片耳ロビン
ぼんやりと空を見上げながらロビンは思った
この空から水滴が落ちてきたのはいつのことだろうと
むしろ 落ちてきたことがあるのかどうかもぼんやりだ
だからと言って 此処が 乾いた場所だとかそういうわけではなくて
ロビンは雨に打たれたことはない
もし 打たれたならば 大半が綿で出来た身体は
すぐに湿り気を含んで重くなり
その場から動けなくなる 一歩も
でも 片耳で片目のロビンは知っている
外見が可愛らしい兎であろうとも
自分は 雨を 知っている
雨に打たれたこともある
此処ではないけれど
確かに以前 自分は お払い箱になったことがある
ボタンの眼では空は綺麗に映らないはずなのに
確かに 今 ボタンの眼には綺麗な空が映っている
片耳ロビン