Sword&Heart
こういう夢を見たってだけです。
なのですごく中途半端なところから話は始まるし、続きもないです。
文章の正しい書き方やルールをよく分かってないので適当に書いてます。
あいつはもういない
「俺、コイツで戦いたいんだ」
そう言ってエフが取り出した日本刀は反射した光が流麗に空気を切り裂いている。
その刃はエフの固い表情が映るほどにまだ綺麗なものだったので、鞘から抜いたのは初めてなのだろう。
「けどお前......」
エフは代々刀を扱う家系の人間とはいえ今は双剣使いのため、刀を使いこなすことは難しいだろう。
戦場での武器の選択、戦いはそこから始まっている。
しかしエフの判断は素人目から見ても自殺行為だった。
「いいのか?だってお前は―――」
「分かってるよ!けどコイツと死ねるなら......俺は......」
エフの目は強い決意を示していたがうっすらと涙も浮かんでいた。
「そうか、それはユウの」
―――六年前、
僕とエフは戦士として、また少年として日々修行に励み、その中で必ず手を合わせていた。
相手に傷一つ負わせるたびに心を痛めるような顔をするエフは戦場には向いていなかった。
敵に情けをかける戦士などいないのだ。
それゆえに彼は弱く、僕と剣を交えて勝ったことは一度もなかった。
けれど倒れ込むエフにユウはいつも駆け寄って声をかけた。
「大丈夫?ちょっとネイク、やりすぎよ!」
「戦いにやりすぎも何もない」
「もう、この戦バカ。待ってて、包帯持ってくるから」
「うるせぇよ。エフ、お前もそれでいいのかよ」
エフはただ黙っていた。
いつも優しく笑顔を振る舞うユウもまた戦士の一人で、エフと同じ刀使いだった。
剣の実力も高く、学園ではトップクラスだった。
その上、最年少で軍への入隊を許された。
僕はそんなユウに、またユウに優しくされるエフに嫉妬した。
だから僕は他の者にはもちろん、エフやユウにも決して手を抜かなかった。
それからすぐにエフは刀を双剣に持ちかえると、才能が開化したように強くなっていた。
だけど僕はエフには負けなかった。
それは嫉妬心からの意地のおかげでもなんでもない。
答えは単純明快なものだ。
実力の差、とでも言うのだろうか。
いくら彼が強くなろうと、僕をいつまでも親友と慕う気持ちがある以上は僕には勝てない。
やはりエフは戦場には向いていないのだ。
その一ヵ月後、ダーレン軍との戦いでユウは戦死した。
新兵とはいえ、ユウは第一線で戦う羅神に所属していた。
そこで負傷した仲間を助けようとしたところを後ろから斬られた。
戦場では仲間すらも裏切って行かなくてはならない。
たとえ親友であろうと、愛する人であろうと、家族であろうと。
これは僕たち学生が授業で最も最初に習うこと、つまり戦において最も初歩的なことだ。
約一ヶ月続いた戦いは我々連合国軍の勝利に終わったが、数万人以上の戦士が戦場に散った。
その一人がユウだった。
僕はその知らせを聞いた時、悲しみなど微塵も感じはせず、むしろ怒りを覚えた。
周りが泣き叫ぶ悲鳴の渦に巻き込まれていた。
エフもまた情けなく涙を流して泣いていた。
常に血は流れ続け、命が絶えゆく戦火の中。
そこで仲間が死んでいくことは当たり前のことなのだ。
ユウも戦場には向いていなかったのだった。
「僕はもう何も言わない」
僕はエフから目をそらし、彼が戦場へ出る姿を窓ガラス越しに見送った。
「ユウ......」
エフは小さく呟き、刀を強く握った。
部屋から出て行くエフの背中はいつもと同じように震えていた。
それは次第に小さくなっていき、やがて光のむこうに消えていってしまった。
それは僕が見た最後のエフだった。
Sword&Heart