遊園地は夢の中

深夜零時を廻って
彼女はゆっくり目覚める
正確には夢の中で目覚める
あちこちの腕のスプリングが
ギシギシ音を立てたり
頭のネジが何本か跳ぶのも気にせずに
 
金属でできた彼女の小さな顔よりも
かなり大きめにつくられた錆びたシルクハット

ブリキと金属と木材と後色々でつくられた彼女は
自分の身長よりも長い髪を引きずりながら
夜の遊園地を歩く
右の足と左の足が順に持ち上がり床に着地
カタンコトンカタンコトン

遊園地の真ん中にそのレバーはある
取っ手が丸くて赤いビエロの鼻みたい
と彼女はいつもぼんやり思う
「よいしょ…」
精一杯の力で引くと
ガコンと鈍い音がする
彼女から小さなスプリングなどが
転がっていくのはご愛嬌

低い唸るようなモーター音が
聞こえたらもうすぐだ

遊園地は夢の中

遊園地は夢の中

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-18

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