜ分かってるのか」とまた男の子が低い声で脅かすように言った。
すると彩香ちゃんはとっさに「原口さんの店です」と慌てて答えた。
原口というのはあの、ブルマーを買ってくれた男が電子メールで使っていた名前だ。
どうせそんな名前はデタラメに違いないと有紀は思ったが急に若い男の態度が変わって「あ、失礼しました」と言うと今度は金を渡した男に向かって「どうぞ、たっぷりお楽しみ下さい」と頭を下げた。
彩香ちゃんはなにが何だか分からなくて口を開けたままぽかんとしていたが、男達に手を捕まれてゲームセンターを出た。
「どこにする」と男の一人が彩香ちゃんに聞いた。
「どこのラブホテルにするか」という意味だと有紀にもすぐ分かった。
「この先に公園があるんです」と彩香ちゃんがいうと「あ、あの歩道橋の先の公園か」と男が答えた。
どうやら男もその公園のことはよく知っている様子だった。歩道橋の下の交差点を渡って、あのときの公園まで来ると、高速道路の下の公園は薄暗くて空気も冷たかった。
男達は二人をトイレの側のベンチまで連れてきた。あのときと同じベンチだった。
「じゃあ、やってもらおうか」と二人はズボンの前のチャックを下げて二人並んでベンチに座った。
やっぱり私達お金で買われたから、言われた通りしないといけないんだと有紀は自分に言い聞かせた。
彩香ちゃんはすぐに男の前に跪くと男が拡げた股の間に口を近づけた。
男の子達は遊び慣れた様子で、二人の舌技を楽しむだけ楽しむと「おい、そろそろぶち込んでやろうか」と一人が彩香ちゃんに声をかけた。
「お願いします」と彩香ちゃんが素直な口調で答えると男は「どこがいい、ここじゃいやだろう」と聞いてきた。
有紀は彩香ちゃんが「ラブホテルに連れて行って下さい」と答えるものとばかり思って、二人の会話を聞いていた。
「お願い、待てないの今すぐここでやって」と彩香ちゃんが甘えた声で言うと、男は半分呆れた様子で小さな笑い声を漏らした。
「いつもそこでしてもらってるんです私達」と彩香ちゃんはベンチの後ろの木陰にある銀杏の木を指さした。
彩香ちゃんがベンチから立ち上がろうとしたとき「おい、お前らなにやってんだ」と急に男の子の声が植え込みの奧から聞こえてきた。
いったい誰が声を掛けてきたのだろうと思って声の方を見ると大浜学院の野球部の男の子達だった。
いったいどうしてここが判ったのかすぐには理由が判らなかったが、途中から後を付けられたらしい。
野球部の男の子の持っているバッグにはバットの柄が見えていて、どうもこれは都合が悪いことになったと男はいやな顔をしながら顔をそらせた。
「おい、お前ら、どうしてこんな所にいるんだ」と大浜学院の男の子が声を掛けると、二人の男は急に急ぎ足で公園の出口まで駈けだして行ってしまった。
大浜学院の男の子達が、こっそりと茂みの裏で盗み見していたのは間違いない。このまま余計な事を喋られたらやっかいなことになる。
二人が壁新聞の取材を言い訳にして、援助交際してたなんて話しをされたらそれこそ大変だ。
有紀が心配するより早く「お願い、やらせて、私このままじゃ帰れないの」と急に彩香ちゃんが甘えた声をだした。
「そんなにやりたいならやらせてやるぜ」と男の子が彩香ちゃんの前に立った。
大浜学院の男の子達は最初からそれが目的で、上手い口実を作ろうと二人の後を付けていたようだった。
得意の舌技を繰り出しながら彩香ちゃんが「ところで監督がつき合っていた、相手の女の子って誰なの、教えてくれたら彩香スペシャルやって上げるわよ」と言ってみると、男の子は「あ、お前の学校のチアリーダーの女だとかいう噂だぜ」とすぐに教えてくれた。
「どの女かは知らないけど、もし誰だか分かったらたっぷり可愛がってやるぜ、野球部全員でな」と随分と腹を立てているのが有紀にも分かった。
その時急に街灯のかげが動いて急に人相の悪い男が数人、歩道橋を渡ってこちらに来るのが見えた。
一人はさっきゲームセンターで声をかけてきたちりぢりのパーマ頭の若い男の子のようだった。
「おいまずいぜ」と誰かが言うと野球部の男の子達は足早に公園の裏の出口から駆け出して逃げてしまった。
歩道橋から降りて男達はベンチまで来ると「おいお前ら金だけとって、逃げようとしたそうじゃないか」と急に怒鳴りだした。
さっきの男達が告げ口したのだと二人にはすぐ分かった。
「もらった、金返すんだ」と脅されて彩香ちゃんはさっきもらった五万円を返した。
「おいお前らまだ高校生だろう」
「お前らは学校で勉強してればいいんだ、勝手に商売なんかするんじゃない、さっさと帰れ」
「どうしても、援助交際したいなら、俺たちの店で働いてもいいんだぜ、一晩で十万は稼げる」
「その替わり毎晩五人は客をとってもらうからな」
「どうだ、やる気があるのか、ないならさっさと帰って勉強しろ」と男は怖い顔で畳みかけるように怒鳴りつけてきた。
彩香ちゃんは泣きながら「もう二度としませんから許して下さい」といきなり土下座した。
有紀も慌てて地面に座り込んで、頭を何度も地面にこすりつけた。
「まあ、いいだろう、さっさと帰りな、二度とこんな真似するんじゃないぞ」と捨て台詞を残して男達が去っていく足音が聞こえて、二人はしゃがみ込んだまましばらく動けなかった。
しばらく立って当たりに人影がないのを確かめてから、二人は公園を出て駅まで帰ることにした。
駅までの道を歩きながら、彩香ちゃんと有紀は二人であれこれ考えてみた。
大浜学院が甲子園に出られなければ誰が一番得をするのか、それは我が校の野球部の監督だ。
そして大浜学院の監督がつき合ったは我が校のチアリーダーの女の子だ。そのチアリーダーが誰なのかはまだ分からないが、なにかとんでもない秘密があるに違いない。
それを突き止めればスクープになる。きっと大変な大スクープになるんだと二人は確信した。
チアリーダーのオーディション
あらすじ
応援部でチアリーダーの募集してるのを知った。応援部に入部すればきっと何か秘密を探れるに違いない。英会話部の希美ちゃんもチアリーダーに応募してきたのでオーディションで決めることになった。だけどチアリーダーに選ばれたのは江実矢君だった。
翌日の放課後図書館に行ってみると、希美ちゃんがほかの英会話部の女の子達となにやらひそひそ話しをしていた。
希美ちゃんは、彩香ちゃんと有紀が来たのを見て伏し目がちに図書館から出て行った。
いったい何なんだろうと思って希美ちゃんが見ていた掲示板を確かめると、チアリーダー募集のビラが貼ってあった。
なんでも今度の野球部の試合には、甲子園出場がかかっていてチアリーダーの女の子が足りないから急募するということらしい。
チアリーダーの女の子と言えば、前の壁新聞で盲腸で入院している子が居ると書いてあった。
「そんなに都合よく盲腸になんか成るはずはないのよ、その裏にはまだ隠された謎があるに違いないわ、それを探ればきっとすごいスクープ記事が書けるけるのよ」というのが彩香ちゃんの意見だ。
有紀もそれはもっともだと思って彩香ちゃんと一緒に謎をあれこれ推理してみた。しかしいくら考えても考えただけで謎が解ける訳もなかった。
「この際、私達チアリーダーに応募しましょうよ、そうすればきっと謎が解けると思うの、きっと大変な秘密が隠されてるのよ応援部には」と彩香ちゃんが言いだした。
そんなわけで有紀は彩香ちゃんとチアリーダーの募集に応募することにした。
さっそく応援部の部室にいって「チアリーダーの募集読んだんですけど」と部長に話しを付けようとすると部室にはもう希美ちゃんが、他の英会話部の女の子達と部長を取り囲んでいた。
希美ちゃんが先に応援部にチアリーダーに入れてもらう話しをしていたので、部長は困った顔をしていた。
「応援の上手な方が、チアリーダーにはいいはずでしょう、先着順なんておかしいわよ絶対」と彩香ちゃんが部長に迫った。
希美ちゃんはそんなことさせないとばかりに「私達が先に来たんだから、私達に決めてよね」と言うと部長にしがみつくようにして英会話部の女の子達で回りを取り囲んだ。
部長は女の子達に迫られてさすがに困った様子でマネージャーと相談してオーディションをするといいだした。
一時間後に体育館でダンスのオーディーションをするからそれまでに体操着に着替えてダンスの練習をして置くようにとマネージャーに言われて二人は体育館を出た。
教室に戻って、二人は体操着のブルマーでダンスをすれば男の子は喜ぶはずだと相談した。
「男ってなんでブルマーに弱いのかしらね」と彩香ちゃんは理由がよく分からない様子だったが「ともかくなんでもいいから、オーディションに受かればこっちのものよ」と言ってさっそくブルマーをロッカーから取りだした。
着替えに体育館に行くともう希美ちゃんが着替えをすませて、体育館の鏡の前でダンスの練習をしていた。
英会話部の女の子達はテニス部から借りてきたらしいお揃いのテニスウェア姿だった。
希美ちゃんはさっそく他の女の子達にダンスの振りを教えていたが、足を大きく前にけり出すとプリーツスカートの下のアンダースコートが丸見えになっていた。
あんな格好で恥ずかしくないのかしらと有紀は思ったが、それどころの話しではなかった。
「男の子って、ブルマーよりはやっぱアンダースコートよね、あのひらひらのレースに弱いのよね」と彩香ちゃんが困った顔で独り言のようにつぶやいた。
これではオーディションに負けてしまう、そうしたら大浜学院が甲子園に出られなかった秘密も希美ちゃんに握られてしまう。
こうなったら色気で迫るしかないと、彩香ちゃんは「スクール水着あったわよね、この間の水泳の時間で着たのあれ着ましょうよ、アンダースコートよりはスクール水着の方が絶対男の子は好きなのよ絶対よ」と言いだした。
体育館の更衣室でスクール水着に着替えたが、そのままの格好でオーディションが始まるまで体育館で待っている訳にもいかない。
彩香ちゃんが「そうだ、スクール水着の上にブルマーと体操着を着ましょうよ、そしてさ、踊りながら脱ぐのよこれならもう絶対よ」とすごいアイデアを出した。
有紀もこれなら絶対負けるはずがないと思い二人でスクール水着の上に体操着のシャツとブルマーを着ることにした。
時間前に体育館に行くと、希美ちゃんたちはテニスウェア姿でオーディションが始まるのを待っていた。
ちらっと横目で彩香ちゃんと有紀のブルマー姿を見て、希美ちゃんはもう自分たちがオーディションに受かったように鼻先でせせら笑った。
「私達から先に踊るわね、どうせあなた達は落ちるのは決まってるんだから」と言いながら希美ちゃんは「じゃ、音楽お願いしますね」と応援部のマネージャーに合図をした。
ラジカセから聞こえてきたのはアメリカのダンスミュージックらしいテンポの速い曲だった。
希美ちゃん達は得意そうに手足を動かすと、何度も足を高く蹴り上げてはアンダースコートのレースのひらひらを応援団長に見せつけた。
ダンスが終わると「あんた達に負けるはず無いわよ」という顔つきで、わざとアンダースコートが見えるように膝を立てて座った。
彩香ちゃんもいまに目に物見せてやるという顔つきで「音楽お願いします」とマネージャーに合図した。
音楽に合わせてなんとか体を動かしたが、もともとダンスなど得意でないのでどう見ても希美ちゃん達よりは見劣りがするのは仕方ない。
希美ちゃんも鼻先でせせら笑って、曲が終わるのを待ちかねていた。
ちょうど曲の半分の所まで着たところで彩香ちゃんが「いまよ」と小声で合図した。
彩香ちゃんがブルマーを膝まで脱ぐのが見えると、有紀もあわててブルマーを脱いでマネージャーに放り投げた。
ブルマーがマネージャーの頭にぶつかるとマネージャーは、目の玉が飛び出しそうなくらい驚いて目を見開いていた。
希美ちゃんもなにがあったのか訳がわからないような顔で、目の玉が大きく見開いた。
上に着ていた体操着のシャツも手早く脱ぐと、その下にはスクール水着の紺色が露わになり、白い太股がまぶしいくらいに輝いて見えた。
男の子達の目はまん丸と開いたまま、スクール水着の胸と盛り上がった秘所に釘付けになり点数を付けているエンピツも手から滑り落ちた。
どうみたって胸の大きさは、希美ちゃんよりは彩香ちゃんの方が断然大きい。
こうなればもう音楽なんか関係ない。
両手を胸から腰の当たりを撫で回すように動かしながら、腰を廻すと男の子達はもう目が点になったまま身動きもできずに二人を見つめた。
今度は腰を廻しながら、思い切り後ろに仰け反ってみせると男の子達が瞬きもできずに食ってかかるように彩香ちゃんの秘所に目が張り付いた。
もうこっちのものよという顔で彩香ちゃんが踊るのを見て、希美ちゃんは頭から火がでそう顔だった。
ラジカセの音楽が終わると、希美ちゃんは急に立ち上がって「あんた達何よ、そんなのずるいわよ、そんな手使うなんて」と泣き出しそうになりながら、彩香ちゃんに食ってかかった。
慌てて応援部の部長とマネージャーが間に入ると、今度は希美ちゃんは「こんなのずるいわよ、なんなのよこれ」と部長を突き飛ばした。
半分ひっくり返りそうになりながら、部長は「いや、いや、これはその」と何を言っていいのか分からない言葉を繰り返して口ごもった。
マネージャーの女の子がすぐに気を利かせて「踊りでは決着が付かないということで、次は面接します」と言うと部長の腕を引っ張って希美ちゃんから引き離した。
応援部の部室で、順に面接をすることになり、今度は最初に彩香ちゃんと有紀が部屋に入った。
正面には応援部の部長と、副部長が座っていて、二人は前に置かれた椅子にスクール水着の姿のまま座った。
部長と副部長の視線が、彩香ちゃんの大きな胸に吸い付けられるように注がれるのが見えた。
「それで、どうしてチアリーダーに成りたいんですか」と部長が最初の質問をした。
「私、みんなに喜んでもらいたいんです」と彩香ちゃんが大きな声で答えると、わざと水着の足をすこしだけ左右に拡げた。
部長の眉毛がぴくっと動くのが見えた。
これは上手くいきそうだ、そう思って有紀もわざと姿勢を直すような仕草で腰を捻りながら腿の間を副部長に見えるように拡げた。
今度は副部長の眉がゆがんで、口が半分開いてよだれが出そうになった。
「私、みんなに喜んでもらえるチアリーダーになりたいんです、私どうすれば男の子が喜ぶのかよく知ってます、ホントに喜んでもらいたいんです」とまた思わせぶりな台詞で笑顔を作りながら今度は指先をスクール水着の股間にあてがって、そっと撫で上げた。
「あっ、」という小さなうめき声を彩香ちゃんが口からこぼすと、部長と副部長はもう我慢の限界だった。
「どうすれば、男が喜ぶんですか、何をすれば男が喜ぶんですか」と荒い息で部長が素っ頓狂な声で聞いてきた。
ここぞとばかりに「得意なんです私、口でするのが大好きなんです、得意技は彩香スペシャルです」と彩香ちゃんが精一杯甘えた声で囁いた。
部長と副部長はもうとても我慢しきれなくて、すぐに席を立つと二人の前に立ちはだかった。
彩香ちゃんが得意の秘術を繰り出すと、有紀も負けずに唇すぼめて舌を使った。
副部長の顔を見上げると、もう目の先がどこを見ているのか分からなくなった表情だ。
もうとても我慢出来ない様子で部長は腰を前後に揺すり始めた。
とうとう部長の頭が仰け反って震えながら「もうやめてくれ、もうだめだ」とうめき声を上げた。
「これで、チアーリーディングの面接は二人に決まった」と心の中で確信して有紀は有頂天になった。
二人が部屋からでると、入れ替わりに希美ちゃんともう一人の新聞部の部員の女の子が部屋に入った。
二人ともまださっきのテニスウェア姿のままで、汗がポロシャツに染みこんで下のブラジャーが透けて見えた。
彩香ちゃんは自信たっぷりの顔で、面接が終わるのを待った。しかし希美ちゃんはなかなか部屋から出て来なかった。
面接がそんなに長くかかるわけはないまたきっと希美ちゃんがずるい手管を使って部長をたらし込んで居るに違いないと彩香ちゃんは心配顔になってきた。
「ねえ、ちょっと体育館の裏に回って、様子を見てみましょうよ」と彩香ちゃんが言い出した。
体育館の裏に回ればさっきの部屋の裏口の横の窓まで行ける。窓は磨りガラスだが以前ボールがぶつかってできたひび割れがあり、そこから中がのぞけるはずだ。そう思ったとき有紀はとんでもない事に気が付いた。
きっと希美ちゃん達も、二人が面接をしている時に体育館の裏から覗いていたに違いない。
彩香ちゃんもそれに気が付いたらしくて、急に不安そうに下を向いた。
諦めて体育館に戻ると随分と時間がたってから、希美ちゃん達が面接から戻ってきた。
すこし遅れて応援部の部長が出てくると「面接の結果を発表します」と言って応募者全員を集めた。
合格したのは希美ちゃんだった。
彩香ちゃんはどうにも腹に据えかねた様子で部長を睨み付けたが、部長はわざと顔をそらせて知らん顔をして体育館の天井を見上げた。
希美ちゃんがなにか汚い手を使ったのははっきりしてるが、いったいどんな手を使ったのか見当も付かなかった。
彩香ちゃんは突然、希美ちゃんの前まで歩み寄ると「ちょっとあんた汚い真似してくれたわね」と怒鳴りつけた。
すると希美ちゃんは「あら、汚い真似ってどうゆうことかしらね」と彩香ちゃんに背を向けながら捨て台詞を飛ばした。
あわてて部長と副部長が二人の間に入って、どうにか彩香ちゃんをなだめたが、彩香ちゃんは納得の行かない様子でまだ何か言い足りない顔だった。
急に体育館の入り口が騒がしくなり、応援部のチアーリーディングの女の子達がジャージ姿で大勢押しかけてきた。
なんの騒ぎかしらと思っているとすぐにチアリーディングの練習が始まるらしくて「ちょっとあなた達邪魔だから、その辺にでも下がってよね」と女の子の一人が体育館の隅を顎でしゃくって指し示した。
男の子には強気の彩香ちゃんも、女の子達の集団にはかなわないらしくて大人しく体育館の隅に引っ込んだ。
希美ちゃんはさっそくテニスウェア姿のままでチアリーディングの女の子達と準備運動を始めた。
そのあとすぐにバックフリップの練習をすると言われて急に希美ちゃんは座り込んでしまった。バックフリップというのは四人で手を組んで土台を作って、そこから上に放り上げられた後、宙返りして着地するという大技だった。
「ちょっと早くしてよね」と大柄の三年生の女の子に叱りつけられて「私、できません」と希美ちゃんは泣き出してしまった。
「何いってんのよ、早くしなさいよ」と怒鳴りつけられても希美ちゃんが動かないので、チアリーディングの女の子達は困った顔をして応援部の部長に駆け寄ってきた。
部長はちょうど練習を見に来ていた江実矢君に目をつけて「おい、お前いいからちょっと来い」と呼びつけた。
江実矢君は急に呼ばれて構えていたカメラを降ろすと、なんで呼ばれたんだろうときょとんとした顔をしていた。
彩香ちゃんが「恵美、はやく来るのよ」と叫んだので江実矢君はあわてて女の子達の前まで駆け出してきた。
応援団長の指示で江実矢君を試しに女の子の組んだ腕に乗せて立たせると、女の子達が組んだ腕を上に力一杯押し上げた。
江実矢君の体は真上に放り上げられると、天井近くまで飛んでそのあと、背を伸ばしたままくるっと背中から回るとそのまま頭から下に落ちてきた。
このまま落ちたら大変だ。
希美ちゃんが「キャー」と大きな悲鳴を上げた。
もうだめと有紀が思った瞬間に江実矢君は体育館の床に着く瞬間にくるりと体を回転させて宙返りしてストンと地面に立った。
女の子達は呆気にとられて口を開けたまま見ていたがやがて手を解くと顔一杯に笑みを浮かべて手を叩いた。
「おい、お前に決まりだ、今度の試合ではお前がトップパーソンだ分かったな」と応援団長に言われ江実矢君は困った顔をしていた。
トップパーソンというのは、チアリーディングで一番目立つ花形のポジションだ。
しかし彩香ちゃんが「恵美あんたがやるのよ、あたしの言うことを聞かないとどうなるかわかってるわね」と怒鳴りつけると江実矢君はおびえた様子で頷いた。
結局チアリーダーのオーディションには、江実矢君だけが合格ということになり試合の当日まで練習することになった。
しかしいくら甲子園の応援とはいえ、体育館はほとんどの時間がバレー部やバスケット部で使うので練習時間が足りない。
そこで朝早くに練習をするのだが彩香ちゃんは、きっとなにかニュースにできるような秘密がつかめるに違いないからと言って江実矢君を毎日家まで迎えに言って、一緒に電車に乗って早朝の練習を一緒に見守った。
有紀はちょっとそこまでやることはないと思って「そこまで一緒につき合わなくてもいいんじゃないの」と彩香ちゃんに言ってみた。
彩香ちゃんは「練習で怪我したりしたら困るじゃない。私の為に江実矢君は一生懸命やってくれてるんだから、だから私もいつも側にいて、困った時にはすぐ助けてあげられるようにしてあげるのよ。当たり前のことでしょう」と言って怒った口調で言い返すだけだった。
早朝の通学で痴漢
あらすじ
江実矢君が毎朝痴漢に遭ってると聞いて、有紀も彩香ちゃんと一緒に早朝の地下鉄に乗った。江実矢君が着てるチアリーダーのジャンパーが目印らしい。新聞記者の吉田さんに痴漢の取材に協力して欲しいと頼まれた。
数日たって彩香ちゃんが「ねえ、有紀ちゃんも朝一緒に来てくれないかしら」と言い出した。
どうしてなのかわからずに有紀が「どうして私も朝早くいかないといけないの」と聞くと「それがちょっとね」と言って彩香ちゃんははっきり答えてはくれなかった。
なにか事情がありそうだったが有紀はきっと彩香ちゃんと江実矢君が一緒に仲が良さそうに電車で通ってるのが噂にでもなるのが困るのだと思った。
翌朝彩香ちゃんが江実矢君と一緒に有紀を迎えに来ると、彩香ちゃんは普通の制服姿だったが、江実矢君は体操用の紺のハーフパンツに上は、チアリーディングのジャンパーを着ていた。
もともと女の子用のジャンパーなので、真っ赤な生地に学校のマークが背中に入っていて、サイズは小柄な江実矢君にはちょうどぴったりだった。
三人で電車に乗ると、途中の駅で急に電車が混み始めた。
江実矢君がドアの隅に押し込まれると急にいやな顔をして眉を歪めた。
すると彩香ちゃんが江実矢君の後ろに回って江実矢君に体を寄せた。
そのとき有紀のお尻にへんな感触があった。
すっとくすぐるように微妙な動きでお尻の下を何かが動いている。
きっと鞄がお尻にぶつかっているんだと思ったが急にその動きが小刻みに震えながらスカートの下に入ってきた。
指先が軽くお尻に触るとお尻を下から上へとくすぐるようにしてなぞってきた。
間違いなく痴漢だと思ったとき、急に足が震えてきた。
彩香ちゃんの足も震えているのが、有紀の体に伝わってきた。
有紀は江実矢君が痴漢に狙われて、それを彩香ちゃんが自分の体で守っているのだとやっと気が付いた。
江実矢君の着ているチアリーディングのジャンパーが痴漢の目印になっているようだった。
有紀のお尻を触る指先は今度は小刻みに震えながら、丸く動き始めた。
なんでこんな事されるのと有紀は思ったが、男の指先は有紀の気持ちには関係なく動き続けた。
彩香ちゃんは眉を歪めて必死で堪えていたが、何をされているのかは分からなかった。
電車が止まってやっと駅のホームに降りたとき、有紀は怖くてとても後ろを振り返る勇気はなかった。
ようやく学校の体育館まで江実矢君を送り届けると彩香ちゃんと有紀は体育館の隅でチアリーディングの練習を見学した。
チアリーディングは見た目には簡単そうに見えるが、一人一人にちゃんと役目があり、フォーメーションもいろいろで、それをリーダーの手の合図によって見分けながら素早く動かなければいけない。
位置を間違えたの、手の動きが少し遅れたのと繰り返し何度も怒鳴られながら、女の子達は一生懸命練習を続けていた。
練習も大体終わりに近づいた頃彩香ちゃんが「ねえ、今朝の事だけどね」と重い口を開いた。
「きっとこの前までトップパーソンをしていた恵美ちゃんもね、朝練習の時痴漢にあってたんだと思うの」
「それであのチアリーディングの赤いジャンパーを着ていると痴漢に遭うんだと思うんだけど」
「だけどそれだけじゃないと思うのあたし」
「きっとあの痴漢が、ほかの誰かと関係があって、それが大浜学院の野球部の監督と恵美ちゃんの間の謎を解く鍵じゃないかと思うんだけど」そう言われて確かに彩香ちゃんの言うことももっともな気がした。
この前までチアリーデーディングのトップパートンをしていた恵美ちゃんは今盲腸で入院していることになってる。
もしかしたら盲腸で入院中というのはただの言い訳で何か大事な秘密があるのかもしれない。
とは言う物の朝の電車の痴漢と、大浜学院の野球部の監督の間にすぐには結びつくような関係があるとは有紀には思えなかった。
翌日も三人で早朝電車に乗ったが、やっぱり痴漢は前日と同じように彩香ちゃんと有紀の体を弄んだ。
今度は昨日よりも大胆に指先が動いて、パンティーの中まで指が入ってきた。
後ろから回された手は、有紀のブラジャーの上から胸をこっそりと包むように押さえてきて、有紀は頭が熱くなって目を閉じて必死で我慢した。
待ち伏せされて狙いを付けられているのは間違いなかった。
きっと恵美ちゃんも毎朝痴漢に狙われて待ち伏せされていたのに違いない。
そう思うと彩香ちゃんの言うことも的はずれではないのかもしれないと有紀は思った。
電車を降りると彩香ちゃんはやっと一息付いた様子でスカート直した。
有紀が彩香ちゃんに何か言おうとするとそれより先に彩香ちゃんが有紀の耳元に唇を寄せて囁いた。
「いい、何をされても我慢するのよ、そうすればきっと痴漢も安心してしっぽを出すに違いないから」
「それまで、じっと待つのよ、それしか方法は無いんだから」と彩香ちゃんに言われて、有紀は何も言い返せなかった。
夕方学校から帰ると明日の英語の予習をしたあと有紀はパジャマに着替えてお布団に潜り込んだ。
なんとなくうつぶせになったとき、有紀の携帯にメールが届いた着メロが鳴り出した。
てきっり彩香ちゃんからのメールだと有紀は思ったが、彩香ちゃんのメールなら着メロはミニモニ。のはずだった。
いったい誰からだろうと思って携帯をあけるとメールには「明日パンティーを穿かずに電車に乗れ、そうしないとこの写真を学校に送るぞ」と書いてあった。
一緒に送られてきた写真は、スカートの下を隠し撮りした写真で、有紀が履いていた熊のイラストの入ったパンティーが見えていた。
どうして携帯のアドレスが分かったのか有紀には分からなかったが、もしかして誰かの悪戯かもしれないと思い、彩香ちゃんにメールを送ってみることにした。
「へんなメール来なかった」と試しに送ってみると「来たけど、有紀ちゃんの所にも来たの」とすぐ返事が来た。
やっぱり痴漢が彩香ちゃんにも同じメールを送ったんだとすぐ有紀には分かった。
「それでどうするの」と彩香ちゃんにまたメールを送ると「言われた通りにしてちょうだい、しばらく様子を見ればきっとしっぽを出すから」と返事が来た。
明日朝電車にパンティーを穿かずに乗ったらどんなことになるのか、考えるだけで体が震えてきた。
きっとスカートの下から手を入れられて、直に指を奧まで入れてくるに違いない。そう思っただけで、有紀は急に体が熱くなって止まらなくなった。
翌朝になって学校に出かけるとき、玄関を出ようとして有紀はパンティーを脱いで行けと命令されているのを思い出した。
彩香ちゃんからはパンティーを脱いで電車に乗って何をされるのか確かめようと昨日電子メールで言われた。
きっと彩香ちゃんはパンティーをはかずに今日はやってくる、自分だけパンティー脱がない訳には行かない。
そう思うとそれだけで膝が震えそうになってきた。有紀は部屋に戻って制服のスカートの下のパンティーを脱いで押入に隠した。
彩香ちゃんはいつもと同じ時間に江実矢君と一緒に迎えに来た。
駅までの道を歩き始めようとしたとき彩香ちゃんが一言「脱いできた?」と小さい声で有紀の耳元でささやいた。
江実矢君に気づかれないように有紀はちいさく頷いて返事をした。
駅の階段を上がるとき、有紀は鞄をスカートの後ろに持ち替えたが、それでも足が震えてきた。
電車が入って来ると、いつものように三人で乗客を押しのけるようにしてドアの近くに立った。
しばらくして有紀はスカートの下から手が入れられてくる感触に気が付いた。
きっと指を入れられるに違いない、きっと奧まで指を入れてくるんだそう思って有紀は急に膝が震えだして止まらなくなった。
彩香ちゃんも半分目を閉じて眉をよせいつもとは違う表情で震えてるのが体で伝わって来た。
時が止まったように体が凍り付き、屈辱の儀式が有紀の体を捉えつづけた。
ようやく降りる駅についたとき、彩香ちゃんも有紀も体中が震えだしてほとんど歩けなくなっていた。
駅のホームに降りると、電車のドアはすぐホームから遠ざかって行った。
やっと痴漢から逃れられたんだと思うと有紀は急に体から力が抜けていってしばらくは動けなかった。
ようやく気持ちが落ち着いた頃、三人は駅の改札口を出た。
数歩歩きかけたとき急に目の前に男が進み出て行く手を遮ったので、有紀はどきっとした。
また痴漢なのと思ったとき男が「やあ、君たち久しぶりだね」と声を掛けてきた。
以前渋谷で会ったことのある東日新聞の記者の吉田剛さんだった。
「みんな、元気そうだね」と吉田さんに声を掛けられて、有紀は急に気持ちが楽になった。
なんで吉田さんがこんな所にいるのかは判らなかったが、ともかく吉田さんに会えて良かったと有紀は思った。
「なにか最近変わったことでもないかな」と吉田さんが言いかけると、彩香ちゃんが「今日私痴漢に遭ったんです」と半分泣き出しながら訴えた。
吉田さんは驚いて顔色を変えながら「ほんとう、それは大変だったね」といかにも物わかりがよさそうな態度で彩香ちゃんをなだめた。
「本当なんです、酷いことされたんです」と彩香ちゃんが言うと江実矢君も今朝なにがあったのか事情が飲み込めたらしくて顔色を曇らせた。
すると吉田さんは「その中学生の子も痴漢にあったの、酷いことするんだね」と今度は江実矢君に話しかけようとした。
まずい吉田さんは江実矢君の事を女の子だと思っている、これ以上話したら余計なことまでばれてしまう。
有紀が彩香ちゃんの制服の袖を引っ張ると彩香ちゃんもこれはまずいと気が付いたらしく「今日これからチアーリーディングの朝練なんです、今は時間がないんです」と言って誤魔化した。
吉田さんが「練習はいつ終わるのかな、放課後にでもまた話しを聞かせてもらえないか」と言うので駅前のロッテリアで放課後に会う約束をした。
いつものように朝のチアリーディングの練習を見学してから授業を受けて放課後待ち合わせのロッテリアに行くと吉田さんが待っていた。
彩香ちゃんは席に付くなり「ほんとに凄い痴漢なんです、毎朝なんです」とすぐに吉田さんに話しを始めた。
吉田さんは落ち着いた様子で彩香ちゃんの話を聞いていると「今日の痴漢が一番凄かったのは、どうしてかな」とすこし冷ややかな口調で彩香ちゃんを問いつめた。
彩香ちゃんは一瞬言葉が詰まって固まってしまったが「パンティーはいてなかったからなんです」とやっとの事で答えた。
「そう、じゃあ、今もパンティーはいていないんだね」と吉田さんに念を押されて彩香ちゃんは小さい声で「はい」と答えた。
「それで今朝の痴漢がどんなことしたのかもっと具体的に聞かせてくれないかな」と言われて彩香ちゃんは泣き出しそうになりながら「指を入れられたんです」と答えると吉田さんは「どこに指をいれられたんだ、どこなのかはっきり言うんだ」とまた冷たく命じてきた。
彩香ちゃんが「女の子の一番大事な所です」ですとやっとのことで答えると吉田さんはその答えに満足したようで「君たちね、今度また痴漢からメールが来ると思うんだ」と話しを矛先を変えて来た。
「それも画像つきのメールでね」
「今朝の出来事をスカートの下から隠し撮りした写真をきっと送ってくると思うんだ」
「いや、最近はそうゆう手口の痴漢がいるらしくてね」
「それでね、脅して呼び出すらしいんだ」
「僕も以前から取材をしてるんだけど、呼び出した後どうなるのかなかなか分からなくてね」
「それで取材に協力して欲しいんだ」
「だからつまり、君たちも呼び出されたら、呼び出しに応じて痴漢が何を要求してくるのか確かめて欲しいんだ」
「これもみんな取材なんだ、取材というのはね体当たりでしないと記事なんかかけないんだよ」と説得されて彩香ちゃんはなんだか分からないままに、吉田さんの取材に協力することになった。
夕食の後、宿題を済ませてからお風呂にはいりパジャマに着替えると有紀の携帯にメールが届いた。
吉田さんに言われたとおり昨日の痴漢に会ったところを下からデジカメで撮って痴漢が送ってきたのだった。
やっぱり吉田さんの言った通りだった。
メールには「今すぐ電話しろ」と書いてあり一緒に携帯の番号も書いてあった。
きっと吉田さんが言っていたように、脅して呼び出すのが目的だと有紀にも分かった。
震える指でボタンを押すと急に不安な気持ちが胸一杯に広がり、有紀の心臓は止まりそうになった。
男の声がして「やあ、有紀ちゃんだね」といきなり言われた。
なんで名前を知ってるのと有紀は心臓が急に締め付けられて死にそうなくらいになった。
「どう、毎日痴漢にあって、有紀ちゃんは痴漢に遭うのが好きなんだね」と男の声がして、有紀は「そんなことありません」と思わず言い返した。
「痴漢に遭うのが好きだから、毎晩痴漢にあったときのことを思い出して、いやらしいことしてるんだろう」
「夜寝るとき何してるのか、ちゃんと分かってるんだよ、本当にいやらしい娘だね」と男が勝手に話しを続けた。
「私そんなことしてません」と有紀が小さい声で言い返すと「今だってしてるんだろう、ほら気持ちいいこと、今もしてるんだろう」とまた言われた。
有紀が半分泣き出しそうな声で「してません」とやっとのことで答えると「じゃあ、今すぐ指をパンティーの中に入れるんだ、言うとおりしないと写真を学校に送っちゃうからね」
「こんないやらしい娘が毎日痴漢にあって、毎晩オ×ニ×してるなんて、みんな知ったら驚くよ」と畳みかけるように脅しの言葉が聞こえてきた。
「指先でなぞるんだ、分かってるのかいつもやってるように指を動かすんだよ」と命じられて有紀は逆らったら大変なことになると思い指を花園に押し当てた。
急に体中が熱くなり、いつもとは違う体の反応に有紀は戸惑いを感じた。なんでこんなに気持ちがいいの、いつもより気持ちがいいのってどうしてと思いながら有紀の体が小刻みに震えて止まらなくなった。
頭のてっぺんまで突き抜けるような快感が体中を通り抜けると今度は、目に涙があふれ出して止まらなく成った。
「いいか、明日学校が終わったら渋谷に出てくるんだ」そう命じられて電話は切れた。
しばらく体が落ち着いて来るのを待って、有紀は彩香ちゃんに電話してみた。
彩香ちゃんにも痴漢の男から電話があったらしくて「明日渋谷に行ってみようよ」と話しがまとまった。
翌日は学校の授業が終わったあと、渋谷のロッテリアでシェークを飲みながら二人で誰が来るか確かめようと待っていた。
約束の時間前に携帯に電話があり、これからすぐ来るからと連絡があった。
呼び出されたからはそのままで済むはずはない。
きっとカラオケにでも誘われてそのあとはきっとラブホテルだ。
縛られたりするんだろうか、それとも公園でわざと見られながらさせられるんだろうか。でもその程度の事で済むはずはないし、いったい何をされるんだろうと二人は胸がドキドキしながら痴漢の男が来るのを待った。
しばらくして「君たちが彩香ちゃんと、有紀ちゃんだね」と見かけない若い男性が声をかけてきた。
彩香ちゃんが頷いて返事をすると男はすぐに彩香ちゃんの隣に座った。
コーヒーを一口すすると男は鞄から封筒を出して「いや、君たちお金欲しいだろう」と言うなり一人十万づつ封筒からお金を渡した。
いったい何がなんだか訳が分からなくて、お金を受け取りながら彩香ちゃんは怪訝な顔で有紀を見た。
男はまたコーヒーを一口飲むと、二人の顔をもう一度確かめてから話しを始めた。
「内はインターネット痴漢倶楽部でね」
「あらかじめ目印をインターネットの掲示板に載せてあるから、その女の子に自由に痴漢をしていいという倶楽部なんだ」
「もちろん、いつも君たちが朝あう痴漢はみんな内の倶楽部の客でね」
「ほら、目印にチアーリーディングのジャンパー使ってたからね」
「それで間違えたらしいんだよ、君たちの事を内の倶楽部のバイトの娘だと思ってね」
「もちろん写真を送って脅かすとかいうのも痴漢プレーの内でね」
「本当に脅かしてる訳じゃないんだよ」
「いや、迷惑かけちゃったね、まあこれはお礼ということで取っておいてくれないかね」
「ところで朝の痴漢の男の人なんだけどね、君たちとその援助交際したいっていっててね」
「だけど痴漢倶楽部じゃあ、援助交際まではしないことになってるから。だからね、まあ君たちが援助交際したいなら自分たちで勝手にするのは別に構わないんだけどね」そう言われて彩香ちゃんと有紀は顔を見合わせた。
毎朝痴漢に遭ってそれがきっかけで痴漢につけ狙われてとばかり思いこんでいたのだが、予期していたのとは全然違った展開に二人は頭の中が訳が分からなくなっていた。
「君たちなんだか疲れてるんじゃないか、これ飲んでご覧元気でるから」と男が鞄から小さな瓶を出してきた。
ドリンク剤らしい小さな黒い瓶は漢方薬らしい名前が付いてあった。
彩香ちゃんは男から小瓶を受け取ると何も考えずに口に付け、そのまま全部飲み下した。
有紀はなんだか怪しい飲み物だと思って、口に付けて飲む振りをして、こっそり床にあった観葉植物の鉢植えに中身を捨ててしまった。
「ところで君たち、面白い録音があるけど聞いてみないか」と男が急に言いだした。
有紀が彩香ちゃんの方を見ると、彩香ちゃんもなんのことか分からない様子で有紀の方を見た。
小さなヘッドホンを二人で半分づつ渡されて男がスイッチを入れると急に「もう駄目、駄目」と言う声が耳に響いてきた。
有紀はびっくりしてヘッドホンを耳から外した。
電話でオ×ニ×させられたときの録音だ、それも自分の声に間違いないと気が付いて有紀は彩香ちゃんの方を見た。
彩香ちゃんもびっくりした様子で有紀を見返した。
「どうだい、君たち痴漢倶楽部でアルバイトしてみないか」
「お金欲しいだろう、洋服買ったり、ブランド物のバッグも欲しいだろう」
「朝ちょっとだけ気持ちいいことするだけなんだ」と男が話しを始めると急に彩香ちゃんの目が涙ぐんだ。
男がテーブルの下で、彩香ちゃんの腿の上に手を載せると腿の内側を指先でくすぐるように動かし始めたのが有紀にも判った。
彩香ちゃんは、何度も肩を上下に震わせて息を吐いたあと今度は目を閉じた。
さっき飲んだドリンク剤にはやっぱり変な薬が入ってたんだと有紀は気が付いた。
だからもう彩香ちゃんは何をされても逆らえないんだ。
このままだったら大変なことになると有紀は思ったがどうしていいのか判らなかった。
男は彩香ちゃんの顔色を確かめながら指先をさらにスカートの奧に届くまで入れた。
彩香ちゃんの眉がゆがんで、目を曇らせながらまた涙がこぼれてきた。
「いや、断ったからってこのテープを学校に送ったりはしないよ、そんなことは暴力団のすることだからね」そう男が落ち着き払った様子で話し始めると有紀にはようやく呼び出された理由が分かってきた。
いきなり10万円もお金を渡して、そのあとは言葉巧みに脅かして言うなりにさせてそれでも言うことを聞かなければ、あの変な薬を飲ませてしてまうのだ。
「すぐに返事しないといけませんか」と有紀が恐る恐る聞いてみた。
「いや、すぐでなくてもいいんだよ、返事はいつでもいいんだ」
「だけど、また痴漢に遭うかもしれないけど、その時は我慢してくれないか、なにお金はまたちゃんと払うから」と男に言われて二人は返事に困った。
有紀はどう返事していいのか分からずに黙り込むと、彩香ちゃんが「分かりました、痴漢は我慢します」と蚊の鳴くような声で返事をした。
そんなことしたら、援助交際までさせらせると有紀は急に怖くなった。
「あとのことは、ともかく考えさせて下さい」と有紀がなんとか答えると男は別に困った様子もなく「じゃあ、今日はこのくらいにしておこうか」と言って席を立った。
なんとかその場は切り抜けられたと思って、有紀は彩香ちゃんを無理やり立たせると二人はロッテリアを出た。
思いもよらない展開になって、彩香ちゃんは何がなんだかわからないと言った様子だった。
しかしそれでも痴漢倶楽部というすごい取材が出来たのは収穫だった。
チアリーディングのトップパーソンをしていた恵美ちゃんも同じような手口で「痴漢」のアルバイトに誘われて援助交際をして、そのお客が大浜学院の監督らしいとまでは分かってきた。
とはいうものの、そんなにうまく偶然の出来事が重なる訳もなく、裏で糸を引いて操っている人物が誰なのかは見当が付かなかった。
大通りまで出ると彩香ちゃんが「悪いけど先に帰っててくれない、私今日のこと吉田さんに報告するから、吉田さんが近くで待ってるの」と言いだした。
有紀は吉田さんが一緒なら安心と思って、先に帰ることにした。
翌日の朝学校に行く途中で彩香ちゃんが「昨日吉田さんにね、今度はその痴漢と援助交際というのをやってくれって頼まれたんだけど」と有紀に報告した。
もしかして彩香ちゃんはもうこっそり援助交際をしているのではと有紀は心配な気持ちになった。
「だけどそんなこと頼まれたって、出来るわけないわよね」と彩香ちゃんが言うので、有紀は少しだけ安心した。
電車に乗るとき前日ロッテリアで「痴漢にあっても我慢してくれないか」と言われた事を思い出して有紀は不安な気持ちだった。
だけど不思議なことにその日は痴漢に遭うこともなく、次の日もその次の日も痴漢は現れなかった。
決勝戦に勝って甲子園出場
あらすじ
大浜学院が出場を辞退したおかげで、立志館学園の野球部は決勝戦に勝って甲子園出場を決めた。祝勝会の帰りに大浜学院の男の子達に見つかって逃げ込んだ先はビデオチャット倶楽部の個室。店で働けと脅されてもう逃げられない。
甲子園に出場が決まる最後の試合が近づくと、今年はいつも甲子園に出ている大浜学院が出場辞退しているので、今年は立志館学園が出場できるに違いないと学校中が期待で一杯になってきた。
グランドも野球部が優先的に使うようになり、ラグビー部とサッカー部はグランドの隅で柔軟体操をするくらいしか割り当てはなくなってしまった。
ラグビー部とサッカー部の男の子達は酷く怒っていたが、とてもそんなことを学校で言える雰囲気ではなかった。
いよいよ後一週間で出場が決まるという時に、彩香ちゃんと有紀は昼休みに応援部の部長にに呼び出された。
応援部の部室に行ってみると、希美ちゃんも来ていてなんだかいやな雰囲気だった。
「さて、話しというのはチアリーダーのことなんだけどね」
「今年は甲子園に行けそうだというのでね、父兄がお金を出し合って応援団のお揃いの衣装を揃えてくれることになってね」
「それでチアガールの人数分、チアリーダーの衣装を新調することになってね」
「それでまあ、人数分作ってくれるというので、人数は多い方がいいからね」
「それでなんと言うのか、今から練習しても間に合わないのは分かってるんだ」
「だから衣装着て、立ってるだけでいいからメンバーに成ってくれないかな」
「いや、オーディションなんかやって断っておいてなんだけど」と言いだした。
こんなことなら最初っからオーディションなんかやること無かったのにと彩香ちゃんはすっかりご機嫌斜めで、希美ちゃんと一緒になって「今頃何いいだすのよ」と部長に食ってかかった。
部長は二人に責められてすっかり困り果てて何度も頭を下げてなんとかその場を切り抜けようとした。
しかし彩香ちゃんと希美ちゃんの怒りはすぐには収まりそうになかった。
「そうだこうしよう、応援にはブラスバンド部も出るんだけどね、その指揮をするのに、バトンを使って踊りながら指揮をする女の子が必要なんだ」
「今までは、ブラスバンドの子が陰でこっそり指揮してたんだけどね」
「それじゃあ、見栄えが悪いから、チアリーダーの女の子がバトンを持って指揮をしてくれと頼まれてるんだ」
「二人にはそれをやってもらおう、ほら疲れるから交代でやるんだ」
「もちろん指揮だからね、衣装も特別に豪華で、襟に金のモールが着いた超豪華な衣装なんだ、バトンも宝石がついた超豪華なブランドものでね」となんとか二人を言いくるめた。
ブランド物のバトンなどあるはずもないが、彩香ちゃんと希美ちゃんはそれでひとまず納得したので、部長はやれやれと一息付いた。
試合の前日に注文していた衣装がやっと届いた。
開けてみると、随分と高かったらしくて豪華な衣装だったのでチアリーダーの女の子達は大喜びだった。
試合の当日は市営の競技場に朝早くから行くことになり、ひとまず駅前に応援団が集まってまとまって行く手はずだった。
競技場では衣装を着替える場所がないので、みなジャージの下に応援団の衣装を着てくることになっていた。
男の子は学生服姿で、大きな学校の旗と応援団の旗を持つと随分と重たそうだった。
競技場に着いてみると、甲子園行きが決まる試合なので、テレビの中継車が来ていて、父兄もいい席を取るために早めに集まっていた。
まだ試合開始までずいぶんと時間があるのに、ブラスバンド部はさっそく楽器を取りだして演奏を始めた。
対戦相手の高校もこの試合で勝てば甲子園なので張り切って応援の練習を始めた。
彩香ちゃんがさっそくバトンを取りだして、くるくる回す練習を始めると新聞記者の吉田剛さんも取材に来ていて彩香ちゃんに話し掛けてきた。
「いや、今日の試合は勝てるといいね、応援してるよ」と吉田さんに言われて彩香ちゃんも嬉しそうに「頑張ります」と答えた。
「ところでさ、何か噂でもいいから聞いたこと無いかな、監督の事とか、応援団の事とか」
「ほら、父兄が集めた寄付金の事とか何でもいいから」と吉田さんに聞かれて「この衣装は父兄の寄付金で買ったんだそうですよ」と彩香ちゃんが答えた。
「ふうんそうなんだ他にはないのかな、ほら応援団だと女の子もいるからセクハラとかよくあるだろう、監督にセクハラされたとか」となんだ変な事を聞き出そうとしているみたいなので、彩香ちゃんは「私よく知らないので団長に聞いて下さい」と中途半端に答えた。
吉田さんのあとには、今度はテレビカメラを肩に担いだテレビ局の人が来て、父兄にインタビューをしたあと応援団長の所にもインタビューに来た。
チアリーダーの女の子達が一斉にジャージを脱いで、チアリーディングの衣装でテレビカメラの前に立つと、彩香ちゃんも慌ててジャージを脱いだ。
急いでテレビカメラの前に集まると、彩香ちゃんは江実矢君の衣装を見てびっくりして目を丸くした。
江実矢君が身につけていたのは女の子用のチアリーディングの衣装で、ひだひだの真っ赤なプリーツスカート姿だったのだ。
きっとスカートの下にはひらひらのレースのアンダースコートも穿いてるに違いない。
髪の毛は左右に分けて後ろで結んで、真っ赤な口紅に頬にはうっすらとピンクの頬紅まで付けている。
小柄な江実矢君は一目見た感じでは、中学生の女の子くらいにしか見えなかった。
テレビのアナウンサーも江実矢君の事をすっかり女の子だと思った様子で、今日は応援頑張って下さいと激励していた。
応援団長にマイクが向けられると「うちには秘密兵器がありますから最後には秘密兵器で勝ちます」とアナウンサーに答えていた。
秘密兵器ってなんのことだろうと有紀は思ったが、団長が何のことを言ってるのかは見当も付かなかった。
いよいよ試合が始まると、スタンドは緊張した雰囲気で、声を合わせて応援を始めた。試合は立ち上がりにピッチャーが打たれて初回に二点とられてしまった。
有紀は彩香ちゃんと交代で、ブラスバンドの指揮をしながら手の空いている時間にはデジカメで試合の様子を撮影した。
選手だけでなく応援に来ている観客も撮影したほうがいいと思ってデジカメをスタンドに向けると、相手側の応援席にどこかで見た男と子達が居た。
大浜学院の野球部の男の子達だ。
もう甲子園には出場辞退したのになんで大浜学院の男の子達が試合を見に来ているのか、理由は分からなかった。
カメラを今度は自分たちの応援席に向けるとチアリーダーのトップパートンをしていた恵美ちゃんのお母さんが来ているのが目に入った。
恵美ちゃんはあれから学校を休んだままだ。
どうしてお母さんだけ応援に来ているのだろうと思って、望遠ズームの倍率を上げてみた。
恵美ちゃんのお母さんは超ミニスカート姿だったがどうも変だ。
有紀はデジカメのズーム倍率を最大の20倍に上げてみた。
すると恵美ちゃんのお母さんがミニスカートの下にパンティーを穿いていないのがデジカメではっきり見えた。
監督がこちらを向いて手を振ると、恵美ちゃんのお母さんも手を振り返していた。
どうもへんだ、いくら恵美ちゃんのお母さんとはいえ、監督とそんなに仲がいいはずはない。
なんだか変だ、いったいどうゆう事なんだろう思いながら、有紀はまた交代でブラスバンドの指揮をした。
試合初回の得点の後はかなりの接戦でチャンスでも両チームはなかなか得点できなかった。
向かい側のスタンドでもやっぱり応援がすごくて、こちらもそれに負けずに応援をするとまるで応援合戦の様になってきた。
しかし、八回の裏に一点を返して逆転の望みを繋いだ。
九回裏にツーアウト、ランナー一二塁で最後のバッターになりカウントもツーストライクノーボールと追い込まれた。
もう一球空振りすれば試合は終わりで甲子園出場もなくなる。
有紀はドキドキしながら彩香ちゃんと応援の声を張り上げた。
投手が次のボールを投げようとすると、外野スタンドから応援部の男の子がハンカチを振って合図をした。
球の握りを見て、次が直球だと合図をしてきたのだ。
すると応援団の団長が両手を高く上げた。
それを見て女の子達はすばやく四人集まって手を組んだ。
その上に江実矢君が乗ると団長の「恵美、行け」の声と同時に、勢いをつけて高く飛び上がった。
その頂点で足を左右に一杯に開くと後ろ回りに背をそらせた。
いくら男の子が付けているとはいえ、ひらひらのレース模様のアンダースコートはお色気満点だ。
投手の手からボールが離れる瞬間に相手チームの投手の目が、アンダースコートの白いレースに注がれた。
その次の瞬間にはカーンと甲高い音がしてボールが高く飛び上がると、どこまでも飛んでいって場外ホームランになった。
球を投げた投手は、まずいことをしたと顔がゆがんだ。
応援団の団長が言っていた秘密兵器とはこの事だったのだ。
だから、宙返りができるトップパーソンが絶対必要だったのだ。
応援団が歓声をあげると、ベンチから選手達が一斉に飛び出してきて監督の胴上げが始まった。
チアリーディングの女の子達も一斉にグランドに駆け出した。
胴上げが終わると、グランドの前で記念写真をとってから今度はスタンドに集まって応援団と写真を撮った。
一通り騒ぎも収まると甲子園出場の祝勝会に会場が移ることになった。
会場は渋谷の居酒屋で、高校生なのに居酒屋に入ってもいいのかしらと思ったが、祝勝会で父兄が予約していたので女の子達もチアリーダーの服装のまま何事もなく入れた。
新聞記者の吉田さんも取材の為に一緒に付いてきて、カメラを取りだして祝勝会の様子を撮影し始めた。
最初に監督が挨拶をして、乾杯の音頭を取った。
恵美ちゃんのお母さんもいつの間にか他の父兄の間に座っていた。
吉田さんのカメラのフラッシュが光ると、他にもカメラを持ってきた父兄がフラッシュをたいた。
宴会が始まると、さっそく父兄達がビールをあけてまず監督に勧めた。
そのあと選手達にもビールが勧められたのでびっくりしたが、校長先生もなにも言わなかった。
何度も繰り返し校歌を歌ったり応援歌を歌ったりしてやっとお開きの時間になった。
男の子達は興奮してそのうえ飲み慣れないお酒も飲んでほとんど歩けないくらいだった。
いつの間にか監督は先に店を出た様子で、恵美ちゃんのお母さんも見当たらなかった。
店を出て駅に行こうとするとすぐ前に見かけたことのある男の子達が居るのが見えた。
大浜学院の野球部の男の子達だった。
彩香ちゃんも男の子達に気が付いて「あいつらなんなんだろう、なんで待ち伏せしてるんだろう」と言いだした。
「きっと江実矢君のこと狙ってるんだわ、チアリーダーのトップパーソンしてた恵美ちゃんのせいであいつら甲子園に行けなくなったんだから」
「それで江実矢君の事をトップパーソンしてた恵美ちゃんと思いこんで、狙ってるのよ。そうに違いないわ」そう言われて有紀も江実矢君が狙われているのは間違いない気がした。
彩香ちゃんは、ほかのチアリーダーの女の子達の後から駅に行こうとしている江実矢君の腕を掴んで、駅とは反対側に引っ張ってなんとか逃げ出そうと歩き始めた。
するとやっぱり大浜学院の野球部の男の子達がこちらに向かって来るのが見えた。
有紀は慌てて江実矢君の反対側の腕を取って一緒に歩き始めた。
しばらく歩くと見覚えのある建物の前に出た。
何度か来たことのあるゲームセンターだ。
ここで階段を上がると上の階から歩道橋に出られる。
有紀は「ねえここで二手に分かれましょう、私達はゲームセンターで時間を稼いで、その間に江実矢君を上の歩道橋から逃がすのよ」と彩香ちゃんに思いついたアイデアを話した。
彩香ちゃんもそれなら上手くいくと思ったのか、すぐにゲームセンターに江実矢君に連れ込んだ。
中央にある階段を江実矢君が登っていくと、短いスカートの下からアンダースコートのレースが丸見えになって、近くにいた男の子達の目が一斉に注がれた。
江実矢君は困った様子だったが、そんなことを気にしている場合ではなかった。
なんとか上まで登り切るとすぐに、歩道橋への出口へと急いで駆け出した。
これでなんとなる。あとは大浜学院の野球部の男の子達を引きつけておいてなんとかすればいいだけだと有紀が自分に言い聞かせた時、階段を上に上がっていく女性が目に入った。
超ミニスカートの下からは黒い茂みが見えて、くっきりと視線に焼き付いた。
恵美ちゃんのお母さんだ。
何で恵美ちゃんのお母さんがこんな所に居るのか訳が分からなかったが、そんな事を考えている暇はなかった。
「二手に分かれるのよ、ぎりぎりまで引きつけて二手に分かれたらきっと江実矢君が上に逃げたのには気づかれないわ」と彩香ちゃんが慌てた声で有紀に言った。
すぐ入り口に男の子達の姿が見えたとき、彩香ちゃんはゲームセンターの裏口に駆け出していった。
有紀はすぐに正面入り口から少し横の出入口から出ようとした。
だが男の子が有紀の出ようとした出入口からゲームセンターの中に入ってくるのが先だった。
行く場所がない、このままでは捕まる。
有紀はゲームセンター中央の階段に駆け寄ると必死で階段を駆け上がった。
男の子達の「おい、居たぞ」と言う声が聞こえて、下から階段を大勢で上がってくる足音が聞こえた。
二階まで上がると有紀は階段からフロアに降りて、トイレに駆け込めばいいと思った。
トイレのマークを目で探してフロアを走ったがトイレには見当たらない。
これはまずいと思って有紀はどこでもいいから、手近なドアを開けた。
開いたドアから部屋の中に飛び込むと、ドアを閉めてからゆっくりと部屋の様子を確かめた。
狭い部屋には正面にパソコンがあり一人用のリクライニングシートに座った男がパソコンを操作していた。
男は有紀の方にシート廻して向き直ると有紀の服装をつま先から頭のてっぺんまで確かめてから「困るなあ、セーラー服にしてくれって言ったじゃないか」と言いだした。
有紀はいったい何の事か判らなかったがひとまず誤魔化せばいいと思って「すいません」とだけ言って男の返事を待った。
男は「ちょっと来てくれる」と言って有紀を椅子の側に呼び寄せた。
いきなり有紀のスカートをめくり上げると「困るなー、下はブルマーでなくちゃ」とまた訳の分からないことを言いだした。
有紀はスカートの下に履いたレース模様のアンダースコートを見られて恥ずかしくなって思わず飛び退いた。
「悪いけど着替えてきてくれるかな、セーラー服にブルマーでなきゃだめだからね」と男に言われて有紀はともかく時間を稼がなければいけないと「すみません、今日はこれじゃだめですか」と言ってみた。
男の不満そうな顔を見て有紀はくるりと一回りして応援団のバトントワリングの衣装を見せて男の機嫌を取ろうとしてみた。
可愛らしいミニのプリーツスカートの裾が広がって宙に舞うのを見たらきっと気に入って貰えるに違いないと思ったがどうも駄目らしい。
男は口を膨らまして怒り出すと「何いってるんだ、注文通りでなければ駄目に決まってるだろう、わざわざ金払ってるんだから」と言いだした。
どうも変だ、きっと何かあると有紀は気が付いた。
いろいろ聞いてみたほうが良さそうだと有紀は何を聞こうかと思って少し黙り込んだ。
すると後ろでドアが開いて「お待たせしました」という女の子の声がした。
振り返って見ると女子高生のセーラー服を着た女の子がドアを開けて中に入ってきた。
セーラー服のスカートは中に履いた紺のブルマーが丸見えになるくらいに短くて、一目で普通の女子高生ではないと有紀にも分かった。
女の子は有紀に気が付くと怪訝な顔で「ここ205号室ですよね」と男に確かめた。
「あ、この娘ね、部屋を間違えたらしいんだ、じゃあ行こうか」と言うと男は女子高生の手を取って部屋から出て行ってしまった。
部屋に一人残された有紀は今のはいったいなんだったのかしらと不思議に思った。
男が操作していたパソコンはまだ付けっぱなしになっていて、パソコンの画面には女の子が数人映っていた。
パソコンの画面に映っている女の子達はセーラー服を着ていたり、エプロン姿だったりといろいろな服装で画面に映っている。
女の子の顔が動くのを見て有紀は男がビデオチャットをしていたのだと判った。
どうもビデオチャットの相手を呼び出せる仕掛けになっているらしい。
男が女の子を呼び出すと言えばやることはもう決まっている。
このゲームセンターは、見たところは二階が漫画喫茶の個室になってはいるが実際はビデオチャットで相手を選べるデートクラブなんだと有紀は思いを巡らした。
だとすればきっと恵美ちゃんのお母さんもここでつき合う男を捜しているのに違いない。
有紀は画面に映った女の子の顔を一人一人確かめてみた。
女の子達はみなまだ女子高生くらいの年頃で、恵美ちゃんのお母さんの年代の女性は見当たらない。
有紀はよくよくパソコンの画面の表示を確かめてみた。
すると人妻というタグが画面の端に付いていた。
きっとこれだと思って有紀が「人妻」のタグをクリックしてみると画面が替わった。
数人の女性が画面に映っていて、相手の男性が話し掛けてくるのを待っている様子だった。
二番目の画面に映っているのは確かにさっき見かけた恵美ちゃんのお母さんだった。
やっぱり恵美ちゃんのお母さんはここで男とつき合ってるんだと判って有紀は胸がドキドキしてきた。
有紀はきっと恵美ちゃんのお母さんがなにか弱味を握られてそれで脅されてここで働かされてるんだと思った。
そうしか考えられない、ほかに理由があるわけない。
だったら、あの新聞記者の吉田剛さんに相談すればきっとなんとかしてもらえる。
有紀は思いきって、マウスのカーソルを恵美ちゃんのお母さんの画面に動かしてクリックしてみた。
画面が切り替わると恵美ちゃんのお母さんの顔が大写しになり、ビデオチャットのモードに入ったらしいと判った。
「ねえ、恵美ちゃんのお母さんでしょう」と有紀は大きな声で話し掛けてみた。
画面に映った恵美ちゃんのお母さんは急に驚いた表情で「あれ、有紀ちゃんどうしてここに居るの」と応じてきた。
「今すぐ会えませんか、知り合いに新聞記者が居るんです、事情を話してくれればきっとなんとかしてくれると思うんです」と有紀が早口で言うと恵美ちゃんのお母さんは「じゃあ、いま隣のホテルの309号室が空いてるから来てくれないかしら、聞きたいこと何でも話してあげるからすぐ来てね」と返事をしてくれた。
有紀は部屋を出ると隣のラブホテルへ通じる非常階段から3階に上がって、309号室を探した。
順番に部屋の番号を探して309号室を見つけるとドアのノブを廻してみた。
鍵はかかっていない。
静かにドアの隙間から部屋にはいると、明かりのついていない部屋には奧に人影があった。
部屋にルームランプの薄明かりが付くと、恵美ちゃんのお母さんが「来てくれたのね」とれしそうに顔をほころばせて微笑んだ。
「ねえ、ちょっとこっちに来て」と言われて有紀がベッドの脇に腰掛けると恵美ちゃんのお母さんが「ねえ、ちょっといいから、ここに俯せになってくれない」と有紀をベッドの端に押し倒した。
床に膝をついたまま有紀がベッドに横向きに上半身を載せると「ねえ、ちょっと腕を後ろにしてね」と言って有紀の両腕を掴んで後ろで組むと手にしていたストッキングで素早く縛り上げた。
有紀は恵美ちゃんのお母さんの意図が分からなくてされるままになっているだけだった。
有紀が動けなくなったの確かめると恵美ちゃんのお母さんはゆっくりとした口調で話しを始めた。
「ねえ、私ねこの店で働いてるの」
「ここはデートクラブでね、女の子とお客さんがビデオチャットしてね、それでお客さんが女の子を選ぶ仕組みになっていてね」
「一応はテレクラみたいにね、シロートの女の子が自分からビデオチャットに出てるってことになってるんだけどね」
「ほら、そうしないといろいろ都合が悪いでしょう」
「だけど実際はほとんど全部店の女の子なのよね」
「もちろんシロートの女の子がたまたま店でビデオチャットしてナンパされたりすることもあるんだけどね」
「まあ、そうゆう訳なの」と聞いて有紀は「私、知り合いに新聞記者がいるんです、今の話し全部します。そうすればもうこんな店で働いたりしなくていいんです」と縛られたままの格好で後ろを向いて話した。
きっと恵美ちゃんのお母さんも喜んでくれると信じて「もう大丈夫ですよ」と畳みかけるように大きな声で叫んだ。
しかし恵美ちゃんのお母さんは眉をすこしつり上げた表情で有紀を見つめると「そうゆうことしてくれなくなくて良いのよ有紀ちゃん」と冷たい口調で言い放った。
「あなたも、今日からこの店で働くの、だからそんなことしなくて良いのよ」と言われて有紀は急に体に寒気がしてきた。
「いいから、このままじっとしてるのよ」と言って奧のドアまで行くドアから男が出てきた。
その顔みて有紀はあまりの驚きに息を飲んだ。
さっきまで会場で宴会をしていた野球部の監督だ。
いったいどうなっているんだろうと有紀は訳が分からなかった。
監督がこの店の客で来てビデオチャットをしていて、恵美ちゃんのお母さんとつき合うようになったんだろうか。
チアリーダーのトップパーソンをしていた恵美ちゃんもこの店で働いていて、それで客で来た大浜学院の監督と援助交際をして、それを誰かに密告されたんだろうか。
だけどなんで恵美ちゃんと、恵美ちゃんのお母さんまでこの店で働いてるんだろう。
「ねえ、この店ではね、店で働く女の子を紹介するとお金をもらえるのよ」
「私が有紀ちゃんを紹介すると十万円もらえるの、それも毎月よ」
「だから有紀ちゃんにはちゃんとこの店で働いてもらわないと困るのよ」
「私をこの店に紹介したのはね、監督さんなの、監督さんはその半分の5万毎月もらえるの」
「ねえ、いい商売でしょう」と恵美ちゃんのお母さんが、店の仕組み得意げな口調で説明してくれた。
なるほどそうゆうことなのか聞きながら有紀はすごいアイデアを思いついた。
「私も女の子紹介したいんです、いますぐ来てもらっていいですか」と言ってみると監督が「ああ、いいよ。今呼んですぐくるなら早いほうが良いぜ。お前も金が欲しいんだろう」と平然と答えた。
監督が有紀のバッグから携帯電話をだすと有紀は彩香ちゃんの番号を押してもらった。
彩香ちゃんがすぐに携帯に出た。
「ねえ、私だけど、すぐ来てくれない、吉田さんも一緒にね、彩香スペシャルやりにきてね」と早口で言うと彩香ちゃんは「わかったわ、待ってて、すぐ行くから」と返事をくれた。
監督がすぐに有紀の口元から携帯を取り上げたので、話しはそれ以上は続けられなかった。
きっと彩香ちゃんは有紀が言った「彩香スペシャルやりにきてね」という言葉に男の人と一緒だと気づいたはずだ。
察しのいい彩香ちゃんだったら、いま援助交際を迫られてると分かるはずだから吉田さんと一緒に助けに来てくれるに違いないと有紀は期待した。
三度目の如来棒
あらすじ
彩香ちゃんが吉田さんと助けにきたけど、吉田さんは監督と最初からぐるだった。江実矢君が女の子の振りをしてビデオチャットをしてるので慌てて逃がしたけど、今度は彩香ちゃんと有紀がお仕置きをされてしまう。
監督は有紀から取り上げた携帯をしまうと、暇そうにしながら冷蔵庫からビールを取りだした。
冷たい表情で笑顔をうかべながら、監督はビールを口にしながら有紀の様子を見張り続けた。
すぐにドアを叩く音が聞こえて「私です」と彩香ちゃんが小声で言うのが聞こえた。
なんだか来るのが随分早い。まだ近くに居たのかしらと有紀はちょっと不安になった。
監督がドアを開けるとバトントワリングの真っ赤な衣装のまま彩香ちゃんが部屋に入ってきた。
そのすぐ後から新聞記者の吉田さんも部屋に入り込んできた。
これで助かった吉田さんに全部報告すればあとは吉田さんがなんとかしてくれると有紀は気持ちが一気に楽になった。
「ねえ、彩香ちゃん。私いま援助交際しろって脅されてるの」
「ここは、ビデオチャットで交際相手を見つける、援助交際のクラブなのよ」
「監督がお金欲しさに、恵美ちゃんのお母さんをここで働かせてるの」
「ね、すごいニュースでしょ、吉田さんに記事にしてもらって」と有紀は一気にまくし立てた。
ようやく話し終わって有紀が一息つくと今度は彩香ちゃんが落ち着いた口調で話しを始めた。
「ねえ、有紀ちゃんの言ってることは間違ってるわ」
「ここは援助交際のクラブなんかじゃないの、ただ友達が欲しい男の子や女の子がビデオチャットしに来てるだけなのよ」
「それにね、誰も脅されたりしてないの」
「みんな、友達が欲しくて、遊び相手を見つけに自分から進んでビデオチャットをしてるの」
「ここには脅かされてる人なんか一人もいないのよ」と言って彩香ちゃんが有紀の顔を見つめた。
「何言ってるのよ、ここでは援助交際してるのよ」と有紀が慌てて言い返すと彩香ちゃんの後ろに立って話しを聞いていた吉田さんが彩香ちゃんの胸に手を回して下から支えるようにして持ち上げた。
彩香ちゃんは別に驚いたそぶりもなく、吉田さんに胸をいじられても平気な顔をしていた。
有紀は吉田さんが最初から監督とグルになって彩香ちゃんを騙したんだと気が付いた。
「騙されちゃ駄目よ、彩香ちゃん、吉田さんに何を言われたのよ」と有紀が大声で叫んだ。
「有紀ちゃんね、吉田さんは将来はすごい新聞記者になる人なの」
「だからね、こんなデートクラブみたいなどこにでもある記事は書かないのよ」
「戦争があった外国に特派員で行って、もう大変な大スクープ記事を書く人なの」
「だけどね、取材にはお金がかかるのよ」
「ただ、話しを聞かせて下さいと頼んだだけで取材ができる訳じゃないのよ」
「それなりのお礼をしないとね、裏の話しは聞かせてもらえないの」
「だから、私はすこしでも吉田さんの力になって、吉田さんが取材できるように協力してるの」
「私は吉田さんが、良い記事を書いてくれたらそれが一番嬉しいの」と彩香ちゃんがしゃべり続けるのを聞いて、有紀には彩香ちゃんが何を言ってももう聞く耳を持たないのが分かった。
吉田さんが彩香ちゃんの胸を捻り上げると彩香ちゃんの眉がつり上がって顔がゆがんだ。
「今日中にあと10万稼いでくるんだ、分かってるんだろうな」と吉田さんが彩香ちゃんの耳元で囁いた。
彩香ちゃんは素直に「はい」と言いうと体を翻して部屋から出て行った。
彩香ちゃんが部屋を出て行くと、恵美ちゃんのお母さんも後を追いかけるようにして部屋出て行った。
膝をついてベッドに横にされた有紀の両手は後ろでさっき恵美ちゃんのお母さんが縛り付けたままだった。
この後なにが起きるのか、有紀には判りすぎるくらい判っていた。
監督が目で合図をすると、吉田さんがベッドに上がって有紀の目の前にあぐらをかいて座った。
後ろからは監督の両手が有紀のお尻を押さえつけてきた。
監督が吉田さんに小さな瓶を渡した。
あのとき彩香ちゃんが飲まされた変なドリンク剤だと有紀はすぐ気が付いた。
きっとあの薬を飲ませるつもりなんだ、絶対飲んだら駄目と有紀は自分に言い聞かせた。
しかし吉田さんは有紀の顎を下から持ち上げるとドリンク剤の先を有紀の舌に押しつけてきた。
苦い味が有紀の舌に染み渡ると吉田さんの手が喉をさすり上げて無理矢理飲み込ませた。
胃袋がかっと熱くなるとすぐに目眩がして頭がぼんやりとしてきた。
吉田さんの手が今度は有紀の胸を下から持ち上げながら小刻みに動いてきた。
すぐに体中が痺れるような感触が胸に広がると今度は、監督が有紀のお尻に手をあてがってゆっくりと押し回してきた。
有紀が逆らう気力を失ったのを見定めて、吉田さんと監督が前と後ろから入ってきた。
これが以前吉田さんが言っていた二本差しのことらしいと思ったとき、有紀の奧に信じられない感触が襲いかかってきた。
間違いなくあの、如来棒の感触だった。
あのときインターネットでブルマーを買った男はこの監督だったんだと有紀は気が付いた。
だがもう有紀の頭は半分溶けたようになって何を考えても熱い激流に流されるだけだった。
三度目の如来棒は天国への入り口まで有紀の体を舞い上がらせた。
「どうだった、よかったでしょう」と耳元で彩香ちゃんの声が聞こえて有紀はやっと辺りを見回した。
いつの間にか部屋には監督も吉田さんも居なくなり彩香ちゃんだけが有紀のすぐ横に座って居るのが見えた。
彩香ちゃんは有紀のすぐ側で優しい笑顔で微笑みながら有紀を見つめると、有紀の背中をさすってまだ震え続ける有紀の体を確かめた。
「あの薬はね、飲むと体がいつもの三倍も敏感になるの」
「だから、あの薬を飲んで二本差しをやってもらったらもうどうなるか分かるでしょう」
「それに監督さんの如来棒は有紀ちゃん三度目でしょう」
「如来棒は三度までって監督さんに教えてもらったでしょう」と一人で喋りながら今度は有紀の脇腹をそっとくすぐるように撫で上げた。
急に電気が流されたように脇腹が震え上がると有紀は背中を仰け反らせて小さく叫んだ。
「女の体ってね、一度喜びを味わうと、もっともっと喜ばせて欲しくなるのよ」
「それが女の体なの」
「今まで知らなかった快感が、自分の体から思いがけなく燃え上がるの」
「今度はどんな快感を味わえるのか、それが楽しみになるのよ」
「だから、男の人と付き合うのがもう止められなくなるの」
「今度は、どんな凄いことされるのかしらと、体が男の人を欲しくなるのよ」と半分あやすような口調で有紀の耳元で囁きながら彩香ちゃんの指先は有紀の脇の下から首筋へと動いてきた。
有紀は頭を左右に振りながら、指の動きから逃げようとしたが、縛られたままでは動きが取れなかった。
指先でくすぐり続けながら今度は彩香ちゃんの舌が有紀の耳たぶに軽く触れてきた。頭の中が溶けてしまいそうになって有紀は思わず息を吸いこんだ。
「ねえ、有紀ちゃんもやりたくなったでしょう」
「毎晩好きなだけ男に可愛がってもらえるのよ」
「こんなに、気持ちが良いこと毎晩できて、もう言うことないでしょ」と彩香ちゃんに言われて有紀はもう言い返せなかった。
ドアが開いて部屋に誰かが入ってくる音がした。
縛られたままの俯せの姿勢のまま頭を廻して後ろを見て確かめると、吉田さんだった。
吉田さんのすぐ後から監督が入ってくるのが見えた。
今度はいったい何をされるんだろうと有紀は寒気がして体が縮み上がった。
吉田さんは彩香ちゃんのお尻を撫で上げながら「おい商売の仕方を教えてやれ」と彩香ちゃんに声を掛けた。
「はい」と素直に彩香ちゃんが返事をすると、有紀の両手を縛っていたストッキングを解いてくれた。
きつく締め付けられていた両方の手首には赤い跡がついて痛みが残ったままだった。
有紀が大きく何度も息をついていると、彩香ちゃんがノートパソコンを持って有紀をベッドの脇のテーブルに案内した。
「ここの店はね、シロートの女の子がチャットして、ナンパされるのを待っている事になってるのね」
「だからね、最初から女の子が誘っちゃいけないの」
そう言いながら彩香ちゃんがメニューをの画面を出すと、チャット待ちの女の子達の画像がパソコンに映った。
画面に並んだ女の子達はみなまだ高校生くらいで、服装も可愛らしいフリルの飾りが付いているのが見えた。
彩香ちゃんがパソコンを操作すると、彩香ちゃんの画像も画面に映った。
彩香ちゃんのお尻を触っていた吉田さんの手が今度は有紀の後ろから脇の下に入ってくると胸を軽く握りながら押し回してきた。
もう吉田さんには逆らえないと思って、有紀はされるままになるしかなかった。
「この店ではね、コスプレの衣装も貸し出し出るからね」
「だから、いろいろ変わった格好の女の子もいるのね」
「男の人は、女の子を口説くのが楽しみなわけ」
「俺は口説くのが上手いんだと思わせるのが女の子の腕次第なのよ」と彩香ちゃんが色々と店のやり方を教えてくれた。
「男の子は大抵ね最初はまず、チャットセックスに誘うのよ」
「それもみんな誘い方が同じなんだけどね、本人は自分が上手く誘ってるつもりなんだから笑っちゃうの」と言って彩香ちゃんは笑顔を見せて舌をだした。
「それで、女の子が感じてきて、我慢できなくなって、ラブホテルに呼び出されるというストーリーなわけね」
「男に上手く誘われる芝居をするわけなのよ、ほら男はそうすると自分は口説くのが上手いと思いこんじゃうでしょう」
「男にとってはそれが勲章みたいに嬉しいってわけなの」
「大体が店の女の子なんだけどね、時々、本当のシロートの女の子なんかが何もしらずにチャットしてたりするのね」
「そのときは、店の男の子がうまく誘い出してね」
「ほら、店の男の子は口説くのが上手いし、セックスのテクニックもプロだから」
「すぐに男狂いのからだにさせられちゃうのよ」と言ってまた笑った。
自分が男狂いの体にさせられてるのに、自分の事は棚に上げて、他の女の子の事を笑うのは有紀にはどうにも納得できなかったが、彩香ちゃんは自分だけは別だと思っているようだった。
「一度男が欲しい体にされたらもう我慢できなくてね、大抵は自分から働きたいと言い出すんだけどね、なかには強情な女の子もいるからね」
「そうゆう時は裏ビデオでも撮って脅したりね」
「それでもだめなら二本差しにして痛めつけてやるのよね」
「それにさっきの薬より10倍も効き目がある薬があってね、それを飲まされると体が感じっぱなしになってもう止まらなく成っちゃうの」
「そこまでやられて逆らえる女はいないから」と彩香ちゃんが随分と当たり前のような口調で話すのを聞いて有紀はびっくりして何も言えなかった。
「じゃあ、まず私がチャットセックスのやり方教えて上げるわね」と言うと彩香ちゃんは男の子の画面に切り替えてくれた。
カッコイイ男の子がいると良いなと思って有紀が見ていると画面に映ったのは女の子にはもてそうもない余り見栄えのよくない風体の男の子ばかりだった。
「変ねえ、いつもならすぐ声をかけてくるのに、今日はどうしたのかしらね」と彩香ちゃんが独り言を言いながら画面を女の子の一覧に切り替えた。
「今日はなんだか人気のある女の子が来てる見たいなんだけど誰かしらね」とまたつぶやきながら画面を切り替えるとチアリーダーの衣装を着た女の子の顔が画面に映った。
髪の毛を頭の左右できゅっと結って、頬には頬紅をさして口紅も着けている顔はどっかで見たような気がして有紀ははっとして画面を見つめた。
画面に映っている女の子はさっきまで試合の応援をしていた江実矢君だった。
なんで江実矢君がこんなところで男の子とエッチなチャットをしているのだろうと有紀は訳が分からなくなった。
吉田さんも江実矢君に気が付いたが吉田さんは江実矢君と最初に会ったときからずっと中学生の女の子だと思いこんでいるようで困った事にならないといいけどと有紀は心配になった。
江実矢君は随分と人気が有るようで、ビデオチャットの人気を独り占めして男の子達が入れ替わり立ち替わりエッチな話題へと誘っていた。
「おい、この女なんとかしろ」と監督が言うと、吉田さんが店の男の子に連絡をして「シロートの中学生の女が来てるからナンパしろ」と指図をだした。
店の男の子が他のチャット客をシャットアウトしたらしくて、画面には江実矢君と店の男の子がチャットを始める様子が映し出された。
「今日暇なんだ、いつもは何して遊んでるの」と店の男の子が声を掛けると、江実矢君は女の子の声を作って「いつも買い物したりしてるんです、この近くは可愛い服置いてある店いっぱいあるから」と上手く話しを合わせて答えた。
「ところで彼氏いるのかな」と店の男の子が話しを振ると「今彼氏はいません」とまた江実矢君が調子を合わせて答えた。
「そう彼氏いないと寂しいね、寂しい時はどうしてるの」と男の子が誘いをかけると「あのチャットしたりしてます」と江実矢君はうまく返事をした。
「そう、チャットではどんな話しをしてるのかな」とまた男の子がエッチな話題に誘い込もうとした。
「そうですね、いろいろ何でも話します」と江実矢君がまたはぐらかすと「エッチな話しなんかもしてるんだろう、本当は大好きなんだろうエッチな話し」とまた上手く誘い込もうとした。
「エッチな話しをしてると、気持ちもエッチな気持ちになっちゃうね」
「そんな時って女の子はどうなるのかな、どうなるのか言ってご覧」と畳みかけるように男の子が言うと江実矢君も答えに困ったのか「そうですね、あの」と言葉を濁した。
「あのじゃ分からないよ、ちゃんと言いなさい、ちゃんと言うんだ」と今度はすこし脅すような口調で男の子は揺さぶりを掛けてきた。
だけど江実矢君が黙ったままだ。
男の子は今度は「朝学校に行くとき痴漢に遭ったりするよね」とまた別の話題を切り出した。
「痴漢に毎朝遭ってるんだろう恵美ちゃんは可愛いからね」
「どこを触られると感じちゃうのかな、いつも触られてるところ今自分の指で触ってご覧」と店の男の子が言葉巧みに話しを向けた。
普通の女の子だったらちょっとエッチの気分になって言われた通り自分で触ってしまうところだ。
だけどもちろん江実矢君が男の子の言いなりに成る訳はない。
江実矢君はちょっと下を向いて、目頭を寄せると半分泣き出しそうな顔をして見せた。
もちろん女の子なら気持ちいいときにする顔だ。
江実矢君がわざと女の子が感じてる顔をしてみせてるのだと有紀にも分かった。
「そうだね、気持ちいいよね、いつも気持ちいいことしてるんだよね」と男の子が畳みかけるように甘い声で囁いた。
こんな声で囁かれたら普通の女の子だったらもう気持ちが舞い上がって何が何だかわからなくなって何でも言いなりになってしまうに違いない。
だけど江実矢君はうつむき加減に下を向いたまま「そうですね」と曖昧な返事を返すだけだった。
「どう、これから気持ちいいことしてあげるよ、気持ちよくなりたいだろう」
「すぐ近くにカラオケができる部屋があるから、そこで二人きりになれるよ」
「今すぐ二人きりになりたいだろう」と男の子が巧みに誘っても江実矢君ははぐらかすだけだった。
同じような会話が何度も繰り返されたが、江実矢君はのらりくらりと返事をするだけで誘いに応じようとはしなかった。
今度は男の子は作戦を変えて「言われた通りにしないなら、もうチャット止めちゃうからね」と言って画面から体をずらして姿を見えなくした。
今度は江実矢君はすこし慌てた様子で「あ、言うとおりにします、お願い止めないで」と言って小さく叫んだ。
男の子はわざとすぐには姿を現さずに、すこし時間をおいてじらしてから「じゃあ、言うことを聞くね、言うとおりにしないとすぐ止めちゃうからね」と言ってまたビデオチャットに顔を見せた。
「さあ、いつもやってることがあるだろう。朝電車で痴漢に遭った夜は気持ちいいことしてるんだろう」
「今すぐ足を開くんだ。思い切り開いてスカートめくるんだ。いいね言われた通りにしないとすぐチャット止めるよ」と男の子が命令口調で言うと、江実矢君は仕方なく言われた通りに足を開いてスカートの裾をめくった。
アンダースコートのレースがスカートの下から見えると男の子は「さあ、一番感じるところを触るんだ」と畳みかけてきた。
江実矢君がスカートの下に片手を入れると、眉毛が寄って苦しそうな顔をした。
「そうだその調子。気持ちいいだろう、もっと気持ちよくなりたいだろう」と男の子が声をかけると江実矢君は返事ができなかった。
「じゃあ、カラオケで二人切りになろうね、分かってるね」と男の子がまた誘った。
だが江実矢君は小さく首を振ってまた苦しそうな顔をした。
「おい、いつまでやってんだ」と吉田さんが呟くのが耳元で聞こえた。
吉田さんはイライラした様子でいきなり有紀のお尻をつねったので有紀は小さく叫び声を上げた。
「もうチャット止めるからね」と言って男の子はまた画面から姿を隠したが今度は江実矢君は何も返事をしなかった。
とうとうしびれを切らしたのか吉田さんが彩香ちゃんに向かって「おいあの女連れてこい、知り合いだろう、お前が連れてくるんだ」と怒鳴りつけた。
「なんでもいいからラブホテルまで連れてくるんだそうすればあとは俺たちがなんとでもしてやる」と監督にも言われたが彩香ちゃんはすぐには返事をしなかった。
「言うことが聞けないのか、このドスケベ女、言うとおりにしなければどうなるのか分かってるんだろう」
「さっさと連れてこい」と監督が今度はものすごい剣幕で怒鳴りつけてきた。
彩香ちゃんはさすがに困って「あの子はまだ中学生だしまだバージンだから、とても男の子の相手はできないから」と言って誤魔化そうとした。
監督と吉田さんは江実矢君が女の子だと信じ込んでいて「バージンならちょうど良い、裏ビデオでロストバージンを撮影してそれで脅かしてやればいい」とまた飛んでもないことを言いだした。
彩香ちゃんはもうこれは命令に従うしかないと、ラブホテルの部屋を出て行って非常階段から隣のビルの江実矢君がチャットしている小部屋に行った。
彩香ちゃんがドアを開けると、江実矢君がチアリーディングの衣装でパソコンの前に座っていた。
ミニスカートを腰までたくし上げて両足を拡げた格好で、下のアンダースコートのレースが丸見えになってた。
江実矢君は振り返ると不思議そうな顔で彩香ちゃんを見たが説明なんかしてる暇はない。
「いいから、何も聞かないで一緒にきて」と言って江実矢君を部屋からラブホテルへ通じる非常階段へと連れ出した。
すぐ下の裏通りにはクレープ屋さんに女の子が行列を作っているのが見えた。
有紀がラブホテルに通じるドアを開けたとき「逃げて、私はいいから逃げて」と彩香ちゃんが江実矢君の背中を非常階段に向かって一杯に押した。
江実矢君が非常階段を駆け足で降りようとすると階段の下から男が数人顔を出した。
「何だお前」と男が江実矢君を見上げた瞬間に江実矢君の体が非常階段の踊り場から外に飛んだ。
「キャーーーー」と彩香ちゃんの悲鳴が響いた次の瞬間には江実矢君の体は後ろ向きに回転しながら、鉄柵を飛び越えてすっと地面に立った。
「おい、居たぞ」と男の子の怒鳴り声がすぐ下から聞こえた。
今度は大浜学院の野球部の男の子達が江実矢君を見つけたらしい。
江実矢君が駆け出す足音のすぐ後から大浜学院の男の子達が追いかける足音が聞こえてきた。
なんとか上手く逃げてと有紀は心の中で祈るしかなかった。
彩香ちゃんが部屋に戻ると「おい、お前わざと逃がしたな」と監督が怒鳴りつけてきた。
「命令に従わなければお仕置きだ、判ってるのか。お前お仕置きされたくてわざとあの中学生逃がしたんだろう」と言うと今度は「お前も一緒だ二人でお仕置きだ」今度は有紀に向かって怒鳴りつけた。
部屋の外から男が数人入ってくると二人の両腕をねじり上げて逃げられないように押さえつけた。
監督が先に立って廊下を進んでいくと一番奥のドアが開いた。
部屋の中はベッドもなく、灰色のコンクリートの床がむき出しになっていた。
上を見上げると天井には滑車があり縄が垂れ下がっているのが見えた。
見覚えのある部屋だった。
以前ブルマーを売ろうとして連れ込まれた部屋だと気が付いて有紀は体に寒気がしてきた。
今度もまた吊されて鞭で打たれるんだと思うと有紀は体が震えてきた。
男達が有紀の口にドリンク剤の瓶をあてがった。
彩香ちゃんが言っていた10倍効き目のある薬に違いないと有紀は思った。
なすすべもなく苦い液体が喉を通りすぎた。
胃袋の中が急に熱くなると体中が震えて止まらなくなった。
彩香スペシャルは恋の必殺技
あらすじ
翌朝の新聞を見て有紀はびっくり。監督と吉田さんが逮捕された。江実矢君がビデオチャットしながらデートクラブのコンピュータをハッキングして警察に届けたんだ。彩香ちゃんが江実矢君にお礼をしたいと言うと、江実矢君の希望は彩香スペシャル。
有紀がラブホテルから家にもどったのは夜中すぎだった。
甲子園の出場が決まった祝宴会で遅くなったと親に言い訳をしてなんとか誤魔化したが、体はもう疲れ果ててすぐに布団に潜り込んだ。
眠ろうとしても体が熱くて燃え上がるような感触がずっと続いて、半分目が覚めたまま眠れなかった。
有紀の体は子宮の奧からわき出す電流で震えを繰り返し引きつって止まらなかった。
あまりに力強い感触がこみ上げて来るので有紀はそっと大事な所に指をあてがって見た。
すると急に指先から痺れるような感触が襲いかかるとまた急にからだ全体が熱くなった。
有紀はもう止められなくて自分が援助交際をさせられる場面を想像した。
相手は会って見るまでは分からない。
きっと50代もすぎたおじさんで、禿げていてお腹も出ているんだ。
最初はきっとカラオケなんかで体を触られて、胸も好きなだけいじらせるんだ。
どんな相手にどんなことをされても言われたとおり逆らわずに気持ちいい振りをしないといけないんだ。
それが援助交際なんだ。
何度も自分に言い聞かせるようにして想像を繰り返すとその度に体中が熱くなって、指を使うのが止められなくなった。
繰り返し体が震えると、波間に漂う体が小さな波と大きな波を漂いながらに次第に高まって行った。
終わることのない快楽の楽園が有紀の体を包み込んで至福の時を満たした。
朝起きると、有紀はすぐには昨日のことが思い出せなかった。
しかし目が覚めて頭がはっきりしてくると、今日から援助交際をさせられるんだと思って泣き出したい気持ちが有紀を襲ってきた。
有紀は何度もため息を吐いたがもうどうにもなるはずの事ではなかった。
朝ご飯代わりの豆乳を飲み干してコップをテーブルに置くと、お母さんが「ねえ、あなた、この監督ってあなたの学校の監督じゃないの」と新聞を読みながら呟いた。
届いたばかりの朝刊には、野球部の監督が逮捕のニュースが流れていた。
痴漢倶楽部を経営して儲けを脱税していたというとんでもない話しだった。
よくよく新聞を読み直して見ると、逮捕されたのは我が校の立志館学園野球部監督だった。
新聞社の記者も共犯で逮捕されたという。
大変なことになったと、有紀は慌てて急いで学校に出かけた。
教室に入ってみるともうニュースは伝わっていて、あちこちで噂話しをしていた。
「野球部が甲子園に行けなくなっちゃったんだって壁新聞に出てたわよ」声が聞こえたので有紀は急いで図書館に行ってみると英会話クラブの英字新聞にニュースがでていた。
「野球部の甲子園出場は中止」という大きなタイトルがあって、前には生徒が大勢詰めかけていた。
いったいどうして急に監督が逮捕されたのか有紀には見当も付かなかったが、彩香ちゃんが江実矢君に聞いたと言って事情を話してくれた。。
江実矢君が大浜学院の男の子に追い回されて、ゲームセンターの個室に逃げ込んだ所ちょうどパソコンに彩香ちゃんのビデオチャットの画面が映っていたという。
それも他のお客さんとエッチなビデオチャットをしている所のだったとか。
それで江実矢君は彩香ちゃんが援助交際のクラブで働いているとピント来て、ネットワークのサーバーをハッキングしてクラブの帳簿と、女の子の名簿をまんまと盗み出して電子カメラのメモリーカードにコピーして持ち出したという。
あのとき下を向いてこそこそしてたのはそうゆう訳だったのねと有紀は今頃になって納得した。
江実矢君が校長にメモリーカードを届けてすぐに校長が警察に連絡したという話しだった。
江実矢君は気を利かせて、彩香ちゃんが困ったことに成らないように名簿からは彩香ちゃんの名前を削除しておいてくれたらしい。
警察の方も前々から監督には目を付けていて、江実矢君が持ってきた帳簿のファイルを見てすぐ逮捕に踏み切ったとの事だった。
監督は痴漢倶楽部を経営していて、痴漢の被害にあった女の子を脅してデートクラブに紹介してお金を稼いでいたという。
新聞記者の吉田さんも、痴漢にあった女の子に「取材に協力して欲しい」と声を掛けて、罠にはめては紹介料をもらっていたという事だった。
チアリーダーをしていた恵美ちゃんも痴漢の被害にあった後、吉田さんに罠にはめられ、お母さんも一緒にデートクラブで働かされていたという事らしい。
恵美ちゃんは大浜学院の監督と援助交際をさせられて、それをネタに吉田さんが大浜学院の監督を脅していたのが真相だった。
テニス部の部室に隠してあったアンダースコートはやっぱり恵美ちゃんが処女を大浜学院の監督に奪われたときのアンダースコートで、それが証拠で大浜学院の監督は言い逃れが出来なかったという。
詳しい事情を知っているのは校長先生だけで、とても壁新聞に書けるような事ではなかった。
結局のところ新聞対決は英会話部の勝ちと言うことになり、全国学生新聞コンテストには希美ちゃんの英会話部の壁新聞で応募することになったと図書の司書の先生が教えてくれた。
一月ほどたって、立志館学園が全国学生新聞コンテストに入賞したという記事が新聞に載っていた。
彩香ちゃんと有紀はやっぱり英会話部の壁新聞が入賞したものとばかり思って二人でがっかりした。
これで部室は英会話部の物になり、新聞部は部室のないジプシー部に落ちぶれるのが決まってしまったのだ。
しかし急に彩香ちゃんと有紀は校長先生に呼ばれて、全国学生新聞コンテストの授賞式に出席するようにと言われた。
すぐには事情が飲み込めなかったが、学生新聞コンテストに応募するとき校長先生が勝手に英会話部の「甲子園出場中止」の壁新聞を、新聞部の「学校での虐めの実態」の壁新聞に差し替えていたのだった。
監督が逮捕された裏の事情をしっているのは校長先生ただ一人だったので、ほかの先生は英会話部の壁新聞を推薦したのだが、学校の恥をコンクールで公表できないということで校長先生が独断でやったことだった。
表彰式の当日、彩香ちゃんと有紀と江実矢君の三人は校長先生と一緒に渋谷のNHKホールで行われた全国学生新聞コンテストの授賞式出席した。
授賞式の写真は江実矢君が舞台の手前の客席からデジカメで撮影した。
翌日の午後に「全国学生新聞コンテストで優秀賞受賞」という壁新聞を図書館に張り出すと、すぐに大勢の人だかりが出来た。
江実矢君に手伝ってもらって、いままで彩香ちゃんや有紀のロッカーにしまっておいた、新聞部の備品を部室に運び込むと、校長先生が「よかったらこの電気ポットを使いなさい、職員室で新しいポット買ったから古いのがいらなくなったんだ」と言ってすこし古くなった電気ポットを置いていった。
だいたい部屋も片づいて三人でお茶を飲んでいると急に彩香ちゃんが改まった様子で「江実矢君本当にありがとう、みんな江実矢君のおかげよ」
「なにかお礼に出来ることがあったら、なんでもしてあげるから言ってちょうだい」と甘えた口調で江実矢君の耳元で囁いた。
これはもしかして愛の告白かしら逆ナンってことなのかしらと有紀がドキドキした気分で見守っていると、江実矢君は「して欲しいことがあるんだけど」とおどおどしながら小さい声で返事をした。
これはきっとキスをして欲しいに違いないと思って彩香ちゃんはそっと江実矢君の口元に顔を寄せた。
すると江実矢君は「その、彩香スペシャルやって欲しいんだ、小学校の時にやられた彩香スペシャルをもう一度やって欲しい」と彩香ちゃんに頼んだ。
彩香ちゃんが当惑して困った顔をすると江実矢君も言わなければよかったと思って下をうつむいて彩香ちゃんの顔から目をそらせた。
彩香ちゃんは改めて江実矢君に向き直ると「どうしてなの」と問いつめるように声をかけた。
すると江実矢君は小さい声で「彩香ちゃんが、好きだから」とやっとの事で言った。
彩香ちゃんは急にニコニコしながら「やって上げるからズボン脱ぎなさいよ」と言いだした。
それを聞いて江実矢君は「それは駄目、絶対だめだ」と今度は慌てて席を立とうとした。
彩香ちゃんは急に「何いってんのよ、あたしに逆らえると思ってるの、いいからさっさとズボン脱ぎなさいよ」と今度は大声で怒鳴りつけた。
いきなり彩香ちゃんは江実矢君を押し倒すと、ズボンのベルトを外して、江実矢君ズボンを腰から引きずって降ろした。
江実矢君がズボンの下にはいて居たのは紺の下着だった。
「なんなのよこれ、あたしのブルマーじゃないの」と彩香ちゃんが大きな声をだすと有紀は自分の目を疑った。
江実矢君がはいているのは確かに小学校の時、彩香ちゃんが盗まれた紺のブルマーで白い名札に名前が書いてあった。
「覚悟はできてるはね、彩香スペシャルでお仕置きよ」と叫んだ彩香ちゃんの顔は半分涙で泣き顔になっていた。
彩香ちゃんが両足を江実矢君の股間にぶつけると江実矢君が悲鳴を上げた。
有紀は彩香ちゃんと江実矢君を二人きりにしてあげた方がいいと思い、こっそりと部屋を出た。
完
長編官能小説彩香スペシャル-恋の必殺技
七度柚希
第五回エンターブレインゲームコンテスト伊集院光特別賞「官能小説自動生成ソフト七度文庫」作者。
ホームページ http://homepage3.nifty.com/yuki_nanotabi/home_page/
ケータイコミック原作
「彩香スペシャル?恋の必殺技」
「恵美ちゃんはblogアイドル」