ラヴ・キューブ~同姓にならなくても~第4話

分かっていそうですけど、例の如く、同性愛表現があります。

運動会当日。
私は普段より早く起きて、お弁当を作ることにした。今日は自分の分だけじゃなくて、優の分も作る。
別々のお弁当に分けて作って…よし、できた!
今日の昼が楽しみだ。
飲み物とかタオルとかも忘れ無いように持っていこう。

学校に行く途中、優に会った。
「おはよ。」
「今日は運動会だけど、調子はどう?」
「まあ、調子は悪くないかな。そっちは?」
「好調!二人三脚では足を引っ張らないよ。」
だって二人でたくさん練習したもの。もちろん転んだりもしたけど。
「あれで身に付かなかったら、どうかと思うけど。時に変な転び方までするし。」
「あはは…としか言いようが無いけどね。私も優にのしかかるなんて思っても無いよ。」
他にも色々とハプニングがあったりした。結構多かったけど、どちらかと言えば私のほうが多い。
そのまま私たちは二人で学校に歩いていった。
優は崎斗がいたら良かったって言ってた。そういえばいなかったね。

学校に着いて、教室(女子の着替え用)に入り体育着に着替える。
そして自分の教室に戻る。教室には優だけがいた。
「朝早すぎたみたいだね。」
「誰かしらいると思ったけど、なんでいないんだろう…?また、誰かの陰謀でもあるのかい?」
「やるとしたら崎斗以外思いつかないけど。」
すると体育委員の金沢さんがやってきた。
「おはよう。って二人しか来てないの?あれほど今よりもう少し早くってみんなに言ったのに。」
「と言う事は別になんか計画されたわけじゃないのか。崎斗は何やってるんだろうとか考えたけど、実際は集団遅刻ということか。せめて男子が来てほしかったけどな。」
「うーん、じゃあ笹浪さんと芹沢くんは外に行ってて。他の人探すから。」
私と優は外に行くことにした。

外に行ったけど、誰もいない。
別に、誰かしらいるとも思ってなかったけどね。
とりあえず、練習でも軽くやってみよう。とはいえ、縄が今は無いため、軽く足を合わせる位。
すこしやって私はあることに気づいた。そこで私は優に止まるように頼んで、気づいた事を言う事にした。
「優、ちょっと考えたんだけど…誰もいないのって多分、じゃなくて確実に部活の集まりがあるからじゃないかな?金沢さんは部活に入ってないとすれば…。」
「…それを早く言ってほしかったな。」
私と優はそれぞれ自分の部活に向かった。

女子サッカー部に行くと…金子がいるだけだった。
「遅刻でもするかと思ったけど、来てよかった。えっと、今他の人はみんなスタートの…あれを取りに行ったよ。」
女子サッカー部はスターターをするんだけど…って忘れてた私が言うことじゃないかも。
さて、他のみんなが来るまで金子と話して待機するだけ。
「来るまで何してたの?」
「えっと、優と一緒に練習したり…。」
「だったら別に二人で練習したままでよかったね。多分他のみんなはそれで勝手に納得するだろうし。」
確かにそうだね。
色々話してたら、他のみんなが戻ってきた。
私は遅刻の理由を説明した。。
案の定、みんなそのままでよかったのにって言われた。
そのままスターターの位置とする競技の確認して一時解散した。

その後、金子と教室に戻ったけど、殆どいなかった。というより、体育委員の金沢さんしかいない。
「あれ?みんな外にいるのかな?」
「誰も来てないんだよね。やっぱり集団遅刻でもしてるのかな。」
「…。今日は部活の集合があるの忘れてない?入ってない人はわからないけど。」
「あ…。ちょっと行ってくるね。」
そのまま金沢さんはどこかに行った。
それにしてもよく部活のこと忘れられるよね。
とりあえず、外の方へでも行こう。

外に行くとクラスの何人かは既に待機してた。
じゃあ、金沢さんはなんで教室待機を選んだのだろう。
見た所、麻美はいない。寝坊でもしたのかな。あの子は部活に入ってないし。
優は…いた!
私は優のところに真っ直ぐ向かった。
「崎斗が来てなくて暇…。」
「私がいるでしょ?」
「男子の方が…っていつからそこにいたんだい?」
「ついさっきから。」
優は小さくため息をついた。
そうこうしてると崎斗がやってきた…けど忙しそうで、通り過ぎていった。
こういう時は野球部は本当に忙しいのかな。
もちろん優は哀しそうだ。

そして運動会が始まった。
宣誓を崎斗と3年生が行った。…けど、
「宣誓!!」
「今度の考査の問題を教え」
「お前違うから!急遽呼んだこっちも悪いけど、確認しただろ!?」
崎斗の不意打ちに思わず笑っちゃった。案の定みんな笑ってるけどね。
「すみません、先輩。」
「とりあえずもう一回やるからな!?」
二人は再び校長先生のほうを向いた。
「牽制!!」
「いや違うから!!お前が先じゃないだろ!」
「すみません。」
そしてまたまた校長先生のほうを向いて、
「宣誓!!」
「僕たちは恋してる友人を全力応援する事を誓い」
「違うから!しかもそれここで言わなくて良いだろ!?」
「すみません。放っておけないので。」
「まあ、誰だかは想像つくけど、あの女子がある男子が好きって話だろ?それより真面目にやれよ?」
「はい。」
…それって私のこと?みんな私の事見てるし。…優と麻美以外。それにしても麻美は自分の事かと思い込んでる。ただ、誰一人として気にしてないけど。
「宣誓!!」
「僕たちはスポーツマンシップに則り」
「正々堂々と運動する事を誓います!!」
やっとまともになった。

いろいろとあった開会式が終わって、競技が始まった。
私の個人競技は午後にあるので、午前中は基本的にスターターをするだけ。
学年種目も午後にある。…そういえば午前中の代表リレーに参加させられてるんだっけ。…女ッカー(女子サッカー部)だから…じゃなくて単に私が速いだけだろう。金子は入ってないし。
どの道、午前中は基本的にスターターがメイン。
だからずっとスタート位置で待機してスターターやっての繰り返し。
あ、でも優の出る競技のは別の部なんだよね。
優が走っているのを近くで見たかったけど…まあ、クラスのところからみればいいか。
でも優の競技は午前で最後から数えた方が早いから今は気にする事は無いよね。
そうこうしてると、優の競技が始まった。
あ、相手の中に崎斗がいる。100m走だしまじめに優は勝てないよね。
スタートする前から優は崎斗を気にしてる。というより並んでる時点から気にしてる。
嫉妬は…する前にこういうことするのは予想してるから別に気にしない。
スタートした。優は意外に足が速いけど…崎斗とはかなりの差がある。
というより崎斗が独走状態で他の人が追いついてない。
優は3位あたり。でゴールした。

女子代表リレーの時間になった。
リレーメンバーが並んでいく。
正直自信はある。というのも、何故か速い人が自分の所に固まっている。
…なんでそうなったんだろうね。でも気にしない。
リレーが始まって1年生が…転んだ。
代表リレーだから一度転ぶと差がかなり開く。
だからそれが続きやすいから…私の所までそれが続く。
私のところまで来る頃には5位(7チーム中。クラス6つと教員の。)で1位は取れそう。
先生は言うほど速くないらしい。で、私はどこかの話によると女子の中で1番とか2番とか言われてるので本気でやれば…
そう思って全力で走ると、次の人になるまでには1位になってた。
先生、私に負けてどうするんですか。
でも…3年生も転んだから結果は4位だった。笑うしかないよね。

昼休み。教室で昼ごはん。理由は熱中症対策だけどね。
優は予定通り持ってきてない。実際は私が優に作ってあげるって言って借りたからそもそも持ってこれないけどね。
で、私の作ったお弁当を渡す。
「裕那に作ってもらうのは初めてだけど、どんな感じかな。」
「今朝は早く起きて作ったよ。」
「ということは裕那の基準で考えると、大体6時?よくそんな時間に起きれるね。」
私は少しはにかんで、
「実際は5時半頃に起きたんだけどね。…優の為って思ったら普通にできたよ。」
クラスのみんなが私を見てる。なんか変な事言ったかな…うん、言ってる。優の為って言っちゃった。
でも気にしない、気にしない…
「裕那、調理時間はどのくらい?」
「え、えっとだいたい30分くらいかな?」
優が鈍感で助かった。
…みんな(麻美以外)は気付かないのはおかしいって言ってる。発言者の私でさえ気付くものなのに気付かないのはすごいよね。
麻美は…気付いてもおかしくないけどね。単に言わないだけでしょ。
「おいしいよ。作り方今度教えてくれないかな?」
「いいよ。でも目的は崎斗に作るためでしょ?」
「そうだけど。」
優はまだ崎斗が好きなのか…。でもそのうち私のことが好きになるでしょ。

午後の競技が始まった。
最初は私が出る競技。…1000m走。
見てる方が飽きそう。同じ状態が続くというのに。
なんて事を言ったらまたこの競技やらされそう。今回もそんな事を言ったから出されたし。
スタートした。序盤にある程度はリードする。
…気が付くと私が1位を独走して他は私に追いつきそうにない。
さらに最下位は周回遅れに。
こんな差をつけていいのかは気になる。
優がいるからここまで頑張れるから別に気にする必要はないし。
…ちょっと確認してみると優は興味が無さそうだ。
男子にしか興味がないのはわかってるけどね。
結果は私が1位だった。
他の人と半周以上差をつけてたって事は他の人って…。

いよいよ二人三脚リレーが始まる。
どういうことなのだろうか、私と優のコンビは最後。
普通は男子だけのと女子だけのになっているけど…私のクラスだけは男子が奇数…ってこれは知ってるよね。多分。
で、何故か混合が最後に固定されている。何の差別だろう?
他のみんなは裕那と優の恋の絆が大事って言ってた。…他のみんなは自信あるのかな。
だったらみんなが頑張ってほしいけどね。
それにしても、さっきからカメラを持っている人が多い気がするけど気のせいかな?他の競技でこんなにいた覚えが無いけど。
わざわざなにを撮るのだろう。金子は私のかっこつけって言ってたけど、そんなことなんてできないような。
そんなことを考えて待ってると崎斗がやって来た。
「どうやら、この二人の仲が試される時が来たな。縄を結んで」
「だめ。やったら解くのが困難になるくらいにするだろう。崎斗とするならいいけど。」
実はこの間に散々崎斗に固結びの被害にあったから、ちょっと警戒してしまう。
でも、優がいてくれるからそんな時も不安じゃないよ。
それにしても若干優が崎斗と距離をとっているのは気のせいだろうか。
とりあえず優と崎斗が話してる間に縄を結んでおこう。
できるだけ早くからしないと…時間がなさそう。
とりあえずできたので、確認しないで優と一緒に並ぶ。
優は不満そうだけど、我慢してほしい…。
で、縄は確認する前に解けかけている。
「縄ほどけてるよ。またやらせるのかい?」
「あ、ごめん。私がするよ。今度はきちんとするから。」
「練習の時から裕那がすると不安があるけど…まあいいや。」
流石に慣れてはいるから自信はある。
でも解けたらしゃれにならない。
リレーが始まった…けど、最後だから今は待つだけ。
…あ、1位維持してる。麻美と金子のコンビすごい。
……本当に1位を維持してる。けど、いつ抜かれるのかがわからないくらい後ろに近い。
そして私と優の番が来た。
練習をいっぱいしたから不安は無い。
ただ、他が明らかに速い男子のコンビばっかり。
「裕那、準備はいい?」
「もちろん。」
私と優はたすきを貰って、走り出した。
他は早く走れてないけど、私たちは練習した分走るのは余裕。
なんとかなりの差をつけて1位でゴール。
私がゆっくりしようと思って、優の方を向くと…
「ゆ、優?顔近いよ??」
「縄解かないとこうなるよ。」
「…そ、そうだね。でもこの後は特に出る競技は無いよね?」
「だからと言ってこのままでいる気かい?」
そこまで言われると…悩むね。優と一緒にいたいけど…。優はそうは思ってないだろうし…。
「うーん…解こうか。」
結局解く事にした。

運動会の閉会式。
流石に開会式の宣誓のようなことはないけど、体操の合図の人が噛みまくってた。
結果は…私の組は3位。あの転びまくりのリレーが悪いんだろうか。
責めようが無い。

運動会が終わって打ち上げの時間。
流れで向かう事になってたから迷う事も無いけど。
で、焼肉ってことはわかってたから、別に悩む事は無いけど…ただ、場所が私の場所は優の隣で端。ちょっと緊張する。一応焦がさないようにしないと。なんで焼くのは私なんだろう。
どうでもいいけどレモン汁が無い。
「カメラ班が期待したのが撮れなかったとか言ってた。」
「何を撮ろうとしたのだろうね?そういえば私が先生追い越したけど大丈夫かな?」
「そういえば反省会してたよ。来年はこんなことにならないようにって。」
すると、王様ゲームが始まった。嫌な予感しかしない。大体食べ終わっているから、参加するけど。
適当にくじを引くと、13番を引いた。王様は…誰だか名前を覚えてない。で、その人が箱をいじると
「えーと、26番と33番を引いた人はクリカタトバスケットというのを表現する。」
引かなかったから良かったけど、なんだろうか。
…って26は優が引いたみたいだけど、なんか絵に描いている。
見た目肩車の構えをする人の上で片足で立って片足と両手で箱のようにしている。当たり前だけど現実でする人なんていないよね。
33引いたのは…麻美だ。
何するかと思ったら、飛び込みながらボールを投げるフリをしてる。
どっちが正しいのか分からない。…どうでもいいか。
また引くと、19番だった。王様は…誰だっけあの男子。
「7番と19番はこの英文を訳す。」
そう言って出したのは、
“He take his friend in”
…わからない。
似たようなのを作った事無いからか、訳せない。
7番引いた人も訳せないようだ。
答え、教えてもらっても良いよね。
今度は32番だった。王様は…金子だった。
「さて、なんだろうね。…これピンポイント。32番は誰かにキスして愛の告白をする。…32引いた人は?」
どうしよう…?なんて考える時間もないし、必要も無い。相手は決まっているもの。
「私だけど…早いところしたほうがいいよね?相手は確定してるし。」
そう言うとみんなが携帯でカメラを構えたりしてる。
麻美は自分に来ると期待してる。そんなことはあるはずがないけどね。
さて、
「みんな目つぶってくれる?」
そう私が言うと、麻美と優は素直に目をつぶった。他のみんなは目をつぶってちょっと間をおいて目を開けた。気にしないけどね。
「優、ちょっと立ってくれる?」
「いいけど…?」
優が立ってすぐに私は優に飛びついて、キスした。そして、
「優、好きだよ。付き合ってくれる?」
優は赤面して悩んでいるようだ。
「…これは本当?あれだからってわけじゃない?」
「そうだよ。ずっと好きだったから。」
私は顔を近づけてみる。
「ゆ、裕那、相手がどういう人が好きなのかわかって」
「もちろんわかっているよ。私に興味がないことくらい。でも、私は優のことが好き…だよ。」
優は顔をそむけた。でも答えは出すつもりはないみたい。
仕方ないので一旦離れることにした。私のほうもこのままだと頭の中が吹っ飛びそう。
麻美にはかなり衝撃的だったのか、
「ゆ、裕那さんってそんな奴のことが好きだったんですか!?」
「正直言うと…二人とも気付かないのは凄いよ。私は必死にアピールしてたし。」
みんな納得してる。そりゃそうだよね。
「あたしの知っている裕那さんじゃない…。」
「麻美は私をどう思ってたの?」
「あたしが気になってしょうがないと」
「それはただの妄想でしかないと思うよ…。」
みんなが納得してる。特に金子が笑いそうだ。
結局その後何回か王様ゲームをやって、終わった。
各自解散だったので優と二人で帰る事にした。…麻美は寮じゃないし、金子は友達と一緒だって。
「いつから好きだったんだい?」
「初めて会った時じゃなくて…やっぱ、内緒で。」
「気になるよ。」
「まあ、初めて優と会った時は奇妙な空気だったからね。」
「あんな状態が続くと思って全く裕那を気にしてなかったけど。」
私は振り返って、
「でも、好きになったからにはしょうがないよ。絶対に優に好きになってもらうから!!」
「そう。」
素気ない返事をされても私の本気は変わらないよって言いたいけど、あえて笑顔で済ました。

家に帰ると、リナリアの花が咲いている。
もともと優にあげるつもりだったけど、もう言っちゃったし…。
今日の打ち上げで想いは学校生徒全員にばれているわけで。
とりあえず種は…できるよね。それを回収するのを待つかな。


明日から優は私をどう思うのだろう…?
それだけが唯一の不安。

ラヴ・キューブ~同姓にならなくても~第4話

書いておいて、意味不明な単語を説明するってどうすれば…。
宣誓のネタはちょっと悩みました。
また訂正が…まあ前回の間違いに気付いたのはこの回を作っている時でしたけど。
4月5日追記――再び訂正。文章が変になっているのに気づきました…。

次は…裕那の部活の話にしようと思っています。
もちろん優もいますよ。

ラヴ・キューブ~同姓にならなくても~第4話

運動会当日と打ち上げ。 裕那は優のためにも張り切る。そして想いを…

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-09-05

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