practice(7)




 三十四歳は持て余すからと言い,新調したスカーフを首に巻いて完治した奥歯とともに姿を無くしたタカコはミチコへと犬を預けた。頭数は二,オスとメスのそれぞれで,預けられた頃から夫婦というわけではなかったけれど個別に離して個別に預ける積極的理由がタカコにはなかった。それなら離さなくてもいい。二匹を一つとして扱って,タカコはミチコに犬を預けた。
二匹の名前を,ミチコはタカコから聞きそびれたしタカコもミチコに言いはしなかった。だからミチコは仮にカズクンとヨンダと呼ぶ。預かった甥っ子の一君(かずくん)が二匹の間に混ざるように遊んでいるとき,思い付きが得意なハセベ君が良しとしたネーミングだった。今も二匹はきちんとその名に反応はする。けれどもその場で何度も繰り返された一君の「呼んだ?」という疑問に,二匹が尻尾を初めて振ってのは明らかな偶然なんじゃないかとミチコは今も疑う。
 顔がよく似ているその二匹は,しかし常日頃からはミチコに懐かない。その関係を不等号で表せばミチコは四人家族の後部座席を父と取り合う間柄になっているだろうとミチコは思っている。二匹にはどうせ言葉が通じないから正々堂々と二匹の前で人の言葉を用いた文句を言っているけれど,二匹は本当に明後日の方向に顔を背けてる。「犬に懐かれるのは人柄よ,人柄。」と姉は背後から声を掛けてくれるけれども,フラットな姉の声のトーンではそれが励ましともからかいとも取れるから,ミチコは出来るだけ真ん中当たりの解釈をしようと心掛ける日々を過ごしている。




 でもタカコは雨が弱く降ると頼るように帰りを待つのは二匹の一種の癖なのだと思っている。
 二匹は『いつも』,家の中に向かって玄関正面の左側に置かれている傘立ての後ろに隠れてる。スリッパを履いたタカコを見つければ,歩くのに邪魔になるぐらいに離れない。お風呂とトイレ時には扉前に座り,テーブルの椅子ではスリッパを見つめ,二階の自室では雨が止むまで一緒に寝る。見れば見るほどに二匹の顔だから区別はますますその性別でしかつかなくなるけれど(勿論,ひっくり返したりしない),雨に打たれたように不等号が自分に向いてるその雰囲気をタカコは嫌いになれなかった。抱き寄せることが出来るその距離ではタカコの日常的なわだかまりも見えなくなる。それは許せはしなくとも,どうでもいいと思えるぐらいに右腕に偏る二匹の重みはとても温かいものだ。
 「でも犬の婚姻時期なんて分からないから。」と,メスの犬が六匹の子犬を出産したときをもって彼らを対のものとしてミチコは見たのだけれど,このことについて,付き合ってから思い付きが得意なハセベ君は「そういう訳にはいかないよ,犬には犬の合意形成の時期が…」と彼の思い付きを言うし,フォークを使うことが未だに苦手な父からは「お前にはそんなことを要求したりしてないぞ,父さんは。」などとミチコに言ってくる。迂闊な注意と繊細な細心で二匹,あるいは専らミチコを思った発言か,または何も考えていないかのどちらかだと台所で確信して母は発言している。それに軽く同意して,ミチコは,ハンドバックを整理した。その常備品が足りないことによって分かる『失くし物,あるいは忘れ物』が何時からのものかは分からなくても,それが何かはミチコには分かった。だから当然にミチコはそれを買い足そうと思っていた。箱にして詰める,ただそれだけで良いのだし無かったらなかったで困るものだ。けれどミチコは三ヶ月を経過しようとしている今になってもそれが出来ないでいた。タカコにはそのことを電話で話したことがある。電話口で声になったタカコは「それは分からないでもないわね。」と言ってくれた。




 そんなタカコはミチコに話し掛ける。
「果物がね,前より好きになれた。林檎に蜜柑に梨に葡萄って,随分ありきたりなラインナップだけど。」
 ミチコはタカコに話し掛ける。
「良いんじゃない?静物画も嫌がって描きたがらなかったタカコの前で捨てられた蜜柑の皮って想像するだけでシュールだもん。」
 タカコは笑ってミチコに答える。
「葡萄は皮ごと頂いてます。」
 ミチコの笑いは答えに先立った。
「聞くだけで恐ろしさを感じちゃうわ。」




 翌日。二階の自室から階下に向かう階段の狭い踊り場でヨンダが小さく寝転がっていた。普段から一階で過ごし二回には決して上がっては来ない二匹のうち,ヨンダだけが彼らにとっての最高到達点である其処にいる。ミチコはその日,色々なことがあるのかもしれないと思った。ただの直感として,あるいはヨンダの珍しい注意書きありの伝言として。
 母がいきなり倒れた。強度の貧血のような症状を示し,一時期は意識も無かった。病院に搬送してもらってまた戻ってきた母の意識はパイプ椅子に座るミチコの前で眠っている。財布だけを持ち,携帯を忘れてしまったミチコは不在の自宅電話を介してしか父と連絡が取れなかった。ミチコは病院について本当に落ち着いてから一度もまだ繋がっていない電話を三度かけ,海外旅行中の姉にはまだ一度も連絡を取っていない。戸締りは出来ていないから場合によってはミチコが赴いて,鍵をかけなければいけない。
 精密検査は後日受けるものとして病院に取り計らってもらったから,必要な診断結果はその時に聞ける。ミチコは極力考えないことを,母の生きがいのようなところから考えていた。専業主婦という立て看板の裏には軽視されがちなものがあることをミチコは知っていて,姉はそれに反発した。有るものより無いものは沈黙を保つものだから,同等のはずの無い物はそこに有るものより見られない。母と姉の間に置かれて立ち位置を決められずにいたミチコは左右をきょろきょろとする女の子として幼少期を特に歩いて来た。ひとり立ちも可能になって思い付きが得意なハセベ君の思い付きのようなプロポーズという婚姻へのワンステップを保留中なのは,姉に近い右側(もしくは左側)から母が立つ左側(もしくは右側)をもう一回見ているせいかもしれなかった。そこに走らせることが出来る論理より,抱く感情は質量があって困る。
 ご近所からの連絡があって会社から直接病院へとやって来た父はミチコを見つけて病室で眠る母に寄り添った。背中に声をかけて,母の着替えを取りにいくことと自宅の施錠がまだであることを伝えてから自宅へと向かったミチコは「頼む。」という父の言葉をきちんと聞いた。家に着けば念のための点検と(交流がある隣のキタムラさんは夜が遅い共働きだから色々と頼れない),カズクンとヨンダの世話をしておかないといけない。それと,ミチコの明日のスケジュールの調整もしておかなければいけない。ミチコは頭から何度も繰り返して一時的なその帰路を辿った。弱い雨が降りそうだった。自宅へ付けば,直ぐにでも出掛けやすくするために傘立てから傘を一本出して置く。ミチコは最後にそう決めた。




 ヨウスケさんは居る。そのことが間違って欲しい事実としてタカコには推測出来た。趣味で覆われた玄関先の大型バイクからして日曜日の朝はもうすでに声が大きくなっている気がする。身体も大きく背も高いヨウスケさんは二匹をとても手荒に扱うものだから,二匹が苦手のようにヨウスケさんを嫌いになってしまっている。タカコにはそれが困りものだった。夜勤明けの疲れに朝のヨウスケさんは重い。来る前に連絡をしてくれない理由は未だにわからない。
 鍵もどうせかかってない。だからアパートのドアノブをタカコは回した。
 見た目,出掛けた昨夜のままの奥の部屋の中でヨウスケさんは座って珈琲の飲んでいた。カップは私のお気に入りの青。テーブルにゴツンとなるまで置いて顔をこちらに向けた。
「おかえり。」
「ただいま。」
 声だけかけて顔を見ないで脱げるままにヒールを脱いだタカコは,玄関のかけあがりから向かった台所で二匹のうちのオスにあった。二匹の顔は似てるけどお腹を撫でろといわんばかりに仰向けに寝転がってくれたから,タカコじゃなくてもよく分かる。オスのこの子は台所に居る。
 しゃがんで数回大きく撫でて,立ち上がりながら細かくひと撫でしたタカコは冷蔵庫から浄水器を通して容れた水を,冷えた瓶から置いた覚えの無い流し台の中の一つのコップに注いで飲んだ。ヨウスケさんの味がする感じだった。
「夜勤明け?」
 ヨウスケさんの声が背後から聞こえる。半分飲むまで何も言わず,半分あたりで口を離したタカコは振り返らずに答える。
「そうよ。」
「疲れたでしょ?」
「そうね。疲れてるわね。」
「じゃあさ,遊びに行こう!美味しいランチからテーマパークなんて,ベタでもこの際構わないからさ。」
 タカコは一息ついてもう半分を零そうとして止めた。怠っている掃除のせいか,手に持ってるコップ半分だけ深い水面に糸のような埃はそっと舞い落ちてた。
「疲れてるって言ってるのに,遊びに行くの?」
 タカコは聞く。ヨウスケさんは言う。
「そうそう,まずは気持ちからリフレッシュ。身体はそれから休むのは良いよ。病は気からって言うでしょ?君にはそれが良く分かってるだろうし。」
 タカコは正確に復唱する。
 君にはそれが良く分かってる?
「眠りたければ眠ればいいよ。バイクは僕が運転するから。」
 運転するから。タカコは繰り返す。バイクは僕が運転するから。
「ねえ?」
「うん?何なに?」
 一つ目のタカコの質問は埃を浮かせたコップの水を揺らせた。
「何で電話しないの?こうして私の家に来る前に,自分の家を出る前に。」
 ヨウスケさんは言う。
「え,だって要らないんじゃない?この部屋の鍵を僕は持ってるし,僕らはこうして入っちゃいけない仲でもない,でしょ?」
 タカコも言う。
「どんなに『親しく』ても,相手の事情が上手いこと転がるように他人行儀に振る舞う部分はあっていいと思うんだけど。」
 『いやいや。』と言うように左右に振られるヨウスケさんの左手は,タカコがまだ足を踏み入れていないタカコの部屋の空気を混ぜているようにタカコには見えた。タカコは思う。あそこでもきっと埃が舞ってる。
「相手のことを思いやることはどんな仲にも必須の要素だと僕は思うな。」
 タカコは言う。
「そうね。疲れているときに一人にさせてあげるとかね。」
「いやいや,疲れているときにこそ二人で居よう,という風にだよ。」
 いやいや。今度は口に出されたかと,タカコはタカコの部屋の天井を見上げた。電灯の豆球が付いている。正確には付いたままなのだろう。只今の時刻は午前を迎えてる。
「豆球,消して?」
 半疑問のイントネーションは「おっと。」と言ったヨウスケさんを立たせて豆球を消させた。そのまま後方のカーテンも指差して,半開きの窓とレースを露わにさせた。二つ目の質問はタカコを気にさせる。
「ねえ,さっきから二匹を見てないんだけど,何でか知ってる?」
 ヨウスケさんは言う。
「え,いやいや。一匹はそっちの台所に居るはずだよ?僕が来たらそっちに行ったの,僕は見てるから。」
 違うと口にせずに,首を振ったタカコは言う。
「二匹が一緒に居るのを見てないって言ってるの。二匹が居ないの。ねえ,」
 タカコは一息をつく。
「どうして?」
 外に逃げるように白いレースが部屋の内からはみ出して,仕方が無いように戻って来る。陽当たりが良いタカコの部屋にいつも通りに短い日光がそろそろと入って来た。台所ではもう仰向けを止めたオスの一匹が低い姿勢でタカコの足首を見つめていた。細い足首はきちんと地面を捉えて,タカコは何も話さない。
 もう一度振り返るなら今だろう。もう二度と戻って来ないとしても。




 ミチコはタカコに答えた。
「ありがとね。助かった。」
 タカコもミチコに答える。
「ううん,こちらこそ。私も助かったし。」
 少し間を開け二人は笑う。
 それからミチコはタカコに言った。
「調子はどう?もう慣れた?」
 タカコはミチコに答える。
「『ぼちぼち』,ってお芝居みたいにこういうところで使うべきなんでしょうね。だから,『ぼちぼち』。自由と不自由を感じてる。」
 ミチコはタカコに質問をする。
「不自由って,やっぱ物が持ちにくいとか?」
 タカコはミチコにきちんと答える。
「ううん,トイレ。」
「トイレ?」
 思わずミチコはタカコの言葉をなぞってしまった。
 乱れた順番を整えるように,ミチコはもう一度タカコに聞く。
「トイレなの?」
 聞かれたタカコはやっぱりきちんとミチコに答える。
「そう,トイレ。」
 具体的に聞きたくなって,ミチコはタカコへの質問を重ねる。
「一体どういうこと?丸見えって,やつ?」
 苦笑した否定をきちんと重ねて,タカコはミチコに答える。
「どんな想像してるのよ。違う違う。したくても出来ない。そんな状態がまだ残るの。」
 聞いたミチコは確認する。
「それって,もうただの我慢しか残らないよね?」
 聞かれたタカコも確認する。
「そうよ。ただの我慢。しかも終わらないで,それが未だに続くのよ。たまったもんじゃない。」
 ミチコはタカコに同意する。
「うん,たまったもんじゃない。」
 タカコもミチコに同意する。
「そう,たまったもんじゃない。」
 ミチコはタカコに聞いてみる。
「私に出来ること,ある?」
 タカコはミチコに答える。
「うん,ないね。せめてミチコは我慢なんてしないで。」
 ミチコは言った。
「うん,我慢しない。」
 タカコも言う。
「うん,我慢しないで。」
 それで二人は笑い声を電話口で揃えた。




 タカコが姿を無くす前,ミチコが二匹を預かる前に一頭の笑うライオンが捕まった。裏山から降りて来て人通りが多い駅のすぐ側にくねる様に流れる通りが特徴の,大きい商店街をのそのそと歩いてコロッケを二,三個無銭で食べたそうだ。笑ってるとはいえ相手はライオン,店主が慌てて警察に通報したところ,笑うライオンは抵抗することなくお縄についた。『人』でないために現行犯逮捕というわけにはいかなかったが笑うライオンは一連の事実を認めた。青空の下で事情聴取に当たっていた若き警察官はその動機について聞いてみた。飼いライオンというわけにもいかず,飼い主や管理者を起訴することも出来ず,またライオン自身も起訴するわけにもいかないから「何でこんなことを?」という質問は,質問者個人の興味も混じったものになった。
 ライオンは本人のように操れる人の言葉で言う。
「愛し合う相手のライオンに言われましてね。あんなに仲睦まじかったのにある日突然ってやつですよ。それはもう起きた朝から突然に,傍立てる耳に直接ってやつです。はい,『しょっく』ってやつです。百獣の王という肩書きが無かったら,私は今頃メソメソ泣いていることでしょう。大樹に隠れて,『えーん,えーん』という感じです。プライドの高さがこんな形で役に立つとは思いませんでした。DNA,あるいは社会的イメージの『人』格的効用ってものかもしれません。はい,勿論この話は無関係でありません。むしろ端緒,事態の始まりです。『人』と違って私は自分を省みることが出来ます、。っと誤解を与えてはいけませんね,『省みることが出来ないある一定の特定人』よりも省みることが出来るという意味です。はい,大丈夫ですか。それは良いことです。理解への第一歩,人とライオンも分かり合えるっていう証左。『うばらしい』。失礼。素晴らしいです。はい,話を戻します。愛し合う相手のライオンは私に言いました。『分からないことを分からないままにしている貴方が分からない。』と。そんなことを起き抜けに言われる理由が私はもう既に分かりませんでした。機嫌が悪いのか,たまにそういう日もありますから,八つ当たり的にそんな事を言われてると思って気にしないようにしていたのですが,それがもう愛し合う相手のライオンが私に言う通りなのです。確かに私は『分からないことを分からないままにしている。』。それは間違いないのです。このことがその日からずっと私の耳の中に残って,私と愛し合う相手のライオンの間に転がって,何かの注意事項みたいに私と愛し合う相手のライオンを区別します。このまま行けば私は相手のライオンのことが決定的に分からなくなります。あるいは実は最初から,なのかもしれません。いずれにしろ悪化は避けたい。そこには取り組みが必要です。少しずつのエクササイズです。『分からないことを分からないままにしている』私は,『分からないことを分からないままにし』たくない。だから私は裏山から街へ降り,上から見ればとある川のようにくねり流れている通りで,人通りが多い駅のすぐ側の『その街』をのそのそと歩いて,美味しいのでないかと直感した『ころっけ』,でよいのですよね?はい,『コロッケ』です。その『コロッケ』を二,三個食べました。『しはらい』という仕組みは,先ほど知りました。『てんしゅ』には大変申し訳ないことをしたと反省しています。」
 若き警察官が見る限り,笑うライオンは確かに反省しているようだった。支払いを知らなかったという点に過失はありそうだがそれも追求するわけにもいかない。若き警察官はメモを取る手を止めてから,一応の報告書を作成する前に昼食を取ろうと考えていた。若き警察官は最後に二つのことを,聞いて終わろうとした。
 笑うライオンはどちらにも答える。
「笑ってますか,私の顔は。それは全く気付きませんでした。これが私の顔なのです。愛し合う相手のライオンがとても褒めてくれるところです。そうですか,この顔は『人』が見れば笑っているものになるのですね。それはまた『分からな』かったことで,不思議なことだと思います。はい,愛し合う相手のライオンとの仲ですか。親しいことにもなっていませんが,悪いことにもなっていません。『ふらっと』,というものですかね。これからはまた,これからです。」
 『笑う』ライオンは裏山から帰って行ったという。若き警察官の昼食のメニューについてまでは特に知られてもいない。




 タカコは言う。
「元気?二匹は。」
 ミチコは言う。
「うん,相変わらず私には慣れてないけどね。」
 それにタカコはこう言った。
「当たり前になってるんだよ。それは良い傾向。」
 それにミチコはこう質問をする。
「初日からだよ?」
 それにタカコはこう答える。
「そこに不思議はないよ。」




 雨が止めば常日頃に戻る二匹は順番に,カズクンから出てヨンダが後ろをついて出ていく。それは一緒に眠ったあとでも変わらない。後ろを振り返らない二匹に背を向けて深夜をサボる遮光用カーテンと,その外側に掛けられる白いレースに続けて,取り付け具合が良くない窓を開けてみれば雨が無い外がある。雲の切れ目があればそれは晴れと言って構わないと,思い付きが得意なハセベ君は言うだろうけれどミチコは言わない。「定義が広い晴れはズルい。」とミチコは前から思っていた。窓枠に限られる範囲で雲の割合を測る。顔についた水滴は着ていた服で拭って,これは曇りとミチコは決めた。




 電話の最後でタカコは言った。
「子犬が生まれたとしたら一匹はミチコが育てて欲しいの。五匹でも六匹でも,三匹でも二匹でも。」
 そしてタカコは言う。
「それだけが今のお願い。あとのお願いは,あとにするから。」

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  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-28

Copyrighted
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