ありがとうおばあちゃん

わたしは、久しぶりに祖母の元気なころの写真を見た。
その写真は祖母が近所の人々と一緒になってバスに乗って、笑顔の写真でした。
現在祖母は認知症で今はほとんど笑わなくなってしまった。
以前の祖母はよく笑い、いつも笑顔で私たちの事をお出迎えしてくれていた。
しかしもう以前のような祖母には一生会えなくなってしまったのだ。
もしこの世の中に神様が存在するのならば、私は祖母の笑顔をもう一度見たい。
この気持ちが私の中に訪れたのは、私が中学3年生の時だった。
このころはまだ祖母は元気でちゃんと電話もしてくれた。
しかしこのころの私は、高校受験や学校での人間関係でトラブルになり、精神的にダメージがあった。
そんななかで、祖母はほぼ毎日私の家に電話をかけてきては、
「秋ちゃんはいるの?話したいからかわってちょうだい」
などと電話口でねだってくることが多くなってきた。
私はいろいろな事が重なりとてもイライラしていました。そのためよくその電話を邪魔だからきっといてなどと、母親に言っていました
祖母は電話口でどう思ったのでしょう。
今となっては祖母の昔のような笑顔を見たくてみたくて毎日悔しいおもいばかりです。
もっとあの時話してればよかった。
もっとあの時写真を撮ってればよかった。
実際写真で見るのもいいが、やはり人間は自分の目で実際に見たものが、形には残らないが見た本人の脳裏に焼きつくのではないかと思う。

ありがとうおばあちゃん

ありがとうおばあちゃん

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-10-01

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted