夜に

インクで濡れていた
風が寒くなった夜、たった一人で
紙の中に閉じ込められた升目は、窮屈そうだ
用紙へと息を吐き捨てる
一人ぼっちの星空は、濃い青色で滲んでいた
これっぽっちも乾いていない
乾き切らなかったのはまだ救いか
泣きながら指で拭った文字のインク
しつこく垂れ流される黒
自由を求め歌う夜
ぽつんと佇むには広すぎた
頬杖なんかついていては勿体無い
そんな夜に

夜に

夜に

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-10-18

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