平京恋絵巻~陰陽恋模様~

世界観・用語

<世界観>
この世界の陰陽師は
所謂魔法使い的な存在であり、魔力の代わりに
気力を用いる。
式神は使い魔ではなく、霊体と話し、双方の了承があり、初めて主従の関係となる。
また、主従の関係とは言われるが、その関係は師弟の関係に近い。


<用語>
◆世界名:平京肆都(へいきょうよんと)
1国4都から成る為このように呼ばれている。

◆時代の呼称と道しるべの神子(みこ)
未来時代 月詠(つくよみ)
未来予知の夢巫女 月御子(つきみこ)が八尺瓊勾玉を通して導く
主人公たちの未来の世界
近代的で、所謂現実世界のような感じ


過去時代 天照(あまてらす)
太古の神にして、初代女帝 卑弥呼の正体
八咫の鏡を通して導く
主人公たちの過去の世界
現実で言う平安京・平城京の時代


現在
荒鬼皇(すさのお)
現在進行形の主人公たちが本来いる時代
大王の父である御子(みこ) 須佐之男こと梳叉(すさ)が天叢雲剣で導く
これは国宝であり
選ばれたものしかその導きを得ることはできない。

◆4都の呼称
西の都 西都京庵<きょうあん>
東の都 東都城京<じょうけい>
北の都 北都京城<けいじょう>
南の都 南都 庵条<あんじょう>

◆階位
上から
・天皇(大王/帝)*皇女太子(こうじょだいし)
この世界のトップにして一番敬うべき存在
また、その能力はこの地に住んでいる者の中で一番強い
皇女太子は、天皇の妻や子

・尊(たける)/御子/命(みこ/みこと)
大臣がいない代わりにいる夢見などで、天皇を補佐する人たち
武に秀でたものを尊
男の夢見を命
女の夢見を御子

・豪族(上級貴族)/官吏など
所謂お役所仕事の人々
市民の職を管理したり、面倒な事務系の雑務こなす人々
陰陽師及びその式神たちは官吏になる。
主人公たちはこの階位である。

・氏族(中級/下級貴族)/検非違使(警察)/自警組織 京の華
京の華は平民が検非違使から指導を受けて立ち上げた組織
国公認の非営利組織であり
数の少ない検非違使の補佐的な立ち位置にいる。

・平民
所謂一般市民
検非違使たちが守る対象であり。
気力は米粒以下か無いに等しい
ごくまれに大王並みの力を持つ者が生まれることがあるらしい。

・貧民
平民より貧乏な最下層の市民たち
中には、食事にありつけない人々も

序章 雪降りの章

俺があいつと再会したのは、忘れもしない12月の雪の日だった。
当時俺は、父親が豪族に騙されて平民から貧民まで階位が下がってしまった。
挙げ句の果てに同じ貧民から襲われて14年という人生に幕を閉じた。
って、んわけあるか!
そのまま、おめおめと死に晒すような性格はしていない。
この世に未練を残した俺は幽霊となって京庵を彷徨っていた。

京庵は陰陽師たちの総本部だが、妖や俺たち幽霊について寛大な心をもっていて
一応、即刻除霊とかはしないんだ。
まずは話を聞いて、それで説得させるのが基本形態。
そんなこと知らなかった俺は、目の前に現れたアイツを警戒していた。
平民は基本的に妖や俺たち霊の存在が見えない。
だから、すれ違っても何も反応しない。
俺が彷徨っていたのは、平民の住むエリアだから、アイツが来ることなんてないはずだった。
いや、正確には市民の依頼があれば、仕事としては来ることがあるんだ。
でも、陰陽師に依頼するのはかなり高額になるから平民やましてや貧民なんておいそれとお目にかかれる相手ではない。
そんな奴が現れたら警戒するか、好奇の視線を向けるものだと思う。

「な、なんだよ! 俺なら成仏なんかしないからな!! オヤジを嵌めた豪族に仕返しするんだ!!」
「ん~? 豪族に仕返し? やめときなよ。そんなことしなくても、アイツ等は生きてる人間にやられるからさ」
「お前、同じ位の陰陽師だろう!? 心配とかじゃないのかよ」
「は? なんで俺が? あんな肥え太った連中が生きようが死のうが関係ないね」
「な!?」
衝撃的だった。
上の位の奴らは皆 同じだと思ってたから。
「俺は可愛いオネーサンや綺麗なオネーサンが居ればそれでいいんだよ」
前言撤回呆れた。
「なんだよソレ・・・・・・」
俺が文句の一つでも言おうと口を開いた時だった。
「晴明!!」
もう一人の陰陽師によってその声はかき消された。

第1章 邂逅の章

「晴明?」
「こんなところで、何をしている! 依頼主が待っているんだ早くしろ!!」
「和泉ちゃーん♡ わかってるよ。でもね、この少年前に助けた少年みたいだから気になってさ」
おいおい、ころっと態度が変わったぞ
「前に助けた? あぁ、雅楽とか言う童か」
「そうそう」
「おい、ちょっと待てよ。俺が助けてもらったのはかの有名な安倍晴明だぞ? 
こんなちゃらちゃらしてなかった。もっと、こう、かっこよかったぞ!?」
ありえない、確かに似ているとは思った、思ったけど・・・・・・到底同一人物とは思えない。
「あぁ、それね。皆に言われるよ」
「あぁ、確かによく聞くな」
当の本人は苦笑を混じえて、もう一人はうむと頷き返答を返した。
「いや、そうじゃないだろ!? 双子の弟とかじゃなくてか?」
「お前のことを覚えていたし、コイツの家族は母君だけだ。」
「え・・・・・・」
「清明様!! 和泉様!! 依頼人がお見えです。」
「おっと」
「そうだった。すまん。今行く」
「え、ちょ、」
結局納得のいく説明も証明もないまま、二人は俺の前から去って行った。
こうして俺と晴明の奇妙な縁は再び結ばれることとなった。

第2章 救除の章

そして、その日から2年の月日が流れた。
俺はまだ彷徨ってたけど、年月分の負の気力とかを吸収したせいか
力も付いた分、悪霊になりかけていた。
そして二度あることは三度あるとは言ったもので
三度目が訪れた。
「あ~、やっぱりね~。だから復讐なんてやめなよって言ったでしょ?」
またしても晴明はへらへらと笑顔を浮かべて
「ウルサイ・・・・・・俺はこれからアイツを倒しニ・・・・・・イ、ク」
半分意識が負の気力に持って行かれそうになったとき晴明の顔つきが変わった。
「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前」
※詳細調査中
そう言って九字切りと真言を唱えて
弾指(たんじ)を切った。
そして剣を抜いて、印を閉じた。
その時の表情は俺の知る晴明その人だった。
「ふぅ、危なかったね~、君。今、そこら辺にいる浮游霊の依代にされるところだったみたいだよ?」
「な、んで、助け・・・・・た?」
疲労感からかまともに呂律が回らない俺に
「なんでって? そんなの決まってるでしょ?
 一度助けてるのに、また目の前で死なれちゃー敵わないよ、さすがの俺も」
「いや、もう死んでんだけど・・・・・・」
「そうじゃなくて、え~っと、なんていうかな~、意識が消滅するとか、そう言う意味だよ」
晴明は困ったように頭をかいた。
「ってか、今の明らかに除霊だろ! なんで俺まだここにいるんだ?!」
そうなのだ、本来この九字切りは魔除けや退魔に使われるものである。
当然、悪霊じゃないにしろダメージは受ける。
最悪成仏ないし、消滅する可能性だってある。
「それは、君の持っていた負のエネルギーだけ取り除いたからだよ。憑かれている人の憑き物を落とす感じ?」
イマイチ腑に落ちなかった。
だって、普通の霊にとり憑くモノなんているわけがない。
もしそうだとしたら吸収されて終わりだろ?
そう言ってやったんだ。
「うん。普通はそうなんだけどさ・・・・・・君は特殊みたいなんだよね?」
晴明はまたまた困ったような表情浮かべた。
「また、今回みたいなことがあっても、次は助けられるかわからないし・・・・・・俺の式神にならない?」
「は?」

第3章 契誓の章

製作中

平京恋絵巻~陰陽恋模様~

平京恋絵巻~陰陽恋模様~

2人の陰陽師とその式神たちがいろいろ巻き込まれていく物語 作中の九字切りの文言は http://gunsoh.fc2web.com/index.htm のサイト様よりお借りしました。(多少のアレンジあり)

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-11

Copyrighted
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Copyrighted
  1. 世界観・用語
  2. 序章 雪降りの章
  3. 第1章 邂逅の章
  4. 第2章 救除の章
  5. 第3章 契誓の章