終わりの日

今日は、地球が終わる日らしい。
でも、僕は興味ない。
だって、どっかの予言者の予言も、いつだかの暦も、全部外れているんだ。どうせ、今回も、何事もなく終わるだろう。

世界が終わったらどうなるんだろう。
他の惑星みたいになんにもなくなるんだろうか。
それはそれで見てみたい気がする。
でも、僕は水に水没するのがいい。アトランティスみたいに水のなかに僕らの文明が消えていくんだ。透き通る水のなかに沈む都市。そこにはなにもいないんだ。とても、幻想的だろう。

まぁ、きっと、世界は終わらないんだから、考えても、仕方がないんだけど。

僕は転がったベッドのうえから窓の外を見る。
空は今日世界が終わるなんて思えないほど、きれいだった。

もし、本当に今日世界が終わるんだったら、いつも伝えられないことをみんなに伝えたい

両親にいつも迷惑かけてごめんって、育ててくれてありがとって

学校の先生に、言うこと聞かなくてごめんなさい。あと、桂あってないから、変えた方がいいよ

友達に、仲良くしてくれてありがと、てか、この前貸したゲームさっさと返してくれ。

僕の、好きなひとに、
好きです。って言いたかったなぁ。

みんな、さようなら。

最後の日くらい、素直に伝えたかった
僕はメールに気持ちを乗せて送信する。

ドアのノック音を聞いたと思ったら、
顔を真っ赤にした、君がいた。

走ってきたのか、息切れしている。
看護婦さんに、注意されなかっただろうか。

まぁ、世界さいごの日に君にあえてよかった。

こうして、僕の世界は終わる

今日、世界が終わる、そんな噂を耳にした。
まぁ、そんなのあり得ないだろって聞こえない振りをした。

いつの間にか入ってたあいつからのメール
「好きでした

さようなら」

私だってあんたが好きだったよ!

本当に今日世界が終わるなんて信じてない
だけど、あんたがこんなメール送ってくるなんて、冗談にならない

私は、あいつのいるところへと走った。
途中いろんなひとにぶつかったし、いろんなひとに怒鳴られた気がした。でも、私は気にしない。

早くしないと、手遅れになる気がした。

私は、あいつのいる部屋の前にたった。
かなり走ったから、息切れがひどい。

ドアを開けると、ベッドに横たわったあいつ。
私を見て、微笑んで、目を閉じる。
ふざけんな。言い逃げなんて許さない。ちゃんと、あんたの口から、私にいってよ。

私は、冷静にナースコールをする。
緊急手術が始まる。
あいつの両親も駆けつけて、私は、挨拶をした

大丈夫、あいつは死なない。
私、まだ、返事してないんだから。
死んだりしたら、あの世まで追っかけて、連れ戻してやる。

だから、死なないで

気がついたら、真っ暗な世界にいる気がした。
これが死後の世界だろうか。
まぁ、ともかく、僕の世界は終わってしまったんだ。

興味深く辺りを見渡すと、一点だけ白い光があった。
別に目的がある訳じゃない。だけど、その光の先にいきたくていきたくて。僕はもがいた。体が鎖を巻いたように、重いし、動かない。だけど、僕はいきたいんだ。

なにもかもが、僕をそこにとどめようとしている。
だけど、僕は進む。

なんとなく、その光は、僕の好きなひとににている気がした。

それで、僕は思ったんだ。
まだ、君にきちんと伝えてないって。
きっと、君は、メールなんかじゃ、納得してくれない。言い逃げをゆるしてくれない。もしこのままだったら、どこまでも、追いかけてくるんじゃないかななんて、思った。
ただの、妄想かもしれない。だけど、僕は、君に伝えたいんだ。

白い光が辺りを包み込んだ。
そのなかに、君がいる気がしたんだ。
君は、こっちに向かってなんかいってから、白い光の中へ飛び込んでいった。

まって、おいてかないで。

僕は君を追いかけた。

世界が終わるはずだった次の日。
あいつの、手術は成功し、あとは、本人次第だそうだ。

やっぱり、世界は終わらなかった。
今日も、いつも道理世界は回っている。
でも、あんたが、めをさまさない。

言い逃げなんて許さないんだから。
お願いだから、私を置いて逝かないで。

私は、素直じゃなかった。本当は、前から、あいつのことが好きだった。でも、あいつの前じゃ、素直になれなくて、意地をはって、喧嘩ばかり、してた。あんたが、こんなになって、ものすごく、後悔した。だから、あんたが、目をさましたら、素直になるんだ。だから、早く、目をさましてよ。気が変わっちゃうよ?

そういえば、王子さまのキスで、目をさますなんて、よくある話だな。立場が、普通は、逆だけど、

私は、あんたにキスをした。

やっぱ、目は覚めないか。
わかってたけど、少し寂しい。

飲み物を買いに行こうと、席をたつ。
すると、袖が引かれた。

私は、目覚めたあんたを見て、驚いて、よかったと安心して、
さっきしたことを思い出して、顔を赤くした

今度こそ、素直になるんだ

「おはよう」
「寝すぎだ、バーカ」
「はは、そう?」
「そうだよ、
心配したんだから。」
「ごめん」
「別に、いいよ。」

二人の間に、沈黙が走る。

「「あのさ、」」

「あ、あんたが先でいいよ。」
「いや、ここは、レディファーストだよ」

「「…っぷ」」

二人は吹き出した。何を二人で緊張してるんだ。
バカみたいって。

「あのさ、メールじゃなくて、ちゃんといってよ。」

少年は、少女に、真面目な顔をして言う。

「君が好き」

少女は、顔を真っ赤にした。少年は追い討ちをかけるように言う。
「返事くれない?」

「私も、あんたが大好きだよ!」

互いに真っ赤になって、はにかみあう二人。

意地の張り合いはきのう終わった。
また、これから新しく始まる。

終わりの日

終わりの日

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-16

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