片耳ロビン

ぼんやりと空を見上げながらロビンは思った
この空から水滴が落ちてきたのはいつのことだろうと
むしろ 落ちてきたことがあるのかどうかもぼんやりだ
だからと言って 此処が 乾いた場所だとかそういうわけではなくて

ロビンは雨に打たれたことはない
もし 打たれたならば 大半が綿で出来た身体は
すぐに湿り気を含んで重くなり
その場から動けなくなる 一歩も

でも 片耳で片目のロビンは知っている
外見が可愛らしい兎であろうとも
自分は 雨を 知っている
雨に打たれたこともある
此処ではないけれど

確かに以前 自分は お払い箱になったことがある

ボタンの眼では空は綺麗に映らないはずなのに
確かに 今 ボタンの眼には綺麗な空が映っている

片耳ロビン

片耳ロビン

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-10-07

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted