ふたり
「まだ起きてたのか」
父はドアの縁に寄りかかりながら小さく呟くように言った。
「ごめんなさい」
私は簡単に机を片付け、ベッドに入った。
少し古い木のベットは私が乗るとキキッと軋む。
「お父さん」
電気を消し、立ち去ろうとする父に声をかけた。
「なんだ」
「透生に意地悪しないでね」
父は少し笑って和音をみた。
「当たり前だ、俺の息子だぞ。しないさ、意地悪なんて」
「よかった」
和音は布団を被った。父が扉を閉める音が聞こえ、目を閉じた。
外からは大雨のせいか、窓に打ち付ける雨の音が絶えず聞こえた。
何も見えない暗い中、和音は静かに涙を流した。
ふたり