Emperor Clown

登場人物
・小林 有加里<こばやし あかり>(17)
 南ケ原高校2年生。
 姉とアパートで二人暮らしで、実家はとてもド田舎。
・古川 鉄治<ふるかわ てつはる>(40)
 古川探偵事務所を一人でやっている。
・山門 俊司<やまと しゅんじ>(19)
 右腕が不自由な謎多き青年。
・北山 明美<きたやま あけみ>(28)
 県警本部の刑事。
 特別捜査課に所属。
・富田 先<とみた はじめ>(24)
 ハッカーだが警察に捕まりその後服役中だが事件のアドバイザーとして山北と同行の元自由に行動している。
 捕まる前は『ハッカー探偵TOM』として活動していた。

Prologue

―1年前―
 雨が降っている。ザーザー降りの雨だ。
 無線機から声がする。
「こちら本部。古川、二人はどうなった?」
 私はうつむいていた。
 一人の少年がぐったりと血まみれで倒れてる少女を座って抱きかかえてた。
「はい…現状は…」
 そして少年は天に訴えるように上を向いて泣き叫んだ!
「うわあああああああああああああ!!」
無線機からさっきより少し強めに声が聞こえる。
「古川!どうした!?古川!現状を!?」
「げ…現状は…」
 私はその光景に自然と涙がつられて出てくる。声が詰まってうまくしゃべれない。
「古川?どうした?早く!古川?」
 少女のてから血の雫がぽたぽた床に落ちる。
 雷がなり始める。
「古川?応答せよ!古川!応答せよ!」
 涙をこらえようと涙をぬぐう。しかしぬぐってもぬぐっても涙はじわじわと出てくる。
「古川!鉄さん(てっさん)!」
 無線機からあだ名が聞こえる。
「鉄さん!何があった!鉄さん!応答してくれ!鉄さん!」
 どうして、誰も彼女を救えなかったのだろう?
「鉄さん!鉄さん!鉄さん!」
 どうして、誰も彼の援護をできなかったのだろう?
「鉄さん‼応答しろ!鉄さん‼」
 どうして、彼らはにこんなになっても誰も手を差し伸べなかったのだろう?肝心な組織が大人が国が世界が何一つとして役割を果たしてなかったからだ。
(ダメだ…こんな組織にいたら…救えるものも救えない…)
「鉄さん!」
 私はそう悟ると無線機のイヤホンを外し手を押えながら静かに泣いた。
 自然と片手に持っていた銃が床に落ちた。

小林 有佳理(1) 崩壊

―1年後―
 冬晴れの今日、私は気分が良かった。
 高校生になって2回目の2学期終業式。今年は通常より3日も早い終業式になった。
 気分の良い朝。みんなと挨拶を交わしながら席に着く。
「よっと!ふっふ~ん!今日もいい天気…ひゃほーい!」
 気分が良くてついつい雄叫び上げてしまった。
 私、小林 有佳理(こばやし あかり)は南ケ原高校2年生。ピチピチJKってやつだ。ちなみ帰宅部部長である。
「「おはよう、有佳理!」」
 私の周りに二人の女子生徒がやってきて挨拶をした。
「みんな、おはよう!」
 女子生徒一人が言う
「なになに?今日はやけに元気だね~!まさか、彼氏でもできた?」
 それに対して私は少々落ち込む
「それが、結局彼氏は出来ませんでした…ショボンヌ…」
「結局、有佳理には彼氏は出来なかったじゃん。2か月前までには散々『彼氏つくるぞぉおお~!』言ってたのに」
 私は照れながらこういう
「でへへ、それほどでもぉ~!」
「そこ、照れることろじゃない。照れるところじゃない」
 別の女子生徒にツッコまれる。
「大切の事だから二回言った!キリッ!」
「それ、あたしのセリフ!」
「で、有佳理は結局誰が好きなのよ?」
「それがまだ、決まってないんだよねぇ~」
「「そこから⁉」」
 二人に突っ込まれると、ボケた顔で私はこう言う。
「何かおかしなこと言った?」
 それに対し二人は引き気味にこう言う。
「わっ、自覚症状無し」
「しかも、凄く軽い気持ちだし」
「えへへ!」
 私は舌をだして後ろ頭をさすった。
「あのね恋愛っていうのはねぇ~」
「あんたが話すとそれだけで一日がそれだけで終わるからストップ!っで、じゃあ、あの子ならどうよ」
 そういって、クラス一のイケメンを指した。
「う~ん…顔は良いんだけど…なんかぁ~…」
「「なんかぁ~?」」
「なんかぁ~いっぱい男が居そうじゃん」
「「女の間違いだよ!」」
「あっ!本当だ!こっれだとホモになっちゃう!でへへ」
 笑いながら私は言う。
 まぁ後、彼氏がいれば冬休みは充実するのだが…。
「まぁいい!バレンタインまでには作ってやる!」
「よっ!小林!早速だが問題だ!」
 いきなり、男子生徒が話しかけるなり問題を出してきた。
「1×2×3×4×5×6×7×8×9×0=いくつだ!十秒で答えろ!」
「え、え~!」
「十・九・八」
「え、え~と!」
「七・六・五」
 必死に計算するが私の頭ではこの計算を無理がある。
「四・三・二」
「え~と~!」
「一」
「100万!」
 当てずっぽうに答えてみる
「ぶっぶ~!答えは0でした!」
「え~何で何で?」
「それ昨日話したばっかだぜ…」
 そこで、女子生徒のフォローが入る。
「ちょっと、男子諸君!有佳理をいじらない!有佳理はアホの子だから仕方ないでしょ!」
 そこでもう一人の生徒のツッコミが入る。
「それフォローになってない」
 そこで私は照れる。
「いや~それほどでも!」
「「「そこ、照れるところじゃない!」」」
 男子生徒までもツッコミを入れられるありさまだった。
「ほら、廊下に並んで!」
 別の男子生徒の声が廊下からする。
「さて、行きますか!」
 そういって私は背伸びをして廊下に並んだ。
―十分後―
 体育館で並んで全校生徒が並んでる。
 寒い体育館にはつけたての大きなストーブが動いている。
 さっきの女子生徒の一人が小声で質問してきた。
「どうするの?クリスマスは?」
「う~ん、お姉ちゃんと二人かな。大晦日前には実家には帰るけど」
「肝心のお姉ちゃんも彼氏できたりして」
「それないよ。お姉ちゃんは凶暴だから男の人に告白されても暴力で返すと思うし」
「お、おう…」
 しかし、そうなのだ。実際私の姉は男の告白をナンパと何回も間違えて暴力で返し何回も損してしているのだ。毎回そのたび私や母に泣きついて来るのだ。
「そうそう、実家に帰るなら、お土産、期待しちゃうおうかな~!」
「え~困っちゃうな~!」
 私は今大学生の姉と二人で暮らしており、実家は母と祖母の二人で切り盛りしている。
 私の実家はとても田舎で地元に学校という学校が無いのだ。実際小学校行く時もバスで片道2時間だし、中学なんか1時間数本しか来ない電車で片道30分揺られて学校に行っていた。そんなところに高校なんて無く、行くとしたら近くでも電車で片道4時間は揺られないと高校がないのだ。これくらいの時間だったら片道4時間よりも都会で一人暮らしで学校に行った方が時間もお金もかからないし凄くマシだ。ちなみに、駅から家まで自転車で20分はかかる。
 しかし、私には少し問題があった。姉はしっかり者で高校生でも一人暮らしは出来たが、私はドジで間抜けなため一人にするにはあまりにも心配した母は、そこで今、住んでいる姉のアパートに転がり込む形で生活する事を提案。渋々姉は引き受け保護者も兼ねて今、姉と二人暮らしをいるのである。
「じゃあ、帰りの新幹線の駅でなんかお願いね!」
「ズシズシしなぁ~」
「図々しいの間違えでししょ…」
 そういうと軽くであるがスピーカからハウリングする音がして一斉に全校生徒が静まり返った。
「ただ今より2学期終業式を…」
『パーン!』
 突然、後ろから銃声が聞こえた。
 一斉に全校生徒が後ろを振り向く。私もつられて振り向いた。
 そこには体育科の先生が左肩を押えて倒れうずくまっていた。
 そして出入口の方から武装した人がゾロゾロと十人近くだろうか入ってきていた。
「キャーーーーーーー!」
「わあああああああ!」
 その瞬間体育館がパニックになる。
 怒号や悲鳴そして銃声が鳴り響く。
 私は茫然と立ちすくんでいた。
(動かないと…動かないと…動かないと…!)
 震える足を武装した集団が入ってきた出入口とは別の出入口に一歩踏み出した瞬間だった。
「動くなぁあああ!クソどもぉぉおお!」
 一斉に全校生徒の動きが止まる。
 そして一斉に壇上の方にはサングラスをかけたリーダーらしき者がマイクを握りしめて立っていた。

                                                                               …To be continued

北山 明美(1) 突然

北山 明美(1) 突然

突然本部の緊急無線に指令が入る
「緊急放送!事件発生!事件発生!立て籠もり事件が発生。場所は桃並市南区南ケ原○―××―□□南ケ原高等学校。現状は武装した15名の集団が全校生徒、職員を人質に体育館に籠城。負傷者、死者不明。敷地内に爆物を確認。トラブルケースレベル5と判定フォーメーション7で本部捜査員は桃並署を対策本部に配置に急行せよ。繰り返す…」
 そんな内容に私は一瞬耳を疑った。
(嘘でしょ…レベル5にフォーメーション7ってテロリストでも立て籠もったの?)
 今の内容を一般人でもわかるように説明すると、レベル5というのは事件の中で相当深刻ということでフォーメーション7というのはレベルにより同じ数字でも意味は違うが凄く大掛かりな人員、組織で捜査に当たれという事だ。事態は相当深刻という事になる。
 私、北山 明美(きたやま あけみ)は県警本部特別捜査課に所属する。いわゆる特捜って奴だ。所轄から本部に上がってきたのは3年前捜査二課に2年所属して1年前に特捜にやってきた。
 7年間の警察人生でこんな出来事は初めてだ。前代未聞とはこういう事である。
「北山!お前さんは、ホテルで『アイツ』と合流してから現場に向かえ!」
「わかりました!」
(けっ!結局『アイツ』とまた行動かよ)
 私は車に乗り込みその『アイツ』とやらに電話をする。
「へいへい、もしもし、どうしました?」
 気が抜けてたような低い声の主がでた。
「事件よ!準備して待ってなさい!」
 いかにもやる気の無い声で声の主はこう答える。
「今、男のロマン発散中なんですけど?」
「何よそれ?」
「あれですよ、R指定の…」
「もういい!そん事より早く準備しなさい!」
 私は彼が何をしているのか察するとサイレンを出して車を急発進させる。
 高らかにサイレンを鳴らしながら県警本部の地下駐車場を出て『アイツ』のいるホテルへ向かう。
「なに、そんなに慌てているんですか?何の事件ですか?」
「高校で立て籠もり事件!レベル5フォーメーション7よ!」
 そいつは長いため息をつくと、雰囲気が変わって冷静そうな口調へと変化した。
「場所どこです?」
「南ケ原高校!」
「そこの警備会社どこだかわかりますか?」
「無線で問い合わせる!」
 そういうと左にある無線機のマイクを片手取って捜査本部確認を取る。
「こちら北山!南ケ原高校の契約している警察会社はどこだかわかります?」
「どうしてだ?」
 この声はおそらくこの事件の指揮官だろう。
『富田』(とみた)が質問してきました!」
「そうか、今調べてる…わかった、△△警備だ」
「△△警備ですね!わかしました!ありがとうございます!」
 そう『アイツ』とは『富田』となる乗る男のことであったのだ。
 私は、また携帯を手に取って富田との会話に戻る。
「富田!△△警備よ!」
「さっきのあなたの無線の会話を聞いて今そこのセキュリティーにアクセスしてます」
「仕事が早い!でも、そろそろホテルに着くわ!」
「待ってください。今ロビーに向かいます」
 そういってるうちに大きなホテルのロータリーが見えてきた。
 ロータリーの入いりホテルの入口の前で車を止める。
 そこから3分後に彼はやってきた。
 ぼさぼさ髪で細くジト目で右耳には黒の無線機らしき小さなイヤホン。灰色の迷彩のジャケットに青のジーパン。右にはジュラルミンケース、左にはアタッシュケースを持って自分の車に近づいてきた。
「遅くなってすみません」
 そう彼が『富田』こと『富田 先(とみた はじめ)』なのだ
「もう少し早く!行くよ!」
 そういって車を急発進させる。
 彼は助手席に座るとアタッシュケースを開き、中にあるノートパソコンを開くとキーボードを叩き始めた。
「現状は?」
「もう少しで南ケ原高校のセキュリティーシステムと監視カメラにアクセスできます」
「こういうことになると凄く早いわね。まったくこいつが服役中の身だとは到底思えないわ」
 そうこの男本来なら牢屋の中に入っていなければならないのだ。
「別に僕は牢屋の中で30年間、安住のしてようと思ったのですが…」
「反省ゼロじゃない!こいつが日本の政界をひっくり返した男だと思いたくないわぁ~」
 この男、実は数年前まで『ハッカー探偵TOM』として、活動していたのだ。世界の迷宮入りした事件や有名人のスキャンダルをある時は匿名の掲示板に書き込んだり、またある時はとあるブログやホームページに直接ハッキングして告発したりと世間のダークヒーローまがいの事をやっていたのだ。
 彼は「今の時代、ハッキングすればどんなこともわかる」と言ってたが実際はハッキングの技術以外に推理・推察力、観察力、判断力などずば抜けて知力高ったのだ。
 ある日彼は内閣府のサイトにハッキングし、総理大臣の浮気やスキャンダルを写真とともに告発
 それが原因でうなぎ上りであった総理大臣の支持率があっという間に底につき、辞職まで追い込まれ、さらに総理の所属していた政党が与党から野党へ転落。空席となった与党は元々野党だった党が与党へと昇格した。もちろん総理大臣の夫婦は破局した。
 それで、地位も信頼も失った総理大臣は激怒。自分の有金でとびっきりの技術を導入し彼を捕まえ、刑事裁判を起こし懲役30年に追い込むも、お脚気ていたとはいえ、何だかんだで、お世話になった警視庁は秘密裏に監視をつける事を条件に私の所属する県警に彼の身柄を引き渡しアドバイザーとして雇ったのだ。
 それで、その監視役兼私の相棒がこの「富田 先」である。
 ちなみに、彼がホテル住まいなのは、あくまでも彼は服役中のため24時間監視するためである。といっても入口にSP2人いるだけだが。
「高校なんですよね…JKのスカート見れますかね?」
 PCにかじりつきながら彼はぼっそとそんなことを言う。
「あ、あんた!今度はわいせつ罪で捕まえるぞ!」
 顔赤らめながら、私は怒る。
「僕は純粋にJKの華奢な脚を見たいだけで…」
「黙れ!変態!」
 私は怒りながら彼の頭を叩く。
「痛っ!冗談ですよ、冗談!まぁ……で充分なんですが…」
「何だって?」
「何でもありません」
「変なことを考えるより現状は?」
「今、相手に気付かれないよう、セキュリティーシステム監視カメラともに制圧中」
「ビューティフォー、ビューティフォー!」
 そういって、私は現場である南ケ原高校の校門を車でくぐりぬける。
 富田がPCのキーボードを叩きながらこういう。
「珍しく今日は、現場入口に報道や野次が居ませんでしたね」
「えっ、よくわかったわね。まぁ爆弾あるし、近隣住民も含め半径5キロ以内には立ち入り禁止をしてもらってるわ」
「なるほど。ちなみにさっきなんでわかったかというと、音でわかりました」
「そう!」
 そういって私はグランドの片隅で急ブレーキをかける。
「もう少し優しく止まってください。あと、制圧完了。今、対策本部のモニターに監視カメラとセキュリティーシステムのデータをモニタリング中」
「それはご苦労!」
 そういって私は外に出る準備をする。
 そして、彼はアタッシュケースを閉じると、指をならして
「ミッションオールクリア」
 そして彼は、車の外に出て一回深呼吸すると
「さて、籠城犯さん、犯罪者同士」
 そしてにったり笑ってこういった。
「遊びましょうか」
 そんな彼を見て私は彼のカリスマを見たと思った。
―数分後―
 私たちはテント内にいる、テント中には机とパイプ椅子がある、机の上には機械やら資料やらが散乱している。
 富田はパプ椅子に座り自分のPCに向かいながらこういった。
「現状は把握しました。学校内にはあっちこっちに遠隔操作式の爆弾が仕掛けられていて、人質の人数は推定500人前後、負傷者1人ですね。」
 それで私が追加事項を言う
「犯人からの要求はまだ来ていないと」
「いったい、犯人要求はなんですかね、北山さん」
「それを私にいわれてもどうしようもないわ」
「まぁ、それよりも問題なのは正確な人質の人数と爆弾の種類、起爆方法、配置です」
「何でよ?」
「人質の人数を正確にわからないと、何かの理由で学校にいない人、犯人が見つけられなくて隠れている人、このどちらがいるはずです。ひょっとしたら僕たちが助けられる人がいるかもしれません」
「爆弾は?」
「うかつには建物内入れないという事です。下手に突入して、人質・犯人ごと吹き飛ばされても困ります。それに、ひょっとしたらこっちから爆弾を操作することが出来るかもしれません」
「で、今は何をしているの?
「学校の校内図を見て監視カメラの位置と方向を確認しているんです、犯人は学校の監視カメラとセキュリティーシステムを制圧していて、操作権の最高権限を持っています。といっても、さっきまでの話で、今は裏でさらに上の権限を自分が持ってますけど」
「それをしてどうする?」
「さっきから質問多いですね。まぁいいですけど。とりあえず監視カメラの死角を探して体育館の近くまで誘導できるか模索中ですが…この学校、やけに監視カメラの数が多いですね。ほとんどの教室やトイレを除いて廊下や職員室等、後は、学校敷地外を映す監視カメラ沢山あります。しかも最新式の監視カメラですね」
「まぁそうね、この学校、今年の4月に一階の中央棟、駐車場側の窓ガラスが全部割られる事件が発生していてね、その後に学校にあるパソコンを数台盗むという手紙での犯行声明文あってね、おそらくそれが不安になったんでしょうね、5月だったにセキュリティーを増やしたのよ」
「それで、まぁこんな数と。ところで、今思ったんですけど、守衛さんとかいなかったのでは?」
「あれね、おそらく犯人が気絶させたのね、私たちがくるちょっと前にゴミ捨て場で伸びているところを発見されたわ、病院で治療中だけどいまだ目が覚めてないわ。さっきの負傷者の一人はそれね」
「そうですか」
 そういうと、富田は顎を撫でながら私の方をちっとも見ずに画面にかじりついている。
「そういえば、北山さん。何で事件が発覚したんですか?」
「付近を巡回中の警官が体育館から銃声と悲鳴が聞こえたから、少し様子をみたらこの地獄絵図の状況に勘づいて、応援を要請したらしいのよ」
「そうですか。そういえば交番勤務の警官ってパトロールの時、巡回のルートとか時間とか決まっているんですか?」
「そうだけど、それが?」
 富田が頭を掻きながら私の方を向いて言う。
「どうも、タイミングが良すぎます。監視カメラの事も巡回中の警官の事も」
「どうしてよ?」
 私は首をかしげて言った、
「監視カメラは、防犯のためにつけたはずが、今それがかえって仇となっている。まるでこのために設置させたかのように。それに、巡回中の警官が近くを通った時にわざわざ奇襲をかけますかね。どうも、この籠城をアピールしているみたいにみえるんですよ。でも、犯人の糸口が見ないんですよ。アピールの割には未だに要求はゼロ、そのくせちゃっかり爆弾を仕掛けてる、いったい彼らは何が目的なんでしょう?」
「監視カメラなんて…」
 そう私は言いかると突然彼は話を続けて。
「言いたいい事はわかります。監視カメラの事ですね。確かに今、僕が最上位の権限を持っていますが、あくまでも知られないように最上位権限を持っています。今ここで監視カメラの操作を行ったとします。そして、犯人に気づかれたとして、犯人はどんな行動をとるでしょうね?」
「あっ…」
 私は、思わず口が開いた。
「そうです、相手は僕が上の権限を持ってる事は知りません。もし知ったら彼らは炎上して起爆させるかもしれません」
「あんたそれじゃあ、意味がないじゃない!」
 私は彼に怒鳴りつけるが、彼は冷静さっきの口調で話を続ける。
「意味が無い訳じゃありません。操作はできませんが学校の現状が把握できます。ほら、それにこれ見てください。もう一人の負傷者です」
 彼が画面に指を指してた。確かによく見ると一人だけ座り方が不自然な人がいるよく見ると右肩を押えて寄りかかってるように見える。
「これって…?」
「でこれが、の部分を画像解析に掛けたものです」
 そういって彼は一枚の画像を見せる。
「これは…!」
 さっきの通り右肩を押えて寄りかかり、ぐっとこらえる大男が居た、周りには少しだが血痕らしき物が壁についていた。
 わたしは慌てて、無線に向かって本部にしゃべる。
「こちら、北村!もう一人負傷者を確認!人質内に一人います!」
「今画像、本部に送ります」
「そちらに、画像を送ります!」
 富田の言った事を本部へ伝える。
 本部から連絡がはいる。
「今、メールで画像が来た、これは本当か?」
 そういうと、富田が私に言う。
「本当です。元の写真も添付したはずです。いまの監視カメラと照らし合わせればすぐにわかるはずです。カメラの番号言います「体育館3号カメラ」右下を見てください」
「富田から伝言です。元の写真も添付したそうです。それと監視カメラの映像照合、カメラの番号は『体育館3号カメラ』です」
「確認した。確かにそうだ、これはまずな……事態は深刻になった。捜査員告ぐ!事態は深刻なった!人質の解放を最優先にしろ!」
 その直後だった突然学校の内にあるスピーカーから、犯人の声が聞こえたのは。
「あ~!あ~!聞こえてるのか?まぁいいや。おい、糞察ども!気分はどうだ?犯人からの要求待ちで疲れたか!なら、そんお前らに仕事だ!今学校の周りにいる警察関係者を今すぐグランドに集結させろ!一人残らずにだ!」
 ドスの利いた声が学校内に響く。
 富田が顔を曇らせる。
「北山さん、嫌な予感がします」
「そんなの、こっちだって分けってる、静かに。」
 小さく強めの口調で彼に話す。
「まぁ、解かってると思うが、爆弾が学校内の至る所にある!しかもだ!俺たちは学校内の監視カメラでお前らの行動がよ~くわかる!言いたいことはわかるな!だったら今すぐ行動しろ!」
 そういってスピーカーの声は切れた。
 富田が口早に質問してきた。
「北山さん。どうして、爆弾があるとわかったんですか?」
「えぇ、確か駐車場の真ん中に怪しげなアタッシュケースがあって中を確認したらまだ起動しいていない爆弾があって…」
「今その爆弾は?」
「爆破物処理班が解体中だけど?」
「爆処班に聞いてください、その爆弾の火薬の種類と起爆方法!」
「なに、そんなに慌てているの?まぁいいわ」
 そういって、無線で爆処理班に富田の質問を聞く
「え~こちら北山、爆処班、爆弾はどうなりました?」
 そうすると、爆破物処理班から気前のいい声がした。
「今、解体し終わったて解体した爆弾ごとグランドに向かうところだが?」
「あの、お聞きしたいんですけど、火薬の種類と起爆方法を教えてもらいのですけど?」
「あぁ~、C4とダイナマイトが付いていたな。犯人もC4爆弾でけでいいのに、ご丁寧にダイナマイトまで付けちゃってさ。それで起爆の方法なんだがスマホの通信を使ったシステムかな。たぶんだがスマホ介して起爆とか色々操作するんだろうな。っと、行ってもた正しい配線を切れば使えなくなる代物だが」
「ありがとうございますって…ちょっと富田!」
 当然富田が私の上着の胸元掴んでついてるマイクに向かって叫びだす。
「絶対に爆弾の火薬はグランドに持ってこないで元のに位置に置いてきてください!あと、厄介なことになりました!」
 そうすると爆処班のほうから質問飛んできた。
「どうしてだ!?このまま置くわけにも…」
「絶対にダメです!念のため聞きますが、その爆弾起爆させたらどうなります?」
「そりゃ、建物には凄い被害が…まさか!」
「そうです!そのままこっちに持ってきて犯人が何かの理由で爆破したら、誘爆でそれも吹き飛ぶはずです。しかもアタッシュケースの中となると体育館にある爆弾は監視カメラでわかる範囲で10個設置してある事にまります。もし、体育館を爆破したとして、体育館側に置いていたら?しかも体育館内の爆弾が一個爆発したら?」
「誘爆はもちろんどころか…ちきしょー!アイツら俺達まで人質にするつもりか!」
「そうです!しかも…」
 突然、ものすごい爆発音が後ろで鳴った。
 テントを出てみると体育館とは反対の校舎である東棟の3階のグランド側が爆発したのだ。
「な、なんだ?!」
 爆処班の相手が驚く
「早くしやがれ!ちんたらどもが!
 そしたら、スピーカーから怒鳴り声がする。
「お前ら!なにこそこそと、こそこそと、やってるんだ!次は体育館爆破すっぞ!わかってるのか!お前ら、監視カメラが別方向いてるからって隠れられると思ったか!?ここにある監視カメラ以外に俺たちで持ち寄ったカメラがあるんだよ!クソどもが!ちゃっちゃか集まれぇ!!!!」
 強引にスピーカ―を切る音がした。
 富田が出てきて、こういった。
「最悪な状況です。死角を使った作戦はオジャンになりました。しかも爆弾はスマホにつながっています。遠隔で時限爆弾にも通常の遠隔式にもなり下手をすれば起爆スイッチにもなりかねないとんでもない代物です。」
 私、手をぎゅっと握って握り拳を作りながら富田に聞く
「わかっているけど、聞くわ。…犯人は何で、駐車場の真ん中に1個置いたのかしら?」
 富田は、唖然とした口調でこういッた。
「おそらく犯人はわざと置いたのでしょう、起動ぜずに。おそらく、犯人は『俺たちはこんな者持ってるんだぜ。やれるもんなら、やってみろ!』って」
「畜生ぉぉぉおおおお!!」
 そういって、私は小石を爆発した方向に思いっ切り蹴り上げた。


                                                                            …To be continued

Emperor Clown

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Emperor Clown

20XX年世界中で生物兵器『ブラック・マター』による被害から2年。世界はまだ少し爪痕を残しながらもすこしずつ元の平和を取り戻しつつあった。 主人公、小林 有佳理<こばやし あかり> 明るい普通の高校2年生。(ただしアホの子)そんな彼女はごく普通の生活を送っていた。 しかし、ある日彼女の通う高校に立て籠もり事件が起きる。そこから彼女の運命は非日常へと引き込まれていくのであった。

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-10-20

CC BY-NC
原著作者の表示・非営利の条件で、作品の利用を許可します。

CC BY-NC
  1. Prologue
  2. 小林 有佳理(1) 崩壊
  3. 北山 明美(1) 突然