お風呂上がり

そうだ。お風呂に入ろう。なんちゃって。

今日も洗濯です。魂の

この国のお風呂の文化を私はかなり愛しています。

私がまだ子供だった時代は
まだ各家庭にバスルームを持つという概念がなかった時代でもあって
お風呂に入ることは週一の銭湯が全部でした。

特に肌寒い冬の朝、それも早朝に
母の暖かい手をつないで
まだ明かりもついていない小路をすり抜け
町の入り口にあった銭湯まで行くのがなぜそんなにも嫌だったのか
今はその理由も思い出せないほど遥か昔の記憶になってしまいました。

あ、ちなみに私の国では銭湯は朝4時から夜の7時までが一般的な営業時間です。
日本とは違ってですね。

さて、その夜明けの記憶を思いだす今は夜9時を少しすぎた時刻です。
部屋の中は何だかひんやりしていて何となくぬくもりが恋しく感じてきたのです。
何のぬくもりなのかわからないまま。

湯船につかることをイメージしながらお湯をはり、中で読む本を選び、
アラムをセット(これが一番大事な道具です。これがないと何時間も浸かってしまい危ないですからね)し、飲み物を作ります。
あつい湯船でアイスを食べるのが好きな夏とは違い冬はカフェラテですね。
さあ、これで準備完了です。

入る前、いろいろ準備をしていたおかげでテンションが高くなってきました。
最初感じたかったぬくもりへの恋しさはどこかに消え去ってしまったようです。

バスルーム中が湯気でいっぱいです。ここがどこかもわからないほど
視野は微かな電球の明かりだけをぬくもりと感じます。
まるで森の中で道に迷った登山客のような気分です。

熱いくらいの湯船に裸の体をいれます。
思わずあぁ〜という声が唇から漏れだします。
赤く染まった顔の流れる汗を
しきりに拭き取りながら本を読み、カフェラテを飲んで、
時々時計を意識しながら心臓の鼓動が高まるのを気持ちよく感じます。

あぁ、そうですか。
これが日本人のよく言う魂の洗濯というものなんでしょうか。
あ、違いました?(笑)

お風呂上がり、高まっている心臓の鼓動に右手で触ります。
激しく脈をうっていた鼓動は次第にもとのあれに戻ろうとしています。
落ち着いていく心臓の鼓動。ひんやりしていた部屋はいつの間にか静かなぬくもりで暖まります。

平和を感じるこの夜。
お風呂上がりで私は和やかなぬくもりを感じるのです。
そして、そのぬくもりを寝床まで持っていってそばの誰かと分け合います。

すばらしいと思いませんかお風呂って。
これが魂の洗濯でないと他になにをそう言えばいいのでしょう(私って執念深い性格ですね)。

お風呂上がり

お風呂上がり

短い日記のようなものです。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-10-22

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