とある少年の偽善は、くもりぞらに染まった少女の心を晴らす。
彼の名前はウッディ・W・ペッカー。
彼はよく誤解されがちである。
それも、数年前
彼がこの街にやってきたころは
目は血走り、鋭い眼光で、性格もとても凶暴だった。
しかし、彼には一つだけとても強い信念があった。
自分の信じたことを疑わないこと。
それは、行く先々で様々に誤解されていった。
例えば、火事のビルに取り残された少女を助けたはいいが
ビルを半壊したり、
凶悪な強盗犯から銀行は救ったはいいが
紙幣や、施設をこれまた半壊にしていったりだとか
まわりのこころのない人たちは
彼の事を偽善者と言った。
彼こそは、気にはしていなかったが
私は許せなかった。
嘲笑っていた大男に私は殴りかかった
もちろん、私は貧弱で
しかも、ケンカなどは一度もしたことがなかった。
だけど、今まで私を相手にしたこともなかった彼は
初めて私の名前を呼び、初めて私の目を見て
初めて私を抱きしめてくれた。
――――ありがとう。
もういい、ありがとう。
この世界で彼はきっと一生偽善者なのだろう。
だが、偽善者は偽善者らしくこれからも偽善をするだろう。
彼を愛する者がいる限り。
私だけじゃない、あの娘もきっと・・・
ん?私の名前かい?
私の名前は・・・
とある少年の偽善は、くもりぞらに染まった少女の心を晴らす。