燃えて増します軋みのまにまに


書き溜めちまったもんだから

(まき)のかわりにいらねえ詩集を

くべてみたんだ

   燃えて増します(きし)みのまにまに

   物言わぬ君よ どこへゆくのか

けども 機関車

言葉なんぞ知る由もなしと

「そいつは、紙キレって名だったろうか」と

赤ら顔にて 陽気に唄う



   乗せてやるから 薪くべろ

   薪が無けりゃ おまえがくるか

   世に誇らしい 思想家さまとて

   聞く耳もたぬが 機関車へ

   「線路があるから進むのか、」とは

   問えず言葉を 焼いたであろうよ

   ただ 薪くべろや

   薪くべろ



わたしは(はな)から これをくべるつもりだったのでしょうか

よくは覚えておりません

だれに(たず)ねるつもりもありません

切符はとうに失くしたようです



   もう停車場は とおく過ぎ去ったようだ

   次の停車場は

   おまえの言葉が尽きる頃である

燃えて増します軋みのまにまに

燃えて増します軋みのまにまに

「書き溜めちまったもんだから 薪のかわりにいらねえ詩集を くべてみたんだ ・・・・・・」

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-11

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