さむざむと、無常


対話とは

壮大なチェス盤に(かじ)りつき、

互いのころもを引っ()がすような行為であり

或いは、碁盤の()きどころを(くま)なく埋めゆく遊戯であり

まるで、幽体離脱した肢体(したい)の感覚を取り返してゆく為の

飽くなき自慰、そのものであります。

たとえば、家族、友人、()の他おおぜいの群衆どもを

手に取るように舌口(ぜっこう)へ汲みとり、雑多な感触を

(あたか)もアメーバのごとく気ままに

しゃぶっては棄て

しゃぶっては棄て

そうして、やがては口がきかなくなる程に

俗世は「天人さま」と夜通し(うた)うか

「人でなし」と揶揄(やゆ)するか



(いず)れにしろ、対話とは

孤立無援な

刹那的慰みモノにすぎないのであります

さむざむと、無常

さむざむと、無常

「対話とは 壮大なチェス盤に齧りつき、 互いのころもを引っ剥がすような行為であり ・・・・・・」

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-13

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