いじめ×いじめ

今作品はあくまで趣味で作成したものなので内容がgdgdなことを頭に入れながら読んでください。
ちなみにこの作品は「馬鹿どものたまり場」でもご覧になれます。

いじめ×いじめ短編Ⅰ 彼氏×彼女

彼氏×彼女

第1章
 俺の名前は御幸(ごこう)正(ただし)。
 中学校時代は地獄だった。入学してすぐに小学校からのいじめグループにタコ殴りにされ、それ以来いじめされるたびに形成されるいじめグループにこき使われ、さらには卒業式には卒業証書を焼却炉で燃やされた。
 そいつらは刑務所送りとなったが、この原因が僕と思われてしまい、同窓会に呼ばない宣言までされてしまった。
 このとき先生が味方に回ってくれたから良かったものの、あそこで先生が現れなかったらきっと僕は一生立ち直れず、引きこもっていたかもしれない。これは、先生の行動と、僕の心を誇るべきなんだと思う。
 しかし、この人生はもう、やり直すことはできない。これからもうこれが僕の思い出になってしまうんだ。
 当然この悲惨な思い出があったのは中学校時代だけではない。小学校時代、保育園時代も同じことがあった。
 せっかく作った紙飛行機を捨てられ、2階から園庭に落とされ、先生にも冷たい目で見られ、小学校のころは一年から殴られっぱなし。教科書を4回も破られ、靴は捨てられたり隠されたり、幸せと呼べる日が本当に誕生日くらいだった。


 だが今は違う!コンプレックスだったデブもダイエットでまあ普通にみられるまで痩せ、ニキビもプロア○○ィブで何とかした。しかも一番人が集まりやすい左後ろの席!これは友達どころか、彼女もできるかもしれない。ちょっとオタクなところを見られなければ全然普通の「男子高校生の日常」だ!
「ねえ、君…」
 キ、キタアアアアアアアッッ!!誰か、声を…、俺はその声を聴くとすぐ振り向くが…ん、あれ?
 そこにいたのは眼鏡をかけた少女だった。フッ、どうやら僕、いや…俺は友達より先に彼女ができてしまうようだ。好みではないが致し方ない。初めての彼女にはちょうどいい。ん、これ、人権侵害になったりしないか?いや!僕は全くモテなかった。女に飢えているのだから侵害になっても仕方ないな。(『おいっ…
 では早速…、ん?その女は真っ直ぐ僕の机の中を指さしていた。おい、こいつ。まさか…。
「あなたそのクリアファイル…、何?」
 しまったアアアッッ!!これさっき映画館で買った「劇場版魔法少女シルキィ 黒の魔法と光の剣」のクリアファイルが少しはみ出てたアアアッッ!!やばい、オタクっぽいのばれたか?クソお、もうおしまいだ!サヨナラ僕の高校生活…。
「ちょっと見せてくれる?」
「え、いや!?その、これは…」
「それ、魔法少女シルキィでしょ?」
 僕はその問いに頭の上に?を浮かべた。いや、確かにそうなんだけども…、何故それを聞く?
「見せて…」
 その声掛けに悪意は感じられないので僕はそのクリアファイルを渡す。彼女はそれをまじまじと見つめると微笑んだ。おうっふ…、こいつ笑うと結構可愛いんだな…。
(やっぱりかわいいな、シルキィ…)
「え?なんて?」
「な、何でもないわ!はいこれ…」
 彼女はそれを乱暴に俺に返すとすたすたと教室を出て行ってしまう。さっき名札を見たが彼女は学級委員の「恵未琴乃(めぐみことの)」さんだ。
 ほかの生徒によると学力は優秀、運動もそこそこできるいわば優等生と言うやつだ。
 しかし、その優等生が何で僕なんかに…。

 その一件から1週間が過ぎた。みんな入学式あってからまだ2週間程度だというのにすっげえ仲いいな。やっぱみんな小学校とか中学校でそういう友達の作り方ってのを学んできたのかねえ。そりゃお疲れさんした。そんなことを机に突っ伏しながら考えていたら例の彼女、恵未さんがよってきた。どうしたんだろう、仕事が済んだのかな?
「……、ちょっと放課後、いいかな?」
「え?」
 きっと今僕は驚くほど変な顔をしているのだろう。それもそうだ、僕が放課後、しかも女の子に呼ばれるなんて…、これあれか?告る的なあれか?
「その…、先週のクリアファイルについて…、話があるの」
 いや違う、職員室送りか?

 とりあえずその日の放課後呼ばれた情報技術科実習室に来たが…、なぜここだ?先生の有難いお叱りにしても、告白の場にしても少し違う気がするし…、あ、来た。恵未さんは実習室の扉を閉める。その片方の手には紙袋のようなもの。少し重そうで手伝おうとするが頑なに手伝わせようとしない。何だ?中身を見せたくないのか?
「あなたに見せたいものがあるの…」
 それってその紙袋の中身?なーんて空気の読めない事を言ったが普通に首を横に振られてしまう。
 どうやらみせたいものはパソコンにあるらしく彼女は一台のパソコンを起動させ、すぐにインターネットへ。そして何か検索し始めたが…。何だ恵未さんと画面が重なってよく見えない…。
「これ、見ても笑わない?」
 突然妙なことを聞き出した。「笑わない?」と聞かれても見せられてないものを笑うかは判断しがたい…。とりあえず笑わないと答えておこう…。
「ホントにホント?」
 ん~、そんなに恥ずかしいものなのか?まあそれでもバカにしたり、笑ったりは絶対しないと誓おう。僕も、そういう経験はあるからな…。
「ん」
 パソコンの画面を見せる恵未さん。そこに移っていたのはうごメモシアター、うごメモはてなの運営や自分のブログや日記、写真などを投稿できるコミュニティサービス「はてな」のホームページ画面。彼女はそこから「はてなブログ」をクリック。はてなブログのページに飛ぶとある場所を指さし始めた。見てほしいのか?…恐る恐る見てみるとそこには「オタクのたまり場」の文字が…。もしかして、これ、僕に勧めてるのか?
「これ、私のブログ…」
 へえ、そうなんだ…、ってええええっ!?
 彼女がこの、ブログの管理人?!待て待て待て、なんかの悪い夢だこれは…。
「やっぱり疑ってる?」
 恵未さんは小首をかしげ少し残念な顔をしている。ん~、このブログはどんなのなんだろう?
 試しにクリックしてみる。と、そこにはピンク色の綺麗なブログの画面が表示されタイトルの下の説明部分には
『ここはオタク同士が語らい、自分の趣味を知ってもらおうという交流ブログです!こちらのブログで自分のブログの宣伝をするもよし!趣味の話の中でけんかになるのもよし!さあ楽しんでください』
 の文字があった。
 どうやらこのブログの読者数は143名…、って多っっ!
 僕は恵未さんの方を振り向くと少し涙目になっていた。慌ててどうしたか聞くが答えてくれない。なにこれ、僕が悪いのか?
「興味、ある?」
「え、ん~?あのさ、とても言いずらいんだけど…、君ってさ、オタク?」
 泣きそうな彼女は震えた声でうんと言いながら頷いた。そうか…、それで先週クリアファイルをまじまじと…。
「何だ、そういうことなら言ってくれればいいのに!」
「え?」
「あの、僕も、オタクなんだ…。このブログ見てほしかったんだろ?それなら心配ないよ。もう見てるから!」
 嬉しそうな顔をする恵未さん。もちろん嘘じゃない。本当にみている。たまに「魔法少女シルキィ」について話し合ってたりするからね…。
 恵未さんは笑顔になり紙袋を持ってくる。
「実は、見せたいものがあって!」
 俺は即されるように紙袋の中をのぞく。そこにはアニメDVD&ブルーレイボックスや、ぬいぐるみ、ゲームシリーズ、その他もろもろ、魔法少女シルキィグッズが入った紙袋。こればかりは驚いた。まさか優等生のこの娘がモノホンのオタクなんて、ねえ、誰も思わないよ…。


第2章
 まだ5月の上旬。最近恵未さんの顔が穏やかになった気がする。授業中挙手する事のなかった彼女が、最近では授業中でも優等生を気取り、しかもクラスの女子のベスト5に入るほどの人気者に…。(ちっ)まあ、クラスのみんなと仲良くなることはいいことだと思うよ、僕は…。でもね、そのきっかけを使ったであろう僕の周りには全く人が来ないってどうよ(←ただの思い過ごしww)。まるで使い捨てじゃんかよ(←違うww)。
 とそんなことを考えていたらいつの間にか6時限目が終了し、もう終わりの号令だった。礼をすると足元で紙飛行機を発見。ちょっと顔をあげ恵未さんの方を見るとちょいちょいと左の方を指さす。読めと言うことらしい…。
 号令をし終え紙の中を見てみる。
「もうすぐGWだね。何か予定ある?無ければさ、秋葉原行こうよ!」
 突然のことだった。あんなに恥ずかしがり屋だった恵未さんがたった半月の間でかなり変わった。やっぱり僕のおかげかな!はっはっは!誰かほめてくれてもいいくらいだぜ!…、ほめてよ…ぐすん…。

今日は5月3日ゴールデンウィーク初日である。僕は恵未さんと午前10時半、ここ、AKBカフェ前で待ち合わせしていたが、しまった。電車乗るの早すぎて2時間前に来てしまった。テンパりすぎたかな…、いや、それもそうだよ!もう何年女の子と待ち合わせしてないと…、いやそもそも待ち合わせをしたことがないな…うん。
 さすがにこんなに早くは来ないか…。よし、とりあえずアキバぐるっと回ってくるか。ちょうど1時間半ぐらい時間はつぶせるだろう。

 うん、遅れた。初めて来たけどアキバって結構広いのね。全部回ってきたら2時間半使っちゃったよ…。僕は走って待ち合わせのAKBカフェ前に行く。まだ恵未さんは来てないみたいだな。ふう焦った焦った!
 さてこれからどうするか、とりあえず恵未さんが来たらまずは服装をほめて、お、来たか…、あれ?
 俺の目の悪さがついにここまで来たか?いや、これは目が悪いんじゃなくて頭が…?
 何やらピンク色の髪をした少女がこちらによってくる。少し戸惑ったがとりあえず聞いてみるか…。
「どうしたの?迷子?」
「……、え?いやですよ。私です、私。」
 何だ?新しい詐欺か?私私詐欺?
「私です。恵未琴乃です…」

 どうやらこれは…コスプレってやつらしい。俺にはさっぱりわからんが、まあ、要するにキャラクターの格好をして楽しむものらしいがここまで気合い入れてくるとは…。俺もコミケとかでコスプレらしいものをしている人はたくさん見てきたがまさかここまで完成度が高いとは…。
「どう、かな?」
 ……、いやさっきまで服褒めようとか思ってたけどこれ、下手に褒めると逆に失礼になるな、どうしよ…。
「いや、なんかイメージと違ってちょっと驚いたけど……、まあ、可愛いんじゃない?」
 嬉しそうに微笑む彼女はその場でクルリとまわってみせた。よっぽど嬉しかったのか僕に写真撮影も頼んでくるほどだった。

 昼になった。僕らは駅前のマックのテラス席、最奥に並んで座り昼飯を済ませているところだが…。もう待ち合わせしてから1時間ちょい立ったがまさか女と初めてお出かけをしたのに、こう思うことになるとは、彼女、すっげえオタク…。
 さっき中古ゲーム店やら電気店に寄ったんだが、彼女…、さっきっからずっと喋りっぱなし…。彼女は「魔法少女シルキィ」のシリーズのほか、「僕の妹がこんなに美しいわけがない」、「ビバットレッドインスピレーション」、「バントー」シリーズ等々さまざまなシリーズのアニメDVD、ゲーム、グッズをコンプリートしている。だけじゃねえ、どうやら知識もすごいらしく、彼女が喋っていることは僕にはさっぱりだ。でも、何だろうな、こうやって楽しそうにしゃべっている恵未さんを見ているとあの頃を思い出す…。

 僕がちょうど12半ばの頃だったかな?小学校の修学旅行の自由行動の時、俺は一人で迷子になってしまった。修学旅行は鎌倉に行っていたせいか全く方向感覚がつかめずだんだんと訳が分からない道に出て行ってしまう…。その時、一人の女の子が家に入れてくれて…、学校に連絡をしてくれたんだ。そこまでは普通の迷子と親切な子なんだが…。ここからだ。
「君ってさ、東京…、に住んでるの?」
「あ、う、うん」
「へえ、じゃあ、……はい!」
 と、その子は棚の中からキーホルダーを出した。それにはその子の名前、住所が書いてありどうやらプレゼント用のものらしい。
「これね、引っ越してっちゃった友達にあげるはずのものだったんだ…。でも、もう、私には必要ないから…。あなたにあげちゃう!これで、いつでもどこでも手紙を書いて送れるでしょ?あなたと、私の、赤い糸…。」
 突然そのような事を言われた僕はもしかしたらすごい真っ赤な顔をしていたに違いない。そんな僕をその子はクスクス笑う。
「今、ここで出会えた奇跡をずっと忘れないように…。ずっと心の中にしまっておけるように…」
「……」
「わたしさ、東京なんてここから言ったら結構するでしょ?だからね、なかなか行けないの、それに、東京と言ってもやっぱり広いし…、だからあなたと私はもう、出会えないかもしれないでしょ?だからここで出会えた奇跡だけは忘れないようにって、これをあなたにあげるわ!」
 そうして渡されたキーホルダー。鈍器を持った可愛いパンダのキーホルダー。一見怖いものかと思えるが、それがあの子との唯一の絆…。

 なぜか、恵未さんを見ているとその頃の思い出が浮かぶ。僕はあの頃もらったそのキーホルダーを見ながらそう思う。もう名前も住所も擦れ消えてしまったこのキーホルダー。色も少し落ちてしまっている。鈍器も鈍器っているかホッケースティック…。いや、そこはあえてツッコまないでおこう…。
 しかし、何故恵未さんの楽しそうにしているのを見るとそれを思い出すかはわからんが今は目先の…。
「ちょっと?大丈夫?」
 気づかない内に恵未さんは前のめりになり僕の顔の前で手を振っていた。どうやら長い間ぼ~っとしていたみたいだな…。
「大丈夫?なんか浮かない顔してるけど…」
「ん?ああ、ごめん。ちょっと考え事してて…」
 ……、いっそ、聞いちまうか?
「あの、さ」
「なに?」
「その、このキーホルダーに見覚えあるかな?」
 僕はカバンから例のキーホルダーを取り出し彼女に見せる。しかし、彼女はちょっと見ると首を横に振り、知らない、と答える。やっぱりか、そんな彼女があの子なんて、そんなことあったら本当に奇跡だよ…。


第3章
 GWも終え、もう5月も半ばごろに入る。僕もそろそろ友達が増えるころで今まだ0だったのが一気に9と、まあ大成長と言ったところだろう。
 と反比例するように彼女、そう恵未琴乃さんの周りからはだんだんと人が消えていっている気がする。彼女、口を開くとうっかり自分の趣味のこと言ってしまうのかと思ってなかなかみんなに声がかけられないでいるのか。
「おい、何ぼ~っとしてんだよ。5月病か?」
 こいつは僕の新しい友達…、と言うか出会ったのはもう4月になるけど…。鮫嶋鉄之(さめじまてつの)助(すけ)、ちなみにこいつはもう、僕と恵未さんがオタクだということは知っている。が、誰にも言わないように口止めをしておいてある。
「いや、すまん。ちょっと考え事をしていてな。でぇ、何の用だ?」
「何の用って、あれからどうなんだよ。お前と、琴乃ちゃんの中の進展は…」
 はあっっ!?な、何をおっしゃるこいつは!僕は恵未さんに何の感情も持ち合わせちゃあいねえよ!いや、まあ、一緒にアキバにも行ったし、彼女のコスプレ可愛いとか思ったりもしなくはないけど!そんな感情はねえ!
「ふうん、お前がそう言うんだったら違えねえ。で、なんで最近その琴乃ちゃんと一緒に帰ったり出かけたりしてるわけ?」
 ?僕、恵未さんとはこの前のGWにアキバ行って以来一緒に何かするってことはねえけど?いや、待てよ…、まさか。

 放課後すぐに部室へ向かう。ここはゲーム研究部部室。あの恵未さんがオタクだった発言をした日以来僕はこの部に所属している。部室と言っても依然来たあの情報技術科実習室なんだがな…、勢いよく扉を開ける。そこには例の如く恵未さんと鮫嶋、そしてもう一人僕にそっくりなやつ。そう、僕の双子の弟、御幸忠俊だ。
 そいつの胸ぐらを掴む。
「てめえ、どういうつもりだ?」
「……、どういうことかさっぱりだな。この雄豚が」
「!?てめえ、変な事を言うな。…、ちょっと来い!」
 奴の後ろ首を掴み廊下まで引きずり込む。恵未さんや鮫嶋の目が痛かったのはこの際どうでもいい。
 俺はこいつに問質す。
「てめえ、どういうつもりなんだ?」
「ちょっと待てよ、それさっきも聞いたがどういう意味だ?」
「お前、最近恵未さんと一緒に下校したり出かけたりしてんだろ!?」
「いや、知らねえよ。そんなこと。」
 チッ、あくまで白を切るつもりか!
「知らねえって!なんで俺なんかが!あんな眼鏡のことを!」
 ひでえ言い方だな、まあいいとしよう…。
 僕は奴から手を放す。一度確認を取る。
「お前じゃねえんだな。最近彼女と出かけたりしてるってのは」
「違えねえよ。俺じゃない」
 真実の目だ。兄弟だからわかるが、あいつはこの目をしているときは嘘はつかねえ。だが、だったら誰なんだ?そんなふざけたことをしてるやつ。

 部活が終わり恵未さんの後をつける。これ、決してストーカーじゃないから。校門を出ると優等生らしく先生にあいさつをし帰っていく。僕も校門を出すぐに追跡再開。彼女はコンビニで30分ほど週刊少年ジャンプを立ち読みし、その後近くの本屋でラノベを探しそれを購入。そこからも特に異常はなかった。最後は結構高そうなマンションの入り口だが、これはセキュリティがしっかりしているのか声認証、指紋認証、IDカード認証が必要で入れそうもない。チッ、今日のところは諦めるか。

 次の日、俺は直接恵未さんに聞いてみる。
「あのさ、最近僕によく似た人と会ったりしない?」
 恵未さんはハッとした目でこちらを見るとすぐに目をそらしてしまう。
「あ、あなたには関係ないでしょ?」
 弱弱しい声で言う恵未さん。やっぱり何かあったんだ。
「僕には何もできないけど、困ってるんだったら相談クライ、聞いてやってもいいぜ」
 まだ俯いたままの恵未さん。ダメか…。
「アキバ帰りにね…」
 突然話し出した。言ってくれる気になったのか?
「男の人が声をかけてきたの」
 と、携帯を取り出し写メを見せてくれた。こ、こいつは!?
「この人は、近藤伊(こんどうい)助(すけ)って人で、最近私にちょっかい出してくるの」
 近藤伊助、聞いたことがある。鮫嶋が以前リーダーをしていた暴走族集団の参謀だって。鮫嶋がいなくなってからリーダーに就任したらしいが、まさかこいつが…。
「そうか、まさかそいつがね…、よし、僕に任せてくれよ!」
「え!?」
 そりゃあ驚くよな。僕も驚いた。僕の口からこんな言葉が出てくるなんて…。

 次の日、本人の許可を得てまた尾行することになった。
 今度はちゃんと許可を得てんだからストーカーじゃねえぞ。
 とにかく、もう恵未さんが校門出てから1時間くらいするけどまだ現れないな。例のアイツ。あいつらのアジトからはもうだいぶ離れたけど…。
 恵未さんはそろそろ電車に乗る。僕は財布を確認。……、ぎりぎり行って帰ってこれる額。チッ、この際だ仕方ない!
 俺は切符を買い、さらに後をつける。
 南流山市から新三郷までそうかからず降りる。まさか、家に帰るまでそいつに出会わないなんてことは…。あ、きた。
 そいつは赤のリーゼントであっきらかに不良でしょ?ってやつ。
「よ~、久しぶりじゃん恵未ちゃん三日ぶり?」
 ん~どうやら毎日来てるわけじゃないらしい。
「何ですか、私忙しいんですが…。毎回毎回、迷惑です」
「ふぉおお、可愛いねえ♪あのさ俺らこれからカラなんだけどよう、一緒に行かねえ?」
「いやです、迷惑です、どいてください」
「あらら~?もしかして嫌われっちゃった?」
 そりゃ嫌われもするでしょうよ、なあ。しかしあいつなら鮫嶋が何とかしてくれるんじゃないか?何だ簡単なことじゃねえか。
「では私はこれで…」
「いやちょっと待てよお、カラ一緒に行かねえ?」
「行きません。どいてください」
 ん?なんかやばい感じ?
 恵未さんは伸びてくる奴の手を払いのけそのまま走って行ってしまう。お~い、僕のこと忘れてませんか~?僕も奴も恵未さんを追いかける。チッ、今は奴に目をやるか!僕はモヒカンの腕を掴む。
「あぁん?ンだテメエ!」
「ご、御幸君!」
「彼氏か、ごらあっ!」
 僕は奴に殴られるのを覚悟し奴に攻撃を加える。昔っから蹴りだけは得意でいつもいじめっ子をそれで泣かせてきた。2発の蹴りに4発の掌底、ジャブも繰り出して奴はもうフラフラ。ここを狙い僕は足払いを繰り出し奴を蹴り飛ばした。モヒカンは恵未さんが向かった方向とは逆方向に吹っ飛びそのまま気絶した。僕…、なんでいじめられてたんだろうな…。

 次の日の部活、恵未さんが近寄ってきた。
「あの…、その…、昨日は、ありがとうね…」
「いや~、結構弱かったもんで…」
 そんなことはない、実はあの後気絶したアイツを連れてアイツの学校に通報しようと学校に向かってる途中あのモヒカン、目覚めやがってすっげえ手間取った、挙句の果てには気絶させて…、もう疲れた…。
「そう、よかった~…、あの、これ。」
 と、渡してくれたのはリボン付きの小箱。包み紙は例の「魔法少女シルキィ」の包み紙だが…?僕はそれを黙って受け取った。なんだろう、これ。
「昨日の、お礼……」
 と、そのまま体調が悪いと顧問に伝え帰ってしまう。
「おおっ!?何だそれはあ!?」
 鮫嶋が小箱をガン見してくる。
「さあな、……開けてみるか?」
 僕はリボンを解きシルキィの包み紙を綺麗にはがす。そこに有ったのは赤色の綺麗な小箱。それを開けてみると…。
「「…………」」
 そこに有ったのは「ニンテンドー3DSソフト真☆魔法少女シルキィ限定版」について来るネンドロイドフィギュア「シルキィ」だった。

 帰宅して例のフィギュアを飾ってみる。生まれて2回目に女の子にもらったプレゼント。これは僕の、大切な思い出になるだろうな。
 そんなことを思いながら僕は疲れに任せ、眠った。
〈了〉

いじめ×いじめ

 いかがだったでしょうか?まえがきでも明記した通り続きははてなダイアリー「馬鹿どものたまり場」で公開中です。まあ、暇なときにでも見てやってください。ではこの辺で。
※この作品は紛れもないフィクションです。ちょこっと体験談を混ぜたりしますが基本フィクションです。
 実際の人物、団体、学校、ゲームは一切関係ありません。ほんと、関係ないから…、何?その疑いの目…。

いじめ×いじめ

いじめ×いじめ待望の小説投稿サイト公開!(別に人気じゃねえけど…) ♥御幸正と恵未琴乃のラブストーリーww♥ 。♥。・゚♡゚・。♥。・゚♡゚・。♥。

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更新日
登録日
2013-09-28

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