二〇一三年、秋の只中


わたしは先日、寺山修司の墓参りへ出かけた

無論、それは古本市にしずかに並んで居る

彼の墓標をめくり、言葉尻にどっかりと腰を落ちつけてみれば

もはや家なんてものは、影も形も骨組みすらとどめておりませんで

土台確かなのは、

家出なんて騒いでいる場合じゃない時代が

水平線からやってきてしまった

現実であります。

田舎はとうに

時をきざむ柱時計も、畳が(まと)(かび)臭さも

お天道さまの日で枯れてしまったようなのです

二〇一三年、秋の只中

二〇一三年、秋の只中

「わたしは先日、寺山修司の墓参りへ出かけた ・・・・・・」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-10

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