sepia

泣くことになんて意味なんかないのに なぜかみんな泣いていた
なぜかはわからないけど 涙は彼女たちを美しく見せた
泣かないことが強いのだろうと本気で信じきっていた私

出会いと別れの特急列車が 今日も200%で走り去っていく
ほとんどの2人がいつか2人じゃなくなるとしても
何もかも差し出そうとする人たちはどうしてだろう

一生かかっても出会いきれない人の方が多いくらいたくさんの人がいるのに
どうしてあなたと私は出会うことができたんだろう
あなたしかいないみたいな寸劇に魅せられて 手ばなしたものは
本当に数えきれないくらいになったけど 後悔はしていなかったはず
なのに今になって想い出す 返してなんて言わない
ただそっと戻れないかな 折れ曲がった襟直すみたいに
こんな自分が一番許せない

冴えない笑顔を見せたくなくて こわばった頬がわざとらしく作る笑顔は
誰も幸せにできないとわかっていた
悲しくても涙腺ギュッと握りしめていたら 自分を好きだと言えなくなった
本当のことを知るのは正しいことでも幸福でもないんだろう
だけどどうしてだろう 知らなさすぎるふりをすればするほど
世界がセピアに染まるのは

一生かかっても出会いきれない人の方が多いくらいたくさんの人がいるのに
どうして私はワタシとしてしか生きられないんだろう
私が生き住むカラダがワタシのモノでなかったら もっと楽に生きるのに
プライドも強さも持ってなくても きっと自分を責めたりしないだろう

お願い誰か一人でしか泣けない私を知って
もっと鮮やかな色を教えて
笑顔だけを見せる私を どこかでかわいいと思ってて・・・

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-12

Copyrighted
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