私が彼を殺した

私が彼を殺した

1999年東野圭吾著

加賀恭一郎シリーズ第5作目。
第3作目の「どちらかが彼女を殺した」と同様に関係者視点で描かれ、犯人が最後までわからない構成になっている。
本の最後には推理の手引きが存在し、犯人がわからなかった読者向けに解説が加えられている。

本作は奇妙な兄妹の関係から始まる。
この辺のくだりはあまり読んでいて気持ちの良いものではない。
読んでて悲惨なので、さらりと読み飛ばした。

今回は登場人物が多い。
視点が多いのでなかなかおもしろい。
けど、登場人物が魅力的でない。
人間的に劣っている人ばかりなので、読んでて楽しくはない。

最終的に犯人が3人に絞られるのだが、私は最後まで犯人に納得できなかった。
美和子が犯人ならおもしろいと思う。
神林の最後の独白で美和子はこういう人間だったのか…と思うところがあるが、あれがまさに美和子自身を表してるのだ。
ただ、だからといって犯人が美和子になるわけもなく。
順当な人が犯人になったなという感じ。

最後まで読み進めるのが楽しかったが、犯人がわかってしまうとがっかりという感じです。
犯人はネットで検索すれば嫌と言うほど出てきますので、ここでは割愛します。
この構成の作品として前回も思ったけど、犯人の後日談がないので、物足りなさを感じます。
それを書くと犯人がわかってしまうというのはあるけど、バッサリと終わってしまうので、なにか残念です。
ここまで読んだのになぁという。
今回は本の厚みもけっこうあって、ストーリーも良かったので最後には期待してましたが…。
結局堂々巡りというか…みんなが犯人から外れて、再び容疑者になってを繰り返し、やきもきさせられます。
犯人当ての作品でなければここまで引っ張ることはなかったんでしょうね。

全体としてはおもしろかったです。
読書スピードが驚くほど早かったので、やはりはまったのかなと。
東野圭吾さんの作品を読むと、大いにはまるものと、あまり読めないものとがあります。
なにが合わないのかはわからないのですが、加賀シリーズ1作目の雪月花などはあまり読めない方の作品でした。
トリックがマニアック過ぎてついて行けずといった印象です。
他の短編などは読んでいませんが、どうなのかなぁ…。
シリーズものしか触手が動かないのですよ。
次もたぶん加賀シリーズの続きを読むと思います。

私が彼を殺した

私が彼を殺した

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-30

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