平和主義
二億人が、今日も戦う。
戦うための武器は皆持っている。
要は、それを使いこなせるかどうかだ。
あの人は強い武器を持っている。
だから沢山の人が、あの人について戦場を駆け巡っている。
私が持っているのは弱い武器だ。
だから誰も私についてこようとしない。
弱い者に、価値は無い。
私のような雑魚には目もくれず、各々の敵に立ち向かって行くのが正解だ。
あの人は私と同じ武器を持っている。
だけど沢山の人が、あの人について戦場を駆け巡っている。
あの人は強い。私は弱い。
大事なのは武器じゃない。
私自身の力だ。
強い人に立ち向かった。
勝てるはずもなく、私はあっさり打ちのめされた。
強い人を羨んだ。
浅ましい自分に嫌気が差すだけだった。
私には何が足りないのだろう。
叫んでも、誰も気づかない。
武器を振りかざしても、誰も見ない。
もはや私は、何と戦えばいいのだろう。
碌に戦ってもいないのに、私の身体は傷だらけだった。
この痛みは、誰とも共有できない。
誰だって痛みを背負ってるんだよ。
いつしか誰かがそんな事を言ってた気がする。
違うんだ。他人を引き摺り下ろしたいんじゃない。
私が強くなるにはどうすればいいのか。
それを知りたいだけなのに。
私は立ち止まった。
そして思い出そうとした。
何のためにここまで来たのか。
戦うため?何と?何故戦う?
手の中の武器は、徐々に重くなっていく。
一番最初に言われたはずだ。
どうしようもなくなったら逃げてもいい。
あなたが、戦い続けるのが辛くなったのなら。
だけど逃げたら、あなたがここで培ったものは全て無くなる。
あなたの記憶にしか残らない。
それでもいいと言うのなら。
戦うのも、羨むのも、疲れてしまったのだろう。
私は武器を地面に置いた。
降伏だ。
武器に背を向け、私は走り出した。
やがて誰もいなくなったそこには、新品の銃が横たわっていた。
平和主義
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
ふと思った事を、そのまま文章にしました。私はある明確な意味の元でこの詩を書きましたが、読んだ人それぞれが自分なりに捉えて頂ければと思います。