鳥のさえずり

自分のペース

息詰まりながら仕事に打ち込んでいた時に、仕事ができ信頼できる人に素直に言ってみた。

なんか、自分のペースがつかめないんです。


この社会の中でどう生きるべきか、どう働くべきか、頭の中でいろいろと考え、出した答えが、自分のペースをつくるということだった。
しかし、いざ自分のペースを保とうと努力しても、なかなか上手くいかず、流されてしまうことに気がついた。
ピリピリとしたこの自分のペースに対してなんらかの対策をしなくてはと思ったのだ。


その人は、
人との会話も素敵であった。課題も黙々と取り組めていた。

しかし、そんなその人の答えはあっけらかんとしていた。


うーん、なんかね、作業しながらね、
じゃがいも、とかについて考えてみたりするよ。


うん?じゃがいも?


あとコオロギは体のどこの部分で鳴いてるんだろう、とかね、考えてみるといいよ。


なんでか知らないけど、
その人の言葉は流れるように体にすーっと入って行った。
でも何故?何故そんなことなのか?

しかしその当人は笑っていた。


考え過ぎちゃうとね、かえって作業が進まないから変なこと考えたりするんだよね。
頭の中で作業してても仕方がない。体を動かせるためにはなんかリラックスしていかないと自分も辛くなっちゃうからさ。
余計なことをどうせ考えるなら、自分のペースで何か考えたいよね、と思うんだ。

ニッと笑いながらその人は言っていた。



あれこれと考えた結果とか、
社会での一粒でしかないとか、
そういった余計なことが全て覆されたような感じがした。

その人には世間体に対する興味は微塵もなく、ただ目の前の作業や自分や周りにしか目を向けていないのだ。


なんだかホッとした。
それでいいのか。

世界の中の一粒でしかないからこそ、そんなに気にせず実行していこう。
自分が100%こうしていこうと思う方に進もう。
そう思えた。

自分にとって余計なものがとれ、
自分のペースが生まれた瞬間だった。

次の日、私は作業しながら、
A型とO型って本当に相性がいいのかしら、

と考えた。

美味しい盃

家に帰って来て、
美味しい料理と共にちょっとしたお吸い物を足して、
美味しいご飯を食べる。
おかずとご飯を食べ、頃合いのいい頃にお吸い物を一口。
これがたまらなく美味しい。

少しだけ、おつまみになりそうなおかずを残し、
食べ終えた自分を落ち着かせるかのように、
専用のいつものコップにゆっくりお酒をくむ。
お気に入りの割合で。

そして、呑み、食べる。



この充実した時間と空間は、
お気に入りのバックを買うより、
よっぽど幸せ。

今日も一日、お疲れ様でした。

鳥のさえずり

鳥のさえずり

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-21

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  1. 自分のペース
  2. 美味しい盃