さようなら

嗚呼、もう さよなら なんだ。

もう、本当に さよなら なんだ。




哀しいままでいい、と

哀しみや痛みさえずっと薄れずこのままでいたい、と

忘れたくない、と。




今読み返しても痛みがぶり返すほどの悲痛な叫びが其処にはある。


キミを想フことは簡単で

街の其処かしこにキミが居て、辺りがよく見えなくなった夜でも空を見上げれば簡単にキミを重ねられる。



   一生涯離れることはない。



そう思ったことはキミの前にも何度かあったけど。

けど。

けどね。



変わらないものなんてないんだ


と、そんな言葉を放つ人を寂しいやつだと思っていた。


けど、けどね。

自分の中にもあった、変わらないものなんてないってこと。



離れることはないと想ったものとキョリができたのは、キミの前にも何度かあった。



抱え続けたかったキミへの哀しみと痛み。



癒えていくことへの悲しみ
笑うことの最悪感



逃すまいと必死に痛みを抱きしめるけれど、腕や手の隙間からキラキラと舞い上がってゆく
少しずつ、少しずつ、少しずつ・・・


これ以上手放すまいと眉間に皺を寄せながらもう一度抱きしめなおすけれど


すいた部分は空洞に
空洞は伝う、ふるえる



生きてることで遭う哀しみ
生きてることで逢う感動



出逢った感動でキミへ ポツ、り


   ―悔しいでしょう―


と、にやり。


キミがもっと鳴らしたかったもの。
キミがもう鳴らせないもの
を、鳴らせるワタシたち。
に、心震わされたワタシ。



  せいぜい悔しがるがいいわ



悔しいのはワタシの方なのか、思いのほか舌足らず気味にキミの写真へぼやいた。




哀しいままでいい、と

哀しみや痛みさえずっと薄れずこのままでいたい、と

忘れたくない、と思っていた。


だけど、


嗚呼、もう さよなら なんだ。

もう、本当に さよなら なんだ。



4年経って初めて言える


   「  さよなら、ありがとう。  


                さようなら      」

さようなら

さようなら

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-10-01

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