大富豪の手札
春の始まり
「うわぁ。間に合わない」
今年の春に高校1年生となった俺は今物凄い勢いで自転車を漕いでいる。
なぜかというと・・・あと1分でCDの延滞金が発生するからだ。
俺は高速道路の自動車並みにスピードを出してレンタルビデオ屋まで行くことに成功する。
自転車のかごに入れたカバンを手に持って店員に渡そうとするが、ここで緊急事態が発生する。
普通みんなが思っていることはCDを店員に渡したら、
「1秒遅れているので延滞金払って貰いまーす」
などという残念オチを思い浮かべるだろうが、そこまでたどり着かなかった。ああ、レジに
人が並んでゲームオーバーとかじゃないけど。言い換えるなら、店員にすら話すことができなかったのだ。なぜならCDを家に忘れたからだ。
「最悪だー」
先ほどの自転車を漕ぎすぎたためか、絶望で足に力が入らなくなったのかは分からないが
レンタルビデオ屋で座り込んでしまう。すると、周りの目線が痛い子を見る目だったので
さっさと出ることにする。
結局、もう夕方を過ぎ辺りは真っ暗なので諦めようかと思ったが今月はもう
金が底をつきそうだったので、やはり行かなければと思い足がパンパンなのでなるべく
ゆっくりと漕ぐことにして、レンタルビデオ屋と家を2往復してその日は終わりを迎えた。
次の日の朝、俺は朝が苦手でもなくので、早く起きることを心がけている。ベットから体を
起こし立とうかと思ったその時、
「イタッ」
足がとても痛い事に気がつく。昨日自転車を漕ぎすぎたせいだ。まさか朝の第一声がイタッ
なんて思いもしなかった。なので、気分を変えるために
「おはよう」
と言ってみる。
「・・・・・・」
今、誰からも返事なくて悲しい奴だなって思った?いや、もうなれたさ。なれるってお前の家族は挨拶しないのか?って?うーんと、まあ、しないじゃなくてできないのほうが正しいと思う。だってこの家、佐藤家の家族構成はこの俺、佐藤輝樹だけで成り立っているんだからな。
現在の時刻は7時。今日の朝ご飯はサンドイッチを作った。俺的にはタマゴが一番好きなのでタマゴ入りのサンドイッチを多く作った。さて、いただきますの前に昼食を作ってしまおうと思い、先に
学校に持っていく用の弁当を作ることにした。
弁当作り終えたのが7時35分となりゆっくりサンドイッチを食べながら先ほどの家族のことと
その他の色々を伝えることにする。
15年前に生まれた俺は母と父に置いていかれてしまった。俺には親戚がいるらしいがそれが沖縄や、北海道、さらには海外など遠くにいたらしいが病院の人はそんなことわかるわけなく施設に送られた。
そこで何年も暮らしていた。家族ってなんだろうと思ったことは施設にいた時には一度も思ったことはない。なぜなら、この施設こそ俺の家族だと思っていたからだ。いや、思い込むようにしていたのかもしれない。
その施設は割と貧しくでも俺たちを介護してくれていた。だが、義務教育の中学校生活が終わった後は自分で暮らしていかないといけない。その施設では一応家事や勉強など色々なスキルを教わったので、一応働いて暮らすこともできるし高校に行く人もいる。最初の1年は施設から仕送り程度のお金と旅立つときにお金をもらうが、俺はそんなこと微塵も考えていなくみんなと一緒にいることのことしか考えていなかった。
だが、中学三年生の秋、みんなが将来のことを悩んでいる時期に俺宛に電話が来た。俺は施設の先生から電話を受け取ると、電話の相手は30歳ぐらいの声で、
「実は、佐藤君のこの前受けたテストが全国で10位という成績だったんだよ」
この前受けたテストというのは全国の中学生が受けるテストのことであり、俺は人よりも何事にも
一生懸命するので勉強は成績が良かった。
「はあ、それで?」
と俺が言ったら、30歳ぐらいの男性が
「そこで、15年前に立った真言高校に通ってみないか?という相談なんだがどうだろう?」
シンゲンコウコウ?県外のことはよく分からないためまだyesとは言い切れない。
「えーと、シンゲンコウコウ?ってどこにあるんですか?」
と言うと、施設の先生が「電話代われ」とジェスチャーしてきたので
「ちょっと代わります」
と電話の相手に言って先生に代わろうと受話器を渡そうとしたら
「お前は、就職も進学もしない予定だったな」
と先生に聞かれたので、
「具体的に言うと決めたくないですかね」
とカッコ良く決めると、先生はスルーして
「じゃあ、今決めろ」
俺が言った否定を聞くことなく思い切りストレートに来た。
「就職か、進学か、浪人か?どれだ?」
どうせ決めないといけないらしくでも俺の中には決められない気持ちもあった。もし決めるんだったら
それは家出ということになる。大切な家族にそんなことはできないがこのままいても邪魔なだけかもしれない。なら速く旅立って成長してから親孝行すればいいんじゃないか?という結論をすぐに出せた自分の頭の回転力はすごいとは思わなかった。というか、これが普通の頭の回転力だと思っていたからだ。
「進学です」
と我ながら威勢の良い声を出したと思う。
「よしわかった」
と先生はいい、電話相手に話している。
と、まあ回想終了となり今になる。結局、真言高校に進みお金は施設からもらっている。
家族のことや、施設のことはあまり言わないことにしている。なんだかどっちの家族も裏切ってしまうような気がするというかなんというか・・・。まあ、この複雑な気持ちは最後のサンドイッチとともに
口の中に葬ってやろう。
時計を見るとなんともう8時を回っていた。学校には8時10分までに着かなければならなく自転車でギリギリというところだ。そろそろ出ようと思ってテーブルから立とうと思ったら足が筋肉痛だったことを思い出し、痛みもサンドイッチと飲み込んでおけばよかった……
4月某日
いつもは自転車で登校する俺だが、今日は足が痛いのでバスに乗ることにした。だが、バスに乗れても遅刻にはなりそうだ。バスの席に座って焦っていた俺は通勤ラッシュの時間のため色々な人がいたがその中に妊婦さんがいることに気がつく。そして、とっさに俺は話しかける。
「あの、席代わりますよ?」
というと、
「ありがとうね」
と言いながら俺がいた席に座る。
「次は、〇〇駅です」
運転手のアナウンスが流れる。〇〇駅は大きい駅なのでこのバスの中からたくさんの人が降りるだろう。俺が通っている学校、真言高校はこれの次だ。
そんなことを考えていると、バスの扉が開く。俺は、することもないのでさっきの妊婦さんに話かけることにする。
「あの、今何ヶ月なんですか?」
「8ヶ月よ。最近は辛くなってきてね、週に3・4回は病院に行くことにしているの」
8ヶ月か。なんて思っていたら、今日も辛い日なのかな。まあ、どちらにしても尚更席を譲っていて良かったと思う。
しばらく(1分もなかったが)妊婦さんと話していると前のほう、料金場のほうが騒がしい。何だろうと思いつつ見てみるとバスの扉に結構大きめの犬がいた。どうもその犬が乗車たちが降りるのを邪魔しているらしい。理由はまだ分からないが、とりあえず邪魔にならないところまで移動させよう。
「どいてください。今から俺がやります」
「でもどうやって?」
だれかが俺に向かって言う。俺は、
「実は、ちょっと前までペットの介護をやっていたので分かります」
というと、みんなが英雄を見る目となり素直に道を作ってくれた。
施設にいた時にみんなで色々な動物を育てていたので大方のことは分かるが、ここまで大きな犬だとな……いや、俺がやるしかない。まずは、
「わんっ」
…………今のは俺の声である。が、なんかミスった気がする。ほら。さっきまでの英雄を見る目が昨日のレンタルビデオ屋の時みたいに痛い子を見る目だ。たちまち、俺に向かった罵声が響く。
「ふざけるな」
「おい、早くしろ」
「こっちは通勤なんだよ」
「朝の子供劇場見れないだろ」
「お腹痛いのに……」
「脅迫の時間に間に合わないだろ」
…………なんだか色々な人間がいるんだな。主に最後3つぐらいは自分でどうにかしろよ。と心の中で思った矢先、
「お前、人間なのに犬語しゃべるんだな」
と言われた。俺が、もうムカついたので
「最後に言った奴誰だ?」
といいながら犬を背に人々のほうをみると俺じゃない。私じゃない。って否定する。この中の誰かなのに。
「おれだよ。おれ」
「誰かは知らないが、どんな面してるんだろうなぁあ?」
最後はキレ気味で言いながらそいつが喋ったほうを向く。
「?」
俺が見た先は犬しかいない。お前ら、ふざけんなと言おうと思ったら
「だから、お前の眼は節穴か?俺だ」
ままままさか…………しゃべったのって犬?落ち着け、佐藤輝樹。普通犬はしゃべらないって
wiki●edi●に書いてあったのに。ていうか、普通はそのサイトじゃなくてもこの世の常識だろ。
と冷静に一人漫才をすると、一つのことに気がつく。俺はまだここにきてから2・3週間だ。
で、ここは次世代の高校がある最先端の都市。ということはこの犬はロボットじゃないのか?という
仮定が成り立つ。だが、結論が大切だ。それを証明する方法は、ここに長く住んでいるはずのこの人たちが知っているはずだ。なら、訪ねようじゃないか。
「あの。この犬ってロボッ……トじゃなさそうですね」
予想外の展開だ。まさか全員が驚愕の顔をしていた。ははは。もう笑うしかないよな。なら話は簡単。
「ねえ、そこどいて」
俺は犬に向かって言い放つ。
「それが、どきたいがなんか棒に俺の紐をくくりつけられて動けないからお前たちに助けをだしているんだよ」
もう、犬が人語ペラペラなのは突っ込んではいけない気がしたので俺が犬の上をジャンプして(最初っからこうすればよかったのでは?)道路に出る。そして棒にくくりつけてあった紐をほどいてやる。すると、そこから手紙が落ちる。なんだろうと思いつつ中身をみると一行だけ書いであり、
「この犬を飼ってあげて」
とだけ。まあ、人語をしゃべる犬なんて家の中にいたら落ち着かないしな。すると、手紙からヘンテコだが文字が浮かび上がる。すぐ消えたが、何だったんだろう。まあ、とりあえず一件落着だ。
一件落着というのは大抵またなにかしら事件が起こる前置きだ。まあ、こうなったのはわけわからないが。回りくどいことはやめて、単刀直入に言うと、俺の隣にあの大きな犬がいる。
自分でも思うが、ざっくりしすぎた。まあ、話すと長くなるので要約すると、さっき出た文字はこの犬との契約らしい。と犬が言っている。人の意見もなしに勝手に決めんなよ。と思いつつこいつはなかなか面白いと思う。学校にはペットルームというところがあるから、とりあえずこいつを飼うことにした。
「次は、真言高校です」
アナウンスが流れて俺は妊婦さんに一礼して運転手にお金を払う。時間は8時20分。犬の騒ぎがなければ遅刻せずにすんだだろう。と、思いつつバスを降りると今まで忘れていたあの筋肉痛が足に蘇る。
「なんてこった。」
「それは俺のセリフ。」
因みに1つ目が犬で2つ目が俺だ。もうこいつは人語が喋れてロケ〇ト団のニャー〇的に自然な流れで慣れることにした俺は、一言名台詞を言おう。
「や〇感じー」
「ピカ〇ュウの十万ボルトは強いな」
おいっ。犬。名台詞に突っ込まんでいい。
最悪の出会いとでも言うべきか。
俺は真言高校1年4組に遅刻したものの着くことができた。奇跡的に門番と言われている教頭の目を
盗み学校に入ることができたが遅刻は遅刻。
「遅れてすいませーん」
俺は謝りながら教室に入る。だが、担任はまだいないらしく俺は誰にも怒られることなく教室に入ることができた。教室はいたって普通でみんなが思っているような教室だ。クラスメイトは、勉強している奴・PSPでゲームしてる奴・実弾の入っているであろう拳銃を振り回している奴・朝の子供劇場見てる奴・
脅迫状を書いている奴…………………………………………………は?
おいおい、今朝のバスで俺に文句言ってきた奴2人もいるじゃねーか。この二人は1行しか出てないのに学校ででしゃばりやがって……。
今朝から色々ありすぎたので俺は自分の席に着いた。
「はぁっ?。」
うわっ。おっさんみたいな声出してしまった。けど、みんな遊んでるぽいから聞こえなかったのは
ラッキーだ。
「お前おっさんか?」
前言撤回。アンラッキーだった。こいつはクラスメートで俺がこっちに来てからの最初の友達で
雨端海翔という奴だ。面白いが、殺意芽生えるぐらいうざい時がある。で、なぜか1年4組は海翔の
言葉に反応した。
「おっさんだって」
「まだ15歳なのに」
「おっさん=中年ではないと思う」
「脅迫状の時間に「それはいい」
となんとか脅迫状関連は抑えることができたが、このクラスは「おっさん」に反応するなんて。
そんなのサザエさ〇一家だと禁句じゃないのか?まあ、冗談はよしてこの空気をどうにかしないといけない。
「いや、だから、話すと長くなるけど、今朝から筋肉痛だったり「おいみんな、すわれ。朝の
ホームルームの時間だ。」
「ちぇ」
「助かったな」
「タイミングワリィ」
「不登校生活に陥れるまでもう少しだったのに」
「言い訳しそうならライフルでパンッだったのに」
俺はここに来たことが過ちだったのか?
「出席とるぞ」
と言いながら出席を取る担任、藤峰先生が、
「の前に、今週の金曜日から1年生もMGCにでることができるからな。では出席」
先生が出席を取っている間に俺はさっそくMGCに出ることを決めていた。
MGCとは、Money get chance 日本語にすると「お金を手に入れるチャンス」になる。これだと
お金のためでいいことには思えないがこれがすごいことに流石次世代高校。高校生でのアルバイトを防ぐために学校側からお金を出し、そして金曜日は授業は午前中のみでずっと試合である。
人間には右脳と左脳があるが頭の回転力は人それぞれである。とある研究者がキャリーという携帯ぐらいの大きさの機械を作り出した。そのキャリーというのはさまざまな機能があり携帯電話の機能一式と、MGCの大会のトーナメント表など。そして自分が思ったものならボタン1つで何でも変形するのだ。だが、欠点がありそのキャリーをもらい最初に思ったもののみ変形し、以後半年は変形できないという。なので、キャリーを支給してもらったその日はみんな慎重なのだ。
そして、MGCは戦闘としては自分のキャリーが相手のキャリーで作ったバリアを破ることで勝利となる。バリアの耐久性を調べるにはバリアの色が正常な方から並べると、青→緑→黄→赤の順である。
キャリーの戦闘力としては頭の回転力が主となる。キャリーが脳の回転力というか勉強の時のやる気等を勝手に人の頭の中から奪っていき、その量や質で攻撃力が決まる。生徒たちの間ではこのやる気のことをブラッドというらしい。日本語にはしたくないな。
戦闘中はブラッドが減っていくが戦闘が終わればゆっくり脳に戻ってくる。
MGCには1vs1と、2vs2の二つがある。1vs1はその通りで、自分の力しか頼ることができず制限時間は1時間となっている。1時間を過ぎれば引き分けとなる。2vs2はタッグを組むがそれが
友達とかでは駄目で男と女で組むことが決まっている。その制度があるため、よっぽどのことがない限りほとんどがカップルというわけだ。こちらの制限時間は無制限だがどんどんキャリーにブラッドを奪われるので短期決戦が多いらしい。1vs1も2vs2もトーナメントで優勝者には現金10万円が贈られる。俺は2つとも出たいがそれはMGCで禁止されている。そして、強い奴が現れてずっと1人勝ちにならないために1度勝ったトーナメントには1週間出ることができない。だが、片方には出ることができる。
「佐藤いるか?」
藤峰先生が出席で俺を呼んでいる。
「はい」
「なんだ、いるなら早く返事しろ」
「すいません」
どうやら俺はMGCで頭がいっぱいらしい。いや、金のことか?
朝のホームルームが終わり1?4校時まで終わる。次は昼ごはんだ。今朝作った弁当を机の上に広げて
食べる。すると
「俺たちも混ぜろよ」
といいながら席を持ってくるのは、新田行人・多田浩二そして朝の雨端海翔だ。
「いいけどよ、お前ら弁当は?」
「ああ、購買で買ってきた」
「そうなんだ」
「にしても、輝樹はMGCに出るとしてみんな出るのか?」
と、海翔が言う。俺は出る前提なのか。まあでるけどな。
「僕は出るつもりだけど。」
といったのは新田行人だ。
「俺はまだ考えてないけど、多分でない」
こいつは多田浩二であり、
「俺は出るよ」
そういったのは俺であり、
「「「知ってるわ」」」
3者から突っ込まれる。なんで俺の時だけ……。
そんなこんなで今週は金曜日を迎えた。MGC初デビューとなった俺は学校に8時に着き1vs1にエントリーすることになったがエントリー開始時刻は昼食後であるので授業を受けながら作戦を考えていた。
そして、昼食時。
「あれっ?」
「どうした、輝樹?」
「ああ、浩二。いや、弁当忘れたっぽくて」
「そうなんだ。じゃあ、俺と一緒に食堂行こうぜ」
「出費が?」
「まあ、堅いこと言わずに」
「分かった。じゃあ、俺トイレ行ってくるから先に行ってて」
と、浩二に言いながらトイレに行く俺。
トイレを終えて食堂に行く俺だがはじめて行くのでなにがなんだか分からない。なのでとりあえず食券を買う機械がどこにあるかそこの女子生徒に聞くことにしよう。
「あの?。食券ってどこで売ってますか?」
うわぁあ。昼ごはんにしてはすごいメニューだな。まさか、学校で一番0が多い三ツ星ランチというやつか。どんな人が食べてるんだろう?そして、見てみると
「……」
結構可愛い。髪型は肩にかかるぐらいで、3サイズの内のBはちょうどいいぐらいの大きさであり……
ってエロいよ俺っ。けれど、俺の好みの人ではある。にしても返事遅いな。この人も分からないのか?
「あの?。食券ってどこに売ってますか?」
…………スルーかよ。こんなのとあるトー〇と、とあるフレイムへ〇ズの出会いのシーンじゃねーか。
「あの?」
「アラス〇ール。こいつ殺していい?」
やっとできた会話がこれ?ほぼパクリじゃねーか。っていうか、アラストー〇いるの?
「食券はあっちにあるわ」
ちょっと不機嫌そうに言われた。なぜだ?
「ありがとう。でも、もうちょっと初対面には優しくした方がいいぜ」
「ふざけんなぁ。」
大声で叫ばれる俺。広い食堂も一気に鎮まる。これって今朝もあったよな。デジャブであってほしい。
「お前。そんな大声出すなよ」
案の定スルーされる俺。だが周りは
「なんだ、痴話げんかか」
「夫婦漫才ってうざいよね」
「女の子、結構可愛いじゃん」
今のこと+この女の大声=ストレス爆発。
「うっせー。俺とこいつはさっき会話しただけだ。なのに喧嘩だの漫才だの言いやがって。そういわれる気持ちわかんねーのか」
痴話とか、夫婦とか抜けたけど通じるよな。しかも、教室ではもうイジメみたいに普通にライフルとかふるわれる気持ちが分かってほしい。
「お前ら今日のMGCで俺に文句あるやつかかってこい。全員まとめて消してやる」
消さないと、明日から全校生徒敵になるからな。でも、なんでこの女子顔赤いんだ?
しばらくすると、食堂は騒がしくなりさっきの問題も解決した。と思っていたら、
「お前、全校生徒敵に回すつもり?」
と問題の原因が聞いてきた。さっき叫んだおかげでストレスは飛び
「まあ、そうならないためにもMGCは頑張らないとな」
と思っていると、なぜかまたこいつ顔が赤くなる。施設ではそういうこと習わなかったからあんまり
分からんが顔が赤い時はえ?と、怒っている時だっけ?
「なんで怒ってるんだ?」
それは魔の言葉だったらしい。3つ星ランチのフォークで俺を刺そうとしてきた。俺はそれを必死に避けることにする。
5分ぐらい経ち、フォークの嵐が終わる。
「そういえば名前聞いてなかったな。俺は、佐藤輝樹。お前は?」
「私は長田千佳。1年4組よ。」
「え?俺も1年4組だけど、見ない顔だね」
「あっそ。まあ、せいぜい敵を増やさないようにね」
捨て台詞のように言う長田千佳。名前と面とB覚えたぞ。
さて、食堂で浩二と出会いMGCのエントリーが完了した俺はキャリーでトーナメント表を見ると、俺の相手はまだエントリーしていないため名前が表示されない。
「誰なんだろうな俺の相手」
独り言でも言っているとピコーンと音が鳴りキャリーが光る。どうやらメールのようだ。なになに……あなたの対戦相手が決まりました。それは、1年4組 長田千佳 女 です。
迷惑メールであって欲しい。
音速って、分速340mより、分速322mのほうがただしいらしいよ。(正しいかわかりません)
キャリーを使う人にはランクが与えられる。ランクは高ければ高いほど強いということとなっている。
高い順に、A→B→Cという順になる。だが、俺が施設の時に全国の中学生が受けたテストなどで高い評価を得た人は例外とし、Aランクより上のXランクが与えられる。Xランクは学校内で12人ほどいる。 Xランクの人は学園から学力が高く、ブラッドの質・量が良く、そして強いと認められるとなることができる。
Xランクの長所は特別に異能力がキャリーに付く。好きな時に、キャリー付属の異能力ボタンを押せば発生する。
だが、良いことばかりではなく異能力を使うと大幅にブラッドをキャリーに奪われる。
その異能力は人によって違う性質である。ただし、Xランクでも順位があり、12位の人と1位の人では異能力の差は天と地の差もある。
俺のランクはスカウトされたこともあり、Xランクということになっている。順位は10位である。
俺は、1年生で10位ということもあり、学園から注目となっているはずだが本人が嫌なら別にXランクと言わずに生活できる。だが、異能力を使うとばれる為、Xランクの人はあまり使わないらしい。俺もあまり目立ちたくないので異能力はやばい時にしか使わないようにするつもりである。
なぜこんな話をしたかというと、これはやばい状況なのか判断できないため一応整理をしようと思ったからだ。
話は1vs1の1回戦。俺の相手は、長田千佳というお嬢様であり、お嬢様というからには頭いいんだろうな。舐めてはかからないようにしよう。
俺と長田千佳の間に審判がいて、試合の開始を今にもしそうで俺は興奮している気持ちを割と押さえつけ初勝負はいい勝負にしたいと思っている。
「試合開始」
審判が俺たちに声をかけ、俺はキャリーでバリアを張る。さっそく授業中に考えた作戦を使うつもりだった。だが、長田千佳のまわりにバリアが張っていない。どういうことだ?
バリアは審判の合図から2分以内に張らなければならないがもう1分30秒は超えている。
5,4,3,2,1・・・0。
「勝者、佐藤輝樹」
なんで、こいつはバリアを張らなかったんだ?
試合後、俺は長田千佳にバリアのことを聞いた。
「なあ、長田。なんでお前バリア張らなかったんだ?」
すると、またスルーらしく、
「聞いてるのか?」
今度は反応あったらしく、
「え?ごめん。聞いてなかった」
どうやら悩みでもあったらしい。初対面の奴をいきなり怒鳴るくせに。
「何かあったのか?」
「私はバリアが張りたかった。でも、張れなかった。なんでだと思う?」
「う?ん。ブラッドの質が良くないとか?」
「そう。そして私はDランクなの」
そうか、Dランクか。すっかり忘れていた。
学校側がランクを生徒につける際に、ブラッドの質・量や学力が悪い人にはCランクをつける。だが、それより悪いやつもいる。
そういう奴は、DランクというCランクより下のランクが与えられる。勿論異能力もなく、キャリーの機能を扱えない奴もいる。こういった人はバリアや、攻撃用に変換することができない。
だから、普通はMGCには出ないのに……。やっぱり悩みがあるんだろうか?
「そうか、Dランクか……。でも、なんでMGCなんかにでたんだ?失礼だが恥かくだけだったんじゃないか?」
「そうね。でも、私は才能があることを証明したかった。ブラッドは、頭の回転力とかが元になっている。私にはそういった素質がなかなか無かった。でも、心のどこかであると決め込んでいた。それを証明するために今日、MGCにでたの」
うんうん。と俺はうなずく。
「そしたら、初戦の相手が佐藤って聞いて相手が知り合いでよかった。って思っていたけど、あんたが言っている通り、ただ恥をかいただけで何も得るものは無かった。むしろ、絶望しか残ってない。こんなことになるんなら、やめておけば良かった」
俺は思う。俺はXランクであり、Dランクではない。だが、Dランクだから、恥をかいた。っていうのは違う気がする。ランク以前に俺たちは人だ。恥をかいて当たり前じゃないのか?ここまで考え、俺は長田千佳にランクとしてではなく、人として話す。
「恥かいて絶望?はっ。笑わせるな。人っていうのは失敗を繰り返して、繰り返して、何度も失敗してから大きく成長するんじゃないのか?なのに、お前は成長もしてないのにそこで挫折か。
俺もお前も高1で、お前はただDランクってだけだろ?それをお前はDランクっていう言い訳で才能がないことを認めようとしてたんじゃないのか?
だが、お前はMGCにでて、確かめようとする大きな勇気があった。その頑張りは誇れることだと思うし、誰でもできるわけではない。
けどな、お前の頑張りをバカにする奴が出てくるかもしれない。その時は、俺はXランクではなく喧嘩でお前を守ってやる」
やってしまった。Xランクのことは秘密のつもりだったのに。しかし、長田の顔が赤い。そんなにXランクが珍しいか?まあ、珍しいよな。だが、昼食のミスを生かしてここは、
「長田。もしかして、照れてる?」
「うわっ。うわっ。バカ。違う」
必死に抵抗するが顔はまだ赤いままだ。
「でも、生まれて初めて守るって言われたから照れているのかな?」
「さあな。でも、ちょっとはすっきりしたか?」
「うん。おかげさまで」
「そう。よかった」
「ちょっとそこのベンチで座ろうか」
「あ、ああ」
長田の驚愕内容暴露から早20分。長田はずっとなにか言いたそうだったけど、まあこの空気だしな。そういえば、さっきの俺の「お前を守ってやる」って告白みたいに聞こえないか?やってもうた。
ああ。天国ってなんだっけ?俺があれこれ考えていると、長田に話しかけられる。
「ちょっと。大丈夫?」
「ああ、肉体は普通だが精神はブエノスアイレス」
「本当に大丈夫?」
「因みに、日本の反対側の国はブエノスアイレスだよ」
「要するに、精神は普通の反対の異常ということ?」
「そう」
今の会話で、意識を取り戻した俺に、
「話があるんだけど」
といわれる。
「いいけど。なに?」
この展開だと告白しかないだろ。俺は分かっていながらとぼける。
「さっき、『俺が守ってやる』って言ってくれたよね」
「う、うん」
俺の好みだけど、まだ付き合うって感覚じゃないからな。
ここははぐらかしてなかったことにしよう。
「それって、2vs2の時のタッグを組んでってこと?」
……what happened?告白じゃなく、しかも俺がやっちゃたみたいな感じになってるし。しかし、俺は2vs2のペアがまだ決まってなかったのでこれを理由にペアだけ作って、戦闘は俺だけすればいいか。といつもの回転力を使い、
「ああ。他にどういうとらえ方があるんだよ?」
「え、ええ?ほんとに言ってるの?」
「ああ」
「でも、2vs2のペアってほとんどがカッ……プルって聞くし」
「もう一回言ってくれ。後半は全然聞こえなかった」
「だから、要するに私と付き合うってこと?」
は?だから、なんでそうなるんだ?しかも、大声出しやがって。周りの人たちが驚いてるし。
2重の意味で。それ以上いくと、恥ずかしいので話を戻す。
「俺は、2vs2が出たい。そして、(ピンポーン放送です)お前(2回戦のトーナメントが決まりました)目当てだ」
途中で放送が入りやがった。俺は「俺は2vs2が出たい。そして、賞金目当てだ。お前は何が目当てだ」と言いたかったが、ちゃんと伝わったか?答えは、こいつの顔が赤くなっているので失敗だ。まあ、放送がなくても失敗のような文だったしどっちでもいいや。
ピロリ。キャリーのメール機能で大会からトーナメント表が届く。俺はどこだろう。あ、あった。って、もうすぐじゃねーか。もう会場に行こう。
「俺、今から2回戦だからちょっと離れるわ」
「あ、う、うん」
「そうだ。ペア組むんだったら携帯番号とメールアドレス交換しないとな」
と言いながら、キャリーの赤外線通信で情報交換する。どうやら、長田は携帯機能はつかえるらしい。
「じゃ。」
俺は会場に向かう。
会場には時間内に着けた。相手はメールでみたが2年生であるので、異能力を使うことも考えないと。
「試合開始」
審判の声が響く。俺はバリアを張る。相手は……ちゃんと張っているな。どうも確認してしまう。相手はキャリーを変形させた。どうやら、剣のようだ。一応先輩なので手加減なしでやる。
俺もキャリーを変形させる。光が体を包む。やがてその光は消える。その瞬間に俺はジャンプする。
光が完全に消えたその時、観客・審判・対戦相手・そして俺。この会場のほとんどが驚いていた。俺もできるとは思わなかったからだ。
俺が変形させたものはWing of metal。すなわち、金属の翼。金属の翼で飛ぶことができないと思っていたけど、羽をバサバサと前後左右に動かすだけで飛べる。これはもう、チートだよな。自分で言うのもあれだけど……。
俺は頭の回転が非常に速い。俺のブラッドもその素質らしくどうやら移動スピードに変換されて、えげつないスピードが出る。実に、音速ぐらいだ。音速で金属の翼をぶつけたら頑丈なバリアでも、一瞬で破壊だった。相手はバリアが破られ、戦闘不能。よって、俺の勝ちとなった。
3回戦、4回戦と順調に勝ち進み、遂に準決勝。wing of metalにより次々と倒す。準決勝はAランクの人であったが、てこずることなく確実に決勝に。
そして、決勝戦。会場はたくさんの人がいる。だが、もう時間は放課後なので帰っている人もいる。
俺も早く帰りたかったが、決勝戦はきついかもしれない。なぜなら、相手はXランクであり、8位の
やがかつた
八賀克太だったからだ……。
面積小さいほど圧力ってあるらしいよ。
「試合開始」
審判の声がかかり、俺と八賀克太は同時にバリアを張る。そして、キャリーを変換する。
俺は、metal of metalになる。そして、距離をとるため、一度飛ぶことにする。相手はキャリーを何に変換させたのだろう?……あれ?なにも変換させてないな。これは作戦なのか?なら、攻めるなら今しかないと思い、俺は八賀克太に音速スピードでwing of metalをぶつける。
勝負あった。と思うぐらい思い切りぶつけた。だが、相手のバリアの色は青いままだ。なぜ?
「お前、『今何が起こった?』って思っているだろ?」
と話しかけられるがペースを持っていかれるのは困るので、ここはスルーする。
「ただ、お前もxランクだから、気づくのも時間の問題か……」
今の発言は聞き捨てならない。
「なぜ、俺がxランクって知っているんだ?」
「Aランクの上の奴でも音速は出せないからな」
「クッ」
「けど、お前は今日が大会初めてだったらなかなかできる奴にいずれなるだろう」
「なぜ、俺のことそんなに知っているんだ?」
レボルト
「そこだ。俺の異能力は脳内情報。ネットワークの情報網を応用して、俺の脳をサーバーとしお前の対戦相手の脳内にお前の情報をいただいたんだよ」
「だが、異能力を使えるのは戦闘中だけなのに、どうやってお前やったんだ?」
「それは、準決勝の時だ。俺はお前の隣の会場で、お前が決勝の相手になるだろうと思いAランクだったお前の相手の脳内を覗かせてもらったからだ」
「じゃあ、準決勝の時にやっていたのか?」
「それ以外に異能力を使う場面でも?」
まさか、準決勝の相手と戦いながら、俺の情報も手に入れていたのか。なんて奴だ。試合中に関係ないことしながら試合するなんて。これはなかなかの強敵だ。
「じゃあ、そろそろ俺も戦うとするか」
と言いながら八賀克太はキャリーを変形させる。
「あれは……なんだ?」
見た感じレイピアをさらに細くしたようなものだが、どういう意味だ?
「じゃあ、いくぞ」
といいながら、八賀克太は地上にいた俺に細いレイピアをふりかかりにくる。俺は当たるわけにはいかないので左に避ける。だが、流石8位だけあった。
「隙あり」
細いレイピアを俺のバリアの下を狙ってくる。これはとっさに判断できなかったのでもう避けられない。ただ、この細いレイピアだったので俺は対して攻撃力は無いと思っていた。だが、
「なんて、威力だ」
俺のバリアの色はもう赤色に近い黄色になっていた。
「理屈を教えてやろうか?」
八賀克太の顔は余裕の表情であった。
「理科で習った圧力って知ってるか?」
圧力?そうか。
圧力というのは直方体の箱を想像してほしい。圧力は直方体でいうと一番面積が小さいところが一番強い。ということは、面積が小さい=圧力が高い。
このレイピアは細いので、面積がとても小さい。よって、かなりの威力によりバリアが大ダメージを与えられたのである。
「流石10位。分かったようだな。そして、俺には脳内情報でお前の弱点を見つけている」
「弱点?」
「そう。1つ目は今日が初めての試合ということもあり、まだ全然自分について知らない。そして、俺はお前のバリアが足元が弱いことを準決勝で知り、圧力が高いレイピアで攻撃したのさ」
バリアには弱点があったらしい。これはあとで知ったことだが1人1人バリアの弱点の位置は違うらしい。俺の場合は足元。
「分かったらやられろ」
俺は飛ぶことにする。レイピア1発で戦闘不能だからな。
「お前そのままだとブラッドを消費するだけだぞ」
飛んでいる俺に向かってアドバイスしてくれる。だが、俺はそんなことより異能力のことを考えていた。今使って失敗したらブラッドは無くなって終わりだろう。だが、このまま終わるのも嫌なので、
使うことにした。
「いくぞ」
俺は音速で突っ込む。どうやら相手は脳内情報を俺に向かって使っているが異能力は1度も使ったことがないので俺にもわからない。どうやら八賀克太は今無駄にブラッドを使っただけで向こうも勝負を決めたいらしい。そして、俺はここだと思い異能力を使う。実際音速で移動しているので俺しか分からな
テレポート
いがどうやら俺の異能力は瞬間移動らしい。なぜなら俺は音速で突っ込んでいたはずだったのに八賀克太の背中が見える。しかも何だこれ?人のオーラか?そのオーラの中の1点だけ赤い。もう一か八かここを狙うしかない。
瞬間移動した俺はまだ八賀克太には気づかれていないらしくwing of metalを音速で赤いところにぶつける。八賀克太のバリアを一瞬で破壊する。
「勝者、佐藤輝樹」
一斉に観客から声が上がる
「いい試合だった」
「すばらしい。また名勝負頼んだぞ」
「いや?。好きですね?」
最後のはポケモン大好きク〇ブの会長?ポケモンコン〇ストは?
しばらくしてから、八賀克太が話があると言われついていった。
「お前の異能力って瞬間移動だけじゃなさそうだな」
「俺も瞬間移動したときにオーラみたいなのが見えて、そのオーラから一点だけ赤いところがあってそこを狙ったらバリアを突き破って」
どうやら瞬間移動したことは分かっていたらしい。
「その赤いところは俺の弱点だ。ということはお前は、この世界で10人目の?xランクの人間となるな」
まさか、地球規模の人間になるなんて……。
「ところで、その?xランクってのは?」
「それは、お前みたいに2つの異能力を使うことができるxランクの人間のことだ」
テレポート トグセレ
ということは、俺は瞬間移動と、オーラで弱点を見ることができる急所眼力の2つ異能力があることになる。まさかなあ。
そのあと、俺は表彰され賞金10万円を貰えた。その10万円でパーティーしようぜ。という海翔を見捨てて俺は速く帰ることにした。
やっと家に到着すろ。もう夜9時だ。因みに2話で出てきた話す犬はちゃんと飼っている。名前は、
「お?い。義満。餌だぞ」
「今日はペットルームで色々食べたからいらない」
とまあ、話すってことは頭いいんだろうな。という推測で歴史人物で特に頭が良かった足利義満の名を取った。
「そういえば、ペットルームで何してんだ?」
「子猫と遊んだり友達のウルト〇マンとゴ〇ラ退治のタイムアタックとか?」
「まあ、楽しそうだな……」
「そういう輝樹はなんだか嬉しそうだぞ?何かあったか?」
「今日10万円貰ったんだ」
「俺興味ないし」
「へえ?。じゃあ、俺だけで高級料理でも食べにいこっかな?」
「今月お金ないってレンタルビデオ屋で言ってたのは嘘か?」
この犬やろう。どこまで知っているんだ?
俺と義満が喧嘩していると、電話がかかってきた。相手は……誰だ?
「はい。もしもしどちら様でか?」
「私よ。長田」
ああそうだった。赤外線したけど、全然連絡取ってなかったな。
「ごめん。それで用件は?」
「あ、明日さあ暇?」
明日か。特にやることもないけど
「うん。暇」
「じゃ、じゃあさあ、私の家でブラッドの使い方を教えてよ」
一応、2vs2のペアだから流石にバリアぐらいの張り方を教えてあげるか。
「うん。いいよ。」
「ありがとう。私の家知らないだろうから、明日の10時に学校前のコンビニで会いましょう」
「分かった。じゃあな」
「うん。バイバイ」
俺は電話を切ると、義満が変な目で見てくる。
「なんだよ。お前」
「おいおい。女の子と話しておいてそれないんじゃないのか?」
「聞いていたのか?」
「of course」
「汚い犬だと思っていたが、ここまで汚れているとは。プライバシーの侵害だぞ」
「そんなのは人間同士だけの話だ。犬には関係ないもんね」
そのあとはたっぷり喧嘩しました。
次の日、10時にコンビニに着くことができた。長田はまだ来てないらしい。すると、
「おーい。コッチ。コッチ」
何だあれ?リムジンとかいうやつか?
「さあ、お乗りください」
と執事みたいな人が言う。
「は、はい」
思わず敬語になってしまう。車の中に入ると、長田1人だけだった。
「おはよう」
「お、おう」
「ちょっと小さめだけど、大丈夫?」
「とんでもない。これで小さいですと?十分大きいですよ」
「なぜ、敬語?」
「出発します」
とさっきの執事が言う。
車の中ではたわいもない話しかしなかった。それがなかなか楽しかった。
「到着しました」
俺は、車の扉に手をかけあけると、これはディズニー〇ンドぐらいの大きさは余裕で上回り昨日叱ったことがだれかに知られたら、間違いなくthe endだろう。と今更後悔する俺に、
「いこう。まあ、屋敷のなかでも3番目ぐらいの大きさだけどまあ、楽しめると思うよ」
「あ、ああ」
俺が昨日10万円で義満と喧嘩していたことが我ながらとても醜く感じた……。
中和させるときは2つの液体を同じ重さにするといいらしいよ
「紅茶ができました」
俺は、幸か不幸か分からないが大豪邸に来ている。長田は3番目の大きさと言っていたが、じゃあ、1番大きい家は東京ぐらいの大きさじゃないのか?
「ありがとうございます」
執事さんが俺に紅茶を持ってきてくれる。せっかくだし飲んでみよう。…………感想を言うと、これ絶対に1杯千円がぐらいしそうだ。
「おいおい、こんなに高そうなもの飲んでいいのか?」
「それ後100パックぐらいあったと思うから全然いいけど」
「そ、そうか」
どうもこの空間にいると頭が上がらない。しかし、空気が重い。何かやることないのかな?
「なあ、何かすることないか?」
「じゃあ、さっそくキャリーの使い方を教えてよ」
「それは、後で」
「じゃあ……ゲームでもする?」
「さっそくやろう」
俺たちは別室に行き、車ゲームや闘いゲーム、頭脳ゲームなどをたくさんやった。時間は……1時すぎってところか。そろそろお腹がすいてきたな。
「そういえば、今日の昼ご飯ってどうするの?」
と聞かれ、俺は
「決めてないな」
「じゃあ、ここで食べて行きなよ」
「悪いな。世話になっちゃって」
「いいって。別に。私もお腹すいてきたところだし」
「なんだ。お前もか」
「じゃあ、食卓に行こう」
俺が着いた先は、とんでもなくデカイ部屋ではなく普通の部屋だった。
「なんでここだけ小さいんだ?」
「食事の時ぐらい普通がいいの」
「まさかこんなこと言うなんて……」
「なんで常識外れみたいな言い方なの?」
「え?人類の中で多分一番外れていると思うけど」
「若干、心に来るわ……」
「お嬢様にお客様。食事の用意ができました」
メイドさんが声をかけてくれる。
「ありがとう」
「ありがとうございます」
メイドか……。俺もほしいなあ……。
「ちょっと、考えていることがまずいと思うけど」
「駄目だよな。でもこういうのっていいよなあ。」
「だから、声に出てるって」
「す、すまん」
「じゃあ、食べましょう」
「「いただきます」」
いつも食べているものも美味しいが、この料理はなんだか次元が違った。なんだろう?見ただけだとただの肉のはずなのに口の中に入れると舌がとろけるというか、溶けている感じ……。
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁ」
どうやらタダの料理人の仕業ではないらしい。酸性のレモン汁がかかっている。俺は即効、あらかじめコップに入ってあった水を飲み干す。だが、これは水ではないことを口の中で悟る。
この液体を飲み干し、メイドさんに聞く。
「この液体って何ですか?」
「それは、水酸化ナトリウムです」
「俺を排除したかったんだな。何となく分かった気がする」
まさか、この組み合わせは……。
「気づいたようだね。佐藤輝樹君」
「誰だ?お前は」
「ただの料理人ですが。いかがでしたか料理は?」
「こんなもん食えるか」
「ちょっと、お父さんとお母さん出てこないでよ」
お父さんとお母さん?料理人とメイドの格好じゃないか。
「千佳。そんなこと言わずに」
「じゃあ、お母さん。前からコスプレはやめてって言ってるよね」
「え?。でも佐藤君カッコイイからちょっと色気使っただけじゃん。しかも、千佳だってこの前―――」
「ちょっと向こうの部屋に行きましょう。お母さん」
「ええー。ここからがいいところなのに」
と言いながら出て行く長田と長田のお母さん。邪魔ものがいなくなるのを待っていたかのようにお父さんはやっと話し始める。
「さて、この料理で君を試したかっただけであって別に殺そうと思って作ってはいないよ」
「は、はあ」
(明らかにレモン汁がかかっている時点でわざとには見えないんだけどな)
「でも流石10位ということはあるね。こんなパニック状態でも中和のことを思い出すだなんて」
「まさか自分の体を使って体験するとは思いませんでしたけど」
中和とは酸性の液体とアルカリ性の液体を合わしたら、見事に両方の力を失い、ただの水と塩という物質ができることだ。俺はそんな危ないことを成し遂げたのである。
「でもなんで俺が10位って知っているんですか?」
「それは、禁〇事項です」
「本当は?」
「真言学校の会議のメンバーだからさ」
真言高校の会議というのは軽く言うとPTAみたいなものだが、重く言うと治安維持法みたいなものである。要するに生徒が何かできるレベルではない。だが、俺は行ったことはないがXランクの人は会議に参加できるらしい。だが、発言権は少ないらしい。
会議が作られた理由は、真言高校は次世代の高校であるので困ることも多い。そこで、日本各国の有能な人を集めて作ったらしい。だから、この人も有能なんだろう。
「それで、なんでこんなことしたのですか?」
「娘を守ることができる力があるか?ってことを試したかったんだよ」
それだけで人殺しまがいのことをするか?だが、
「(ガチャ)試さなくっても娘さんを守りますよ。例え俺が死んでも(ガチャ)」
ガチャってドアの音だよな。でも、誰も入ってこないなあ……。まさか、聞かれた?うわぁぁぁあぁ。
また誤解を招くようなことを言ってしまった。
「君の意志は伝わった。では、娘をよろしく頼む」
「いや、そこまで進展してませんし、本当に取り返しつかないこと言っていますよ。娘さん、多分赤い顔していますよ」
「(ガチャ)」
「お、噂をすればってやつですね」
俺はさっきの守る的なことをすっかり忘れていたようだ。
「この、恥知らずがぁ」
プチ。と何かが刺さる。
「注射?」
「そう。注射」
「駐車じゃなくて注射?」
「勿論」
俺は目の前が真っ暗になった。
暫く寝ていたらしいがどうやら何も起こらなかった。夕食は普通に美味しく気がついたら夜8時を回っていた。もう、暗いし帰るとするか。
「じゃあ、長田とお母さんとお父さんとメイドさんと執事さん。今日は楽しかったです。ありがとうございました」
「またきてね」
「ああ、本当にありがとう」
「じゃあ、また月曜日に」
「バイバイ」
今日は色々あったけど、楽しかったなあ。絶対にまた来たいな。
家に着いた。そうしたら、なにか忘れている気がして思い出すと、
「あ、キャリーについて教えるの忘れた……」
何のために行ったんだろうと家に帰ってから思ってもどうにもならなかった……。
実は最弱と思っていた奴は意外と隠れた才能があったりする
今日は月曜日である。土曜日は長田の家で色々あったが日曜日は特に何もなく県で1位を争うぐらい暇だった。
俺は、1年4組に入る。MGCの後初めての教室だ。結局あの10万円は貯金と手持ちの財布に入っている。それは、どうでもいいが今はお金よりこの状況を説明して欲しい。
「佐藤君って、Xランクだったんだね」
「おい、佐藤。お前は俺たちBランクの仲間だと思っていたのに」
「黙っていて悪かったな」
「まあ、別に言わないといけないってことでもないから謝んなよ」
「お前の瞬間移動カッコ良かったよ」
「ありがとう」
俺は、MGCで瞬間移動を使いXランクということがばれてしまった。俺的にはばらしたくはなかったが、相手が8位ということもあり流石に躊躇うのは自爆だと思い使ったのだ。
「佐藤君、ホントにカッコよかった」
「サンキュー」
「私は、東森美咲。美咲でいいよ」
「俺は佐藤輝樹。俺も輝樹でいいよ」
「輝樹君は本当に強いね。ビックリしちゃった」
「相手もなかなか強かったし俺の力だけで勝てたのは奇跡だよ」
「でも、瞬間移動は凄かったね。それにあの、翼?でバリアを一撃で壊すんだもの」
?おかしい。どうもみんなは急所眼力のことを知らないらしい。あれは俺だけに見えるものだったのかな。なら、
「あれは、たまたまバリアの弱点を破ったときに全身の力で攻撃したからだよ」
と、急所眼力についてははぐらかす。
「へえ。でも、いい勝負ありがとうね。輝樹君」
「いいや、観客の応援も俺の助けにはなったし、ありがとう美咲」
「ちょっと、どいてどいて」
そこに長田が割りこんでいく。
「ちょっと、何やってんだよ。痛いだろ」
「いいじゃない。別に」
「別にって言い方はないだろ」
「2人とも仲いいんですね」
「仲いいとかじゃなくて、ペアとして話しているんだよ」
「ペアとしてって……2人でタッグ組んでいたの?」
すると、周りから「マジで?」とか、「カップル誕生」とか、「とりあえず、乙」とか、ペア誕生としての祝福の言葉がなんだか勘違いされている気がする。俺は、一応金目当てなんだけど。
「ちょっと、美咲。何言ってんの」
「何だ。じゃあ、もう二人は付き合っているんだ」
「いや、そういうわけではなくただ組んでいるだけであって」
「でも、千佳とパートナーとはね。輝樹君知っていると思うけど、千佳はDランクよ。輝樹君のXランクとは釣り合わないんじゃないの?」
「その分、俺が働きますから」
そういうと、長田の顔がいつも通り赤くなる。今回は私も働くっていう怒っている方かな?でも、間違えて地雷踏むのは嫌なので、会話を続ける。
「でも、実際長田の戦闘力は出していないだけなのでうまく使えるようにしようと思う」
「あ、ありがとう」
「別にいいって」
「今日から特訓な」
「じゃあ、あたしも行っていいかな。輝樹君?」
「?別にいいけど。一緒に特訓するの?」
「まあ、そんなところかな」
「じゃあ、放課後で集合場所は……というか、どこでするの?」
「じゃあ、職員室の隣の補修室ですれば?そこだったら先生もいると思うし」
「先生は必要なのか?」
「というか、キャリーの変形とかバリアとかは普通に先生とか審判とかが持っている白のペンダントがないとできないよ」
そうだったのか。なら、土曜日行った意味って無くない?
「初耳だよ」
「というか、生徒手帳に書いてあるよ。でも、輝樹君あんまりそういうの読まなさそうだし」
「全く読んだことがない。っていうか、あったんだ。生徒手帳」
「そこからなの!その発言には顔だけでは表せないよ」
「別に顔じゃなくても……。でも、面白いね。美咲」
「ふふ。ありがとう」
この会話の間、クラス中から物凄く嫉妬というか殺される気配がした。そんなただしゃべっているだけなのに。それに、長田に至っては赤い顔のまま俺を睨みつける。こわっ。
放課後になる。俺は、長田と美咲を連れて補修室に入る。補修室というと悪いイメージしかないが真言高校の補修室はトレーニングルームのような部屋でキャリーでの基礎基本から戦闘形式まで行っている。ざっと見ると、10人ぐらいだな。
「さてと。どれからしようかなって、まずは基礎からだよな」
俺は、長田に話しかける。どうせこいつのことだから、戦闘形式というと思っていたが
「じゃあ、早速やろう」
俺は硬直したように止まった。
「お前、正気か?」
「だから、人を異常扱いするのは良くないよ」
「わ、悪い」
「分かったなら今度からやめてよ」
「ああ。じゃあ、早速だが脳の回転について考えよう」
俺と、長田と、美咲は1週間補修室に通った。勿論理由は長田のキャリーの使い方を根本的に鍛えるためである。だが、俺もキャリーの使い方はこの前の試合でしか経験したことがないので、なぜか美咲が俺と長田を教えることとなった。
美咲に教えてもらうばっかりは悪いので俺も脳についてはしっかり教えた。
そして、今日は金曜日の昼食後。俺たちは2vs2に出るのである。
「よし、長田。今日は4日間の特訓の成果をみんなに見せようじゃないか」
「そうだね」
「でも、俺たちがどこまでいけるか分からないけどイケるところまで2人協力していこう」
「私も佐藤の力ばっかりじゃなくて、すこしづつ戦闘してみる」
「分かった。でも、危なくなったら呼べよ。いつでも助けてやるから」
赤くなる長田。
「助けは呼ばないからね」
「ふふふ。いつまでその強気が保てるかな?」
「絶対に呼ばないから」
「そうだ。お前に言わないといけないことがあったんだ。けど、それは2回戦勝ってから言うよ」
「今言ってよ」
と、若干上目づかいで見てくる。うわぁ。長田は可愛いのにさらに上目遣いされたら堪らないが、ここは我慢。理性を保て。
「我慢しろ」
そういった直後、
「バカップルか。見ていてイラッってくるな」
「何が『我慢しろ』だ。気持ワル」
「マジで、お母さんに朝7時に起こしてっていったのに起きたのは8時でお母さんを攻める奴ぐらいうざいな」
この学校どんだけカップル嫌い多いんだよ。しかも、俺たちカップルじゃないし。
腕時計を見ると、そろそろ時間だ。
「じゃあ、行くとするか」
「うん」
1回戦の相手はどうやら1年生と1年生のタッグだ。
「試合開始」
審判の声で試合が始まる。2vs2は時間が無制限だが早めに相手を全滅させないとブラッドがなくなるので長田を思うと短期決戦が好ましい。俺は相手がバリアを張ったのを見て
「今だ」
といい、同時にバリアを張る。長田のほうは心配ないな。そして、キャリーを変形させる。
俺は、wing of metalで、背中に金属の羽を生やす。長田はどうやら、巻物のようなものに変形させる。でも、なんで巻物なんだ?
相手は、明らかに俺を恐れている。どうやら、先週の試合を見ていたようだった。それに、瞬間移動も知っているようだな。これぐらいの相手なら俺は余裕だが、長田の巻物が何なのか分からない。ここで、作戦会議をする。
「その巻物はなんだ?」
そういうと、シュルルという効果音とともに巻物が開かれる。何か字が書いてあるな。でも、全く読めない。異世界の字か?
「長田はこれ読めるか?」
「何てかいてあるか分からないよ」
「そうか。じゃあ、とりあえず瞬間移動と急所眼力で男のほうをやってくるからやばかったら呼べよ」
「だから、助けは呼ばないって」
異能力は心の中で強く思えば思うほど効果はあるらしい。でも、その分ブラッドは消費する。俺は心の中で、強く思う。そして、シュッ。気がつくと俺は移動していて、オーラが見えるような状態になり男の赤いところに向かって音速で体当たりする。すると、男はぶっ飛ぶ。だが、飛んだ先が長田nのほうだった。これは、ヤバい。音速で行くか?それより、瞬間移動のほうがいいか?そんなこと迷っていたら本当に間に合わない。これは後で謝らないと。そして……。長田と男はぶつかる。はずだったが、どうやら、男だけが倒れている。これはどうしたことか。
俺は、音速で様子を見ると本当に無傷だった。だが、一応怪我をしていないか聞く。
「大丈夫か?」
「全然平気。でも、こっちに飛ばさないでよ」
「ああ、すまなかった。でも、どうやって?」
「それが、私にもわからないの。気がついたら男の人が倒れているし」
すると、長田の巻物の字が読めるようになっている。どうしてだ?だが、それより、巻物に何が書いて
オメガ
あるんだ?なになに……この巻物は無限召喚という超能力です。思ったもの何でも何回でも取りだすことができます。しかし、螺旋〇などの現実に存在しないものは不可です。超能力とは異能力の上をいく能力であり、巻物には5種類あります。それぞれ違う能力ですがどれも天から認められし人しか持つことはできません。そして、この巻物の文章は時としてアドバイスになるでしょう。そして、5つの巻物がそろい5つの巻物を読めるものが集いし時、世界に革命が起こるでしょう。…………………読んでおいてあれだけど、規模でか過ぎるだろこれ。世界?天?どんだけ凄いんだよ。しかも、今は戦闘中。とりあえず相手を倒そう。
3分後……。
「勝者、佐藤輝樹と長田千佳」
あっさりと倒したが、これは問題が山のようにある。とりあえず、こいつに話しておかなければ。
「お前の巻物の正体がわかった―――」
さらに5分後……。
「じゃあ、私は天から認められた人でこの巻物を授かった。この巻物の超能力は無限召喚で思ったものを出すことができる。巻物は5種類あって5人が持っている。そして、巻物を読める人と巻物の所有者が集まったら世界に革命が起こるってこと?」
「まあ、そう書いてあった」
「じゃあ、私は男が飛んできたとき守ることを強く思っていたから盾か何かで守っていたわけね」
どうやら、超能力とやらも異能力と同じで思う強弱で威力が変わるらしい。
「そうらしい」
「今更なツッコミだけど、規模でかすぎるよ。天とか世界とか」
「俺も思った。でだ、この話を会議に持っていく?」
「多分そうした方がいいと思う」
「じゃあ、この大会が終わってからいいに行こう」
俺はなぜ長田に2回戦で大切なことを言おうと思ったのかは、対戦相手がまさかの俺と同じ10位と12位のXランクタッグであり、その10位が俺たちの恩師であろう東森美咲で、12位がクラスで阿呆だと思っていた雨端海翔の2人だったからだ……。
大富豪の手札
まだまだ続きます。感想くれたら嬉しいです。では、またの機会に