道
いばら道を這ってゆこうか
たったひとりの戦争よ
いくたの逆巻く交差点へ
そぞろ雨が
消灯かたぶく信号機が
おぶる老婆に立つ背もなしと
無情にも 沈黙を強いてゆく
地図なき園を
身に余る道具の手立ても知らず
まえへ うしろへ
歩陣の寂しさよ
ときに朦朧と片腕をくみ
夢みがちな足取りへ油も注しつつ
「わたしは、書くべき責すら見誤りました」
とかく河原の道々へ 言い訳を吐き捨てれば
旅の止まり木
艶やかな黒毛に首をおとす
道守の鴉
「おまえに、何の責務があろうものか」と
とかくカアカア 晴れ渡る西の天竺へ
わたしは一人
ねんねこ纏い うずまる老婆が一つ
やがて重たくなり申して
陰をのこすか
曇り空のキャンバス
墨絵に刻まれた
砂利音の空しさを聴け
少年心よ
彷徨いたもうな
道