あまひめのいらだち

「あまひめ」ってね

　あたしは　あたしは
　おひめさま

　あめを　あやつる
　おひめさま

　したに　すんでる
　モノたちに

　めぐみの　あめを
　ふらすのが

　あたしの　しごと
　なんだけど

　タニンの　ため
　ばっかりに

　ちからを　つかうの
　つまらなくって

　けらいの　くもたち
　ひきつれて

　しょっちゅう　いたずら
　しにいくの

　からから　かわいた
　ふくの　そで

　びっしょり　びっしょり
　ぬらしたり

　さらさら　ながれる
　かわの　かさ

　どっしゃり　どっしゃり
　ふやしたり

　とうさま　かあさま
　おこるけど

　ミンナが　こまって
　あわあわするの

　おもしろくって
　やめられない

　だけれど　あるひ

　そんな　あたしの
　たのしみを

　がいす　モノが
　でてきたの

　からから　ひろがる
　つちの　ゆか

　ぐっしょり　ぐっしょり
　とかしても

　さらさら　ゆらめく
　くさの　やね

　ばっしゃり　ばっしゃり
　たたいても

　ぴょんぴょん　ぴょんぴょん
　うれしそう

　どしても　あたしは
　コイツらを

　あわあわ　あわあわ
　させたくて

　けらいと　ちからを
　ふりしぼり

　ゆかが　いけに
　なるくらい

　やねが　いたに
　なるくらい

　ざばざば　あめを
　ふらせたけれど

　けろけろ　けろけろ
　はなうた　うたい

　もっと　もっとと
　おどっているの

　なんて　へんな
　ヤツらなの

　いらいら　いらいら
　くやしいわ

　こうなったら
　こうなったら

　けらいの　ちからも
　あたしの　ちからも

　もっと　もっと
　きたえなくっちゃ

　あたしは　あたしは
　おひめさま

　あめを　あやつる
　おひめさま

　こんどこそは
　アイツらの

　こまった　すがた
　みてやるわ