i am what?
私立探偵とフリーターの二束のわらじをはく深川 綾子
彼女にはある能力がある。
これ、何話か続きます。
「自分のこと、どう思ってるの?」「え、、、」
目の前には私がいる。 私は自分と話しているんだ
「解らないよね」私は言った「あんな能力、欲しくなかったもんね」そう続けた。「でも、京さんはこの能力で救われている人もいるって、、、」私は私に言う。「そんなのただ利用しようとしているだけだよ」私は言った。「そんなことない」私は私に言った。
「私っていったいなんだろうね」
わからないよ、、
携帯が鳴った。重い体を起こして出ると京さんだった。「もしもし綾ちゃん、今から現場に来れる?」少し慌てている声だった。「はい、いけますよ」「よかった 場所は、、、」 住所を聞きながら冷蔵庫からペットボトルの水を取り出して飲んだ。「わかりました、急ぎます」そう言って電話を切った。すぐに着替えて、ペットボトルに残っている水を全部飲んだ。 外に出ると雨が降った後なのか、少し肌寒かった。 タクシーに乗って現場に行くと、京さんが待っていてくれていた。タクシーから降りた私は千円を渡されてから中にいれてもらった。
男と女が、死んでいた。
男は頭がい骨が割られていて、潰れた脳味噌が飛び出ていた。女は首元から胸、腹まで切られていて、内臓が見えていた。
床にはバットが落ちていて、血が付いていた。 ゴトンッ バサ コンビニの袋が中に入っていたものの重力で床に落ちた。 「み、みっちゃん?」
青年の声は震えていた。「な、ななな 何してるの」 みっちゃんと呼ばれたのは中学生か高校生くらいの少女だった。「いいことだよ」少女は笑いながら答えた。 少女の真っ白な手には包丁が握られていた。
血の付いた包丁は台所の照明の光に反射して不気味に光っていた。 紅い唇は悪魔がほほ笑むときのように口元が上がっていた。 少女が青年に近づいていった。 「い、いやだ いやいやだよ!?」青年は後ずさりしていた。「うわああああああああああっ」 少女は青年に包丁を振りかざした。
その少女の目は赤かった。
「おえっおえぇ」嘔吐物が便器の中に流れる。「大丈夫?」京さんが聞いてきた。「、、、はい」まだ少し気分は悪いけど答えた。「まぁたしかに酷いよね、、、」京さんはつぶやくように言った。 玄関では青年がのど仏と喉笛が粉々に切られていて首の半分は原形をとどめていない状態で死んでいる。 女は内臓の位置をずらされていて、心臓が肺の右隣にあった。 男は顔面をバットで殴られていて鼻の骨が折れていた。 「京さん、見えました」私は便器を睨みつけながら言った。「話せる?」京さんの声は優しかった
すべてを話すと京さんは信じられないような顔をした。「赤い目の、少女、、、か」と真面目な顔でつぶやいた。「あの、たぶん今行方不明の長女だと思いますよ。」そう言うと「うん、じゃぁこっちで長女の行方は捜査しておくね。 あと気分が悪いんだったら帰ったら?」京さんが心配した顔で言った。「ではお言葉に甘えて」そう言って現場を出た。
なんとなく私は4キロくらい歩いて部屋に帰ることにした。別にタクシーで帰ってもよかったのだけれども気持ちを落ち着けたかった。40分ほどあるくとお腹が鳴ったのでそこからは小走りで帰った。よく思えば朝は急いでいて胃の中には水しか入ってなかったのだ。
部屋に帰って菓子パンを食べながらテレビを点けると今朝の事件がニュースになっていた。
カーテンを開けると、ビルがならぶ 空の見ずらい いつもの風景が見えた。
人の過去が見える。
私の能力だ。 時々今いる場所で起こった過去の出来事が見える。
これまでにも見たくないものも見てきた。親友が私の愚痴を言っていたり、知らない人のいじめなどはもうあたたりまえのようになっている。
もう、見たくないのに。
でもこの能力のおかげで助かっていることもある。高校卒業後大学に落ちてふらついていた私の能力を知った蜂元 京太郎 京さんが救ってくれた。いまは京さんと同棲、ではなく居候させてもらっている。そして資格のいらない私立探偵になって捜査協力として真実を見ている、というわけだ。でもさすがにそれだけではもうしわけないので、現在は私立探偵とフリーターをしている。
結局、私はこの能力なしでは生きてゆけない。
悔しい
「綾ちゃん、どうしたの?」京さんが心配そうな顔で聞いてきた。 結局夜まで寝ていた。
カーテンの開いた窓からはビルの灯りが輝いている夜景が見える。
綾ちゃん と京さんが真面目な声で呼んだ。「長女の琴町美智子の死体が、発見された」
赤い目 家族を殺した少女
次の言葉を聞いて、私は固まってしまった。
目をえぐられていたらしい。
i am what?
いやー大変でした。10時間くらいかけて書きました。マジで