帰り道

帰り道


赤信号を睨み付けながら
スタンバイする僕は
青信号の一秒前にペダルを踏むの
ああ、寒い
寒い




あんなに熱かったはずの体と心が
いつの間にかこんなに冷え切って


あんなに暑かった季節が過ぎて
いつの間にかこんなに置いてけぼり


赤信号を睨み付けながら
スタンバイする僕は
点滅し続けるのを知らなかった
ああ、寒い
寒い



赤信号を睨み付けながら
スタンバイする僕は
青信号になっても進めなかった
進めと誰に言われてるのかわからなかった
そのうちにまた赤信号になった




さむいさむいさむい
縮こまるからだと
動かないこころと



寒いと口に出した
これからもっと寒くなる
そう誰かに言われた

最近よく聞く同じメロディが聞こえた
誰かと誰かがつながる音
僕はまだ持ってない


そのメロディに合わせて歌を歌った

さむいさむいと



赤信号が変わるまでの間
歌を歌うことにした僕は
いつの間にか息が白くなって
まだ温かいことを知る
あたたかいことをしる



赤信号を歌うたいながら
スタンバイする僕は
青信号に変わるとともにペダルを踏むの
ああ、寒い
寒い

帰り道

帰り道

いろいろと寒くなってきたこの頃。みなさん体に気を付けて

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-10-21

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