おやすみ

おやすみ

おはよう。そしておやすみ。

最近の朝といえば、喧騒によって目を覚ますことが多い。
そういう時に限って決まって機嫌が悪い。

機嫌が悪いのは私のことではない。
私が飼っている二匹のネコだ。

名前はノウス(north)とサウス(south)
別に世話したりしているわけではないが、
最近どういったわけか私の家の近くに住みついている。

この二匹はもっぱら喧嘩することが好きみたいだ。

私が仕事で家にいない時はともかく
夕飯を作るときや、夜更かしして寝るとき

所、時間構わず大声でお互いに、・・・まるで水を掛け合っている。
無駄なことを・・・。

さて、こいつらいったいなににそこまで腹をたてているのだろうか?

不思議だが私にはその答えが分かった。

どうして分かるのか分からないからなおさら不思議だ。

どうやら、こいつら争っているわけだ。

見たらわかる。なににかって?

領地についてだよ。
もちろん、人間さまのように大々的なものではない。

もっと、こう・・・。そう、なわばり問題のようだ。

しかし、普通のなわばり争いとはわけが違うそうだ。
なんで、そんなのが分かるかって?
あんたも、くどいな。それが分からないから不思議なんじゃないか。

なんでも、この二匹は私の家の近くの北側がサウスの、南側をノウスのものと分けているそうだ。

そこまではいい、だがここからがちがうんだ。
そのなわばりを分ける境界線上は一体どっちのものなのだろうか。

ちょうど教会にはレンガでできたへいがあった。

初め二匹はこのへい、すらも半分に引いて分けようかと思ったが
そこでまた問題がでてきた

半分に切ったこの線はいったいどちらのものなのだろうか、と

したらば、まず線というものは点の集合体だ

そしてこの場合点はどちらの領域にも属さないということを表している

つまりは、そういうことだ


・・・、だがしかしこいつらは
それでは納得しなかった。
なぜならそれはだれのものではなかったからだ。


女「よし!できた、あー、やっと終わった。これでようやく寝れる」
時計を見るとAM 2:29だった。
女「あんたちのおかげで助かったわ」
暖かい毛布の上で気持ちよさそうに寝ている二匹の猫をなでながら、私は最後のコーヒーを飲み干すのだった。

おやすみ。

おやすみ

おやすみ

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-06

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