忘却の女性

人には自分の中にもう一人の自分があると思います。
この作品では自分にしか見えない者とのうまく付き合っていくためにもこの作品を書こうと思いました。
みなさんも自分自身との付き合い方をこの小説で何か思ってくくれば嬉しいです。

何年前なのだろうか、僕は交通事故にあった。
自分の自転車のスピードの出しすぎも悪かったが、信号機を無視した運転手のほうが悪いと今でも自分は思っている。あの時のことはいっさい覚えてない。ただ、いきなり横から車がぶつかっただけは覚えていた。そして、そのまま何メートルか吹っ飛ばされ気付いてみれば真っ白な病室という訳だ。病室には両親がいた。父親も母親も心配していたので、僕も嬉しかった。その日は時間が進むのは早かった、両親と色々な話をした。
部活のこと、学校のこと、趣味のこと何でもいっぱい話した。
そして、夜になって眠くなってきた時、彼女が突然現れた。そして、彼女は僕のベッドの横に座り、こう言った「元気ねぇ〜、車にはねられた時は正直死ぬかと思った。あなた、ダイ・ハードのジョン・マックレーンみたいね」と言った。
僕はびっくりしたが冷静になってこう言った「あんたは誰だ?俺にはあんた見たいな美人の友達は知らないんだか?」と…
すると、彼女は「知らないのも無理ないわ〜。だって私、あなたに忘れられたものですから」と言った。
僕は頭が痛くなりそうだった。この女は何言ってんだ?と思った。
そのあと、彼女は理由を教えてくれた。「私はあなたが作ったもう一つの自分、女々しい自分、だけどもういらないから忘れられたのよ。」と言った。これでようやくわかった。僕は申し訳なく思った、そして彼女に謝った。「ごめんなさい、すいません、すいません。あぁ、最悪だ僕はすいません」と謝った。
だが、彼女は何とも思わずこう言った「別に何も恨んでない、それにまたあなたに会えて良かった。あなたの成長をずっと見ていた、それで幸せ。そして、このままずっとあなたの一つになれて嬉しい。幸福だった、これからもずっとあなたを見守れることが私の幸せ…」
僕は泣いた、彼女に対する申し訳なさもあったが僕は嬉しかった。彼女がずっと見守ってくれたことや彼女の心の広さ、僕はもう言葉に出せないほどの溢れた気持ちで彼女を抱きしめた…そして、何も言わずにずっとそのままにした。
あれから、今も彼女はいる。僕はあれっきり彼女のことは忘れてない。彼女はいつも僕の奥にいてくれて、悲しいときはいつも彼女に慰めてもらっている。

忘却の女性

忘却の女性

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-14

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