とある科学の能力追跡

とある科学の能力追跡

とある科学の能力追跡

学園都市、人口の約8割を学生で占める学生の街にして、

外部より数十年進んだ最先端科学技術が研究、運用されている科学の街。

そんな街での一人の少女の物語。

                                                               



───ファミレス───



浜面「滝壺.....来ねえなあ...」

絹旗「そういえば遅いですね。超お寝坊さんですかね?」

麦野「この馬鹿の為に目一杯オシャレしてるんだろ、察してやれ。」

浜面「馬鹿っておい、...まあ、その内来るだろ。」




滝壺「...誰?」

研究者「君が能力追跡、滝壺理后か」

滝壺「.....そうだよ?」

研究者「君には8人目のLevel5になれる可能性があるのは知っているな?」

研究者「そこで、だ、君には少し協力をしてもらいたい」

滝壺「.....お断りする。」

研究者「はは、これは手厳しい、まあそんな事は想定内だがな」

滝壺「...私、急いでるから、もういい...?」

研究者「なら、これを見てもまだそんな事が言えるかな?」


研究者が取り出した物、それは滝壺理后のよく知る男の写真である。


滝壺「.....!はまづらに何をしたの!」

研究者「おっと、"まだ"何もしていないさ、返答によって答えは変わるのでね」

滝壺「...、卑怯。」

研究者「どうとでも言えばいいさ、目的のためならどんな事でもするからな」

滝壺「.....やめて、はまづらには手を出さないで。」

研究者「それは、実験に協力してくれると捉えてもよろしいかな?」

滝壺「...協力、する。」

研究者「その言葉を待っていたよ、それじゃあ行こうか」

滝壺「待って、...みんなに、ちゃんと言ってから。」

研究者「ふむ、まあいいだろう、私も付いて行く」




滝壺「.....お待たせ。」

浜面「遅かったな、何かあっ.....滝壺.....?」

麦野「滝壺の後ろにいるテメエは誰だ?その格好...おい滝壺、どういうつもりだ?」

絹旗「.....理由次第では超覚悟してください」




科学者「君達がItemですか、とても高位能力者の集まりとは思えませんね、麗しい少女ばかりだ。」

麦野「んな当たり前の事言ってねえでさっさと用件を言えよ中年。」

研究者「そうですね、その事は滝壺さん本人に言っていただきましょうか。」

滝壺「.....、.....私、Itemを抜けるね。」

麦野「.....は?」

浜面「滝.....壺?」

研究者「それじゃあ行きましょうか、滝壺さん」

滝壺「.....、.....うん。」




麦野「待てよ、滝壺!」

研究者「フレンダ=セイヴェルン」

麦野「!?」

研究者「私の力を持ってすればItemを潰すなど容易な事だ、無駄な抵抗はしない事だな。」

絹旗「.....麦野」

麦野「.....、...さっさと消えろ!殺されてぇのか根暗女!」

滝壺「...うん。」

滝壺「ありがと、麦野。」




絹旗「滝壺さん、超行っちゃいましたね...」

麦野「.....」

浜面「.....、俺は追いかける、絹旗、麦野の事、頼んだぞ!」

絹旗「ちょ...、まあ、超仕方無いですね...」




浜面「.....滝壺っ!」

滝壺「はまづら.....?」

浜面「滝壺、一体何があったんだよ!?」

研究者「やれやれ、困りますね」

滝壺「.....いいの、少し二人にさせて。」

研究者「はぁ...、まあいいでしょう」




浜面「どうしちまったんだよ、滝壺.....」

滝壺「ごめんね、はまづら、学園都市には逆らえないから、この力、使うね?」

浜面「っ.....!もう、引き返すことは出来ないのか?」

滝壺「.....うん。」

浜面「どうしても、どうしても行くって言うなら...俺が滝壺を止める!たとえ殺してしまってもだ!」

滝壺「...できるの?はまづら。」

浜面「...ッ!?」

滝壺「...優しいね、はまづら。」




浜面「なあ、滝壺!考え直してくれよ!こんなことやめてくれよ!ずっと...一緒にいるって約束しただろ!?」

滝壺「...ありがと、はまづら。そんなはまづらを、ずっと、応援してたかった.....。」

滝壺「.....もう行かないと、ありがと、はまづら、最後にお話ができて、嬉しかった。」

浜面「ま、待ってくれ...滝壺...」

浜面「...クソォォォおおおおおおおおおお!」


浜面「なん、でだよ...滝壺...」




絹旗「...あ、浜面、どうでしたか?...その様子だと、超ダメだったみたいですね...」

浜面「ああ...ダメだったよ、はは、もう諦めるしかねえのか...」

絹旗「...こんな事で諦めるんですか?やっぱり浜面は超浜面ですね」

絹旗「その程度の想いだったんですか」

浜面「ッ...!」

絹旗「ほら、何を超ボーっとしてるんですか、まずは情報収集ですよ」

浜面「...あんがとよ」

絹旗「お礼なんて超いらないです、滝壺さんを連れ戻してから言ってください」




滝壺「...約束、はまづらには手を出さないで。」

研究者「ま、そういう約束だからな、よし、これから君にはこの音楽を聴いてもらう、それから...」

滝壺「音楽...?」

研究者「聞けば分かるさ、さあ、早く」

滝壺「う、うん。」



研究者「...よし、これで一通り終わりだ、気分はどうだ?」

滝壺「...大丈夫。」

研究者「次のステップへ進もう、次は対能力者の実験だ」

滝壺「.....私の能力は1人で戦える能力じゃないよ...?」

研究者「その心配は無い、今の君は学園都市を一人で管理出来る事ができるのだから」

滝壺「.....?」

研究者「例えば、無能力者の少年がいたとしよう、君はその少年に好きな能力を好きなLevelで与えることが出来る」

研究者「無論、その逆もある」

滝壺「...逆?」

研究者「そう、君の能力は他人の能力を奪う事も出来るんだ、Level5の能力でも、だ」




絹旗「浜面、少しばかりですが情報を超入手しました、これを見てください」

浜面「学園...個人?なんだこれ...?」

絹旗「...今回の相手は超厄介な相手のようですね...」

麦野「...利用されるくらいなら殺された方がマシ...か」

浜面「お、おい、麦野?」

麦野「浜面ぁ...滝壺を助けたいか?」

浜面「...助けたいに決まってる」

麦野「そうか、ならこの麦野沈利様に任せな、...助けてきてやるよ」

浜面「.....あ、おい!」

絹旗「超大丈夫ですかね、今の麦野の目...仕事中の麦野と同じでしたよ」




滝壺「...北北西から信号が来てる...、能力者、むぎの?」

研究者「麦野沈利、原子崩しか...」

研究者「ちょうどいい、今の君は超能力者にも負けない程の実力がある、これも実験だ」

滝壺「...、...でも。」

研究者「でも?」

滝壺「...ううん、行ってくる。」



麦野「まさかそっちから来てくれるとはな、滝壺」

滝壺「...、むぎの。」

麦野「滝壺、なんでこんなふざけた実験に参加した?」

滝壺「...、.....。」

麦野「...どうせ、脅されたんだろ」

滝壺「.....!」

麦野「図星...か、このまま滝壺をクソ野郎共に利用されんのも癪だ」

滝壺「...でも。」

麦野「だから、滝壺」

滝壺「...?」


その言葉の直後、轟音が耳元で鳴り響き。


麦野「今のは警告、こんな実験はとっととやめて、私達の所に帰ってきなさい」

滝壺「...、...ありがと、むぎの、でも...もう遅いよ...」

麦野「...そうか」



滝壺(麦野の能力に干渉、軌道変更...)

麦野「.....」

麦野(ク...ソが、当てられるわけねえだろ...)

滝壺「...むぎの。」

麦野「...るせえ!うるせぇんだよぉ!...全力だ、全力でブチ抜いてやる!」


演算に集中する麦野沈利、己の身を引き換えに

最大火力で放たれる攻撃、しかし


麦野「.....は?」

麦野「演算パターンに狂いはねえ、なのに何で滝壺も私も無傷で立ってやがる...!?」

滝壺「...大丈夫だよ、むぎの、私は超能力者だから、無能力者のむぎのを、守って見せた。」

滝壺「...こうするしか、ないの、.....みんなを守るためには。」

麦野「...え?あ?...は?」

滝壺「ろしあの時も...今日みたいに追いかけて来てくれたっけ...ありがと、むぎの...」

麦野「.....ッ!?な...!?」

麦野(あん...時、私は...っ!殺そうとして...!)

滝壺「...一度は壊れちゃったけど、私の居場所を...ううん、あいてむを守ってくれた...。」

麦野(違う...!私が壊した...!)

滝壺「ありがと...むぎの。」

麦野「や...めろ、やめろ!やめろおおおおおおおおおおおお!」

滝壺「...あっ、待って麦野.....、行っちゃった。」

滝壺「.....私の...居場所、無くなっちゃった。」



研究者「...クク、実験成功だ!我等の計画、全能力の掌握、そして全能力者の支配!」

研究者「また一歩計画達成に近づいた!」



滝壺「.....、もどった。」

研究者「戻ったか、では次のステップだ、そこに一人の少年がいる、彼は無能力者だ」

研究者「そんな彼に能力を与えるのが次の実験だ」

滝壺「...、...うん。」

研究者「そうだな...そこの少年、Levelと能力は君が決めるんだ」

少年「...そうっすね、Level5の風力使いになりたいっす!」

研究者「...ふむ、実現はほぼ不可能とされていたLevel5の風力操作...か、実に興味深い」

滝壺「...Level5...?」

研究者「そうだ、さ、早く実験を開始しようか」



滝壺(...はまづらを、守るため...。)

滝壺「いくよ?」

少年「よろしくっす!」


演算に集中する少女、彼女自身半信半疑だった、直後の光景を目の当たりにするまでは。


滝壺「...できた...?」

少年「うおお...!手から風が出るっす!すっごい!」

少年「そっ、空も飛べる!」

滝壺「...、できた、の。」

研究者「実験成功と言ったところか、これからあの少年には演算能力をアップを行ってもらう」

研究者「君は少し休憩を取るんだ、外に出てもかまわない、だが、逃げた場合は...」

滝壺「.....わかってる、逃げない。」

研究者「ならばいい、好きにするんだ」



滝壺「.....つかれた。」

滝壺「...少し寝よう。」



絹旗「浜面、奴らの居場所が超特定出来ました」

浜面「...っ!ど、どこだ!?」

絹旗「超落ち着いてください、いいですか、奴らは...麦野?」

麦野「...少しだけ休んで来るわ、話し合いを続けて頂戴」

浜面「...あ、おい!...いや、今は滝壺救出が優先だ、続きを頼む」

絹旗「は、はい、いいですか?滝壺さんのいる研究所は──」



少年「この中に入ればいいんすね、わかりました」

研究者「そうだ、それで君は超能力者になれるんだ」

少年(おお、これで空も飛べるようになるんすね!)

研究者(まあ、厳密に言えばもう超能力者だがな、クク、利用されているとも知らずに呑気な奴だ)

研究者「閉めるぞ、なあに、すぐに終わる、体の力を抜くんだぞ」


絹旗「ここのようですね、くれぐれも超油断しないこと、わかりましたか?」

浜面「...ああ、分かってる」

絹旗「さて、まずはどっから進入しますかね、表から行くなんてバカな事は超しませんよね?」

浜面「この施設のどこかに必ず施錠式の鍵があるはずだ、それを探して進入する」

絹旗「...はあ?そこを見つけて超ぶん殴って壊すっていう寸法ですか?」

浜面「んなわけあるか!ピッキングだよ、ピッキング」

絹旗「ふふふ、そんな事だろうと思って、この最愛ちゃんが侵入経路を超用意していました!」

浜面「...おい、おい」

絹旗「さて、超行きますか」

浜面「...ああ、行くか」



浜面「案外あっさり進入できた...ぞ?」

絹旗「...超嫌な予感がしますね、もう別の所に移ったとかですかね」

少年「おっと、ソイツは違うね、アンタ達はこの俺一人で十分って事さ!」

浜面「ッ!って、子供...か?」

少年「あっ!お前今子供扱いしたな!許さないぞ!」

絹旗「会話の途中超すみませんが、この先に行かなきゃいけないんですよ」

絹旗「だから、大人しく倒れてくれませンか...ね!」

 
痛烈な炸裂音、しかし、少年の体に傷が付くことは無かった


少年「うおっ!ちょ、危ねえっす!不意打ちはずるいぞ!」

絹旗「やっぱり一筋縄じゃ超いかないようですね」

絹旗「浜面、ここは引き受けますンで早く行ってください」

浜面「.....ああ!頼んだ!」

少年「...あっ!行かせないっすよ!」

浜面「ぐっ...!何だ今の攻撃...見えねえ、どうなってんだ?」

絹旗(...正直歩が超悪いですね、見た所風力使いの上級者、窒素を飛ばされでもしたら超終了ですね)

絹旗「...超不利な状況って奴ですかね...」

少年「悪いっすけど、命令なんで死んでもらうっす!まずはにーちゃんの方から!」

少年「いっけえええええええ!」

浜面「なっ!...しまっ、間にあわ...ッ!」

浜面の体が中に高々と舞い、床に叩き付けられる



はずだった



少年「は...?俺の攻撃が...」

浜面「...お前は.....!」

絹旗「...第、二位?」

垣根「───ほら、お嬢さんを待たせてるんだろ?ここは俺に任せて先に行けよ」

浜面「なんでお前が.....!」

垣根「話なんぞいつでも出来るだろ?とにかく今は行けよ」

浜面「...ああ、悪い!」

少年「くそっ!行かせない!」

絹旗「どこ向いてンですか、あなたの相手はこの絹旗最愛ちゃンです」

少年「ぐっ!くそっ!」



垣根「よう少年、逃げるなら今の内だぞ?ま、もう逃がさねえけどな」

絹旗「...、...援護超ありがとうございます」

垣根「...別に援護をしてるわけじゃねえよ」

垣根「能力追跡、コイツがLevel5になるってのは俺にとって大きな障害になる、だからこんな計画は潰す」

絹旗「...まあ、そんな事は超どうでもいいです、死なないでくださいね」

垣根「誰に向かって言ってやがる、お前こそ死ぬなよ、お嬢さん」




少年「何をぶつぶつ...、まとめて倒してやるっ!」

垣根「...へえ、面白いこと言うな、お前、俺が誰だか知らねえの?」

少年「誰って、そんなん関係ない!俺は超能力者だぞ!最強だぞ!?」

垣根「ま、楽しませてもらおうじゃねえの、最強さんよ」

少年「うおおおおおおおおおおおおお!」



垣根「ふーん、見たとこ風力使いってとこか」

少年「...くそっ!なんで攻撃が届かないんだよっ!」

垣根「こんなもんか?最強の実力ってのは」

少年「うるさい!これでも喰らえ!」

垣根「...少年、これ以上やってもお前の勝ち目はねえよ、まずお前の攻撃は俺には届かねえ」

垣根「簡単なことだ、俺の未元物質で一定以上の風速の風を通さねえ空間を作ればいい」

少年「はん、そんな簡単なことか、なら一定以下の風を通せばいいだけだろ!」

垣根「...心地いい風だな。少年、そろそろ終わりにするぞ」

垣根「俺と戦えたんだ、光栄に思えよ?」

少年「...は?俺が...負ける?超能力者なのに、負け...る?」

垣根「俺の前に立った時点でお前の負けは決定してたんだよ」

垣根「俺の未元物質に、常識は通用しねえからな」

少年「うっ!うわあああああああああああ!」

絹旗(...あっという間に、はあ、苦戦してたのが超バカみたいです。)

絹旗(...少しだけ、超かっこよかったですね)



滝壺「.....あ、寝てたんだっけ...。」

滝壺「.....!このAIM拡散力場...きぬはた、.....第二位?.....あ...。」

浜面「見つけたぞ...滝壺」

滝壺「はまづら...!」

浜面「滝壺が何と言おうと、俺は連れて帰る、...帰るぞ、俺達の居場所に」

滝壺「...でも、実験に協力しなきゃはまづらが...。」

浜面「...何言ってんだ?俺はここにいる、約束しただろ?ずっと一緒にいるって」

滝壺「.....はま、づら。」

滝壺「...会いたかった、...もう離れない。」

浜面「.....ああ、離さない!...よし、ここは危ないから外に出るぞ?」

滝壺「...うん、ありがと、はまづら。」



絹旗「...あ、滝壺さん!無事だったんですね、超安心しました。」

滝壺「大丈夫だよ、きぬはた、心配かけてごめんね。」

浜面「そういや、そっちはどうなったんだ?」

絹旗「あの少年は冥土帰しの所に"生きて"搬送されたので超大丈夫だと思いますよ」

絹旗「あの忌々しい研究者共は...おっと、そろそろ帰りませんか?超お腹がすきました。」

浜面「...っておい、まあいっか、滝壺、帰ろうぜ」

滝壺「.....うん、帰ろ、はまづら。」


垣根(...、...絹旗最愛、か)


滝壺「...ただいま、麦野。」

麦野「...ああ、おかえり、話はあの二人から聞いた、全く、私は超能力者、絹旗は大能力者」

麦野「滝壺があんなことしなくたって守れるっての、...ま、無事でよかった、滝壺」

滝壺「...うん、ありがと。」

麦野「...そんな事よりも.....能力、元に戻してくれないかなーん?」

滝壺「...あ、忘れてた、うん、今すぐ戻すね。」



      ──数日後──


滝壺「...うん、あの病院に行って来た、Levelは元に戻ったみたい。」

浜面「そっか、...まあ、滝壺が元気そうでよかった、あの音楽、結構副作用があるんだろ?」

滝壺「...そうなの、知らなかった。」

浜面「...ああ、知り合いが似たようなのを使ってな、数日間寝込んじまったらしいんだよな」

浜面「だから、無事でよかった、本当に」

滝壺「...うん、あの時は、助けに来てくれてありがと、はまづら」

浜面「当然だろ?だって、そ、その、ず、ず、っと一緒にいるんだもんな!」

滝壺「...ふふ、うん、よろしくね。」

滝壺「はまづら、大好き。」



アレイスター「...ふむ、能力追跡が更に成長を遂げたか、8人目として覚醒するのも近い将来かもしれんな」

アレイスター「そのまま順調に成長してくれたまえ、能力追跡」


──Fin.                     
                                                   
                                                           

とある科学の能力追跡

とある科学の能力追跡

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-10-09

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