白い風
白い風
白い風
今年はあちこちで大気が不安定なことにより、大雨や雷、竜巻などの被害がひっきりなしに発生している。
山の上にある職場で、昼過ぎに外に出ると蝉しぐれの中、木々の間をごうっと風が駆け抜ける。ああ、夏の終わりだな、と感じる。
時間はさかのぼって高校三年生。夏の体育祭が最後の公式に許されたうっぷん晴らしだ。文系クラス理系クラスが入り交じって構成された私たち白組は、団長のもとに顔見知り、もしくは全く初めて会う人が集い、応援団が結成された。
校舎改修の都合上、学校で夏休みの補習が行えなかったため、よそに場所を借りて補習授業を行った後、応援団の練習や団の練習を行う。そしてそれがひと段落したら塾の夏期講習が待っているのだ。
振付を指導してくれたのは誰が招聘したかわからないが、他校でも応援団優勝の実績があるということで名のある方だった。当時は体力があった。朝から晩まで、毎日動き続けてもばてることはなかった。
体育祭は九月の最初ごろに行われる。衣装などもすべて自分たちで用意し、万全の態勢で臨んだ。
体育祭の見物は各組の応援団の演技と一、二年生も含めた応援、そして最後の組対抗リレーだと思っている。組対抗リレーのアンカーは団長が務めるのが習わしだ。
団長にバトンが渡る。しかし、他の組との差は歴然としていた。
応援団は全員でリーダーと走り抜けた。私もリーダーといっしょにゴールした。
そこには、白い風が吹いていた。
結局、何一つ賞を取れないで終わった体育祭だった。
みんな帰った後、健闘しあった応援団の仲間たちとたくさん写真を撮った。
夏の終わりを告げる、あの強い風が吹いていた。
半年後の後日談。三回告白して三回振られた相手が同じ応援団にいたが、知らぬ間に、同じ応援団の別の女の子が告白していたという事実を卒業後に知ることとなる。最後は年下の彼女がいるという理由で振られたため、彼女もまた悲恋に終わったそうだ。モテる奴はやはりいるもんだ。
白い風