リバースゲーム#1

♯1 ガイという名の狩り人

 人で栄え、商業や貿易で栄える街を一つの噂(うわさ)が立つ。この街は、商業や貿易の他、主に、依頼を受ける仕事がある、それは『狩り(ハンター)人』と呼ばれる仕事で、簡単に言うと、何でも屋である。その狩り(ハンター)人の中、昼食を食う者。その街の者達と、異なる風囲(ふいん)気(き)を持つ男。真紅の髪色に、アメジスト色の瞳。かつてのあの少年、ガイであった。ガイは店で、昼食を食べながら、その店にいた同業者らしき者達の話を聞く。それは、とある空賊団のことを耳にする。その名はよく知れ渡り、その頭領はとても厄介な者であるそしてその仲間も何度も脱走を繰り返しているという噂。
「さあて、次の仕事をしますか…。」そう呟きながら上着を取り、代金を置きその店を出るのであった。この地上には様々な種族が存在し、各地へと暮らしている。ガイはとある店、《ハンターズ=ホーム》という店へと入って行く。その中に入ってみると、また同業者らしき者らが掲示板を眺め、仕事を決める。中には報酬金等を受け取る者も。
「よう、おっちゃん、また来たよ。」そうこの店のオーナーなのかカウンターにいる男に声を掛ける。その男はこう答える。
「よう、坊主。一日仕事してよく平気だな?バテちまわないのか?」コップを一つ拭きながら。その中で、一人の同業者の者が言う。
「お前、頑張るねぇ~。この仕事は体力と精神力勝負の仕事だから、だいたい、二、三受けて終わりだしな~。」そう笑いながら話す。
「そうか?普通だよ。このぐらい。」そう平気な顔をし、その者に返すとガイは依頼の内容らしきことが書いてある紙を取り言う。探しているうちに、例の空賊団の依頼書を見つけ、見るが、オーナーがそれはまだ早いだろうと思い口を出す。
「それを受けるにや早いぜ、坊主。そいつは他の狩り(ハンター)人でも手におえない、厄介(やっかい)な奴ら相手の仕事だぞ。」と。ガイは尚更(なおさら)興味が沸(わ)いたためか、オーナーに更に抗議する。オーナーは困った様子で、ガイに云う(い)。
「俺は知らんぞ?まあ、頑張ってきな。いつでも帰(もど)ってもいいんだぜ。これは無期限の依頼だからな…。」そしてガイは街を出と、空を見上げる。空は蒼く、一面緑が広がる。いよいよ出発の時。ガイは、その空賊団を求め旅立つのであった。その頃、何者かがとある街にて話をしている者がいた。だいたい二十五~二十九歳程。その者は威勢よく話す。その相手はとても手に負えない。その男、黒褐色の髪色。先程に登場したガイと同様のアメジスト色の瞳。彼は何やら聞き出している。そしてとうとう。
「もうええ…。他あたる。済(す)まんかったの。」そう言って。その場を立ち去るのであった。その一方。陰で悪が動いた。そこは遥か天空の空。とある帝国。
「鳥は、籠(かご)から出たか…。」そう言い呟く者。その男は長い髪に、銀の髪色。
「ええ、そうね。」そのわきにいた女が言う。その女は夕日に近い朱色の髪は長く、その瞳は、暖かい視線。
「ガラヌス、《あの二人》は、既に来ているか?」そう言った途端。一風が吹き、そこには二人の少女が現れ言う。
「…。」少女一人は仮面の様な機械が着けられ、ただ冷たい風囲気が解る。肌は白く少女は八歳~十歳程。その少女の側にはその少女と同じくらいの年頃。蒼い髪色に長い髪、そして蒼い瞳。白い肌。
「お、お早うございます。ゼイン、アルテ=クレメールミスト。両者共に揃いました。」その蒼い髪の少女が言う。
「では、お前達に無期間、地上にいることを許可する。任務はこれらターゲットをしとめて来なさい。」そう言い、データらしきものを渡すと。
「…!」その機械を着けたアルテという少女は何を思ったのか、それを見た途端、表情を変えた様だった。
「そうね。無理なら、いいのよ。」とガラヌス。
「…。」何も語らず、後ろを向いて扉から出て行ってしまうのだった。
「アルテ…。」ゼインはアルテを気遣おうとするが。アルテは、それを気にしない。
「…。」ゼインの方を向き、呼びかけているようで、ゼインはそれがわかるのか、とても心配な様子でついて行くのであった。そして地上へと降りた時だった。
「アルテ、私…。」そう言おうとした途端、アルテは歩き出す。
「…。」と無言だが、ゼインはわかっていたのだった。
❘早く来い…。❘と。
そう言わんばかりか、あっという間にその場を立ち去って行ってしまうのだった。ゼインもそれに必死でついて行く。一方で、大空を海に、一隻(せき)の船が航行中であった。とても大きな船であり、その船の乗組員は舵(かじ)をとり、操縦席には多くの機材をいじる者達も。その時、何かを見つけたらしく、一人の乗組員が言う。
「《お頭(かしら)》。来ましたぜ。」そこに、一人の男がそれに応じる。
「そうか、あの船だったら、《例のやつ》があるかもしれんな。バウ、こっちにカメラ回してくれ。ブラウ、最初の射撃、用意。」そう指示を送る男は、黒と白が混ざった髪色に耳にはピアスを幾(いく)つか着けている。男は、二十一歳程の若き頭領(とうりょう)のようだ。
「レスル、準備OKよ。いつでも射撃可能。」そこに一人の女の乗組員に声を掛けられたレスルという男は頷くと合図を送るのだった。
「姉貴、第一般に白兵戦準備って伝えといてくれ。」そう指示をその女性乗り組み委員に下す。その一方で、ガイは先へ先へと進んでいる頃であった。そこになにかの通信機器なのかそれが鳴ると、ガイは出る。
「はい。こちら、ガイ=クレメールミスト。」そう言い、その相手は《ハンターズ=ホーム》からの様だ。その話の内容はとある一隻の船が襲われているという情報であった。その事件はどうやらガイの向かっている街の近辺であったがためか、《ハンターズ=ホーム》からガイに依頼が来たようだ。ガイはそれに了承し、通信機器を切りしまうと先を急ぐのであった。その頃アルテとゼインは地上へと駆け抜けて行く。その時、地上に足が着いた時、地中から怪物の大群が現れ、二人を捕食せんと襲い掛かってくるとその瞬間、気付けば怪物たちは無残にも切り裂かれバラバラになって、散らばっている。どうやら、アルテがやったようだ。ゼインは彼女を見て、痛々しく思うのであった。いつも自分独りで闘っていている。誰も信じることもなく…。
「アルテ、今回のターゲットに見覚えはあるの?」恐れながらもゼインは問う。しかしアルテは黙ったまま。誰の声も聞こえない者、ただ、目の前にいる敵、障害を排除するためにある、そんな存在であると、ゼインは感じていた。その時始めて口を開いたのだった。
「別に、何の関係もない。ゼイン、人の心配より自分の心配をしたらどうだ?」とそう言われたゼインは、そんなアルテに、頷き。間(ま)を置くと。
「はい…。」アルテは先へ進んで行ってしまう。ゼインもそんなアルテについて行く。また一方で、ガイの姿があった。ところが、どうやら戦闘中の模様。
「くっ…。かなり固いな…、ざっと見たとこ、甲殻タイプの様だな。」そこに銃をとりだし、何かのカートリッジをセットすると真っ先にその甲殻タイプの怪物に向かうと、その途端、弾丸が命中し、その怪物の身を守っていた甲羅(こうら)が割れ、たちまち怪物は銃が命中した勢いで倒れてしまうのである。ガイは怪物を倒し終え、先を急ごうと一歩踏み出したところにガイは妙な気配を感じるのだった。
「…!!?」周囲を視まわすが誰もおらず。それはガイにとって感じ覚えのある、懐かしい気配であった様だ。その一方で、レスル一味は船を襲撃中であった。何故そのようなことをするのか、目的は一体…。ランス空賊団の第一般は白兵戦のため降下中だった。
「全員手を上げろ!!さもなくば撃つ!!」そう脅すと、もう一人の者は倉庫から何まで調べ上げるものも。そこに、銃声が鳴り、武器を空賊団の者らを怯ませてしまう。
「何だ小僧!?こんなとこで何してんだ!?」ガイがちょうど到着したようだ。
「お前たちが何なんだよ。」そう言いあっという間に倒してしまうと、一人残った者にこう問う。
「なぁ、ランス空賊団知ってるか?」と。その者達は急に腹を抱えて笑い出す。
「はははは…、小僧、うちらがそうだが?」そう言われガイは面白いと言わんばかりににやりと笑う。
「みぃつけた…。《本部》からの依頼でね。頭(かしら)はどいつだ?」言うが。
「小僧、わりぃが俺たちは違うぜ。」そう言い、銃を取りガイに向け、引き金を引く。ガイは器用にも弾丸を避け、物陰に隠れると銃の引き金を引く。とその時。
「お前ら、いつまでやってんだ?もう品は回収した。戻れ、でなきゃ政府の奴等が飛んできちまうぞ。」若い男の声はその者たちを呼ぶ。あっという間に退却していく。その一方で、例の声の主は一息ついたように腰かけている。そこに女性乗組員が声を掛ける。話の内容はこうだ。
「レスル、あの坊やは狩り(ハンター)人の様ね。随分(ずいぶん)若いのにかなりの腕よ。」と耳元に話す
「…。そうか。」そう呟くレスル。一方、ガイは、突然消え、何処へ行ったのかもわからない。また飛空艇内部でのこと。その時突然空間が歪み、そこにはガイの姿が現われる。
「動くな。先程の戦闘、陰ながら見ておった。貴様、何者だ?」といきなり少女の声がガを止める。ふと振り返ると、少女が一人腕を組み立っている。
「君は?」ふとガイは思う。その少女のオーラに見覚えがある様だった。少女は、何かを取り出すといきなり投げ始めるのだった。ガイは素早く避けて(よ)言う。
「あ、危ないな!!いきなり何すんだよ!?」ガイはそう言い叫ぶ。少女は次のを投げてくる。
「思っていたほど、強くはないな…。《あの人》や兄と比べて《技》は未熟…。」少女はとても冷たい態度で話す。ふとガイは思う。この少女、不思議と姉の面影を感じるのであった。その時、少女は。
「《似ておるか》?我が、お前の姉とを…。」ガイの背後を取ったその少女は、ガイの首筋に武器を向け、言うのであった。
「そこまでー!!」と女性乗組員の声が響く。そこには、一人通路の先にて立つ者は、怖がっている表情で言う。
「ライカさん!侵入者を退治するのは構いません。ですが、これ以上暴れたら船内が壊れます!!」と。そのライカと呼ばれた少女、武器をしまうと、静かに立っている。
「す、済まない…。」そして船内の者達がそこへと集まるのであった。ガイは、拘束されてしまうのであった。そしてその後、操縦室へと連れてかれてしまうのだった。
「んで?こいつが、その狩り(ハンター)人ってわけか…。」そうガイを見て言う者はレスルだった。
「坊主、名は?」そう問うが、ガイは答えず。その場にはライカとレスルの姉をはじめ、全乗組員が見ている。ガイの腕には拘束具がはめられ、武器も通信手段も取り上げられている。ガイは次の行動をするのだった。ガイは拘束されているのもかかわらずに器用にもレスルめがけ攻撃するのであった。
「お、っと…。」レスルはガイの足を受け止めてしまうとレスルはガイの方を再び目線を向ける。ガイは以外なことに少々驚くと攻撃を止める。
「あんた、並の空賊ではないな…?誰だ、あんた?」そう言い、尋ねるとレスルは一息つくと。
「いいぜ。気に入った。噂か何かで知ってのとおり、このランス空賊団頭領、レスル=ランスだ。姉貴、こいつの拘束具はずしてやれ。」そう言うレスルに言われた姉はガイの後ろに回り、鍵を拘束具に差し込むと拘束具ははずれる。
「…。」ガイは拘束具のはずれた手首を見ると、再びレスルの方に目線を向け、口を開かぬまま。
「もう一度聞く、名は?」と、再びレスルは聞く。
「…ガイ、だ。」と返答。レスルは言う。
「そうか、なあ、今、《休戦状態》ってことではどうだ?」と聞かれたガイは、意外なことに驚くのであった。ガイは尋ねる。
「…、どういう意味だ?」と。レスルは答える。
「ある《女性‐ひと‐》と、ある《女の子》、そして《鍵》…。俺たちはそれらを捜して空賊をやっている。そこでガイに、手伝ってもらえないかと考えたのだが…。」と。ガイは、心が揺らぐ(ゆ)。狩り(ハンター)人であるが身(み)であるがためか…。
「…、盗み…なのだろう?」とガイは問う。
「盗み、か…。確かに俺たちは盗みを中心に、犯罪行為を沢山してきている。俺たち自身の問題であるがため。だが、あることにつまづいていてな。空賊の俺たちからいうのも言い難いが…。ガイ、ここで会ったのも、何かのヒントかもしれんと、俺は予感しているんだよ。」とレスルは答えるのであった。
「自分たちで何とかしてくれ。レスル、お前自身のことだろう?だったら俺には、できない。」と断(ことわ)ってしまうガイ。レスルは、ある女性乗組員に言う。
「フルラン。こいつに部屋用意してやってくれ。お客人だ。」と。そのフルランと呼ばれた少女は返事をすると、ブリッジを出るのだった。
「え、っと…、ガイ、さん。こっちです。」ガイに呼びかける。ガイはフルランについて行くのであった。その後、レスルとレスルの姉の会話のことであった。
「今日はどうしたのよ?敵である狩り(ハンター)人であるガイ君にその話をするなんて。」と姉の言葉から、レスルは答える。
「なんとなく…な。何か立場的に、俺に《似(に)ている》んだろうな。ガイを見てそう思えうんだろうと内心、そう思っているのだろうよ。」そう言いながら機械を動かすのだった。
「俺に、似ている…か。きっと、同じ《場所(タチバ)》にいたのでしょう。私はそう思うわ。」姉は呟くのだった。
「…。フルアさん。」と暫くしてライカが声を掛ける。
「何かしら、ライカちゃん。」返事をするフルアはライカに問う。ライカは先程のフルアの呼び方を気にしつつも口を開く。
「ガイと言いましたか…、あの者、私の《知り合い》に近しいものを感じる…。情報からして、ガイは狩(か)り人(びと)の仕事にて、一日で幾つもの依頼を成(な)し遂(と)げると聞き入(い)っている。先程手合せしたのだが、まだ《技》は未熟…。であるがレスル、お主(ぬし)と《同じようなもの》を感じた。」と。口を開くのだった。
「そう、なのかライカ?」レスルは問い返すとライカは、頷き(うなづ)肯定(こうてい)する。
「そうだ。」そしてその一方で、何者かを捜す者の姿があった。だいたい二十五~二十九歳程。その者は威勢よく話す。その男、黒褐色の髪色。ガイと同じアメジスト色の瞳。
「どこに行ったんや…、アルテ、ガイ…。せめて一人だけでも…。」と呟く男は再び街の者に問う。しかしその街の者達は知らないと答えるだけ。
「済まんのう。」と、その時のことであった。その男が何かを感じる。その者にとって懐かしい気配、しかしとても冷たくも感じたのだった。男はいきなり街を出て行ってしまう。そしてそこは砂漠が一面に広がっている。
「…。」そう現れた者。その者は仮面の様な機械が着けられ、姿は八歳から十二歳程。
「あ、あんた誰や!?」と問うがその者は何も答えず。
「シャルアス=クレメールミスト…。《大死神(だいししん)エーシル》となる《器(うつわ)》…。」そう呟き、去ろうとした時。
「ま、待たんかい!《大死神エーシル》って何や?!《器》って、何!?」と問い叫ぶシャルアスという男。その去る間際にその者は言う。
「ガイであったら、ランス空賊団と共にいる。後は貴様(きさま)自身が探る(さぐ)ことだな…。」そう言い残し去っていくのだった。その後シャルアスはその者の言った言葉に半信半疑ではあったが、ランス空賊団の情報を得るために街の者達に聞いてまわるのだった。

                                                                                              #1 ガイという名の狩り人 
                                                                                                             End

リバースゲーム#1

リバースゲーム#1

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-07

Copyrighted
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