言い古された言葉だが、自然というものは心をなぜか癒してくれる。
都会の建物の群れや、人の波にのまれていると、いつの間にか何かを失っていることに、知らない間に気づかせてくれる場所である

私の今の職場な山の中といえる。山の中で作業をする林業的なものではないが、山の中に建物がある中で作業をしている。

通い始めたころは、その通い道に民家があることに不思議さを感じずにはいられなかった。駅からは遠く、車がなければ外出も難しい場所だ。かなり急坂で、自転車で登りきれない人を多々見かける。

しかし、ほんの少し足を延ばすと、何とも言えない山の自然が残されている場所なのだ。こんな大きな都市に、こんな自然が残っているのか、と思わず言いたくなるような感じである。

ばたばたした仕事の最中にふと外に出て自然の風に吹かれる。むろんサボりではなく、外に出る用があるからなのだが。季節の移り変わり、まだ残る夏の風物詩も感じられる。

生まれも育ちも田舎だからだろうか、そういうものに触れると非常にほっとする。
色々な理論でその癒し効果を分析しようとされているが、そういうものはいったんどうでもいいや、と思えるほどに気持ちがいいのだ。

ただ、これからは寒さとの戦いになるのであろう。自然は厳しい。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-10-03

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