遊園地は夢の中
深夜零時を廻って
彼女はゆっくり目覚める
正確には夢の中で目覚める
あちこちの腕のスプリングが
ギシギシ音を立てたり
頭のネジが何本か跳ぶのも気にせずに
金属でできた彼女の小さな顔よりも
かなり大きめにつくられた錆びたシルクハット
ブリキと金属と木材と後色々でつくられた彼女は
自分の身長よりも長い髪を引きずりながら
夜の遊園地を歩く
右の足と左の足が順に持ち上がり床に着地
カタンコトンカタンコトン
遊園地の真ん中にそのレバーはある
取っ手が丸くて赤いビエロの鼻みたい
と彼女はいつもぼんやり思う
「よいしょ…」
精一杯の力で引くと
ガコンと鈍い音がする
彼女から小さなスプリングなどが
転がっていくのはご愛嬌
低い唸るようなモーター音が
聞こえたらもうすぐだ
遊園地は夢の中