さむざむと、無常
対話とは
壮大なチェス盤に齧りつき、
互いのころもを引っ剥がすような行為であり
或いは、碁盤の空きどころを隈なく埋めゆく遊戯であり
まるで、幽体離脱した肢体の感覚を取り返してゆく為の
飽くなき自慰、そのものであります。
たとえば、家族、友人、其の他おおぜいの群衆どもを
手に取るように舌口へ汲みとり、雑多な感触を
恰もアメーバのごとく気ままに
しゃぶっては棄て
しゃぶっては棄て
そうして、やがては口がきかなくなる程に
俗世は「天人さま」と夜通し謳うか
「人でなし」と揶揄するか
何れにしろ、対話とは
孤立無援な
刹那的慰みモノにすぎないのであります
さむざむと、無常