two
見失うものがある
日が沈んで、夕日に染まる空。
校内放送が流れて、慌てて小走りになる。
やばい。
廊下を走る音が、やけに響いた。
定時制の学校に通う僕は、一部に属する。
一部、二部、三部に別れて。
朝、昼、夜に登校する生徒に振り分けられる。
つまり僕は、朝の登校になる。
下校時間が決まっていて、一部と二部は夜の六時半。
既に、六時を回ってしまっていた。
図書室のまえに辿り着くと、荒ただしく扉を開ける。
廊下ですれ違う人もいなかったし、今は三部の生徒が登校し始めている頃だろう。
遠くから、雑音が聞こえてくる。
借りた本を戻して、帰ろうとした時だった。
ガタン。
大きな物音が響く。
なんだ?
そう思って振り向くと、開けっ放しにしていた扉が閉まっていた。
異変から物語る
扉に近くと、気づいたことがあった。
まさか、またあいつらか?
遠ざかっていく足音と、薄い笑い声。
扉を開けようとしたが、びくともしない。
何度やってみても開くはずもなくて、鍵が掛けられたと悟った。
叩いてみても、返事すら聞こえない。
「すいませーん!」
誰かいないのかよ…。
数分後には、諦めモードになっていた。
誰も来ないし…。
あ、でも確か見回りを交代でやっていたような…。
待っていれば、その内誰か人が来るかもしれない。
椅子を引いて、座って待つことにした。
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