夏の終わりは線香花火と人魚姫

もう少しあと少し時間をください 人魚姫でもかまわない
あの人が去(い)ってしまうから 今までで一番美しい花になりたい

「君がどんなに請い願っても ひまわりにはなれないよ
 祈りが強ければそれだけ リスクがつきまとうのさ
 だからその人に君の姿は見せられないよ
 100メートル離れて物哀しくパチパチと咲いてね 夜の花だから」
そう言われて飲んだ秘薬 想い出たちがthroughする

もう少しあと少し早く夜になって ポロリ泣く線香花火
あの人は去(い)ってしまうのに 今までで一番美しい花になりたい

夏の夜は魅力的 絵になるほどの月灯りの私のシルエット
でもね そんなの何の意味もない
それなのに月は残酷 私もあの人もひとしく照らすの
つながることのない赤い糸たぐりよせ立ちあがるその瞬間に
思ってたのと違う効き目 想い出たちがdisappearする

もう少しあと少しきれいになったのは ホタルのような美しさ
あの人が去(い)ってしまっても 儚く悲しげに美しいまま やがて・・・

何も変わらない世界は 人々が追い求める夢も愛も哀しみさえも
私は
火種落としたの?
泡になったの?
無心すぎてわからない
夏の夜 ヒトリ 燃え尽きた コイヒバナ

夏の終わりは線香花火と人魚姫

夏の終わりは線香花火と人魚姫

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-10-03

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