とある少年の偽善は、くもりぞらに染まった少女の心を晴らす。

とある少年の偽善は、くもりぞらに染まった少女の心を晴らす。

彼の名前はウッディ・W・ペッカー。


彼はよく誤解されがちである。

それも、数年前

彼がこの街にやってきたころは

目は血走り、鋭い眼光で、性格もとても凶暴だった。

しかし、彼には一つだけとても強い信念があった。

自分の信じたことを疑わないこと。

それは、行く先々で様々に誤解されていった。

例えば、火事のビルに取り残された少女を助けたはいいが
ビルを半壊したり、

凶悪な強盗犯から銀行は救ったはいいが
紙幣や、施設をこれまた半壊にしていったりだとか

まわりのこころのない人たちは
彼の事を偽善者と言った。

彼こそは、気にはしていなかったが

私は許せなかった。

嘲笑っていた大男に私は殴りかかった
もちろん、私は貧弱で
しかも、ケンカなどは一度もしたことがなかった。

だけど、今まで私を相手にしたこともなかった彼は
初めて私の名前を呼び、初めて私の目を見て

初めて私を抱きしめてくれた。

――――ありがとう。
もういい、ありがとう。

この世界で彼はきっと一生偽善者なのだろう。
だが、偽善者は偽善者らしくこれからも偽善をするだろう。
彼を愛する者がいる限り。
私だけじゃない、あの娘もきっと・・・

ん?私の名前かい?

私の名前は・・・

とある少年の偽善は、くもりぞらに染まった少女の心を晴らす。

とある少年の偽善は、くもりぞらに染まった少女の心を晴らす。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-18

CC BY
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