ポケット

ポケット

ポケットそれは私が歳を重ねるにつれて、変わっていく・・・・。

これは、「ポケットに入れてきた物」 に少し目を向けた小説である。

ポケット

 「お母ちゃ~ん! 友達と駄菓子屋に行って来るから、お小遣い頂戴~。」と言って、僕は母から300円を貰いポケットに押し込んで外に遊びに出かけた。

駄菓子屋に着くと、10円ガムを買って、当たりが入ってないかわくわくしながら友達とくじを見せ合いっこしたりして遊んだ。

他にも水あめ、スナック菓子、アイスを買ったり、おみくじや店傍に置いてあるゲーム機で遊んだりもした。

駄菓子屋はいわゆる一つの僕たちのテーマパークのようなものだった。

その場で、食べ切れなかったお菓子はズボンのポケットに詰め込んで、僕たちは今度は公園に向かった。

公園では、鬼ごっこや隠れんぼ、サッカーなどをして友達と日がくれるまで遊んだ。

日がくれ夕方ごろになると、帰る前に駄菓子屋で買ったお菓子をポケットから取り出して、明日の遊ぶ約束でもしながら一緒に食べた。

幼稚園や小学校の頃はいつも私のポケットにはお菓子ばかり入っていた。

 中学生や高校生の頃は、私は少し荒れるようになった。

いわゆる反抗期と言ったものだ、その頃は、夜遅くまで家に帰らなかったり、タバコや酒をしたりもしていた。

お菓子ばっかり入れていたポケットも今は タバコや携帯、バタフライナイフなどの凶器も入れていた・・・・。

喧嘩して、停学になったりもして親がよく学校に来てくれた。

「家の子が、どうもすみません・・・。」っていつも頭を下げてくれた。 俺の為に・・・・。

しかし、高校三年になると、進路のこともあり俺も少し丸くなっていた。

なんとか、卒業と進学をすることができた俺は、卒業式の日お世話になった先生に素直に

「色々、迷惑かけてすみませんでした。 本当にお世話になりました。!!」

と素直に頭を下げることができた。

そのときにはもう、俺のポケットにはタバコもバタフライナイフも入って無かった。

ただ、入っていたのは先生に渡すための感謝の言葉を綴った手紙だった。

まぁ、恥ずかしくて、結局渡せなかったわけだが・・・・・・。 笑うなよ!!

 大学生になった私は、今まで迷惑ばかりかけてきた親に楽もさせたいこともあり勉強に勤しんだ。

私のポケットの中には、小さな本が入っているようになった。通学時間や休み時間にちょっと空いた時間を勉強するために。

もちろん、勉強ばかりしていたわけではなく恋もした。

たまたま大学の文化祭の日にある1人の女の人に恋して、近づこうといろんな手段もこうじて何とか友達の関係まで持っていけたんだ。!!

大学3年のときにプロポーズしようと決めて、「好きです付き合って下さい。」って彼女に私は告げた。

そのときポケットには彼女がOKしてくれたときに渡すプレゼントが入ってたんだ。 振られたけど・・・・。笑うなよ!!!

 大学を卒業した後、私は就職してエンジニアになった。

今では、私のポケットに入っているのは、車のキー、財布、メモ帳かな・・・・。

給料もよくて、親にも仕送りができるし、仕事もやりがいがある。

ただ、社会人になると少しづつ心が暗くなっていく出来事が多い・・・。

その悩みで、いつも私はポケットに退職届けをしのばせている・・・・。

明日の私のポケットには何が入ってることやら・・・・。

ポケット

ポケット

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-19

Public Domain
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