拝啓 大切な貴方へ2
拝啓 強がりな君へ
拝啓 強がりな君へ
いつも逃げられるから 手紙に書いてみました。 君は辛いことがあってもなかなか口にしたがらないよね? ずっと一緒にいたから分かってるつもりだったけど 気づいてあげられなかったね?
ごめん。 泣きそうになる君を見ると どうして気づいてあげられなかったんだろうって 罪悪感に襲われる。それでも君は僕に笑いかけてくれたね? 泣きたいときとか 辛いときとか 助けてほしいときとかは頼ってほしい。頼りにならないかもしれないけど 僕なりに君の助けになりたいんだ。
それとね… 僕は…
「かっこつけるな 馬鹿!!!」
一人教室で黄昏ていると 君がやってきた。
「かっこつけてないよ?」
「嘘つき!!!」
「嘘もついてない」
「馬鹿…」
「君よりは成績いいけど?」
「知ってるわよ… そんなこと」
「なんで泣いてるの?」
「日夏のせいでしょ」
「俺 何もしてない」
「手紙… 書いたくせに」
「書いたよ?」
「私のノートに挟んだくせに」
「借りてたノートに挟んだだけだよ」
「手紙…読んだよ?」
「うん。」
「私も… "大好き"だよ?」
「俺も"大好き"」
拝啓 亡き君へ
拝啓 亡き君へ
君がいなくなってから もう1年が経とうとしているね?
まだ 君のことが頭から離れない。君と毎日歩いた道 一緒に見た花火 帰りに毎回よった公園 初めてキスした河原 全部まだ忘れられません。
君は忘れていいよと言ってくれたけど 忘れることなんて出来ないよ。初めての恋は君なんだから。
もう 君と過ごした毎日は帰ってこない。 君の名を呼ぶことも出来ない。君に触れることも出来ない。君に"好き"と言うことも出来ない。君と一緒に過ごした楽しい日々にはまだ少し未練があるけどこれからは 俺の人生を歩んで行こうと思います。
だから… ずっと"見守って"いて下さい。
ずっと 君が"大好き"です。
拝啓 ゲーマーの貴方へ
拝啓 ゲーマーの貴方へ
この言い方をすると 貴方は少し不機嫌になりますね? ごめんなさい。許して下さい。
私はゲームは一切しないし やったこともない。 楽しそうにゲームの話をする貴方を見てると こっちまでやった気になれて少し嬉しかったです。ありがとう。
勉強しか頭になかった私にたくさんのことを教えてくれたのも貴方です。初めて帰りに寄り道したり 授業をサボったり ゲームセンターに行ってみたり すごく楽しかったです。
今 思えば 貴方と一緒だったから 楽しかったんだと思います。
私は 貴方が…
優雅に紅茶を口にしていると
「ゲーマーはないですよ? 先輩」
「ごめんなさい。 文才能力に乏しいから私」
「ったく…。急にこんな手紙書いて どうしたんですか?先輩らしくない。」
らしくない…か…
「…そうね…… 私らしくないわね」
「なんかあったんですか?」
貴方のその優しさ1つ1つが私の心に刺さる。
「手放したくなくなっちゃたのよ…」
「何をですか?」
どれだけ 惨めだと思われても構わない。
貴方に振り向いてもらえなくて 私の気持ちは何一つ変わることはない。
「"貴方"を手放したくないのよ… 遥君?」
「…ったく。 俺だって… 貴方を簡単に"手放す"訳ないじゃないですか?」
拝啓 生徒会長様へ
拝啓 生徒会長様へ
嫌々引き受けたようですが しっかり仕事はしてくれるし 生徒のために頑張っている貴方をいつもすぐ側で見ています。
貴方の役に立てているか少し不安ですが これからも支えていくつもりなので よろしくお願いします。
生徒会室で無防備に寝るのはやめてもらえたらと思います。疲れているのは充分にわかっているつもりですが これだけは引けません。色々危険なので…
それから… 貴方の心配りのお陰で学校も随分変わることが出来ました。貴方がやっていることは間違っていません。だから心配しないで突き進んで下さい。例え間違えだったとしても 俺達が全力全開で修復しますので たまには周りを信頼して頼って下さい。
俺は 頑張り屋な生徒会長様が…
「生意気だぞ 少年」
生徒会室の会長の席に座る貴方に言われた。
「前から知っていたことでしょう?」
「それもそうだな…」
何がしたいんだろうと 先輩を見ると
「手紙… ありがと…/// 嬉しかった…です…」
「いえいえ。」
思わず頬が緩む。
「少し 自信出たよ… 残り3ヶ月宜しくね?」
「俺がしっかり支えますから安心して 突き進んで下さい。」
「我が道を行きますか!!!」
そう言って 微笑む先輩はとても綺麗だった。
「先輩?」
「なんだい 少年?」
「告白の返事は?」
「えっ!?」
「俺 手紙に書きましたよね?"好き"だって?」
「書いて…あったけど…」
「俺にそんな気はありませんか?」
「違う!!!」
俺の質問を完全否定した先輩は焦ったように
「いやっ!あの… えーと… その… 私も…"好き"…///」
「俺は"大好き"です。」
拝啓 他人に興味がない貴方へ
拝啓 他人に興味がない貴方へ
自分で公言してることなので 怒らないで下さいね?
他人に興味がない貴方は そんなことを言いつつ 友達はしっかりいるし 先生にも信頼が厚いし いったいなんなんですか?
興味がない相手に対して 態度が冷たいのは知ってます。けど それでもやっぱり頼られるとやってしまう。他人に興味大有りじゃありませんか。
正直 先輩の言動も行動も意味が分かりません。言ってることとやってることが 全く違うじゃないですか!
他人に興味がないなら"優しく"しないで下さいよ…
先輩のせいで 私は…
「俺は他人に興味がないのは 変わらないけど?」
私の居場所は貴方にはバレバレなんですね?
「言ってることとやってることが 違いますよ。他人に興味がないんだったら 普通私を探しませんもん。」
「確かにそうだけど…」
「キャッ」
先輩は座ってる私の手を引っ張り 抱き締めた。
「お前が… 泣いてると思ったから」
ホントに… 意味不明だ… 他人に興味がないはずなのに私が泣いてると思って来てしまう
「他人に興味大有りじゃありませんか…」
「そうかもな… でも 良い印象持っててほしいのはお前だけだったよ "美鈴"」
もう… 限界だ
「こういうときだけ 名前呼ぶの… 反則ですよ…」
「こういう俺を"好き"になったんだろ? 美鈴」
「ホント 腹立ちますね? "楓"先輩は… そうですよ。こんな変な先輩が私は"好き"なんですよ…」
「変ゆうな!!! まぁ… 俺もこんなちんちくりんな後輩君が"大好き"なんだけど」
「ちんちくりん… ゆうな///」
「ホント 可愛い」
拝啓 腐女子な貴方へ
拝啓 腐女子な貴方へ
すみません。こんな風に書いてしまい できれば最後まで読んでくださいね?
初めの貴方の印象は読書ばかりしていて真面目な方だと思ってました。でも 実際はBL小説ばかり読んでいる"腐女子"だったんですね?
先輩がそこら辺の本を読んでいることに始めは驚きましたが 姉がそこら辺の本を読んでいるので 何となく親近感が芽生えました。すみません。m(._.)m
先輩は
『引かないの?』って震えて聞きましたが 引くわけないじゃないですか。
俺は どんな先輩でも…
「桂太の馬鹿!!!」
1年教室に入ってくるなり 鞄を俺目掛けて投げつける先輩。
鞄をよけ
「何をそんなに 怒ってるんですか? 事実しか書いてないと思うんですけど?」
「なんで その事実を書くのよ!!! 危うく友達に見える所だったでしょ!!!」
「知りませんよ。友達に隠し事するくらいならバラせばいいじゃないですか?」
俺の言葉に 黙り下をうつ向く先輩。
「私だって… 私だって!!! 隠し事なんかしたくないわよ… でも…引かれたくないもん… 絶対に気持ち悪いって思われる… 同性愛で しかも男同士の本だよ?… 変な目で見られたくない… 嫌われたくないんだよ…」
泣き出す先輩の頭を撫でながら
「先輩 知ってました?」
「何を?」
「先輩の友達の凛夏先輩と初音先輩 先輩の趣味知ってますよ?」
「へ?」
「俺が教えた訳じゃなくて 知ってたんですよ。 だから本を貸してって俺のところに来たり 自分達で買ったりしてたみたいです。」
「なんで?」
「先輩が隠し事してるのは薄々気付いてたらしいです。始めは驚いたらしいですけど 先輩が好きな物だから きっと変な物じゃないって言って 今勉強?してますよ? 色々」
「なんで… そこまでしてくれるの?」
「皆 先輩のことが"大好き"だからですよ?」
「馬鹿…だなぁ… 私が好きな物だからって変なものじゃないとは限らないじゃない… ホント馬鹿だなぁ 二人とも」
「もう 隠し事出来ませんね?」
「もう1つ隠してることあるんだ…」
「なんですか?」
「私ね?桂太のこと"好き"だよ?」
「ずっと前から 知ってますよ。」
「調子に乗るな 馬鹿。」
「俺も"好き"です。」
拝啓 大好きな君へ
拝啓 大好きな君へ
正直に手紙を書こうと思います。俺はまだ君が"好き"です。
これからもしばらくの間はきっと 君が"好き"なままだと思います。
今も君を忘れることが出来ません。ていうか 忘れたくありません。これは 二人のための"別れ"だと わかっています。将来のためだし 俺が君の足手まといにはなりたくないし。
わかってるけど… "君"が頭から離れません。
一緒に帰った帰り道 デートをした公園 お店 キスをした図書室全部全部 忘れられません。
未練がましいと思われるかもしれないけど それほど君が"大好き"です。
しばらくの間は 忘れることは出来ないけど 俺は俺の人生を歩んで行こうと思います。
「こんなこと 卑怯だと思わないの?」
電話越しの君は なんかつらそうだ。
「ちょっと 思った。」
乾いた笑いがこぼれる。
「前向こうと思ってるのに 卑怯だよ…」
「忘れてほしくなくてさ?」
「絶対に忘れてやる…」
「ひでぇよ。」
「嘘だよ。 絶対に忘れない。 "大好き"だよ?」
「どっちが卑怯なんだよ…」
「仕返しだ」
「俺も"大好き"」
「知ってるし バイバイ…」
「バイバイ」
電話が切れると
「ははっ! なんで…」
人知れず流れる涙は なぜだかとても… 暖かかった。
拝啓 文学少女な貴方へ
拝啓 文学少女な貴方へ
俺の中で文学少女のイメージは貴方なのでそう書いてみました。
会うといつも本を読んでいる貴方。鞄の中には物凄い量の小説が入っていますよね?(笑)
初めて知ったときは本当にびっくりしましたよ。でも 貴方らしくて笑えてきました。すみません。_(._.)_
勉強も出来るし テスト前はいつも助かっています。貴方の教え方はとても上手いし 家庭教師を頼みたい位です。
貴方はなんでも完璧主義なので 俺が敵うわけがないと思ってました。でも 貴方は お化けが怖くて 高所恐怖症で 暗いところが苦手で 男が苦手で。貴方にも女の子らしい所があるとは 思いませんでした。(笑)
最近は 男子生徒と話すことも出来るようになりましたし 良かったです。 挙動不審な点はまだありますけど。(笑)
貴方らしいと思います。
俺はそんな貴方が…
「馬鹿伊都!!!」
電話越しの貴方は とても不機嫌でした。(笑)
「鼓膜破けますから 静かにしてください。」
冷静に注意をすると
「ごっ… ごめんなさい」
「わかればよろしい」
「じゃなくて! 何この手紙?」
「先輩への"お礼"と"ラブレター"です。」
けろっと告げる俺に
「ばっ!!! ばっかじゃないの!!!」
声を荒らげる先輩。
「馬鹿はどっちですか? 電話越しで大声出さないでください。鼓膜破けますから。」
「むっ…」
「反論すら出来ませんね?」
「うっさいわ ボケ!!!」
図星をつかれ 拗ねる先輩。電話越しのはずなのに貴方の行動が手に取るようにわかる。俺は 余程の変態なのか 先輩にぞっこんなご様子だ。
「ねぇ?伊都?」
「なんですか?」
「"ラブレター"の返事だけど…」
「はい。」
先輩の返事はわかっている。
「"ごめんなさい"」
「俺の予感的中ですね。」
「わかってたの!?」
「俺 先輩のこと"好き"だから なんでも知ってますよ?」
「ストーカーぽい(笑)」
「失礼な人ですね」
「そんな失礼な人が好きなんでしょ?」
「そうですよ 好きですよ」
開き直る俺に先輩は
「知ってた? 私ね…」
先輩の声が電話越しから消え 直に聞こえた。
「伊都のこと"好き"だよ?」
予想外の言葉に 言葉が出ない俺。
「知らなかったでしょ?」
楽しげに笑う先輩。
「知るわけないじゃないですか… ほんと心臓に悪い」
「ごっ… ごめんなさい」
「いいですよ? 先輩が側にいてくれるだけで幸せなんですから」
俺の言葉に 笑顔を浮かべる先輩。
「"好き"よ? 伊都」
「俺も"好き"です」
そっと 先輩の影と俺の影が重なった。
拝啓 大切な貴方へ2