私の弱点は声である

いい声を聴くと体が震えだし、脳がしびれる。
低くても高くても良し、癖のある声だったなら尚良し。
いい声に出会った瞬間に天から稲妻が脳天に落ちる。
そう、あらわすならばビビデバビデブー いえす いぇす
しびれた私は声の虜。
右耳に声が響いた瞬間足元から崩れ落ちるのさ。
男の人がきれいな足やおしりなどに興味があるのなら
私はきっと声である。
声にほだされてどこか壊されてみたい。
明日がなくなるというのなら、それでも構わない。
23年間生きてきて現実世界に酔いしれるほどの声の主というのに会ったことがない。
嗚呼 叶うのであればいい声に名前を呼ばれて死にたい。
たぶん出会ってしまった瞬間、毛という毛は抜け落ちて体は衰弱して血を吐いて私は死ぬのだろう。
そんな恐ろしいことになってしまったらどうしよう…と思う反面そんなことになってしまいたいという自分もいる。
なんだろう…これは一種の性癖のようなものだろうか。
体がおかしくなるのだ、脳がまずパーンッて
馬鹿になって、頭痛がした後に視界が真っ黒。
パーンッってなって
パンパンパンと、こう、いきたいなぁ。
右耳、右耳、右耳だぜ。
左、左、左は嫌よ。
お金を出すから名前を呼んでよ。
お金が無くなったら体を売るわ
だから私の名前を呼んでちょうだい。

声のこと

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-10-04

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