夜空の下では

プロローグ

この1夜で彼女は今までの生活をぐるりと変えることになった。彼女の決断は正解だったのか。それとも不正解だったのか。

憧れ

 この物語の主人公、小畑凛は狭霧高校に通う高校1年生である。人並みに友達もいて明るく、みんなから好かれるような存在だ。また、彼女は剣道部にも所属していてそこそこ強い選手でもあった。
 今日も自分の教室から徒歩5分にある武道館へ向かう。武道館へ向かう途中、同じ部活で同じく1年生の安藤美香にもあった。美香は、高校から剣道を始めた初心者である。だが、初心者とは思えないほど動きはよく、先生や経験者からとても期待しているそんざいであった。2人はいつも通り会話をしながら武道館へ向かう。2人が武道館へ着くと部長がいた。御堂大輔。狭霧高校2年生。そしてこの剣道部の部長である。大輔は、剣道がとても上手いというわけではない。だが、みんなに優しく平等に接するなどの性格から部員から慕われているため部長になったということなのだ。凛もこのような性格に入部当時から憧れていた。凛が悩んでいた時も親身になって考えてくれたり、おかげでその悩みも綺麗に消え、今はそのことに関してなにも考えずにすむようになった。また、大輔は2年生のあいだでも人柄の良さが評価されており、学級委員をやったりもしている。凛はそんな大輔のような先輩がいてとても嬉しく思っていると同時に憧れているのであった。
 今日もいつも通り稽古が始まる。厳しい稽古であったが大輔が部員を励まし、今日の稽古も乗り切った。
 剣道部では何故かみんなで帰宅するという決まりがあり、みんなで最寄り駅まで帰っている。凛は美香と大輔と方向が一緒だった。いつも通り3人で話しながら駅まで向かう。そんなとき大輔の携帯がなる。大輔は電話に出て、荒い口調で話し出す。
「なんだ。……ああ。今から行く。」
日頃の生活ではここまで荒い口調で話すことがないので凛と美香は驚く。
電話が終わると大輔は
「あ、ごめんね。急に用事が出来ちゃって。急ぐからまた明日。気を付けて帰ってね。」
と、それだけを言い残し駅まで走り去ってしまった。あまりにも急な出来事であったため凛と美香は驚きを隠せないまま最寄り駅まで向かう。そこでの2人の会話は先ほどの大輔の態度についてであった。荒い口調、雑な電話の切り方……日頃の大輔では考えられないような態度であった。
 美香と別れた後も凛はそのことについて考えてみるが、さっきのことは考えてもなにも答えがでないと思い考えるのをやめた。凛は明日はひとまずなにもなかったかのように接しようと決めたのであった。

夜空の下では

夜空の下では

  • 小説
  • 掌編
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-10-14

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